Chapter-3『2のしま!ルビーとサファイアを求めて!!』 (1) マサトとコトミは、ネットワークマシンを完成させるために必要な宝石、ルビー・サファイア・ダイヤモンド・パールの情報を聞くために、まずは ニシキ博士の元を訪れた。 マサト「こんにちは、ニシキ博士。」 コトミ「こんにちは。」 ニシキ博士「おお、マサト君、コトミちゃん。今日はどうしたんだい?」 マサト「ニシキ博士がおっしゃってた、特別な宝石について、お聞きしたいことがあるんです。」 ニシキ博士「そうか。昨日はあまり大した話ができなくて、すまなかったな。・・・特別なルビーとサファイアは、このナナシマのどこかにあると いわれている、ネットワークマシンをカントーやジョウト、ホウエンとつなぐのに必要な宝石なんだ。」 コトミ「それで、ニシキ博士は特別なルビーやサファイアがどこにあるかをご存じなんですか?」 ニシキ博士「私が聞いた話では、2のしまのきわのみさきに、特別な宝石について研究している、トモヤさんっていう方がいらっしゃるそうだ。 そのお方に聞いてみれば、多分わかると思うよ。」 マサト「2のしまですね?」 ニシキ博士「ああ。2のしまへは、1のしまから船が出ているから、それに乗っていくといいよ。」 コトミ「ありがとうございます。」 マサトとコトミは、ニシキ博士に教えられたとおりに、1のしまから船で2のしまに向かった。 船のデッキにも暖かい風が吹いている。風に吹かれながらマサトがコトミに聞く。 マサト「・・・コトミちゃんって、タマムシシティの出身でしょ?」 コトミ「ううん。コトミでいいわ。」 マサト「うん。じゃあコトミ、どうしてホウエンのポケモンのはずのラルトスを持ってるの?」 コトミ「まだあたしが小さくて、自分のポケモンをもてなかったとき、家族でホウエンに旅行したんだ。そのとき、えんとつやまの麓で、怪我している ラルトスに出会って、あたしが看病したんだ。それで、あたしがまだポケモンをもてなかったから、フエンタウンのポケモンセンターに預けて、 『ポケモントレーナーになったら、迎えに行くからね』って、ラルトスと約束したんだ。」 マサト「僕とほとんど同じだね。」 コトミ「え?マサト君も?」 マサト「マサトでいいよ。・・・僕、自分のポケモンをもてなかった時、お姉ちゃんやサトシと一緒に旅をしてたんだ。」 コトミ「あの、シンオウのチャンピオン・シロナさんに認められた、ポケモンマスターのサトシ君と?それってすごいわね!」 マサト「すごいってほどじゃないよ。・・・一緒に旅してた時、ホウエンのイザベ島で、病気のラルトスに出会って、僕が看病したんだ。それで、 まだ僕もポケモンをもてなかったから、キルリアとサーナイトのもとに返して、それで『僕がポケモントレーナーになったら、迎えに行くからね』って 約束したんだ。」 マサトのラルトスがほほえんでいる。マサトと一緒に旅ができるのがうれしいようだ。 コトミ「そうだったんだ・・・。あたしとマサトって、いろんなところで共通点があるんだね。マサトは、そういえば何になりたいの?」 マサト「僕は、サトシのようにポケモンリーグにも出たいし、お姉ちゃんのようにポケモンコンテストにも出てみたい。でも、まだ どっちになりたいか、迷ってるんだ。」 コトミ「あたしも、ポケモンリーグとポケモンコンテスト、どっちにも興味があるし、まだ迷ってる。でも、シンオウのナオシさんみたいに、 両方に挑戦するというのもいいと思うわ。ね!」 といって、コトミはにっこり笑った。 (2) マサトとコトミの乗った船は、無事、2のしまの港に到着した。 島のポケモンセンターに着くと、マサトとコトミは、ニシキ博士に教えられた、きわのみさきのトモヤのことについて尋ねることにした。 マサト「きわのみさきに住んでいる、トモヤさんについて教えて欲しいのですが・・・。」 ジョーイ「きわのみさきは、町をずっと北に行ったところにあるわ。そこのお家に住んでいるのが、トモヤさんよ。」 コトミ「ありがとうございました。」 ジョーイ「でも、途中の道は野生のポケモンも多く生息しているから、気をつけてね。ここで、ポケモンを休ませておく?」 マサト・コトミ「お願いします。」 