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[No.2135] 違和感 投稿者:紀成  投稿日:2011/12/21(Wed) 13:00:45   64clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「ユエさん、何か暑くありませんか、ここ」
「暖房が効きすぎているのかしら。まあ紅茶も飲んでいるしねえ…… かと言って暖房止めたらそれはそれでまた寒くなるだろうし」
「何か話でもしてくださいよ、ちょっと冷える話」
「んー…… じゃあ私が中学生の時に聞いた話でもしましょうか。私の担任は国語の先生で、大学は登山部でもあったの。その人の友達が経験した話よ」


えっと、その人はその日自分を入れた五人の仲間と一緒に登山していたんだって。かなり高い山で、上に行くに連れて天候が荒れて吹雪いてきたらしいの。皆は足元に気をつけて万全の体制で登っていたんだって。
だけどね、途中で一人の人が行方が分からなくなってしまったらしいの。この天気でしょ。山で命を落とす人ってやっぱり多いらしいわ。それで下手に探そうとしたら自分達も危ないってことで、涙を呑んで残りの四人は歩き続けたんだって。
それで、中盤あたりで小さな小屋を見つけたんだって。暖房もない、真っ暗な空間。このまま休んだり眠ってしまったらそれこそ全滅しちゃうって思って、あることをしたの。
――それは、四人が小屋のそれぞれの四隅に立って、一晩中相手の手にタッチし続けること。つまり、壁に沿って歩いて、次の隅にいる人にタッチする。そうされた人はまた壁に沿って歩いて、次の人にタッチする。
それを繰り返して、その四人は翌日無事に登山を終えて戻って来れたらしいわ。


「へー…… すごい根性ですね」
「でもそこまでヒヤリとは」
「あら、分からない?」

静かな空間に、カップを置いた音が響いた。

「よく考えて。四隅に一人ずつ。自分が相手の手に触れようとすることで、当然自分の後ろには誰もいなくなる。次の隅の人にタッチすれば、その隅には自分が来る。そう繰り返していくと、何が起きるか」
「えっと……」

Aが始めにBにタッチする。四隅を1、2、3、4と振り分けておく。1にいたAは2に行き、2にいたBは3にいたCにタッチする。Cは4にいるDにタッチして――

……あれ?

「Dは、誰にタッチするんですか」



――――――――
わざとここで終わらす。国語科の先生に聞いた話。いやー、登山部OBの話ほど恐い物はないね☆(と、場を明るくしてみる)
ちなみにまだあるけど恐いんでやめておきます

【何をしてもいいのよ】