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  [No.2931] 災難=平穏 投稿者:NOAH   投稿日:2013/04/13(Sat) 18:39:34   103clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

けたたましくなる目覚ましで目が覚めた。
むくり、と起き上がって時計に手を伸ばす。

カチリ、とそれを止めて欠伸を1つ零して、お腹で眠るエネコを起こす。

「ニ"ャーっ!!」


「いってぇ!?」


機嫌を損ねさせてしまったらしく、手を思いっきり引っかかれてしまった。
おのれ小癪な。……すまない、可愛いから許す。

しかし引っかかれたことで完全に目が冴えた俺は
ベッドから降りて服を着替え、引っかかれた場所を適当に手当てして下へ。


「おはよー。」

「はよー。」


ぼさぼさの髪のまま椅子に座ったら
身だしなみ整えてこい!と姉に引っ叩かれた挙げ句
その姉のカイリキーに引きずられて洗面台まで拉致られた。


「痛い痛い!首絞まる………っ!!」


無事に解放されたあと、めんどくさいと思いつつ寝癖を直してヘアワックスで髪を整えた。

今度こそ朝食にありつけると思い再び椅子に座ったら
確実に料理音痴の母が作ったであろう
もはや卵焼とは言えない黒い物体が。


「何これ………本当に卵焼??」

「え?………あ"ぁ!?母さんキッチン使ったでしょ!!?」

「だって、あなた達使わせてくれないじゃない。」

「当たり前でしょう!!いい加減に自分の料理音痴を認識してよ!!!」

「誰が料理音痴よ!」

「「あんたがだよ。」」


揃って言ってやれば、その場で落ち込む母。
エネコがその母を慰める横で、カイリキーが容赦なく
涼しげな表情で、黒焦げの卵焼だった物をゴミ箱にぶち込んだ。
ちなみに俺の目の前に出された物以外。何のいじめだ。

しょうがないから自分でそれを捨ててもう一度座り、今度こそ朝食に手を付けた。
料理音痴な母と違い、姉の料理は美味い。………なぜ同じ女でこんなに違う。


「母さん、いい加減落ち込むの止めて食べなよ。」

「うぅ………だってぇ………。」

「だってじゃないって。味噌汁冷める。」

「むぅ………。」


いい年した大人が子どもの様に膨れても可愛くないのだが
それを口にすると母さんのクチートに頭を噛まれて
死に掛けるため、 口が裂けてもそれは絶対言わない。

ちゃちゃっと食べ終わって洗い場に食器を置き
もう一度自分の部屋に戻り、何時でも大学に行けるように準備をする。

そこで何かを学校に置き忘れていることに気付くが
今日も案の定、置き忘れしてることに気付く。しかもケータイ。ふざけんな俺。


「あー……どこ置いてきたっけ。」


食堂か、第2講義室かな。
少なくとも、昨日の昼飯までは有った。
誰か届け出てくれてるといいが。

ぼんやりとそんなことを思ったらまたドジって
タンスの角に足の小指を勢い良くぶつけた。めっちゃいてえええええ………っ!!!


「なに、何の音??」

「小指……小指打った………っ!!」

「もうお前、うっかりやのレベル越してただのバカだろう。」

「バカじゃなかったら大学行ってない。」

「その回答がバカなんだよどアホ。」


料理とポケモンバトル以外に能が無い姉に言われたくないが
それを言ってしまうと姉のカイリキーに羽交い絞めにされて
死に目に合うので口が裂けても言わない。

まあ、とりあえず、俺は女運が無い上に
度を越したうっかりやなせいで、ロクな朝をおくれない。

まあ常に災難が身に降りかかる朝だが
災難が無い朝が逆に怖いからこれはこれで有りだと思っている。

だいぶ痛みも引いたところで家を出て
ガレージに仕舞ってある自転車を引っ張り出す。

その自転車の籠には既に、一匹のライチュウが
ライダー用のサングラスを掛けてスタンバイしている。

そいつに鞄を預けて、大学への道を走り出した。

………今日も無事に過ごせますように。


*NOAH*
常に災難に見舞われる男子大学生の朝を書きたかっただけです。

度を越しすぎでうっかりやどころじゃなくなってるのはご愛嬌。
とりあえずれいせいカイリキーが書きたかっただry(
(
※タグ修正
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