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[No.2064] 待ち人来たらず 投稿者:門森 輝  投稿日:2011/11/14(Mon) 18:26:33   91clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 僕はずっとここにいる。

 僕等はあの日まで一緒だった。
 あの日、博士の下に2人の少年が来た。博士の孫と、その友人。
 彼等は博士から何かを頼まれていた様だった。そして彼等は僕等3匹を見比べると、1匹ずつ選び連れて行った。
 僕は選ばれなかった。博士の孫にも、その友人にも。
 その後、彼等は選んだポケモンと共に旅に出たらしい。残された僕は、旅に出た仲間達を羨ましく思っていた。それは今でも変わらない。

 それからしばらくが経った日の事、博士に彼等から連絡が来た。どうやら共に旅立ったポケモンが進化したらしかった。
 僕は進化した仲間達を想像し、進化した自分も想像した。いつかあんな風になれたら気持ちいいだろうなぁ。
 未だに成長していない僕は、進化した仲間達を羨ましく思っていた。それは今でも変わらない。

 さらにしばらくが経った日の事、博士に彼等から連絡が来た。どうやらこれからセキエイ高原へと挑戦するらしかった。
 僕はチャンピオンと戦うかつての仲間達を想像し、その舞台に立つ自分も想像した。いつかあの舞台に立てたなら――それ以上は想像出来なかった。
 未だにスタート地点にいる僕は、ゴール間近のかつての仲間達を羨ましく思っていた。それは今でも変わらない。
 
 そして、今。彼等はチャンピオンを倒し、彼等同士で戦い、旅立ちの場所へ帰って来た。
 僕は帰って来たかつての仲間達を眺めた。その逞しい姿に、僕はただ見とれていた。
 あの日と変わらない僕にとって、かつての仲間達は憧れとなっていた。それはこれからも変わらないだろう。
 それが変わるとしたら、それはきっと――

 僕はずっとここにいる。
 僕のトレーナーが現れるまで。

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 人生5作品目にしてついに500文字超えたぜヒャッホォォォォォォォゥ! 次は1000文字目指そう。
 ポケスコのバナーがアーカイブにリンクされていていつもの文字数カウンタが使えなかったので、検索して出てきたやつを使ったら物によって数字が違うというね。
 選ばれなかった初代御三家視点で書いてみました。ご自由に当てはめて想像して頂けたら幸いです。
 書いてて可哀相になってきたので誰か迎えに来てあげて欲しいのよ。永遠に待ち続けるのもそれはそれで好きですが。
 進化した姿を想像出来たりゴール間近だと分かるのは博士の会話が聞こえているから、というご都合主義にしておきます。
 何かしっくり来ないところがあるので改良案を思いつき次第修正するかもしれません。後書き含め。たぶんしないでしょうけど。

【描いてもいいのよ】
【書いてもいいのよ】
【ご自由にどうぞなのよ】
【迎えに来てあげて欲しいのよ】


[No.2100] 一歩遅れた旅立ち 投稿者:海星  投稿日:2011/12/06(Tue) 17:33:24   65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 空気はもうすっかり秋だった。
 白いベッドにいつも飾っていたぬいぐるみが目の裏に浮かぶ。
 ぬいぐるみを本物のポケモンに見立ててこれからの冒険を想像したものだ。
 まだぎこちなく踏み出すと、思っていたよりも冷たい風が頬を撫でた。
 「大丈夫? 行けそう? 無理なら……」
 心配そうに声をかけてくるお母さんに微笑んでみせると、もう一度鞄を背負い直す。
 「大丈夫、楽しみで元気過ぎるよ。たまに電話するから……じゃあ、行ってきます!」
 ちょっと遅くなってしまった旅立ちに身体中が火照るのを感じる。
 若干重い左足を気に掛けて、真っ直ぐ研究所を目指した。
 

 控えめにドアをノックすると、博士が嬉しそうに出迎えてくれた。
 足はもう良いのかという問いに、子供らしく元気に頷いて見せる。
 入ってすぐの実験台には、忘れられたかのようにぽつんとひとつのボールが置いてあった。
 「この子……ですか?」
 選べるとばかり思っていたので少し当惑して尋ねると、博士はゆっくりと頷いた。
 「他のポケモンは、春に出て行った彼らが既に連れて行ったんじゃよ」
 つまり、この子は半年も独りで待っていた?
 恐る恐るボールに手を伸ばすと、会話を聞いていたのか、勝手に飛び出してきた。
 身体を小さくして怯えたようにこちらを見上げてくる。
 「初めまして」
 囁くように話しかけてみたけれど、その子は驚いて素早く瞬きし、博士の白衣を引っ張っただけだった。
 博士は困ったように小柄なポケモンを抱き上げ、自分に託そうとする。
 良いんですか、という自分の無言の訴えに博士は頷いて見せる。
 そっと腕を伸ばすと、温かくてずっしりした感触がして、弾けるような喜びが足の爪先からつむじまでを走った。
 しかしすぐに、ポケモンが小刻みに震えているのがわかる。
 つい力を入れて抱きしめていたことに気付き、慌てて力を抜いた。
 「よろしくね」
 潤んだ瞳が愛おしく思えてくる。
 ずっと自分のことを待って、独りでいたのだと考えると、胸が苦しくなった。
 「実は、君を待たせてる間、病院にいたんだよ……足を変に骨折しちゃって。退院できたのが先週なんだ」
 びくりとして、ポケモンは俯いてしまう。
 「それでね、ずっと寝てばっかりだったんだけど、その間も旅のこと考えてたんだよね。君とのこと」
 驚いたように身動きして、ひっくり返りそうに見上げてくるポケモンに微笑みかける。
 「今までずっと、君のこと思ってたんだよ。君は独りじゃないんだよ」
 すると、たちまちポケモンの瞳に涙が浮かんできた。
 「一緒に旅に出よう。遅れてきて、ごめんね」
 ようやく安心したのか、身体を完全にこちらに預けてくる。
 甘えたような鳴き声を出してすり寄ってくるポケモンを顔の高さまで抱き上げて、思い切り頬ずりをする。
 ほっとした博士が白衣の大きなポケットから四角い機械を取り出す。
 「――これはポケモン図鑑。君と君のポケモンがこれからする冒険を刻むものじゃよ。
  さあ、世界は広い! 沢山のトレーナーがいる、ポケモンがいる! 若い君たちは、どんどん未来を切り開いてゆけるじゃろう……――



――――――――――――――

 僭越ながら迎えに来ちゃいました。
 初代ということでオーキド博士(風)です一応。
 主人公は男でも女でも大丈夫な台詞を考えたつもりです。
 骨折ってwww と笑い飛ばしてください。
 いやはや、文章力も想像力もまだまだです(涙)
 ちなみに、1000文字達成してみました←
 
 失礼しましたッ(ダッシュで逃げる)

 【書いてみたのよ】
 【お言葉に甘えて迎えに来たのよ】


[No.2101] いってらっしゃい! 投稿者:門森 輝  投稿日:2011/12/06(Tue) 21:54:27   34clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 む、迎えに来て頂いたですと……! 書いて頂きありがとうございます! ありがとうございます! 何度でも言いましょう! ありがとうございます!
 御三家に加え主人公の性別まで不定となると6通り……読む人によって思い浮かべる世界は違うものになるんでしょうね。
 この子も先に旅立ったポケモン達と対等に向かい合える日が来たらいいなぁ等と思いつつ、1人と1匹の旅立ちを全力で祝わせて頂きます!
 最後にもう1度、ありがとうございました!

【狂喜乱舞なのよ】
【いってらっしゃいなのよ】