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  [No.3891] ポケモン社会史概論 投稿者:浮線綾   投稿日:2016/02/10(Wed) 20:40:13   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



ポケモン社会史概論


※本作品は、ポケモン法学の基礎とする目的で、「ポケモンと人の関わり合いの歴史」を記述してみたものです。
 各時代において典型的と思われるポケモンとの関わり方を抽出しています。とりあえずモデルはうろ覚えの西洋史。

※完全に筆者の妄想から成り立っているので、実際のポケモン世界の歴史は異なる可能性があります。
 また、考察部分についても個人の見解であるため、反論・異説はむしろ歓迎です。

※本作品の内容はネタとしてご自由に使って頂いても構いません。つまらないものですが。





●狩猟採集時代
・野生の炎ポケモンや電気ポケモンが残した火を元に、人類が火の利用を始める。
・アンノーンの姿形をヒントに、表音文字を考案する。他にも、ポケモンや自然物を象った象形文字なども氾濫する。
・ポケモンは自然の驚異の象徴として神格化され、畏れられる。
 ポケモンと心を通わす(と言われている)人間がシャーマン的な地位を得て、ムラの精神的中心となり、祭祀を執り行う。
・ムラはしばしば野生ポケモンの襲撃を受ける。ポケモンの利用を知らなかった時代は、部族ごとに常に移動し生活していた。
・人は弓矢などを使って狩猟をしていたが、ある日野生の子ヨーテリーなどを見つけて、可愛いのでペットとして育て始める。それがなかなか賢く、狩猟に役立つようになる。
・狩猟の伴として、賢く忠実なポケモンが飼育・繁殖されるようになる。海辺では水ポケモンが漁を手伝い、また交易の運搬もポケモンが担う。野生ポケモンの襲撃に耐えることができるようになる。ムラが要塞化する。
・ムラの指導者は、多くのポケモンを従える実力を持つ者が選ばれる。
・当時から、ポケモンが操れるようになって一人前という空気がある。


●農耕牧畜時代
・定住生活が始まった後、主に大河流域において、農耕や牧畜が開始される。地面ポケモンや草ポケモン、水ポケモン、格闘ポケモンが重宝される。
・当時ポケモンは、強引に生け捕りにし、餌付けし、調教した。
ポケモンは「人間に従えば餓えることはない」という理由により人間に従ったと考えられる。ポケモンはいわば人間との契約関係の下、人間に恭順していた。それは人間側も理解していたため、ポケモンを神の化身として敬った。
・膨張したクニ同士は、しばしば衝突した。その紛争にもポケモンが使われた。
 当時から飛行ポケモンが偵察に使われ、毒ポケモンに有力者を暗殺させ、悪ポケモンに他国の倉庫から物資を略奪させ、ゴーストポケモンに敵方を呪殺させたりしていた。
 敗者は奴隷として吸収され、土地もポケモンも強者のものとなる。ポケモンを使役する技術は集積され、洗練される。人と人、ポケモンとポケモンの間にも細分化された身分差が生じる。
・「神の化身」と畏れ敬われていたポケモンは、次第に「道具」視されるようになっていった。人の管理の下で繁殖し、ごく幼いころから厳しい躾を施されれば、ポケモンは人に逆らわなくなる。


