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  [No.3632] Subject Notes. 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/18(Wed) 20:22:23   144clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:書いてもいいのよ

586です。

前々から「ポケモン世界のデジタル系都市伝説・怪奇現象」をテーマにした話を書きたいと思っていたので、
ぼちぼちネタを投下していこうと思います。

一つ一つは報告書風かつごく短いので、それほど期待せずにご覧ください。
ごくたまに長いのも混じるかも。


  [No.3633] #95840 「なみのり迷惑メール」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/18(Wed) 20:27:22   94clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#95840

Subject Name:
なみのり迷惑メール

Registration Date:
2000-05-16

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
当案件にて保全されたメールは、管理局のファイルサーバに保管します。メールが保管されているサーバにアクセスするためには、様式F-95840に則った特例申請を提出する必要があります。メールはサーバ上で三重に暗号化された上で保持され、研究目的以外での閲覧・持ち出しは禁止されています。

新たに当案件にて管理すべきメールが確認された場合、可及的速やかにメールの回収を行います。その際、受信者がメールのコピーを媒体を問わず保持していないことを確認しなければなりません。


Subject Details:
2000年上半期から、一部のポケモンセンターより「トレーナーがボックスに預けたポケモンが、身に覚えの無いメールを持っている」という申し出が続けて寄せられました。案件管理局ではポケモンセンターの関係者にヒアリングを実施し、メールが発見された際の状況を調査すると共に、当該メールの確保に乗り出しました。申し出があったメールに付いては、いずれもメールの確保に成功しています。

ポケモンが持っているメールはいずれも「なみのりメール」と呼ばれるタイプのもので、発信者は「ユニティー・サイエンス」と名乗る団体です。時期や地域によって若干の差異が見受けられますが、内容は概ね「ポケモンと人との新しい関係」「一歩進んだポケモンとのコミュニケーション」を受信者に提案する内容になっています。メールの末尾にはパーソナルコンピュータ用と推定されるメールアドレスが記載され、同団体とコンタクトを取るよう受信者に促しています。

以下は文面の一例です:


 ポケモンとの あたらしい コミュニケーション!
 あなたと ポケモンが ひとつになるための
 さまざまな おてつだいを いたします

 くわしくは しりょうの せいきゅうを
 ユニティー・サイエンス XXXXXXXX@unityscience.com


これまでのところ、案件管理局では「ユニティー・サイエンス」と名乗る団体とのコンタクトには成功していません。資料の請求を行ったところ、メールサーバは指定されたアドレスが存在しない旨のエラーを返します。広範な調査においても、「ユニティー・サイエンスと名乗る不審な団体からのメールを受け取った」という文脈においてのみこの団体の名前は登場し、具体的な素性は未だ明らかになっていません。

メールを受信したポケモンについての調査では、ポケモンには特段の異常は見受けられませんでした。ただし一部のポケモンについては、トレーナーにより預けられる以前と比べて、トレーナーへの信頼度が明らかに向上したとの報告があります。メールとの因果関係については不明です。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.3636] #90734 「ピッピちゃんのティータイム」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/19(Thu) 20:29:11   131clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#90734

Subject Name:
ピッピちゃんのティータイム

Registration Date:
1998-10-03

Precaution Level:
Level 1


Handling Instructions:
利用者の多い主要なオークションサイトを、本案件専用のクローラーを使用して常に巡回しています。本案件と推定される書籍の出品が確認できた場合、局員はオークションサイトの管理者に連絡し、出品物を接収してください。接収に際して、出品者がどのような経路で対象書籍を入手したかのヒアリングも併せて行ってください。

書籍に付いての基礎情報は既に広範に知れ渡っているものと推測され、情報封鎖は困難な状況です。書籍そのものには異常性が見られないことから、現状では情報の出現を監視するに留まっています。新たに書籍に対する言及が見られた場合、局員は書籍の情報がいかなる文脈で登場しているかについて詳細な分析を行ってください。

入手した書籍は、管理局の特殊書籍を収容する書架で集中管理されます。研究の為に書籍を持ち出す場合、様式F-90734に従い特例申請を実施してください。書籍は必要に応じて複写・電子化が認められていますが、一般的な機密情報拡散防止の観点から、不必要な複写・電子化は避けてください。

本案件では「ピッピちゃんのティータイム」のみを管理対象とします。類似する異常な書籍を発見・確保した場合は、別案件として管理してください。


Subject Details:
案件#90734は、「ピッピちゃんのティータイム」という出自不明の書籍に関する一連の案件です。主体となる書籍の正確な出現時期は明らかになっていませんが、少なくとも90年代後半から存在が確認されています。管理局の推定では1997年後半を出現の最有力時期としていますが、いくつかの物証はより以前からの書籍の存在を示唆しています。

当書籍の特徴的な点として、現時点ではインターネットのオークションサイトでのみ入手が確認されていることが挙げられます。通常の書店、特に古書を扱う書店において、「ピッピちゃんのティータイム」なる書籍が確認された事例はこれまで一件もありません。オークション出品者へのヒアリングでは、例外なく「蔵書を整理していたら買った覚えのない漫画が出てきた」もしくは「別のオークションサイト経由で購入した」との回答が寄せられ、オークションを除く正規の流通経路で入手したという証言は得られていません。多くの書籍は出版年から見て矛盾が無い程度に品質が劣化(日焼け・風化等)しており、出版年に付いてはある程度の信憑性があるとの見方が大勢を占めています。

この「ピッピちゃんのティータイム」は2015/3時点で第57巻までの発行が確認され、その内容は概ね70年代後半から80年代前半にかけての少女漫画の一般的な作風を踏襲しています。著者は「たかはしさゆり」、出版社は「芽吹書房」、元々の掲載誌は「別冊ショコラ」と記載されています。作家としての「たかはしさゆり」、出版社としての「芽吹書房」、及び漫画雑誌としての「別冊ショコラ」がそれぞれ実在した記録はありません。加えて、「別冊ショコラ」が「芽吹書房」から出版されていたという確証もありません。書籍に記載された情報はこのシリーズが1972年頃から連載・刊行され始めたことを示していますが、当時の記録からは「ピッピちゃんのティータイム」なるシリーズが存在した形跡は見つかっていません。

主人公は携帯獣の「ピッピ」で、風貌は一般的な携帯獣のものですが、少女漫画の作風に沿った擬人的なキャラクター付けが施されています。基本的に一話単位で完結するショートエピソードによって構成されていますが、時折複数話にまたがるロングエピソードも見られます。エピソードの粗筋は総じて平凡です。主人公であるピッピちゃんがレギュラーキャラクターである「ピカチュウくん」との恋愛を成就させるべく様々な努力をするという筋書きが大半を占め、時折「ライバル」が登場して他愛のない痴話げんかが繰り広げられるといった、何ら特筆すべき事項のないストーリーが展開されます。登場人物はほぼすべて携帯獣によって構成されていますが、まれに人間と思しき人物が登場するエピソードも存在します。

