マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

  [No.3937] 綺麗な世界 投稿者:門森 ぬる   投稿日:2016/08/03(Wed) 18:25:09   109clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:書いても良いのよ】 【描いても良いのよ】 【汚しても良いのよ】 【好きにして良いのよ】 【テールナー

 とある街に一匹のテールナーがいました。彼はとても綺麗好きで、毎晩街の汚れた場所を綺麗にしていました。
 彼が今日訪れたのは小さな空き地でした。そこは数日前に彼が綺麗にしたはずの場所でしたが、すっかり汚れてしまっていました。テールナーがせっかく綺麗にしても、人間達が定期的に汚して行ってしまうのです。そればかりか、作業中の彼を見つけるなり綺麗にした所をすぐさま汚し、彼の事を追い払うのでした。争い事が嫌いな彼は仕方なくその場を後にしますが、諦めずに人のいない夜に行う様になったのでした。
 空き地に誰もいない事を確認した彼は早速作業に取りかかりました。汚れている所に、どんどん綺麗なものを塗りつけて行きます。塗れば塗る程、盛れば盛る程綺麗になって行きます。どんなに汚れていても、綺麗なものに塗れればちゃんと綺麗になりました。汚れたものが綺麗になって行くのは、テールナーにとってとても楽しく、とても嬉しい事でした。そうして空き地を一通り綺麗にした彼は、満足そうに住処へ戻って行くのでした。


 地下にある住処に戻ったテールナーは、仲間を待ちながらくつろいでいました。街を綺麗にしたいのは、彼だけではないのです。この住処の様に、より綺麗で住みやすい街にする。それが彼等の目標でした。明日はどこを綺麗にしようか、どこがそろそろまた汚されるだろうか、そんな事を考えながら枝をかじります。今日綺麗にした場所も、近い内にまた汚されてしまうのでしょう。それでもテールナーは諦めません。彼は信じていました。綺麗である事の素晴らしさを、きっとみんなも分かってくれるはずだ、と。仲間が――ベトベトンが、自分に教えてくれた様に――。

 とある街に綺麗好きなテールナーがいました。彼は毒々しいヘドロに包まれながら、幸せそうに腐った枝をかじりました。


- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー