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  [No.4152] SPSP -Shiny Pokemon sensitive person- 投稿者:あゆみ   投稿日:2020/04/15(Wed) 20:49:37   28clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

お久しぶりです。そして初めての方は初めまして。(と言うより初めましての方が大多数だとは思いますが…)
だいぶご無沙汰しておりましたが、久々に1本書いてみました。
なお、本文中に登場する人物名はすべてフィクションであり、実在する人物名や団体名などとは全くの無関係であることをあらかじめお断りしておきます。


「SPSP -Shiny Pokemon sensitive person-」

 この星の不思議な生き物・ポケモン。900種類に迫る数のポケモンが発見されており、今この瞬間も新しいポケモンが発見されている。
 その中でも、普段のポケモンと身体の色が違うポケモンは「色違い」と呼ばれ、その稀少性から珍重されている。しかし、そもそも色違いのポケモンに遭遇する確率は4,000から8,000分の1と言われており、生半可なことでは見つけることはできない。
 しかし、中には、そうした色違いのポケモンに、他の人とは比べ物にならないほどの高い確率で遭遇するトレーナーがいる。そうしたトレーナーを呼ぶ名称として、近年、「SPSP(色違いセンシティブパーソン)」と言う名称が提唱されている。

<きっかけはミミロップ>

 シンオウ地方・コトブキシティに住む笹島晴日(ささしま・はるひ)さん(34)。彼女は10歳のときにポケモントレーナーとしての旅に出て以来、20年以上に渡って各地方を回って旅を続けてきた。
 笹島さんが不思議な体験をしたのは、10年ほど前、ホウエン地方からシンオウ地方に戻ってきて間もなく、ホウエン地方でゲットしたミミロルが、ハクタイの森でミミロップに進化してからだった。
 「ミミロップを連れていたら、野生で出てきたムウマやヤミカラスが、なぜか色違いのポケモンだったんです」
 笹島さんがそのときゲットしたムウマ、ヤミカラスは、今ではそれぞれムウマージ、ドンカラスに進化しているが、色違いだったのはそのムウマやヤミカラスだけで、ミミロップは進化前のミミロルから一貫して本来の体色を持っていたのだ。
 「それだけではないんです。ミミロップを連れているときに出会ったポケモンは、その多くが色違いだったんです」
 テンガン山の麓でゲットしたポニータ。ノモセシティの大湿原でゲットしたグレッグル。笹島さんが利用しているポケモンホームには、他にも多くの色違いのポケモンが預けられている。しかし、中でも目を引くのは、ハードマウンテンに行ったときにゲットしたと言う色違いのヒードランだ。
 「私も最初見たとき、まさかとは思いました。ヒードラン自体があまり見かけないポケモンでしたし、思わず目を疑ってしまいました」

<イーブイがニンフィアに進化したら…>

 笹島さんと同じような人は、シンオウ地方だけでなくジョウト地方にもいる。
 ジョウト地方・ヨシノシティに住む畑中安奈(はたなか・あんな)さん(29)。畑中さんの不思議な体験は、カントー地方でゲットしたイーブイがニンフィアに進化してから始まった。
 「ニンフィアに進化したのが嬉しくって、他のトレーナーともバトルしてもっと強くしようって思って、ニンフィアを連れて歩いていたときだったんです」
 フスベシティから29番道路に抜けるマウンテンロード・45番道路。そこで畑中さんが見かけたのが、色違いのエアームドだった。
 「最初見たときは『色違いのポケモンだ!』と思って、びっくりして慌ててモンスターボールを投げたんです。幸いすぐにゲットできたんですけど…」
 畑中さんの体験はそれからも続く。
 「29番道路に着くまでの間に見かけたポケモン、今でも覚えてるんですけど、10匹以上は色違いだったんです」
 そのときにゲットしたのは、エアームドのほか、ゴマゾウやイシツブテと言った45・46番道路で多く見かけるポケモン、エイパムやヘラクロスと言った、木の上や森の中でよく見かけるポケモンだった。
 その後も、ニンフィアを連れているときによく色違いのポケモンを見かけたと言う畑中さん。だが、畑中さんの体験はそれだけではない。
 「カントーに行く用事があって、ヤマブキシティまでリニアで行って、そこからハナダシティに行く途中だったんです」
 ヤマブキシティからハナダシティに向かう途中に通るカントー5番道路。このときも畑中さんはニンフィアを連れていたのだ。
 「森の中からミツハニーが飛び出してきたんですけど、そのミツハニー、色違いの♀だったんです」
 ミツハニーは、♀がビークインに進化する一方、今に至るまで♂の進化系は発見されていない。その一方で、♂と♀の割合は、♂が圧倒的に多く、一説には7:1と言われている。
 「今ではビークインに進化してるんですけど、初めて見たときはとても驚きました。まさか、♀のミツハニーの色違いをこの目で見るなんて思ってなかったんです」