ただし、一部のエピソードについては一般的なエピソードと比べて明らかに作風が異なり、また総じて注目すべき内容が描かれていることに注意しなければなりません。

以下はこれまでの調査で発見された「特異な」エピソードの一部です:


・第40話「ピッピちゃんと殺人事件」(第7巻収録)
このエピソードでは、ピッピちゃんの隣人である「ラッキーさん」が何者かによって暴行の末に殺害され、またラッキーさんの娘である「ピンプクちゃん」が行方不明になったという事件がシリアスなタッチで描かれています。第7巻が刊行されたのは巻末の記載によると1973年2月ですが、当時種族としてのピンプクは知られていなかったことに注目すべきです。次の第41話は前々話である第39話の直近の続編となっており、この第40話での出来事は無かったものとして扱われています。

・第83話「ピッピちゃんとW.D.ビル」(第15巻収録)
それまでのエピソードではさして特徴の無い田舎町が舞台となっていましたが、このエピソードのみ唐突に都会が舞台になっています。ピッピちゃんが高層ビルにある職場で働く父親の「ピクシーおとうさん」の元を訪れるという筋書きですが、ストーリーの半ばで突如として携帯獣の「ホウオウ」及び「ルギア」がビル近くに登場して激しい戦いを始め、以後はピッピちゃんとピクシーおとうさんが命からがらその場を脱出するという緊迫したシーンが展開されます。このエピソードにおいては、レギュラーキャラクターを含む極めて多くの死者・負傷者が発生します。次の第84話は前々話である第82話の直近の続編となっており、この第83話での出来事は一切無かったものとして扱われています。第83話で死亡または負傷したキャラクターは、何事も無く以降のエピソードに登場しています。

・第160話「ピッピちゃんの激怒行進」(第27巻収録)
ピッピちゃんの友達である「ミズゴロウくん」が、恐らくは人間と思しきシルエットを持つ警察に追われ、結果として事故に巻き込まれて瀕死の重傷を負うところからストーリーが始まります。ピッピちゃん始め携帯獣の登場人物は警察の度の過ぎた追跡行為に憤慨し、以後エピソードの終了まで激しい抗議行動を繰り広げます。ページの終わりに至るまで、人間に対する苛烈な罵詈雑言が携帯獣の登場人物による台詞として延々と書き連ねられています。次の第161話は前々話である第159話の直近の続編となっており、この第160話での出来事は無かったものとして扱われています。ただしこのストーリー以降、ミズゴロウくんが再登場するエピソードは確認されていません。


2014年には、新たに第55巻・第56巻・第57巻の存在が確認されました。3冊すべて出版年は1982年となっており、接収された書籍はいずれも年月から見て矛盾が無い程度に劣化しています。シリーズの連載が未だ続いているのか、それとも何らかの理由で時間経過と共に新たな巻が「発見」されるようになるのかは、局員の間でも意見が分かれています。

書籍の巻末には「別冊ショコラ」に掲載・連載されていたと思しき他作品の単行本が多数紹介されており、そのすべてがこれまでの記録に存在しない漫画作品です。著者の中には実在する漫画作家の名前もごく一部発見されましたが、いずれも書籍の発行時期には漫画家として活動していないか、あるいは出生していません。また、紹介されている作品は例外なく当該作者の既知の作品リストに存在しません。

以下はこれまでに確認された他作品の一部抜粋です:


●ときめきドキドキ電子レンジ(著者:小石川れい/第9巻までの刊行を確認)
●思い出のプチキャプテン(著者:かたぎり翼/第17巻までの刊行を確認)
●ライムグリーン・カンバス(著者:かたぎり翼/読み切り)
●天翔ける赤いツバサ(著者:さいとうともみ/第8巻までの刊行を確認)
●Gene Girls(著者:荒川瞳/短編集)
●手のひらの上のアルカトラズ(著者:新庄まなみ/第11巻までの刊行を確認)
●ハート★スワップ!(著者:月梨野ゆみ/短編集)
●オクタン同盟(著者:松井かおる/第32巻までの刊行を確認)
●はるかぜエレジー(著者:牧下マユミ/第3巻までの刊行を確認)
●太陽と月は石の夢を見る(著者:大林みか/第6巻までの刊行を確認)


当書籍がインターネットのオークションサイトでのみ発見される理由は判然としていません。また一部の出品者については、オークションサイト並びに案件管理局からのコンタクトが完全な失敗に終わるケースも見受けられます。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.3638] Re: #90734 「ピッピちゃんのティータイム」 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2015/03/20(Fri) 19:41:31   75clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

なみのり迷惑メールの原作にマジでありそう感も好きですが、ピッピちゃんのティータイムが特に好きです。
本当に謎って感じで。というか普通に読みたいです。
作者はセレビィとか色んな力借りてわざわざ謎っぽく経年劣化させたり紛れ込ませたりしてる、変わり者無害系知能犯だったりして。とか色々勝手に考えてしまう楽しさがあるなあと思います。


  [No.3643] Re: #90734 「ピッピちゃんのティータイム」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/20(Fri) 20:48:21   88clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

(*'ω'*)<感想ありがとうございます!

> なみのり迷惑メールの原作にマジでありそう感も好きですが、ピッピちゃんのティータイムが特に好きです。
> 本当に謎って感じで。というか普通に読みたいです。
うちも書いてるうちにノってしまって、結構な文量になってしまいました。我ながら気に入ってます。

> 作者はセレビィとか色んな力借りてわざわざ謎っぽく経年劣化させたり紛れ込ませたりしてる、変わり者無害系知能犯だったりして。とか色々勝手に考えてしまう楽しさがあるなあと思います。
これは嬉しいお言葉……! 読み手の方にあれこれ想像してもらえるというのは、うちとしてはとても嬉しいことです。うちも他の方が創られたお話から着想を得ることが多々ありますし、こういった形で創作の輪が広がっていけばいいな、と思っています。

感想頂きありがとうございました! まだいくつかネタがありますので、気力の続く限り投稿していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


  [No.3641] #115444 「POKKEN ver.D」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/20(Fri) 20:43:12   99clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#115444

Subject Name:
POKKEN ver.D

Registration Date:
2006-08-02

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
これまでの管理局の積極的な工作活動により、インターネットを経由して対象のROMイメージファイルをダウンロードすることは極めて困難、あるいは一般的に見て不可能な状態を作ることに達成しています。現在の本案件は、既にダウンロードされたイメージファイルを可能な限り回収すること、新たなクローンが作成されていないかを監視することの二点が主な活動になっています。