●都市国家時代
・人間(それも最下層の奴隷身分)の主な仕事は、ポケモンの管理となった。ポケモンの仕事は農林水産業の実労働に始まり、土木工事や土器・青銅器・鉄器の製作といった工業、運送、戦争等々多岐にわたる。
・ポケモンの活躍分野が拡大するにつれ、生活は豊かになり、市民には余暇が生まれる。哲学や文学、数学、自然科学が発展した。
・ポケモンを擬人化したような神々の登場する神話が語られる。それによると、人の姿をした神は、人のために、神の力を持つポケモンを遣わした、ということになっている。
・神話やポケモンを元にした音楽や詩、演劇が発展する。
 ポケモンバトルやポケモンコンテストの原形のようなものも盛んに行われ、人気を博した。
・都市には上下水道が完備され、市民は奴隷とポケモンを財産として抱えた。市民は戦時にはポケモンを供出することが名誉とされ、普段からポケモンの育成に励んだ。
・巨大な武力を統率する王が国家を支配する。
 法律が敷かれ、他国と戦争をし、領土と人民とポケモンと産物を技術を吸収していく。
 戦争においてはやはりポケモンの扱い方が鍵を握る。飛行ポケモンが偵察し、地面ポケモンが足下を崩し、鋼ポケモンが圧倒的重量で押し潰し、悪ポケモンが敵の物資をかすめ取り、毒ポケモンが敵の陣地に病を蔓延させ、ゴーストポケモンが機密情報を奪い、エスパーポケモンが通信や輸送の役割を担う。
 前線に立つのはポケモンばかりだったため、繰り返される戦争で数え切れないほどのポケモンが死んだ。ポケモンの減少によって産業も衰え、市民社会にも困苦が忍び寄り、国内社会は不安定化した。
 やがて各国は疲弊し、巨大国家は分裂した。


●封建時代
・膨大な数のポケモンを基盤とする産業構造は瓦解した。
 人は再び小規模のポケモンを使い、農林水産業を営んだ。彼ら農民を直接的に支配したのは貴族であり、その貴族を王が取りまとめる。
 王の支配する国は互いに小競り合いを続けていた。
・その中で交易が発展し、貨幣経済が都市を中心に広まっていく。王権が度重なる戦争のために衰える一方で、貴族や商人は財を成し台頭していった。
・貴族は私的なポケモンの軍団を訓練し、領内の農民を支配する。農民も農耕等にポケモンを利用していたため、いざとなれば領主に反逆する武力は持っていた。いざというときのそれを鎮圧するために、優れたポケモンを操る人材が貴族には必要だった。
・当時ポケモンは、言葉も操らず裸のままの、野蛮な存在だと考えられた。ポケモンと対照的に、人の地位が高められ賛美された。人がポケモンを操り文化を与えてやる事により、ポケモンの魂は救われるなどと説く宗教も広く信じられた。野生のポケモンは畑を荒らし家畜を襲う悪魔であり、討伐の対象だった。また人が飼うポケモンが人に逆らうことは極度に恐れられ、その反作用として、ポケモンに対する躾は現代の基準からすると残虐な程度に苛烈なものとなった。
・農民は地面ポケモンや草ポケモン、水ポケモンに農作物の世話をさせた。ポケモンの力を利用することにより、農業の生産効率は大幅に向上した。逆に、破壊的な力を持つ炎ポケモンや毒ポケモン、ゴーストポケモン、エスパーポケモン、ドラゴンポケモン等の所持は領主によって厳しく禁じられた。とはいえ、当時はポケモンのタイプの分類は曖昧だったため、現代から見るとさほど厳格な基準が設けられていたわけではない。
・各国を旅する交易商人が特に恐れたのは、目に見えない力を操るエスパーポケモンやゴーストポケモンやフェアリーポケモン、物資をかすめ取る悪ポケモン、凶暴なドラゴンポケモンだった。
 氷ポケモンによる冷凍輸送が早期から利用され、比較的遠方へも生鮮食品を届けることが可能であった。
・都市には商人や職人が集まり、貴族の支配から逃れ、市民の手で発展した。
 商取引は人の手で行われ、金融が次第に発展する。
 一方、手工業においては、ポケモンの能力が盛んに利用された。鋼ポケモンによる木材や石材の加工、炎ポケモンによる金属加工やガラス細工や陶芸、水ポケモンによる製紙や酒造、等々。
 都市では特に、病を流行らせる毒ポケモンが忌み嫌われた。


