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  [No.3229] うちの先生 投稿者:WK   投稿日:2014/02/21(Fri) 15:06:09   72clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 うちの先生の話をしよう。


 先生は、太ってる割にあまり食べない。
 以前昼食を見せてもらったら、木の実数個とパン、それに牛乳だけだった。
 思い出してみると、修学旅行先の食事も他の先生に上げていた。
 誰も気に留めなかったけど、私は気になった。

 不思議なことがある。
 先生は古典を担当しているんだけど、その時に限って、すごく眠くなる。
 お昼が終わった後だからかもしれないけど、それにしても眠い。
 うっかり寝てしまい、友達に起こされることなんてザラだ。
 でも先生は怒らない。

 先生は小説をよく読む。
 面白い話が好きらしい。
 以前授業で、物語を一人ずつ書いた。
 皆面白かったけど、先生は私の話を一番褒めてくれた。
 『とても夢がある話だ』と言ってくれた。
 私は普段から子供っぽいと言われていたので、すごく嬉しかった。

 ……そういえば。
 
 友達は先生の授業、一度も寝たことがないらしい。
 むしろ、私が何で毎回寝てしまうのか不思議だと言っていた。
 先生の授業は面白くて、寝る暇なんてないという。
 私もそう思う。でも、

 あのゆったりした声を聞いていると、

 脳に直接語りかけてくるような声を聞いてると、

 知らぬ間に眠くなって、

 私は寝てしまうのだ。

 そういえば、もうひとつ。
 最近、一度も夢を見てない。
 あれだけ寝ているなら、一度は見てもいいはずなんだけど。

 うちの先生は、スリープみたいだ。
 なんというか、目つきがそれにそっくりなのだ。
 おまけに太ってるし、背は低いし。
 だから皆、陰で彼のことを『スリープ先生』と呼ぶ。
 
 本人も満更じゃなさそうだ。
 だって、

 あのスリープみたいな目を、キュッと細めるから。