回収されたファイルは管理局が保持するオリジナルのROMセットと比較し、バージョンに相違が無いかを確認します。相違が見られない場合、対象のイメージは管理局の標準情報破棄手順に則って削除してください。何らかの相違が見られた場合は、対象を新規のROMセットとして登録してください。

管理局の倫理委員会の裁定に基づき、本案件で回収されたROMイメージはいかなる理由があろうと起動を許可されません。詳細は付帯資料を参照してください。


Subject Details:
案件#115444は、株式会社ナムコ(現・バンダイナムコゲームス)が開発した対戦格闘アクションゲーム「鉄拳2」の異常なROMイメージと、それに付随する一連の案件です。厳密には、正常な「鉄拳2」に大部分のモジュールを依存しつつ、異なるバージョンとして動作させるための「クローン」のROMセットが、本案件にて扱うべき主要なオブジェクトとなります。本来の「鉄拳2」のROMセットは、本案件の取り扱い対象外です。

出現した正確な時期は不明ですが、著名なアーケードゲームエミュレータである「MAME」が2006年中旬に行ったバージョンアップで、当案件のROMセットが「鉄拳2」のクローンとして新規に追加されていることが確認されました。そのため、当案件で扱うROMセットは概ねこの時期に出現したものと推定されています。ほぼ同時期に、多数存在するROMイメージの配布サイトに対して「pokken2ud.zip」の名称で一斉にファイルがアップロードされた記録が残っていることも、この仮説を補強している一因です。

このROMセットは「鉄拳2」の一般的なクローンの一つとして、「MAME」バージョン0.107以降及び「MAME」の同バージョン以降を元にした派生のアーケードゲームエミュレータで読み込むことが可能です。読み込んだ場合、画面には通常表示されるタイトルスクリーンではなく、黒い背景にごく簡素なフォントで「POKKEN ver.D」と書かれたタイトルが表示されます。エミュレータでコイン投入に相当する動作を行った後にスタートボタンを押下することで、通常通りゲームが開始されます。

起動後に一見して気付くのは、本来の「鉄拳2」に登場するキャラクターが選択画面に一人も存在せず、代わりにポリゴンで描かれた携帯獣のアイコンによってスロットがすべて埋められていることです。ここで操作するキャラクターを選択すると、シングルプレイヤーモードがスタートします。

ゲームの操作体系は正常な「鉄拳2」に準じ、レバー(あるいはレバーに割り当てたキー)でキャラクターを移動させ、ボタンの押下で攻撃や特殊動作を行います。プレイヤーはコンピュータが操作するキャラクターと戦い、最後に登場するボスキャラクターを倒せばゲームクリアとなります。プレイ開始から終了まで、プレイヤー自体には特段の異常は見受けられません。長期に渡る調査により、プレイそのものがプレイヤーに何らかの影響を及ぼすことは無いと結論付けられています。

ただしこのゲームの構成は、通常想定されるものと著しく乖離しています:


1.使用可能なキャラクターの変動
ゲームをリセットするか、ゲームクリアまたはゲームオーバーによってタイトルスクリーンへ戻るかのいずれかの条件を満たす毎に、使用可能なキャラクターが変化します。プレイヤーが選択可能なキャラクターは常に10体ですが、これまでに延べ287種類のキャラクターが選択画面に登場しています。特定のキャラクターを常に選択可能にするための方法も、選択可能なキャラクターが抽出される一定の法則も見つかっていません。また、正確なキャラクターの総数も判明していません。

2.キャラクター性能・性質の著しい変化
過去のプレイで選択できたキャラクターが出現した場合、そのキャラクターを次のゲームプレイで再選択しても、ほとんどの場合その性能や性質は大幅に異なっています。変更箇所は外見的特徴やキャラクターボイスといった比較的変更が行われやすい箇所に留まらず、使用可能なムーブセットや攻撃力・移動速度等のパラメータといった通常のゲームであれば変更されることは少ない箇所にまで及んでいます。特にムーブセットの変更は著しく、以前のプレイで使用できたキャラクター固有の技がまったく使用できず、完全に別の技に変更されているというパターンが度々見られます。

3.登場するキャラクターの全差し替え
このROMセットは明らかに「鉄拳2」を親としているにも関わらず、登場するキャラクターは一貫して携帯獣のみです。これまでのところ、人間のキャラクターは一切登場していません。当初は本来の「鉄拳2」のキャラクターモデルを携帯獣のものに差し替えたものと思われていましたが、その後の調査でモデリングやモーションも完全にオリジナルの物が使用されていると判明しました。

母体である「鉄拳2」で使用されていたテクスチャやモーションといった各種アートアセットはゲームプレイに際してまったく使われず、すべて独自のリソースに置き換えられています。これらのリソースをROMイメージから直接抽出する試みは、今のところ成功していません。

4.ゲームの完成度
ゲームの動作は極めて不安定です。プレイ中は頻繁な処理落ちやテクスチャの貼り遅れ、サウンドのクリッピングが発生し、負荷が高まるとしばしばハングアップを引き起こします。プレイヤーからの一切の操作を受け付けなくなりゲームが続行不能になることも少なくありませんが、その場合、プレイヤーキャラクターは相手から逃走するような動きを見せるか、もしくは極度に暴力的な動きで相手を倒そうとします。この暴走状態はゲームオーバーまたはゲームクリアまで続きます。

元となった「鉄拳2」と比べてレンダリングのレベルは数段劣っており、キャラクターは違和感を覚えるレベルのローポリゴンで描写されます。コンピュータのアルゴリズムは作りがおざなりであることが明らかに分かる程度の物で、あくまで動作するというレベルに留まっています。戦略的な動きや複雑な連続攻撃を繰り出すことは困難か、またはそのためのルーチンが組み込まれていません。

5.その他ゲームプレイ時の特徴
・このゲームは「対人戦」の機能を持ちません。クレジットを複数投入しても、対戦プレイには移行できません。
・本来時間経過で解放されるキャラクター選択画面のスロットは、規定の条件を満たしても「?」のまま解放されません。
・上記に加え、オペレーターコマンドによる強制的な隠しキャラクターの解放も不可能になっています。
・ゲームをクリアするかゲームオーバーになるまで、プレイヤーの体力は一度も回復の機会を与えられません。
・プレイヤーが敗北した場合、コンティニューはできません。事前にクレジットを投入していた場合も同様です。
・対戦相手の携帯獣は多くの場合最初から体力が減少しています。また、しばしば脈絡の無い動きをします。
・一部のプレイヤーは、相手の動きを「逃げようとしている」「苦しみもがいている」と表現します。
・最終ボスとして登場するのは、最後にクリアを達成した際に使用していた携帯獣です。この法則は一貫しています。
・最終ボスとして登場する携帯獣の体力は、前回クリア時のプレイヤー側の残体力と同一値です。
・ゲームをクリアした場合、携帯獣を正面から捉えた映像が映し出されます。この演出の意図は不明です。
・一部のプレイヤーは、上記エンディングの演出に強い不安感を訴えます。不安感の原因は分かっていません。
・スタッフロール及びネームエントリーはありません。ゲームクリア後は直接アトラクトデモへ移行します。

