Chapter-2『1のしま!マサト、初めてのバトル!!』 (1) 最初のポケモン、ラルトスをゲットしたマサトは、その事を伝えるためトウカジムに戻った。 マサト「ただいま!」 センリ「お帰り、マサト。ん?この子か?おまえとずっと約束していたというラルトスは。」 マサト「うん。お姉ちゃんやサトシと一緒に旅をしていたときは、まだポケモンを持てなかったから、『迎えに行くからね』って約束したんだ。」 センリ「そうだったのか。ずっと会いたがってたんだなぁ。もうなついてるよ。」 マサトのラルトスは、サトシのピカチュウのようにモンスターボールから出て、マサトの肩に乗っている。マサトのポケモンになれて 嬉しいのか、喜んでいる。 ミツコ「本当ね。ハルカやサトシ君にも見せてあげたいわ。」 センリ「・・・マサト。おまえが自分のポケモンを持って、ポケモントレーナーとして旅立つ日を迎えたんだな。あれからもう3年か・・・。」 センリは、マサトがサトシ達やハルカと別れて、一人でトウカジムに帰ってきた日のことを思い出していた。 センリ「おまえは、サトシ君のようなポケモントレーナーになって、ポケモンリーグに出場したいのか?それとも、ハルカみたいに ポケモンコーディネーターになって、グランドフェスティバルを目指すのか?」 マサト「あの時、僕はサトシと約束したんだ。『ポケモントレーナーになったら、一番にバトルしようね』って。だから、僕もポケモントレーナーになって、 いつかはポケモンリーグにも出たい。でも、お姉ちゃんのように、ポケモンコンテストにも出てみたい。だから、両方できたらいいなって思ってるんだ。」 センリ「でも今のサトシ君は、お前も知っての通りポケモンマスターとなった(※1)。だからすぐにバトルというわけにはいかないだろう。」 マサトは、3年前にサトシと別れるときに約束したことを思い出していた。 マサト「(確かに、3年前僕と約束したときはバトルフロンティアを制覇した後だった。でも今は違う。サトシはポケモンマスターになってからも、 ピカチュウたちと一緒に各地を回っているんだ。)」 センリ「サトシ君にはサトシ君なりの事情があることを、ポケモントレーナーとなったお前なら分かってくれるだろう。」 マサト「うん。たとえ今すぐバトルできなくてもいい。でも、トレーナーになったらバトルしようっていう約束は、サトシも忘れてないと思う。きっとね。」 センリ「・・・そうか。お前も成長したな。サトシ君との約束のことなら、オーキド博士とサトシ君のお母さんにも伝えておくよ。」 マサト「うん。」 センリ「マサト、お前がポケモントレーナーとして腕を磨くなら、まずはナナシマに行ってみるといい。」 マサト「ナナシマ?」 センリは地図を取り出した。 センリ「カントーの南(※2)にある、7つの主な島からなっている地方のことだ。言い伝えでは、7日間で出来た島だから、ナナシマと呼ばれている そうだ。ポケモンリーグもなければポケモンコンテストも行われていないが、そこで経験を積めば、ポケモンリーグやポケモンコンテストにも 出場できる実力をつけられるだろう。」 ミツコ「ナナシマに行く船は、カイナシティから出ているわ。」 そういうと、ミツコはチケットを取り出した。チケットには虹の絵が描かれている。 ミツコ「レインボーパス。カイナシティからナナシマに行く船のチケットよ。」 センリ「ナナシマに着いたら、1のしまのニシキ博士に会うといい。ニシキ博士は、ナナシマとカントー、オレンジ諸島、ジョウト、ホウエン、シンオウの ネットワークをつなげる、ネットワークマシンの研究をしているんだ。」 と、ジムのドアが開き、オダマキ博士がやってきた。 センリ「あ、オダマキ博士。こんにちは。」 マサト・ミツコ「こんにちは。」 オダマキ博士「マサト君、久しぶりだね。君がいよいよポケモントレーナーとして旅立つと聞いたので、君に渡したいものがあるんだ。」 そういうと、オダマキ博士はマサトにポケモン図鑑を手渡した。 オダマキ博士「明日、カイナシティまで送っていってあげよう。」 マサト「ありがとうございます。」 翌日、カイナシティから船に乗り込んだマサトは、海の向こう、ナナシマの1のしまを目指して旅立った。 航海は順調に進み、数日後、船は1のしまの港に到着した。 マサト「ここが1のしまか・・・。」 と、そのとき1人のトレーナーの声がした。 トレーナーの声「君、ポケモントレーナー?じゃあ、バトルしよう!」 (2) マサトに声をかけたトレーナー。それは、マサト同様、まだポケモントレーナーになりたての少女だった。 マサト「バトル!?君は?」 少女「あたしはタマムシシティのコトミ。君もトレーナーでしょ?」 マサト「僕はトウカシティのマサト。トウカジムのジムリーダーの子供だよ。お姉ちゃんは、ホウエン、カントー、ジョウトのグランドフェスティバルにも 出た(※3)んだ。」 コトミ「トウカジムって、センリさんのお子さん?すごいじゃない。でも勝負は別だよ。さあ、バトルしよう!実はあたし、今回が初めてのバトルなんだ!」 マサト「僕も、今回が初めてのバトルなんだ。お互いにがんばろう!」 こうして、お互いに初めてのバトル、マサト対コトミのポケモンバトルが始まった。使用ポケモンは1体。