<鍵を握るのは『メロメロボディ』と『性別』?>

 2名の女性の体験談。笹島さんはミミロップ、畑中さんはニンフィアを連れているときに色違いのポケモンをよく見かけると言う。連れているポケモンが違うとは言え、これはSPSPの特徴に他ならない。
 カントー地方・ハナダシティでポケモンの研究に携わる関根えみり(せきね・えみり)博士(31)。自身もSPSPだと言う関根博士はこう語る。
 「SPSPの鍵を握っているのは、連れているポケモンが持つ特性と、そのポケモンの性別だと言われています」
 関根博士が着目したのは、笹島さんと畑中さんが色違いのポケモンを見かけたときに連れていたポケモン。笹島さんはミミロップ、畑中さんはニンフィアだったが、2匹が共通して持っている特性に注目した。
 「メロメロボディですね」
 ポケモンは、1つから3つの特性を持つ。中には珍しい特性を持つポケモンもいるが、ミミロップはメロメロボディ、ぶきよう、じゅうなんの3つ、ニンフィアはメロメロボディとフェアリースキンの2つの特性を持つ。2匹のポケモンが共通して持っている特性こそがメロメロボディなのだ。
 「メロメロボディの特性を持つポケモンを連れて歩いていると、そのポケモンと違う性別のポケモンに出会いやすくなるんです」
 メロメロボディの特性は、ポケモンバトルでは直接攻撃してきたポケモンをたまにメロメロ状態にすると言う効果があるが、バトル以外でメロメロボディの特性を持ったポケモンを連れていると、そのポケモンと違う性別のポケモンと出会いやすくなると言われている。
 「そのとき、その違う性別のポケモン――出会いやすくなる性別のポケモンが、色違いになりやすいと言われているんです」
 笹島さんはこう語る。
 「私のミミロップは♀です」
 一方の畑中さんはこう話す。
 「私のニンフィアは♂です」
 では、笹島さんがゲットした色違いのヒードランはどう説明がつくのだろうか。関根博士はこう話す。
 「いわゆる伝説や幻のポケモンとされるポケモン、あるいはそれに近いとされるポケモンは、その多くが性別不明とされていますが、ヒードランだけは例外で、♂♀の両方が確認されています。恐らく、このケースですと♀のミミロップを連れていたと言うことでしたので、色違いとして出てきたのは♂のヒードランだったのではないでしょうか」

<メロメロボディの特性を持ったポケモンの性別もまた重要?>

 また、関根博士によると、メロメロボディの特性を持ったポケモンの性別もまたSPSPの鍵を握っていると言う。
 「メロメロボディを持ったポケモンだからと言って、そのポケモンの性別が♂♀どちらでもいいと言うわけでもないんです」
 関根博士自身が、メロメロボディの特性を持つポケモンを連れてフィールドワークしたところによると、メロメロボディの特性を持った♂のポケモンを連れていたときは色違いのポケモンをよく見かけたのに対して、♀のポケモンを連れていたときは、全く見かけなかったのだと言う。
 「色違いのポケモンと出会いやすくなるにしても、メロメロボディの特性を持ったポケモンがどの性別かを調べてみることも大切だと思います」
 また、関根博士はこう語っている。
 「SPSPは、色違いのポケモンを見かけやすくなる、いわゆる人間の生まれ持った『特徴』、『気質』なのです。間違っても病気ではありません。言い替えれば、人間の『特性』かもしれませんね」

 関根博士によると、SPSPのポケモントレーナーの割合は、自身が気付いていないだけで、1パーセントから多くて5パーセントはいるのではないかとしている。
 人間とポケモンは、遥かな昔から共存して生きてきたが、ポケモンに様々な特性があるように、SPSPは人間の持つ「特性」なのかもしれない。



<あとがき>

 このお話の題材としたのは、現在に至るまで賛否両論が繰り広げられている乱数調整、それも第4世代(ダイヤモンド・パール・プラチナ・ハートゴールド・ソウルシルバー)で登場した、ID調整をすることでメロメロボディの特性を持つポケモンを先頭にすると色違いのポケモンと出会いやすくなると言う、いわゆる「メロボ乱数」と呼ばれているものです。
 普通にゲームを進めていれば滅多なことではお目にかかれない色違いのポケモン。それをIDを調整、さらにメロメロボディを持ったポケモンを連れて旅をすることで格段に出会いやすくなる、と言うものは、ともすれば本格的に色違いのポケモンを粘っている方とは対極的な位置にあるものだと思います。ですが、もしゲームやアニメの登場人物がそう言う体質のもとに生まれてきたとしたらどう言った感じになるのか、というのもイメージして書いてみました。
 本作のタイトルである「SPSP(Shiny Pokemon sensitive person、作中では『色違いセンシティブパーソン』)」と言うのは、少々難しい分野ではありますが、心理学用語の「HSP(Highly sensitive person)」から拝借しています。和訳すると「人一倍敏感な人」「人一倍感受性の強い人」と言うニュアンスですが、色違いのポケモンと人一倍出会いやすい気質の持ち主と言うことから拝借させていただきました。
 また、作中の登場人物の「はるひ」「あんな」「えみり」については、本当に色違いと出会いやすくなるのか、自分で検証した第4世代のソフトでつけた主人公の名前から拝借いたしました(もっとも大昔本棚で連載していた拙作を他のサイトにて展開している続きに同名の人物を出しており、そこから主人公の名前にしたと言うのもありますが)。名前を拝借するに当たり、「はるひ」は晴れた日と言うニュアンスから、「あんな」は40年以上前のクリスマスソングのタイトルから漢字を当てましたが、「えみり」は字が思い付かなかったためひらがなにしました。

 なにぶん久々に書いてみましたので、拙い文章になってしまっていましたらすみません。以上です。


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