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  [No.3361] 押水と龍神伝説 投稿者:砂糖水   投稿日:2014/09/01(Mon) 19:30:44   145clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:ギャラドス】 【地名

 今でこそ夢見ヶ丘などと小洒落た名前で呼ばれておりますが、かつてそこは押水と呼ばれた土地でありました。たびたび水害や大水の被害に遭う、水の押し寄せる土地、ということで押水と呼ばれたのです。
 それは昔。まだポケモンたちが今よりずっと恐れられ、敬われていた頃のお話です。
 押水には荒ぶる龍神、今であればギャラドスと呼ばれるそれはそれは恐ろしい存在がいました。荒ぶる、とは言葉の通りでありまして、龍神はしばしば暴れその度にこの辺りは洪水に見舞われたのです。さらにはあまりに機嫌を損ねると、辺り一帯を焼き尽くすとも言われておりました。
 退治しようにも、龍神の前に出れば恐怖のあまり力が抜け、青く硬い鱗を貫くのは並大抵のことではありません。さらには龍神が恐ろしくも美しい舞を舞うとますます力を増すものですから、もはや人々には為す術もありませんでした。
 ですからそこに暮らすものたちは龍神を祀り供物を捧げ、宥め宥め暮らしておりました。けれどいつしかそれも効かなくなり、人々はほとほと困り果てていたのであります。
 さて、そんなあるときのこと。一人の僧が押水を訪れました。
 その昔、僧というのは知恵者であり、さらにその中でも旅僧は優れた操り人、すなわち優秀なポケモントレーナーでもありました。このような辺鄙な土地を訪れるくらいですから、いかにもみすぼらしい格好で、とてもとても高名な僧などには見えませんでした。けれど人々が藁にも縋る思いで事の次第を相談いたしますと、その方は相分かったと告げ、鏡はないかとお尋ねになりました。
 今でこそ鏡などというものは容易に手に入りますが、その時代、鏡はとても高価なものであり、そう簡単に手に入らないものでした。けれど、押水にはたったひとつだけ鏡が存在したのです。
 それは、荒ぶる龍神を祀る社でありました。
 皆さんはなぜ鏡がご神体として扱われるかご存じでしょうか。
 鏡が当たり前の現在では、鏡をのぞき込んで自分の姿が映っていても不思議には思わないかもしれません。ですが昔の人々にとって、己の姿が映るというのはとてもとても不思議なことでありました。
 ともすれば未来や過去を映し、邪悪なものの正体を暴きそれを祓うと信じられていました。万物を映す鏡は異界に繋がるとも考えられ、その希少性も相俟って鏡は神秘的、神聖なものであると昔の人々は思っていたのです。
 また、水鏡という言葉もありますように、鏡と水は密接な関係がございました。押水に鏡があったのは、そして僧が鏡を求めたのは、このような理由からでしょう。
 さて、そのお方は「これより雨が止むまで外に出てはならない」と仰せになると社から鏡を持ち出して、いずこからか現れた梔子色(くちなしいろ、黄色のこと)の雷獣を引き連れ、龍神の元へ向かいました。このときの雷獣は、ピカチュウともエレブーとも、はたまたデンリュウとも言われておりますが、はっきりしたことは分かっていません。
 僧に言われたとおり人々が家に籠もっておりますと、突然雨がざあざあと降り始め、風が吹き荒れました。さらには雷まで鳴り始めました。皆が驚いておりますと、みるみるうちに雨風は強くなり、同時に雷の音も激しくなるばかりでした。人々は不安でいっぱいになりながらも、言いつけられたように家から出ることなくひたすら僧を待ち続けます。
 一体どれほどの時間が経ったのでありましょうか。ふと風の音が止みました。雨音も、雷の音もしません。もしやこれは、と外に出てみますと、雨はすっかり止み青空が広がっていました。
 しばらくすると雷獣と共に僧が戻ってきました。そうして鏡を差し出し「ここに龍神を封じ込めた。鏡は引き続き社で祀りなさい」と仰せになりました。封じ込めたとはいえ、力のある龍神ですから、粗末に扱えば鏡の中からでも暴れて洪水をもたらすというのです。
 皆は謹んで鏡を受け取ると、口々に感謝の言葉を述べ、何かお礼をと言いました。けれど、まだ荒れた土地も落ち着いていないだろうからと、そのお方は申し出を丁重に断り、代わりに一晩の宿だけを求めました。その晩、人々の精一杯のもてなしを受けた僧は足早に押水を去っていきました。
 それから時折鏡の中の龍神が暴れ、水が溢れることもありましたが、回数はぐっと減り人々は安心して暮らすことができました。
 これが押水の龍神伝説です。押水神社に祀られている鏡にはこのような謂われがあるのですよ。


 ところで、雷獣をつれた僧というものに皆さんは聞き覚えがありませんか? 雷獣ではなく、ピカチュウと言ったら? そう、この僧というのは、あの有名な光宙法師智史(こうちゅうほうし ちし)のことなのです。
 光宙法師智史は雷獣をつれて各地を巡り、人々を助けて回ったと言われる方です。ピカチュウをつれた表紙の児童書でもお馴染みですね。
 機会がありましたら、いつか光宙法師智史の別のお話もいたしましょう。


【シリーズ化しない】
この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。

これ(https://twitter.com/jyaricat/status/504078974364815360)を見て思いついて、ついったーでぼそっと垂れ流したのを書いてみたら思いの外長くなった。

最初はなんちゃって坊さんのはずだったのにどうしてこうなった。
光宙→ピカチュウ、智史→サトシ
まともな名前思いつかないからネタに走った。反省している。
代わりにまともな名前考えてくれてもいいのよ…?

地名に関しても、いかにもな名前でかつ存在しないもしくは同じ名前の場所がいっぱいあるようなのと思ったけど諦めました。
色々調べたら面白かったのでみんなも調べてみればいいと思うよ!
こういうの↓
http://folklore.office-maeta.jp/007.htm
http://asahi.co.jp/call3/diary/yamaken/chimei_27.html

あと、沼地を埋め立てたらヌオーの祟りが、って話も書いてみたいデスネ。タブンネ。


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