無理。
無理な気がする。
俺の前――というか、ロトムの前に置かれたものを見て、俺は無謀なチャレンジャーの気分だった。
「ばあちゃん。……これ、なに?」
「冷蔵庫よ」
ばあちゃんは至極まっとうな答えを返してくれた。
そう、ロトムの前に置かれているのは冷蔵庫だ。ばあちゃん曰く、一昔前の。
「上に氷を載せて冷やすのよ」
うん。知ってる。これ、懐かしの生活展で展示されてた。
ロトムは冷蔵庫でフォルムチェンジするけど、こいつでできるのか? 無理だろ、どう考えても。というか、これは家“電”なのか。電気はどこで使うんだ。
「ばあちゃん。俺、これは無理だと思う……」
「あらぁ、でもロトムちゃんは冷蔵庫で形が変わるんでしょう? これも立派な冷蔵庫よ、だから大丈夫」
期待に充ち満ちた目で、ばあちゃんはロトムを見る。見られたロトムは助けてくれとばかりに俺を見るが、どうしてやることもできない。言い出したら聞かないひとなのだ、ばあちゃんは。
「さあロトムちゃん。頑張ってちょうだいね!」
行け、ロトム。お前も男だ。性別不明だけど。やればできる! てか、見てみたい。木製の冷蔵庫に収まったロトムの姿を。
俺も期待を込めてロトムを見つめる。ばあちゃんも期待を込めてロトムを見つめる。
逃げ道はないと悟ったのか、はたまた腹をくくったのか、ロトムがごきゅっと妙な音を立てて動いた。
ロトムの手(っぽい部分)が木製の冷蔵庫に触れた――!
☆★☆★☆★
家電じゃない家電を差し出されたらロトムはどうするか。
ふつうにフォルムチェンジできるのか、あの形状のままフォルムチェンジするのか、はたまたフォルムチェンジは無理か。
逃げ出すと見せかけてジャンピング土下座――からの
【バトンタッチ!】