●絶対王制時代
・台頭する都市部の市民層を保護する形で、王は貴族の権力を抑え込み、絶対君主として国家の頂点に君臨する。
 王は多様なポケモンから成る巨大な常備軍を持ち、他国と覇権を争った。海外へと侵出し、植民地を獲得し、新たなポケモンやそのポケモンを操るための奴隷が仕入れられた。人もポケモンも財物と見なされていた時代である。
・農村にも貨幣経済が浸透する。農村から都市部に出てくる者の数が増加し、そういった者の多数はポケモンの育成に携わった。多くの人間によって繁殖させられるポケモンが、当時発展しつつあった工場制工業を支えた。
 高い知能を持つエスパーポケモンが機械を操り、あるいは高性能の機械を開発する。地面ポケモンや岩ポケモン、鋼ポケモン、水ポケモン、格闘ポケモンが、石炭や鉄鉱石、金銀銅に宝石類等を採掘する。鉄鉱石を食べてしまうココドラの類や、石炭を燃料とするコータス、宝石を食べてしまうヤミラミなど、特定のポケモンは迫害され、世界各地の生息地を追われて急激に数を減らした。
 ポケモンでも操れる機械の登場と、都市部に生息するポケモンの爆発的な増加により、先進国や植民地に安価な製品が市場に溢れる一方、各地の人間は職を失った。失職した者の中には、人間から仕事を奪ったポケモンを排斥しようとする運動を試みた者もいたが、そのような運動は失敗に終わった。そうした人間は、ほとんどがポケモンを育成する道を選んだ。
・現在に言う「ポケモントレーナー」(当時では奴隷も同然の身分であったのだが)の数は世界各地で急激に増加した。そのほとんどが低所得者で、貴族や資本家との格差はすさまじいものとなった。
 しかし真に社会の底辺にあったのは、ポケモンだろう。ポケモンは言葉を操らず、そのため労働交渉も、また仲間内で団結するなどということも思いつかないまま、資本家によっていいように搾取された。トレーナー達の巧みな支配により、ポケモンが実力で資本家に抗うことは封じ込められた。ポケモンは戦争に使われ、あるいは最低の労働環境で酷使された。
・王の保護により、各方面の文化が開花する。
・ポケモンは魔術を使うと見なされていた。人はポケモンの魔術の威力を恐れつつも、その便利さに頼りきりとなり、科学技術の発展は遅れがちとなった。


●市民社会時代
・台頭した市民層が、革命により政治権力を勝ち取る。
 ポケモンは王や貴族の財産ではなく、個人の不可侵の財産として保障される。
 また、旧体制への反発として、ポケモン愛護の運動も活発化した。
・市民層の購買力の低さから過剰供給を招き、大恐慌が発生して、経済も社会も不安定化した。
・王制と共和制の争いは、宗教界の思惑との関わりもあり、各国で長く複雑に継続した。内戦があり、他国による内政干渉があり、いずれにしても勝敗を左右したのはポケモンの力とトレーナーの采配である。
・また、思想や民族独立等の諸要素により、また戦力としてのポケモンやトレーナーの増加により、各国間でも戦争が頻発した。外交関係が緊張し、各国の間で同盟が結ばれ、必然とも偶然ともいうべきポケモンの一つの攻撃が、巨大な戦争の引き金となる。
 トレーナー技術の進歩は著しく、より強大な力を持つポケモンが戦争で使われるようになった。タイプの相性の研究、ポケモンの種族ごとの特性の研究が進められた成果である。
 戦争は長期にわたり、各国は総力を尽くして戦い合った。
・ポケモンは兵器として、敵国でたくさんの人を死傷させた。ポケモンを操るトレーナー、あるいはポケモンやトレーナーを支える銃後の人間までもを殺さなければ勝利はなかったためである。
 各国は激しく消耗した。
・戦後は、ポケモンという資源は戦争より産業に振り向けることが得策と考えられ、ポケモンの力を利用しない兵器の開発も各国において進められた。そのために、各国はトレーナーでなく科学者を養成する必要性に追われ、教育制度が整備された。
・第三次産業の発展につれて、ポケモンの代替できない人間の仕事が増加し、経済が安定する。
・人とポケモンが協力するという伝統的な手工業が、現代になってなんとなくもてはやされる。
・世界的戦争の反省から、ポケモンの平和利用を目的とする条約が、各国により締結された。
 また、ポケモンをただの財産として見るのではなく、一定の権利を有する存在として保護することを宣言する条約が、各国により締結された。
・その後、人間の科学的アプローチにより、ようやく少しずつポケモンの生態の謎が解明されつつある。迷信や魔術からの脱却。