このROMイメージはエミュレータで動作させることを前提として開発されていると思われます。ROMイメージを適切な手順でフラッシュROMに書き込み、そのフラッシュROMを搭載したSYSTEM11基盤による稼働検証を複数回実施しましたが、いずれも起動中に本案件に対応する4つのフラッシュROMすべてでチェックサムエラーが検出されてシステムが停止するため、未だ完遂できていません。

以下は最初期に確認された、管理局が「オリジナル」と推定するROMセットの情報です:

pos1verd.2f 1,048,576byte C4F66A0B
pos1verd.2k 1,048,576byte ABCB4982
pos1verd.2j 1,048,576byte 668CA713
pos1verd.2l 1,048,576byte D936BF60

ファイル名は、このROMセットが「バージョンD」であることを示唆しています(これはzipアーカイブのネーミングとも一致するものです)。そのため、前身として「バージョンA」から「バージョンC」までが存在した可能性があります。これらのROMセットについては、継続して調査と捜索が続けられています。


2007-03-24 追記:
後に管理局が「MAME」開発チームにコンタクトを取り、当案件についてヒアリングを行う機会を設けました。ヒアリングの結果、開発チームはこのクローンセットが「MAME」の対応ROMセットとして追加されていることを一切認識していなかったことが明らかになりました。現在、更新履歴からはこのROMセットについての記述はすべて削除されていますが、ソースコード上に対応するルーチンが存在しないにもかかわらず、依然として「MAME」及び「MAME」派生のエミュレータは該当するROMセットを読み込み、正常にゲームを動作させることができています。

2010-07-11 追記:
管理局内部の協議に基づき、研究目的を含むこれ以上のゲームプレイは一切許可しないとの方針が打ち出されました。異議がある局員は、管理局の倫理委員会に対して異議申し立てを行うことができます。


Supplementary Items:
本案件には、1件の付帯資料があります。適切なセキュリティクリアランスを持つ局員のみが、付帯資料を参照できます。


  [No.3642] #115444付帯資料1 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/20(Fri) 20:44:31   94clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Appendix 1:
局員の提言に基づき、稼働中の「POKKEN ver.D」のプロセスを一時的に停止させ、メモリダンプから何らかの情報が得られないかという実験が行われました。実験時、プレイヤーはルカリオを、コンピュータはカイリキーをそれぞれ操作しているという状況でした。

エミュレータの機能を用いてゲームを一時停止させ、完全なメモリダンプが取得されました。この時、ダンプの取得は想定されるよりも相当に長い実行時間を要し、最終的に約3.8GBのダンプファイルが生成されました。ダンプファイルの作成中、OS標準のタスクマネージャはエミュレータが占有しているメモリ領域について、異常性の無いゲームを動作させた時と比較しても有意な差異は無いことを一貫して示し続けていました。

生成されたダンプファイルを一般的なデータ解析の手法で解析したところ、ファイルの約半分に相当する1.85GBが、携帯獣の「ルカリオ」の一般的なデータパターンと89%の精度で一致することが判明しました。続く約1.94GBは、同じく携帯獣の「カイリキー」のデータパターンと92%の精度で一致していました。残りのデータは、ゲームを動作させる為に必要なプログラムやその他のアートアセットで占められています。

以上から、この「POKKEN ver.D」は何らかの未知の方法により、現代の技術から見ても異常に精度の高い「人工の携帯獣」を短時間で生成する機能を持ち合わせているという仮説が立てられました。プレイ中頻繁に発生する異常な挙動は、システムによって生成された携帯獣がゲームから脱出しようと試み、結果として外部からの制御を受け付けなくなったことによるものと推察されます。現在のところ、この仮説を覆す根拠は見つかっていません。ゲームが携帯獣を生成し戦わせる理由についても、局内で統一的な見解は出されていません。

ルカリオ・カイリキー共に、データが一般的なパターンと一致しないまたは欠落している箇所は、外見的特徴の情報が格納される領域に集中していました。ゲームプレイ時にディスプレイへ出力されるキャラクターモデルの品質が悪いのは、これら外見的特徴の極度の情報不足に起因するものであり、ゲームが持つレンダリングエンジンの性能とは直接的な関わりを持たないことが分かりました。これについては、開発に当たって携帯獣として正常に動作させることにリソースを割き、携帯獣の外見については実装の優先度が下げられたためと考えられます。

ゲームプレイ中に生成された携帯獣を一般的な情報工学の技術に基づいて救出する試みは、いずれも失敗に終わっています。生成された携帯獣はゲーム中の戦いで死亡するか、またはゲームがシャットダウンされることで消失するかのいずれかしか選択肢を持ちません。

管理局の倫理委員会は、生成された携帯獣は事実上死亡するほか無いという結論に基づき、2010-07-11をもってこれ以上のゲームの起動を禁止する裁定を下しました。


  [No.3646] 素敵にこわい 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/21(Sat) 19:25:41   89clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 報告書形式、楽しく読ませていただいております。
 POKKEN verDを読んだ後となっては、なみのり迷惑メール初読時に受けた、「よくわからないけれど無害そうなよくわからない感じ」――という自分の印象をそのまま信じてしまっていいのか疑心暗鬼になっています。掘り出したらまた何か出るんじゃないかな……って。

 ピッピちゃんのティータイムは、遭遇しても自分に実害が及ぶとかそういう感じはないけれど、でも不気味! そう、不気味なんです。出自の謎さもさることながら……“特異な”エピソードだけなら社会派ともとれるのに、少女漫画を流れをぶち割って入ってくる不気味さ。それによって、“何の意図があるのか”はわからないまま、増大した“何らかの意図”だけ感じられる、そんな不気味さ。出自不明のコミックシリーズであるだけなら、あるいは特異なエピソードが入ったコミックシリーズというだけなら、こんな不気味じゃなかったのでしょう。都市伝説らしさにただただ瞠目。

 POKKEN verDは、最初は「なんだか妙ちきりんなエミュレータゲームだぞ」という印象なのが、付帯資料が一気にホラーですね……。ポケモンはデータ生命体、というところをこう持ってきたら完璧なホラー! 親資料を読み返して不安感も二倍! “この演出の意図は不明です”――なんで不明なの? 怖い! とまあこのような調子です。
 とにかく、付帯資料の表紙の「セキュリティクリアランスが〜」という文言と○に囲まれた禁という判子が赤でバンと押されて(このあたりはイメージです)あるのを無視して表紙をペロッと捲ってしまうと、知らなくていい真実を知ってしまった上もう戻れないというこの感じ。憎い演出ですね……。
 そうですよね……データ生命体ならデータから生成しようとする試みは考えうるものなのですよね。データ生命体ならデータ消去で消えますよね。なんていうか、人工的に作ったと公称されるポケモンがポリゴンだけでよかったと思いました。
 あと、色々と用語が出てきているのが読んでて楽しかったのです。


  [No.3647] Re: 素敵にこわい 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/21(Sat) 20:01:47   79clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

(*'ω'*)感想ありがとうございます……!

>  報告書形式、楽しく読ませていただいております。
>  POKKEN verDを読んだ後となっては、なみのり迷惑メール初読時に受けた、「よくわからないけれど無害そうなよくわからない感じ」――という自分の印象をそのまま信じてしまっていいのか疑心暗鬼になっています。掘り出したらまた何か出るんじゃないかな……って。
報告書に記載されている内容はあくまで「現時点で分かっていること」に過ぎませんからね。掘り下げてみると実は……てなパターンも大いにあると思います(恐怖を煽っていくスタイル

>  ピッピちゃんのティータイムは、遭遇しても自分に実害が及ぶとかそういう感じはないけれど、でも不気味! そう、不気味なんです。出自の謎さもさることながら……“特異な”エピソードだけなら社会派ともとれるのに、少女漫画を流れをぶち割って入ってくる不気味さ。それによって、“何の意図があるのか”はわからないまま、増大した“何らかの意図”だけ感じられる、そんな不気味さ。出自不明のコミックシリーズであるだけなら、あるいは特異なエピソードが入ったコミックシリーズというだけなら、こんな不気味じゃなかったのでしょう。都市伝説らしさにただただ瞠目。
以下は、ホラー小説が好きなうちの父親と話したことです。

例えばものすごく恐ろしい化け物が登場したとして、その容姿や能力といった特徴を細々と書き連ねても、多分読み手の方は思ったほど怖がらないと思うんです。
ですが、意図が分からないけれどとにかく不気味で異常なことをいきなり書く、例えば――

「帰宅してみたら、家具の配置が左右反転していた」

こういうのですと、実害はほぼ無いですしすぐに誰かが死ぬとかそういう話でも無いんですが、想像すると意味が分からなくて結構恐ろしくないでしょうか。
うちは恐ろしいです。

>  POKKEN verDは、最初は「なんだか妙ちきりんなエミュレータゲームだぞ」という印象なのが、付帯資料が一気にホラーですね……。ポケモンはデータ生命体、というところをこう持ってきたら完璧なホラー! 親資料を読み返して不安感も二倍! “この演出の意図は不明です”――なんで不明なの? 怖い! とまあこのような調子です。
>  とにかく、付帯資料の表紙の「セキュリティクリアランスが〜」という文言と○に囲まれた禁という判子が赤でバンと押されて(このあたりはイメージです)あるのを無視して表紙をペロッと捲ってしまうと、知らなくていい真実を知ってしまった上もう戻れないというこの感じ。憎い演出ですね……。
>  そうですよね……データ生命体ならデータから生成しようとする試みは考えうるものなのですよね。データ生命体ならデータ消去で消えますよね。なんていうか、人工的に作ったと公称されるポケモンがポリゴンだけでよかったと思いました。
>  あと、色々と用語が出てきているのが読んでて楽しかったのです。
これはうちも書いてて楽しかったです(語弊あり
意味不明なアーケードゲームのまま終わらせることも考えましたが、先出の二つがオチが無いまま終わってしまったので、これについてはきちんとオチを付けた感じです。
その内容が如何なるものかは別として……(自覚

丁寧な感想を頂き、嬉しい限りです。日々の創作の合間にちょこちょこと書けて自分でも楽しいので、もうしばらく続けていきたいと思います。


  [No.3648] #127168 「ニャオニクス・テスト」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/21(Sat) 20:30:02   91clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#127168

Subject Name:
ニャオニクス・テスト

Registration Date:
2010-04-20

Precaution Level:
Level 2 (2014-03-20以前)→Level 3 (2014-03-21以後)


Handling Instructions:
異常性を示す画像を認識する方法が既に確立されていますので、局員が直接画像を捜索する必要はありません。管理局が運用するクローラーによって自動的に画像が探し出され、発見し次第クローラーの管理者へ通知が成されるシステムを構築しています。通知を受け取った管理者は、様式F-127168-2に沿って申請書を作成し、画像を掲載しているサイトの管理者へ削除の要請を出してください。サイト管理者による画像の削除が規定した期間を経過しても行われない場合は、サイトがホスティングされているプロバイダへ管理局の名義でサイトの凍結または削除を指示してください。

これまでに回収されたファイルは、異常性を持つ画像ファイルを格納するための専用ファイルサーバに保管されます。実験目的で画像を閲覧したい場合、様式F-127168-1に必要事項を記入し、ワークフローを回付してください。画像の閲覧には機能を制限した専用のタブレット端末が貸し出されます。閲覧後、所定のレポートに結果を記入してください。ファイルに対して直接アクセスすることは許可されません。


Subject Details:
案件#127168は、携帯獣である♂の「ニャオニクス」を正面から撮影した1136x640の解像度を持つ標準的なJPEGファイルと、それに付随する一連の案件です。同種の画像をPNG形式に変換したものもインターネット上でわずかに配布されていますが、PNG形式のファイルは後述する異常な特性を示さないため、本案件では取扱いの対象としません。

2010年4月頃、ミニブログサービスの「Twitter」に投稿された以下のツイートに添付されたのが、当該画像が初出現したタイミングと推測されています(これ以上の拡散を防止するため、画像のURLを意図的に破壊しています)。


 このニャオニクス、みんなはどっちの色に見えるかな???
 青と白→RT♪
 黄と白→ふぁぼ♪
 pic.twitter.com/XXXXXXXXXX


このツイートは最後に確認された時点で4807回リツイートされ、7329人のユーザーがお気に入りに加えていました。投稿されてから一週間後に該当するツイートは削除されましたが、コピーされた画像が各種ボットによって大量に拡散されたため、これまでに一度でも画像を視認した正確な利用者の数は未だ分かっていません。オリジナルのツイートを投稿したユーザーのアカウントは削除とほぼ同時に凍結されています。アカウントの作成者を突き止めるための試みは現在も続けられていますが、有力な手がかりは掴めていません。

被験者の証言から、画像は健康な♂のニャオニクスを捉えたもので、画像そのものに不審な点は見られないとのことです。不快感や恐怖感といったネガティブな感情、逆に多幸感や解放感といったポジティブな感情のいずれも想起させず、画像が視認者に直接影響を及ぼすことは無いと考えられます。

当該画像の異常な特性は、画像をディスプレイを通して視認した際に発生します。およそ49%の被験者が、ニャオニクスは「紺色をベースにした色合いに一部白が混じった」姿をしている、すなわち♂の標準的なカラーリングであると報告します。続く48%の被験者は、ニャオニクスは「黄色をベースにした色合いに一部白が混じった」姿だと報告します。この特徴は♂のニャオニクスに稀に見られる特異個体、いわゆる「色違い」のものと一致します。

残る3%の被験者は、画像を見ても正確な答えを述べることができません。この時、一般的なニャオニクスの色に結びつくキーワード(「青系」・「紺色」・「寒色系」等)を与えると、即座に非特異個体のニャオニクスの姿が視認できるようになります。これは特異個体のニャオニクスのキーワード(「黄色」・「暖色系」・「輝いている」等)を与えた場合も同様であり、この場合は色違いのニャオニクスの姿が明瞭に見えるようになったと報告します。一度どちらかのニャオニクスの姿を視認できるようになった場合、もう一方のニャオニクスのキーワードを与えても、画像の認識に変化は見られません。

画像をプリンタを用いて紙媒体へ出力した場合、プリンタ及びアプリケーションの設定に拠らず、画像は常に256階調のグレースケールとして扱われます。そのため、出力結果は常に白黒です。画像処理を行うアプリケーションで画像の加工を試みた場合はあらゆる処理の実行時にアプリケーションが応答を停止し、結果として加工に失敗します。画像を表示させた状態でスクリーンキャプチャを作成し、別のファイルとして保存することは可能ですが、その場合の画像は被験者の視認結果に拠らず一般的なニャオニクスのカラーリングに固定されます。

画像を視認したことによる被験者への影響の可能性に付いては、付帯資料を参照してください。付帯資料に記載した仮説は現在も検証が続けられていますが、現時点で否定できるだけの根拠は見つかっていません。


Supplementary Items:
本案件には、1件の付帯資料があります。必要に応じて、すべての局員が付帯資料を参照できます。


  [No.3649] #127168付帯資料1 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/21(Sat) 20:31:58   86clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Appendix 1:
案件#127168の画像を視認した被験者について、追跡調査が実施されました。

多くの被験者については特段の異常は見られませんでしたが、一部の被験者について特筆すべき結果が得られました。


・通常のニャオニクスが視認できた場合
確認できたすべて視認者のうち、127名が何らかの疾病を発症して死亡、83名が事故で死亡、67名が自殺しています。疾病は例外なく個人の生活習慣に起因するもので、外的要因による死亡は一件も見られませんでした。事故は例外なく自損事故で、視認者を除いた負傷者や死者は出ていません。

・色違いのニャオニクスが視認できた場合
確認できたすべて視認者のうち、438名が災害に巻き込まれて死亡、546名が事故に巻き込まれて死亡、193名が感染症で死亡しています。事故はそのすべてが被害者に過失の無いもので、自損事故は一件も確認できていません。長期に渡る追跡調査でも、先述した事由以外の死亡例は確認できていません。


上記の結果から、通常のニャオニクスを視認できた者は自発的な理由で死亡し、色違いのニャオニクスを見た場合は偶発的な理由で死亡するという仮説が立てられました。

画像が視認者の死亡理由を予知する何らかの能力を持つのか、画像を視認したことで死因が決定されるのかについては確定できていません。ただし、ニャオニクスの姿を視認できない被験者に対してキーワードを与えた際の結果から、画像の側が能動的に視認者の死因を決定している可能性があります。管理局はこの結果を鑑み、2014-03-21時点で警戒レベルを「3」に引き上げることを決定しました。


  [No.3650] なぜPNGでは異常な特性を示さないのか 投稿者:あいがる   投稿日:2015/03/21(Sat) 23:54:35   77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

このシリーズは就寝前に読むことにしております。
毎回背筋が寒くなるというよりは、なんとなく薄ら寒くなるこの不安感が癖になりますね(笑)

今回のニャオニクス・テストを読ませていただいたときに、少し前に流行ったjpeg経由のコンピュータウイルスを思い出しました。
画像に擬態するだけでなく、ただ画面に表示させただけで大事なファイルを削除してしまうような厄介な代物です。
jpegファイルの圧縮に使われるアルゴリズムはGIF等と比べても複雑な部類に入ります。
2次元離散信号を空間周波数成分に分解するので、jpeg画像はコンピュータ内部である種の波成分に変化します。
この波成分をうまく可聴域にシフトさせれば「音」として聞くこともできます。

なぜニャオニクスの画像はPNGではダメなのでしょうか。
jpegのニャオニクス画像が波に変化するとき、それを音として捉えるとどんな音が鳴り響いているのでしょうか。
カギはそこにあるのかもしれませんね……こうした自由な考察ができるのがSubject Notes. の面白い所です。

個人的に1136x640という画像解像度の秘密が好みです。
71:40という変な比率・画面解像度を持つ機材は例のものしかありません。
もともとの写真は待ち受け画像用に撮られたものだったのでしょうか。
そこの部分も気になりますね。


  [No.3652] Re: なぜPNGでは異常な特性を示さないのか 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/22(Sun) 14:53:37   54clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

(´ω`)感想ありがとうございます!

> このシリーズは就寝前に読むことにしております。
> 毎回背筋が寒くなるというよりは、なんとなく薄ら寒くなるこの不安感が癖になりますね(笑)
寝る前に読むと寝付きが悪くなるのでオススメです!(オススメ……?
直接的な怖さというよりも、なんとなく落ち着かずぞわぞわする感じを出したい、と思いながら書いています。

> なぜニャオニクスの画像はPNGではダメなのでしょうか。
> jpegのニャオニクス画像が波に変化するとき、それを音として捉えるとどんな音が鳴り響いているのでしょうか。
> カギはそこにあるのかもしれませんね……こうした自由な考察ができるのがSubject Notes. の面白い所です。

> 個人的に1136x640という画像解像度の秘密が好みです。
> 71:40という変な比率・画面解像度を持つ機材は例のものしかありません。
> もともとの写真は待ち受け画像用に撮られたものだったのでしょうか。
> そこの部分も気になりますね。
(*'ω'*)いろいろと想像してくださってうれしい限りです……!
ともするとデジタルなもの=人間が解釈できるもの=安全という図式が成り立ちがちですが、そこであえてノイズのようなものを入れることでそれが危うくなる、という流れが好きです。
解像度についてはお察しの通り例のアレです。さすがです。

