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  [No.3290] シンオウ民話異聞 投稿者:   《URL》   投稿日:2014/06/13(Fri) 02:07:30   125clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
シンオウ民話異聞 (画像サイズ: 885×400 170kB)

昔むかしのこと。
そのころ性は三つあった。
太陽の子は角と口が一つずつ。男といった。
月の子は角がなくて口二つ。女といった。
地球の子は口がなくて角二つ。名前は誰もおぼえていない。
男と女とあと一人。三人で愛しあっていた。
助けあって村をつくった。力をあわせて畑をつくった。
三人で愛しあっていた。生まれる子どもは、男と女とあと一人。
けれど今では性は二つ。男と女。
あと一人のことは誰もおぼえていない。

昔むかしのこと。
そのころ性は三つあった。
あるとき男が嫉妬した。女を手に入れたくてあと一人を鞭打った。
あるとき女が嫉妬した。男を独り占めたくてあと一人を縛り上げた。
男と女、二人だけで愛しあった。生まれる子供は男と女だけになった。
あと一人は口がないからもの言わず、それでも男と女を愛していた。
鞭打たれても縛られても、二人をずっと見守っている。
だから今では性は二つ。男と女。
あと一人がどこから生まれるか誰も知らない。

昔むかしのこと。
そのころ性は三つあった。
男と女はあと一人を求めていた。それは原初の愛を回復すること。
ただ三人がもとの三人にもどろうとしているだけのこと。
男と女はあと一人を恐れていた。いつか仕返しをされると思って。
けれど罪を背負ったり赦しを乞う必要なんてなかった。
なのに今では性は二つ。男と女。
あと一人は二人をずっと見守っている。
鞭打たれても縛られても、男と女を愛していた。
いつか三人が抱きしめあって死ねたなら、ようやく原初にもどれるのだろう。
三人がもう一度愛しあうこと。
愛の起源。ポケモンの起源。