マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

  [No.4117] コックリさんの授業 投稿者:ミヤビ   投稿日:2019/03/04(Mon) 22:49:19   79clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「そこまで言うなら勝負だ!」

なぜこうなってしまったのだろう・・
そう自問してみて振り返ること30分前になる。

あたしことティーチャーFは某国から実戦を想定した授業の講師として招待され、この小学校に来ていた。
まあ照れくさいことに、こんな黒スーツでサングラスをしていて色気感じられない残念な女だろうが。

これでも軍人だ。

「では、えーティーチャーFでしたか?本名でもいいのでは?」

「すみません色々とその筋の人の耳に入ると厄介なので。
呼びにくいのでしたら変えますが?」

「そうしてください・・・。」

御国の無茶ぶりに応えたせいで変に敵国に覚えられてしまいまして、
ええあれですイヤな方面に活躍しまして。
その腕を買われて教師として呼ばれましたエヘン!

「ではそうですねー、コックリさんでいいですよ?」

「なんだか呪われそうですね。分かりましたコックリ先生。」

話している間にもう目的の教室に到着しました。
クラス担任のアモー先生がガラガラと扉をスライドさせる。

「はいみなさん着席して。
新しい先生を紹介しますね、こちら短期ではありますが戦術科のコックリ先生です。」

「はーいみなさーんコックリさんですよー。
分からないことは聞いて下さいねー♪でも聞いたら分かるまで聞かないとダメですよー。」

うーんKaWaII子供達がひーふー・・10人!
みんないい顔してるねーそのキョトン顔ぐっ☆じょぶ☆

「せんせー。」

「はいなんでしょう!・・・カンジ君!」

うんうん早速質問とはえらいねえ。

「正直戦術課って必要ですか?必須科目じゃないし時間の無駄です。
すべて攻撃技で相手の弱点技を繰り出せば終わりだと思います。」

うーんこれはなんとも教え甲斐のありそうなボーイだ、
これが今流行りのゲーム脳というやつか。

「まあカンジ君がポケモンと関わらない良い会社に入るためなら、
確かに必要ないかもだ。単位を取るだけでいいからね。」

「じゃあその授業を受けず必須科目を受けても宜しいでしょうか?」

要らなさそうですかそうですか・・・グスン悲しいゾ。

「ちなみに単位を取って出席日数稼いだ後ですが、
面接や履歴書については考えてますか?」

「履歴書?面接?」

あ、忘れてたここ小学校だわ。

「アモー先生、この学校の教育方針なんですかね?」

「元気にすこやかに」

「あ、そういうのはいいのでぶっちゃけお願いします。」

「・・・まあそれは後程。」

まあカンジ君見てたら大方良い学校に進学させてポイント稼ぎ、
その出荷品程度の考えなんだろうな。
さあて先生もそのまま退出しましたし。

「うんわかりました!じゃあみんなグランドに集合!遊ぼうぜ!」

「「「「「え!!!?」」」」」

【グランド】

「えーみなさん!今日はすごく!すごくいい天気ですね!」

「「「「「さむいです先生!」」」」」

寒いだろうそうだろう!だからいい天気なのです。
なんせ社会の厳しさ・現実を教えやすい!

「それではみなさん!『2組になって下さーい』!」

ふふ、一度言ってみたかったのだこのセリフを。
懐かしいなー今回は偶数だけど奇数だと1人あぶれるんだよねー。
・・・泣いてなんかいないぞう・・・。

そうこうしている内にむむ?1組何か様子がおかしいぞ?

「君たちどうしたね?なんか仲悪そうじゃないか?」

「なんでもないです。」
「うう・・・。」

うーんこの、なんでしょうカンジ君と虐められっ子ぽいこの子は・・
確かユーイ君でしたね。険悪という感じがしますね。
まあそれは後で。

「ではお互いに手持ちのお気に入りのポケモンについて紹介して下さい!」

ちなみにこれは現地に派遣された時に真っ先に自分を売りつけるくんれ・・・
コホン、もとい授業なのです。
実戦方針とのことなので文字通りにしてみた。
なんせ外で紹介は当たり前だからna!

みんな良い感じに耐えながら紹介しているな。
みんなちゃんと・・ちゃんと・・・

あれ?君たち攻撃技しかないけどあれぇ?
いや、いいんだけどあたーし戦術科の先生として来たのだけどあれぇ?

「なんだそのポケモン、無駄ばかりじゃん。」

むむ?無駄ですと?

「かげぶんしんとかエレキネットとか真っ先に忘れさせる技だろ。
ほんっとうにユーイは無駄ばかりだな。」

「またユーイかよ。」
「ユーイ君ださーい」

むむ?かげぶんしん・・・エレキネット!?

「ユーイ君、もしよかったら先生にプレゼンしてくれないか!」

「え!?ごめんなさいあげれません!」

「ごめんプレゼントじゃないの!紹介!紹介しておくれ!」

「えーと、ぼく大きいの飼えないからこのバチュルを育ててるんだけど。
技はかげぶんしんとエレキネット、身代わりとエレキボールです。
攻撃技は1つしかないけど、最低限しんじゃったりしないような技を教えています。」

「先生もはっきり言ってやって下さい!」

「素晴らしい!」

「・・・え?」

やっと補助技を教えてる子が居た!ヤッターちゃんといたー!