***
●メモ
・ポケモンの生態が近年まで謎に包まれていたのは、それまで人がポケモンを「ただの道具」としてしか見ていなかったからでは?

・近現代について
 批判:雑すぎる。
 反論:不勉強が露呈した。それでも時代ごとの長さで言えば狩猟採集時代など万年単位なので問題ないだろう。
 再批判:密度の問題だ。
 再反論:人がポケモンを育ててポケモンが戦った、くらいしか思いつかなかった。人は資本主義とか共産主義とか民族などという思想に振り回されたかもしれないが、それはポケモンとの関係においては重要度の低い要素と考えた。

・「ポケモンはすごい、でも人間にとって危険だ(軍事力的にも経済的にも)、だからポケモンにばかり頼っていてはだめだ」というのが歴史的な現段階での結論では。
 人はずっとポケモンを見下していたが、やっとポケモンの恐ろしさに気付いた。
 これから人間自身の力でポケモンに向き合っていこう(今度こそポケモンの危険さを管理しきろう)、という段階。
 そのついでのように、歴史上でのポケモンに対する残酷な扱いを反省しよう、みたいな。
 「ポケモンと共存する」というスローガンには、建前にしか聞こえない胡散臭さがある。

・ポケモンの恭順について
 批判:全時代を通して、ポケモンが人に従順に操られ過ぎではないか?
 反論:頭の良いポケモンはそもそも人に捕まらなかった。正義感の強い伝説ポケモンがポケモンの軍団を丸ごと離反させたというような事件も存在したかもしれない。また、ポケモンの本能として、ボスの命令には従う、敵は排除するというものがあり、それをトレーナーが巧妙に利用したのだと推測する。他にも、餌付けだとか、麻薬だとか、エスパーポケモンを利用して兵隊ポケモンたちを洗脳しただとか、ポケモンを強引に戦わせる方法はいくらでも存在するだろう。ボールが無くてもポケモンを操ることはできる。

・現代の悪の組織は、戦争によって蓄積された技術を利用しているかもしれない。
・個人的に、悪の組織は、「ポケモンの平和利用、ポケモンの保護」を掲げるようになった現代国家の暗部ではないかと考えている。

・メガシンカの一族などは、おそらく伝説のポケモンのように、何もかもを超越して時代を傍観していた(あるいは介入した)のではないか。ポケモンとの絆が重視されるような時代を、ただ技術を守ることを第一使命として待ち続けていたように思う。

・果たしてコンピュータを発明したのは人間か、ポケモンか?

・ポケモン世界の人間の意識の根底には、常に「ポケモンに世界を乗っ取られるかも」という恐れがあるかもしれない。その恐れが、トレーナーの権利強化となって表れる。マスターボールを開発させる。
 おそらく、大戦で多くの人間がポケモンによって殺されてからは、もはやポケモンを「ただの財産」として見ることは不可能となっている。自由意思を持った銃が社会に溢れかえっている状況。
 しかし慣れとは恐ろしいもので、戦争を経験していない世代は普段はほとんどポケモンの危険性を認識していない。





***
<跋>

 ポケモンの産業利用と戦争利用の歴史でした。
 ポケモンに対する古今東西の思想などもまとめてみると面白いかもしれません。

 ほとんどどうでもいいことですが、本文において「〜〜タイプのポケモン」を「〜〜ポケモン」と表現しているのですが、「フェアリーポケモン」だけが異常に違和感を覚える表現だったのですが、これはフェアリータイプの歴史の浅さゆえでしょうか。
 あと、ポケモンのタイプと特性を特定する作業は大変だったと思います。スキルスワップやガードシェアとかいう変化技も、存在そのものを見つけるのも大変だったと思います。技「鳴き声」を発見した人とか確実に変態じゃないですか……いや案外古代からおばあちゃんの知恵袋的に知られていたのかも……。

 というネタ出しでした。失礼します。