お読み頂きありがとうございました! そろそろスレッドが伸びてきたので、次の次くらいから長編板へ移籍すると思いますが、またお読み頂ければ幸いです。


  [No.3653] #141658 「すてられぶね」 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/22(Sun) 16:07:09   70clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#141658

Subject Name:
すてられぶね

Registration Date:
2014-11-22

Precaution Level:
Level 1


Handling Instructions:
本案件で扱う事象は確保が事実上不可能であると推定されるため、情報の拡散を防止する活動が主体となります。ネットワーク上で本案件に関する言及が見られた場合は、対象が実在しないこと、確度が低く質の悪い噂であることを伝えてください。必要に応じて、虚偽の内容を流布することも認められる場合があります。

現在のところ、本案件と類似する場所/事象/人物/物品についての存在は確認されていませんが、性質上認識することが困難というのみで、何らかの類似案件が存在する可能性は否定できません。例え瑣末であっても、情報の提供や仮説の提示は歓迎されます。

本案件は管理局で認識することに成功した「すてられぶね」を対象としていますが、同様の事象が別の形で発生している可能性も否定できません。仮に同様の案件が発見された場合は、速やかに管理対象に加える必要があります。


Subject Details:
案件#141658は、2014-11-21を境に不特定多数の一般市民の間で言及されるようになった「すてられぶね」というオブジェクトまたはロケーションに関する情報、及びそれに関連する一連の案件です。

管理局の広範な調査で、これまで「すてられぶね」という名称に合致するオブジェクトまたはロケーションは存在していないことが判明しています。過去の記録においても、一貫して「すてられぶね」という名称で言及されるオブジェクトまたはロケーションは存在していません。名称から恐らく座礁した船のような存在と推定されますが、ホウエン地方全域に渡って過去50年以内の船舶事故、あるいはそれに類する事件・事故・出来事についての徹底した調査によっても、「すてられぶね」の特徴を満たすものはありませんでした。

この「すてられぶね」という名称が初めて出現したのは2014-11-21と推定されますが、いくつかの記録はそれ以前、少なくとも10年以上前から「すてられぶね」が何らかの形で存在したことを示唆しています。これが「すてられぶね」の実在を示すものなのか、「すてられぶね」そのものが特異な方法で自分の情報を挿入したのかについては、未だ意見が分かれています。

一般市民の会話において、「すてられぶね」はしばしば実在するものとして言及されます。ほとんどの場合、提示された情報が指し示しているものは「すてられぶね」ではなく、ホウエン地方108番道路からアクセス可能な特別保護区である「シーキンセツ」に該当します。2014-11-21以前で、シーキンセツが公的にも、また俗称としても「すてられぶね」と呼称されていた記録はありません。「すてられぶね」とシーキンセツの具体的な関連性は不明です。

初めて「すてられぶね」というキーワードが言及されてから、これまで局員によっていくつかの仮説が提示されてきました。これらはいずれも明確な根拠を持ちませんが、同様に反証に足る根拠も存在しません:


1.別の特異な事象によって「すてられぶね」に関する情報が挿入された
管理局が知り得ていない異常な現象、または異常な現象を起こす生物/物品により、「すてられぶね」の情報が広範に渡って挿入されたという仮説。もしこの仮説が正しければ、「すてられぶね」以外にも何らかの「挿入された」情報が存在する可能性があります。

2.別の特異な事象によって「すてられぶね」に関する情報が隠匿されていた
仮説1とは逆に、「すてられぶね」はシーキンセツを指す名称だったが、何らかの理由により2014-11-21までその情報が隠匿され、認識できなくなっていたという仮説。情報が隠匿されていた理由や、2014-11-21に隠匿が解かれた経緯は不明です。

3.管理局が「すてられぶね」に関する情報を知ることができないようコントロールされていた
仮説2の派生です。一般市民の間に混乱が見られないこと、現時点で「すてられぶね」を異常な現象だとしているのは当局のみであることから、別の個人や組織がかく乱の為に「すてられぶね」の情報に管理局がアクセスすることができないようにコントロールしていたという仮説。一部の局員はこの仮説を支持し、警戒レベルを最高の「5」へ引き上げることを提案しています。提案は現在保留されています。

4.実際に「すてられぶね」が存在している、あるいは存在していた
ほとんどの情報が誤った知識・認識に基づいたものであり、それが広範に渡って拡散された結果、実際には「すてられぶね」は存在する、もしくは存在していたが、正確な情報を得るのが極端に難しくなっているという仮説。2014-11-21以前は名称も含めて不正確な情報が氾濫していたと考えれば、この仮説が成り立つ余地はあります。

5.元々シーキンセツは「すてられぶね」と呼ばれていたが、その関係性を「異常」だと誤認させられている
そもそもシーキンセツが「すてられぶね」と呼ばれるのは特段異常の無いことだが、何らかの特異な事象によって「異常」だと誤認させられているという仮説。仮説3同様、この事象は管理局の関係者に対してのみ発生している可能性もあります。

6.異常性を持つのは「すてられぶね」ではなくシーキンセツである
何らかの特異な事象により、かつて「すてられぶね」だったものが「シーキンセツ」に置換されたという仮説。これは物理的なオブジェクトの置換に止まらず、2014-11-21以前まで「すてられぶね」と記述・認識されていた情報が一斉に置き換えられた可能性があります。「すてられぶね」は新たに出現したのではなく、置換時の不備により情報として消去し切れなかったのではないかというものです。


現時点においては、「すてられぶね」に関する情報は相応の異常性を持つものの直ちに危機的状況をもたらすものではないとして、警戒レベルは最低の「1」としています。ただし何らかの追加情報が得られ、警戒レベルの見直しが必要と判断された場合、現在のレベル設定は直ちに破棄されることとなっています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムは公開されていません。

管理局の判断により、付帯資料に付いては秘匿する方針が定められています。時間/次元に掛かる案件を取り扱うことのできるセキュリティクリアランスがあり、かつ情報を開示することが必要であるとみなされた職員のみ、限定的にアクセスが許可されます。


  [No.3654] #141658付帯資料1 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/22(Sun) 16:10:56   67clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Appendix 1:
以下は2014-11-22に案件#141658が管理局のデータベースに登録されて間もなく、付帯資料として追加で登録された資料です。付帯資料が登録された際の監査証跡は存在しないIDを記録しており、一部のアクセスログは外部から管理局のデータベースサーバへのアクセスが行われたことを示しています。