いうまでもなく、どちらかが戦闘不能になった 時点で終了する。 マサト「僕はこの子だ!行け、ラルトス!」 ラルトスがマサトの肩から降りて、バトルの準備をする。 コトミ「ラルトス?実は、あたしもなんだ!行け、ラルトス!」 コトミはモンスターボールからラルトスを出した。 コトミ「お互いに初めてのバトルだし、悔いの残らないようにしよう!マサト君、最初にどうぞ!」 マサト「じゃあ行くよ!(・・・って、お互いにエスパータイプだし、エスパー技は効きにくいか・・・。でも。)ラルトス、サイコキネシス!」 マサトのラルトスのサイコキネシスがコトミのラルトスに命中した。しかしマサトが考えるまでもなく、同じラルトスに対して、効果は今ひとつ。 コトミ「すごいじゃん!初めてのバトルなのに、もうサイコキネシスが使えるなんて。じゃあ、あたしも行くよ!ラルトス、かげぶんしん!」 コトミのラルトスが何匹にも分かれて分身した。 コトミ「続いていくよ!ラルトス、ねんりき!」 マサトのラルトスがコトミのラルトスのねんりきで動かされている。 マサト「(落ち着け。かげぶんしんしているとはいえ、本物は1匹。それを狙えば・・・。)ラルトス、もう1度サイコキネシス!」 マサトのラルトスはコトミのラルトスのねんりきを振り払い、サイコキネシスを放った。 サイコキネシスは分身しているコトミのラルトスを追撃して、本物に命中した。双方ともまだ戦えるが、かなり息が上がっている。 コトミ「さすがはセンリさんのお子さん。よく育ててるわね。さあ、行くわよ!ラルトス、サイコキネシス!」 マサト「僕だって負けてないよ!ラルトス、サイコキネシスだ!」 お互いのラルトスのサイコキネシスが激しくぶつかり合った。当たった瞬間に爆発がした。 爆発が収まると、2匹とも倒れていた。 マサト「・・・今回は、引き分けみたいだね・・・。」 コトミ「・・・うん、仕方ないわね。」 と、そのとき、男の声がした。 男の声「いやー、いいバトルを見せてもらったよ。」 マサト・コトミ「もしかして、ニシキ博士!?」 ニシキ博士「初めまして。マサト君とコトミちゃんだね。お互い、初めてのバトルであれほどできるとは、君たちはただ者じゃないと思うけどね。」 コトミ「マサト君は、ホウエンのトウカシティのジムリーダー、センリさんのお子さんで、ホウエンの舞姫と呼ばれているハルカさんの弟さんなんです。」 ニシキ博士「何と、あのセンリさんのお子さんで、ハルカさんの弟さん!?道理ですばらしいバトルを見せてくれたわけだ。君たちを見込んで、 1つお願いがあるのだが・・・。」 マサト・コトミ「何でしょうか?」 ニシキ博士「私は、ナナシマと他の地方をつなぐネットワークマシンの研究をしているのだが、このナナシマには、ネットワークマシンを 他の地方とつなぐのに欠かせない、特別なルビーとサファイアが存在するんだ。」 マサト「特別な、ルビーとサファイア?」 ニシキ博士「このナナシマのどこかにあるといわれている、ふつうのルビーやサファイアとは違う、特別なものだ。それを使えば、カントーやジョウト、 ホウエンともネットワークをつなげられるんだ。」 マサト「え、でもシンオウやオレンジ諸島とはどうやって?」 ニシキ博士「それは、特別なダイヤモンドとパールが必要になるんだ。」 コトミ「特別な、ダイヤモンドとパール?」 ニシキ博士「そうだ。だけど、どこにあるか、誰も知らないんだ。それで、君たちに、この特別な宝石をすべて探し出して、ネットワークマシンを 完成させてほしいんだ。」 コトミ「あたし、やります!」 マサト「僕も!」 ニシキ博士「そうか。では、マサト君が持っているそれは、ポケナビだね?貸してごらん。」 ニシキ博士はマサトのポケナビにデータを追加した。 ニシキ博士「これで、君のポケナビにナナシマのデータが追加されたよ。では、マサト君、コトミちゃん、よろしく頼んだよ!」 マサト・コトミ「はい!」 マサト「・・・というわけで、コトミちゃん、一緒にニシキ博士の夢を叶えてあげよう!」 コトミ「うん!よろしくね、マサト君!」 こうして、マサトとコトミの、ナナシマを巡る旅が始まった。 (※1)「サトシの肩書きについて」 アニメの3年後が本作であり、3年間でサトシがポケモンマスターになっているかは不明ですが、便宜上ここではサトシは ポケモンマスターになったものとします。 (※2)「ナナシマの位置について」 アニメでは、初出の時点はもちろんのこと、これを本棚に上げている時点でもまだナナシマは登場していませんが、便宜上カントー地方とオレンジ諸島の 間にあるものとします。 (※3)「ハルカのグランドフェスティバル出場について」 これを書いている段階で、ハルカはジョウトのグランドフェスティバル出場のためコンテストに出場していますが、ここではグランドフェスティバルに 出場し終え、シンオウ地方のグランドフェスティバルにも出場したものとします。 Chapter-3に続く。 <初出> (1):2008年5月11日、(2):2008年5月18日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。 2009年12月20日、本サイト投稿・登録掲示板に掲載。