「カンジ君も良ければプレゼンしてくれないかな?」

「ええ分かりました。僕はこのオーダイルです。
なんと珍しい【ちからづく】を持ち、こおりのキバ
、ばくれつパンチ、かみくだく、なみのりと。
高威力の技を揃えたオールラウンダーです!」

「ふむ。なるほど。」

「・・・先生?それだけですか?」

「ええそれだけです。最初こそ好印象でしたがなんでしょう。
正直、君の将来が心配ですね。」

すべて高威力の技を揃える事のみしか見ていなかったのでしょう。
実に、【実に穴だらけ】でした。

「そこまで言うなら勝負だ!」

「・・・んん?」

「先生はユーイのバチュルを素晴らしいって言ってましたね。
じゃあ僕のオーダイルと勝負です!」

あ、なるほど了解しました。

「よろしいですよ。ではユーイ君とカンジ君のポケモンバトルだね!」

「先生?!」

「なぜですか!先生がやらないんですか!?」

「それはこのバチュルがユーイ君のだからです。
大丈夫です、ユーイ君にキミが勝てば先生に勝った扱いでかまいません。」

ユーイ君にとってではない、このクラスのためになるのですから。
許せユーイ君☆
さてユーイ君を寄せて・・・

「ユーイ君、キミは実に良い目をしている。
このバチュルに最適の1つの技構成をしていると考えます。」

「先生、さすがに逃げは出来ても倒せませんよ?」

「大丈夫です、アレコレナニ・・・・というわけで頑張って下さい。」

【ポケモンバトルベース 森】

「でははじめのダンジョンは森がベースなのでここでいきましょう!」

「いくぞユーイ!バトルなら容赦しねえ!」

「い、いくよカンジ君!」

それぞれが定位置に着きました。
ゴウイトミテヨロシイデスネー?ポケトル〜

「ファイトォ!!」

カアン!

「さあやってまいりました司会はコックリことティーチャーFがお贈り致します。」

「コックリ先生なにやってんですか。こんな席とマイクまで用意して。」

「まあお約束というやつですよ。おおっとカンジ選手オーダイルによるかみくだく!
しかしバチュルはかげぶんしんで回避したあ!」

「コックリ先生。確かにかげぶんしんで回避してれば当たりませんが、
それもいつ当たるか分かったものではありませんよ?」

まあそれが普通の考えです。
『数撃ちゃ当たる』そうなんだろうが今回に至ってはそれは間違いだ。
なんせ技構成のほとんどが物理。

『近づけさせなけりゃあ当たらない』んだから。

「くっそおチョコマカと!もっと接近しろオーダイル!」

「バチュル下がりながらエレキネット!」

そう、そうせざるをえない。
近づかないとそもそもいけない相手に対してエレキネットはまさにベストマッチだ。
そして唯一の遠距離攻撃のなみのりも。

「オーダイルなみのりで面制圧だ!」

「バチュル!木の上に避難して身代わり生成!」

ここは森の中。木を薙ぎ倒したとしても浮く材木相手では分が悪い。
水はね、くさ(植物)に弱いのですよ。

「コックリ先生。これは。」

「虫ってねすごいんですよ。
あんな10cmしかないのにあんなに俊敏でパワフルに活躍できる。
さらに技構成はまず『死なない』ことを前提にしている。
だから相手は術中にはまり今じゃエレキネットで動きは鈍い。
こんな状態で水浸しのオーダイルにエレキボールなんて耐えれますかねえ?」

「くっそおおこんな虫なんぞにいい!オーダイルううう!」

そして力づくで来る。ここからはもうユーイ君もすべきことは分かっているでしょう。

「バチュル!オーダイルにとりつけ!」

「オーダイルころg」

「転がるのはワニのサガと言いましょうが、
ただ労力を肩代わりしただけ。オーダイルは自動巻き機になりましたね。」

「これは!エレキネットの糸がオーダイルに巻き付いて・・・
いや『自分で巻いている』!?」

「勝負ありだねカンジ君。」

「ちくしょおお!」


* * * * 

「さてみなさんこれで補助技の有用性が実証されたと思いますが。
如何でしょうか?」

みーんなアングリしてますねそうなるだろうことは分かってましたよ。
なんせただ殴り合うだけしかしてこなかったのでしょうから。

「まあこれから数週間は授業で教えますからうんと勉学に励んで下さい!」

「先生、ユーイのいままでの戦い方じゃなかった。
何を言ったの?」

「知りたいですか?『大丈夫です。初めにかげぶんしんして、
当たりそうになったら身代わりして、
走って来たら後ろに飛んでエレキネットして下さい。
なみのりは高い木に登って下さい。
そして当てれると思ったらエレキボールして下さい。』
それだけですよ。」


さあて、今度はどんなマジックを披露しようかな♪


〔この時。一瞬であったが女教師がふとサングラスを外す、
その狐目で直に子供達を見つめて。どうやって化かすかを考えながら。〕


- 関連一覧ツリー (★ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー