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  [No.3280] ディア マイ フレンド 投稿者:奏多   投稿日:2014/05/27(Tue) 12:05:42   52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



ユウキ君へ

お久しぶりです。元気にしてましたか?
私もお父さんも元気に毎日過ごしています。

ユウキ君が旅に出てから、ホウエン地方も少し変わっています。
結構ニュースになっていたから、ユウキ君も知ってるかな?
ポケモンリーグのチャンピオンが、ダイゴさんからミクリさんに変わりました。それに伴って、ルネシティのジムリーダーには、ミクリさんの師匠のアダンさんが就任されたそうです。ルネシティに行った時に、少しお話ししたけれど、ミクリさんに負けず劣らず水ポケモンへの大きな愛情を持ってる方でしたよ。
後もう一つ、バトルフロンティアという施設が建設中です。バトルをする人のための、特別な施設だそうです。選ばれた強いトレーナーだけが招待される仕組みになっていると聞きました。バトルがとっても強いユウキ君にぴったりの場所かもしれませんね。

ユウキ君はきっと、見知らぬ土地で毎日頑張ったるんだなと思って、私も元気付けられてます。
こちらはそろそろ梅雨が明けそうです。また、夏が始まりますね。
今度、ユウキ君に会えるのを楽しみにしています。

ハルカより


ポケモンセンターに立ち寄った時に、この手紙をユウキは受け取った。可愛らしい薄い水色の封筒は、これから始まる夏を感じさせる。中の便箋も青を基調とした、海の絵が書かれていた。
すっかり季節は夏に向かっているのだと、この手紙から分かった。彼が今いる場所は、手紙の送り主のいるホウエンから更に北に行ったところ。夏の訪れは疎か、ようやく春に差し掛かったところだ。


「手紙送ってくれるのはいいけど、ハルカのことほとんど書いてないよね」
もう一度手紙を読み直し、彼はため息をつく。ホウエンのことを教えてくれるのは嬉しいが、彼女自身のことも知りたい。
「返信にいっぱい質問書いちゃおうかな」
そうつぶやき、彼は丁寧にハルカきらの手紙を折りたたむ。そして、少し悩むと、ユウキは、彼が愛用しているリュックから、筆箱とレターセットを取り出した。レターセットは彼が旅に出る時、母が持たせてくれた物だ。だが、今までこのレターセットを使って手紙を書いたことはなかった。いつもは、宿泊したポケモンセンターに置いてある、その土地特有の絵葉書を送っていたのだ。しかし、絵葉書では書きたいことが今回は書き切れそうになかった。そのため、今回はレターセットを使おうと思った。

いくつものペンが入っている筆箱から、シンプルなボールペンを取り出す。紙にペン先をつける前に、一度くるりとペンを回した。彼が文章を書き始める時の癖だ。

Dear my friend

彼のいるイッシュの言葉を使って書こうと、ペンを持ち直す。Dearまでペンを進めた時、ふと彼女の姿が思い浮かんだ。

赤いバンダナをつけて、いつも自分の前に立っていた。でもいつしか、自分は彼女と並んで、そして追い抜かしていって。

「ディア、マイフレンド」
自分が書こうとした言葉を、思わず呟いた。
「あれ……」
止まってしまった自分の手は、彼の心を映しているようで。

ーーそれじゃあ、何も書けない



通学途中に思いついたネタ。
アルファオメガ楽しみなのです。