登録が確認されて12分後にデータベースサーバがネットワークから切り離され、完全なセキュリティ監査が行われました。監査の結果、いくらかの不審なアクセス記録が得られましたが、侵入者の正確な情報を掴むには至りませんでした。

資料の書式は管理局が定める報告書の標準書式に則っていますが、過去いかなる形においても、該当する案件番号の報告書が存在した記録はありません。資料は非公式かつ高い異常性を伴うものと判断されたため、安全のためセキュリティクリアランスを持たない局員には開示しないことが直ちに定められました。

この資料がどのような個人・団体によって作成されたのか、また何の目的を持って管理局のデータベースに登録されたのかは一切不明です。資料の作成者とデータベースへの登録者が異なる可能性も排除できません。


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Subject ID:
#103789

Subject Name:
シーキンセツ

Registration Date:
2002-11-22

Precaution Level:
Level 1


Handling Instructions:
本案件で扱う事象は確保が事実上不可能であると推定されるため、情報の拡散を防止する活動が主体となります。ネットワーク上で本案件に関する言及が見られた場合は、対象が実在しないこと、確度が低く質の悪い噂であることを伝えてください。必要に応じて、虚偽の内容を流布することも認められる場合があります。

現在のところ、本案件と類似する場所/事象/人物/物品についての存在は確認されていませんが、性質上認識することが困難というのみで、何らかの類似案件が存在する可能性は否定できません。例え瑣末であっても、情報の提供や仮説の提示は歓迎されます。

本案件は管理局で認識することに成功した「シーキンセツ」を対象としていますが、同様の事象が別の形で発生している可能性も否定できません。仮に同様の案件が発見された場合は、速やかに管理対象に加える必要があります。


Subject Details:
案件#103789は、2002-11-21を境に不特定多数の一般市民の間で言及されるようになった「シーキンセツ」というオブジェクトまたはロケーションに関する情報、及びそれに関連する一連の案件です。

管理局の広範な調査で、これまで「シーキンセツ」という名称に合致するオブジェクトまたはロケーションは存在していないことが判明しています。過去の記録においても、一貫して「シーキンセツ」という名称で言及されるオブジェクトまたはロケーションは存在していません。名称から恐らく海上に建造された施設のような存在と推定されますが、ホウエン地方全域に渡って過去50年以内の着工記録、あるいはそれに類する出来事についての徹底した調査によっても、「シーキンセツ」の特徴を満たすものはありませんでした。

この「シーキンセツ」という名称が初めて出現したのは2002-11-21と推定されますが、いくつかの記録はそれ以前、少なくとも10年以上前から「シーキンセツ」が何らかの形で存在したことを示唆しています。これが「シーキンセツ」の実在を示すものなのか、「シーキンセツ」そのものが特異な方法で自分の情報を挿入したのかについては、未だ意見が分かれています。

一般市民の会話において、「シーキンセツ」はしばしば実在するものとして言及されます。ほとんどの場合、提示された情報が指し示しているものは「シーキンセツ」ではなく、ホウエン地方108番道路からアクセス可能な座礁船(旧登録名:カクタス号)である「すてられぶね」に該当します。2002-11-21以前で、すてられぶねが公的にも、また俗称としても「シーキンセツ」と呼称されていた記録はありません。「シーキンセツ」とすてられぶねの具体的な関連性は不明です。

初めて「シーキンセツ」というキーワードが言及されてから、これまで局員によっていくつかの仮説が提示されてきました。これらはいずれも明確な根拠を持ちませんが、同様に反証に足る根拠も存在しません:


1.別の特異な事象によって「シーキンセツ」に関する情報が挿入された
管理局が知り得ていない異常な現象、または異常な現象を起こす生物/物品により、「シーキンセツ」の情報が広範に渡って挿入されたという仮説。もしこの仮説が正しければ、「シーキンセツ」以外にも何らかの「挿入された」情報が存在する可能性があります。

2.別の特異な事象によって「シーキンセツ」に関する情報が隠匿されていた
仮説1とは逆に、「シーキンセツ」はすてられぶねを指す名称だったが、何らかの理由により2002-11-21までその情報が隠匿され、認識できなくなっていたという仮説。情報が隠匿されていた理由や、2002-11-21に隠匿が解かれた経緯は不明です。

3.管理局が「シーキンセツ」に関する情報を知ることができないようコントロールされていた
仮説2の派生です。一般市民の間に混乱が見られないこと、現時点で「シーキンセツ」を異常な現象だとしているのは当局のみであることから、別の個人や組織がかく乱の為に「シーキンセツ」の情報に管理局がアクセスすることができないようにコントロールしていたという仮説。一部の局員はこの仮説を支持し、警戒レベルを最高の「5」へ引き上げることを提案しています。提案は現在保留されています。

4.実際に「シーキンセツ」が存在している、あるいは存在していた
ほとんどの情報が誤った知識・認識に基づいたものであり、それが広範に渡って拡散された結果、実際には「シーキンセツ」は存在する、もしくは存在していたが、正確な情報を得るのが極端に難しくなっているという仮説。2002-11-21以前は名称も含めて不正確な情報が氾濫していたと考えれば、この仮説が成り立つ余地はあります。

5.元々すてられぶねは「シーキンセツ」と呼ばれていたが、その関係性を「異常」だと誤認させられている
そもそもすてられぶねが「シーキンセツ」と呼ばれるのは特段異常の無いことだが、何らかの特異な事象によって「異常」だと誤認させられているという仮説。仮説3同様、この事象は管理局の関係者に対してのみ発生している可能性もあります。

6.異常性を持つのは「シーキンセツ」ではなくすてられぶねである
何らかの特異な事象により、かつて「シーキンセツ」だったものが「すてられぶね」に置換されたという仮説。これは物理的なオブジェクトの置換に止まらず、2002-11-21以前まで「シーキンセツ」と記述・認識されていた情報が一斉に置き換えられた可能性があります。「シーキンセツ」は新たに出現したのではなく、置換時の不備により情報として消去し切れなかったのではないかというものです。


現時点においては、「シーキンセツ」に関する情報は相応の異常性を持つものの直ちに危機的状況をもたらすものではないとして、警戒レベルは最低の「1」としています。ただし何らかの追加情報が得られ、警戒レベルの見直しが必要と判断された場合、現在のレベル設定は直ちに破棄されることとなっています。

Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


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  [No.3658] 長編板に移籍しました 投稿者:   《URL》   投稿日:2015/03/23(Mon) 20:26:42   64clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

移動先:http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi?list=&no=1222& ..... de=allread

毎日長いスレッドを上げてしまうと視認性を下げてしまうので、長編板へ移籍することにしました。
以後はこちらでぼちぼち書いていこうと思います。