ジョーイはマサトとコトミのラルトスをそれぞれ預かった。すぐに2匹とも元気になった。 ジョーイ「マサト君、コトミちゃん、あなた達のラルトス、すっかり元気になりましたよ。」 マサト・コトミ「ありがとうございます。」 ポケモンセンターを出ると、マサトとコトミは、ジョーイさんに教えられたとおりに、島を北に向かって進んでいった。 道中、コトミがマサトに言った。 コトミ「思ったんだけど、マサトって、ラルトスをモンスターボールから出してるんだね。」 マサト「うん、昔サトシたちと一緒に旅をしていた時、サトシはピカチュウをいつもモンスターボールから出してたんだ。サトシのピカチュウは モンスターボールが嫌いだったんだけど、僕のラルトスはそうじゃなくて、僕の初めてのポケモンだから、いろんな世界を見せてあげたいって思って、 それでボールから出してるんだ。」 コトミ「そうだったんだ。じゃああたしも、マサトと同じように、ボールから出してあげようかな。出ておいで、ラルトス!」 コトミのラルトスがモンスターボールから出てきた。すぐにマサトのラルトスに気づき、2匹で仲良く手を取り合った。 マサト「仲良さそうだね。」 コトミ「そうだね。あたしとマサト、お互いのポケモン同士仲良くなれば、いろんな困難にぶつかっても、お互いに力を合わせて乗り越えていけると 思うわ。ね!」 幸い、途中の道で野生ポケモンにあうこともなかった。 しばらく道を進むと、やがて前方に1軒の家が見えてきた。その向こうは大きな海が広がっていた。きわのみさきだ。 するとこの家が、ジョーイさんに教えてもらった、トモヤという人の家に違いない。 マサト「ごめんください。」 すると、突然家の中から老婆が飛び出してきた。 老婆「きえーーーーーーいっ!!!」 コトミ「きゃあっ!」 マサト「ひゃあ!!」 老婆「お主、わしの編み出した究極の技を教えてもらいたいのかっ!?」 マサト「いえ、違います!僕はトウカシティのマサト。」 コトミ「あたしはタマムシシティのコトミ。トモヤさんについてお伺いしたいのですが・・・。」 すると、奥から男の声が響いた。 男の声「どうしたんだい?」 (3) マサトとコトミの前に現れたのは、一人の若い男だった。 マサト「ひょっとして、あなたがトモヤさんですか?」 男「うん。僕はトモヤ。ここで宝石についていろいろと研究しているんだ。・・・うちのお母さんがいきなり驚かせてしまったみたいで、悪かったね。」 コトミ「ううん、大丈夫です。」 トモヤ「そうか。うちのお母さんは、自分で編み出した究極の技、ハードプラント、ブラストバーン、ハイドロカノンを、フシギバナ、リザードン、 カメックス、メガニウム、バクフーン、オーダイル、ジュカイン、バシャーモ、ラグラージ、ドダイトス、ゴウカザル、エンペルトに覚えさせようと 思っているんだ。」 マサト「僕とコトミは、まだ持ってるのはラルトスだけだけど、フシギバナとバシャーモはお姉ちゃんが持ってるんだ。」 トモヤ「君は確か、マサト君って言ったね。君のお姉さんの活躍ぶりは聞いてるよ。ハルカちゃんは、ホウエン、カントー、ジョウト、シンオウの コンテストを渡り歩いて、数々の優秀な成績を収めた、『ホウエンの舞姫』だったね。」 コトミ「トモヤさんって、ハルカさんのこと、知ってるんですか?」 トモヤ「ああ。3年前、ジョウト地方のポケモンコンテストでハルカちゃんと戦ったんだ(※1)。あの時は全然歯が立たなかったよ。・・・ん? マサト君とコトミちゃんは、今日は何の用事で来たんだい?」 マサト「1のしまのニシキ博士に頼まれて、特別なルビー、サファイア、ダイヤモンド、パールを探しているんです。」 トモヤ「それはそれは。では、私の後に付いていらっしゃい。」 トモヤはマサトとコトミを奥の部屋に招いた。そこは、トモヤの研究室のようで、宝石についての資料が至る所に置かれている。 トモヤ「ルビーとサファイア、ダイヤモンドとパールは、それぞれが対をなす特別な宝石で、このナナシマのどこかにあるといわれている。私はかつて、 1のしまの北にあるともしび山(※2)の洞窟にルビーが眠っているという話を、そしてずっと南にある6のしまの遺跡のどこかにサファイアが眠って いるという話を聞いたことがあるんだ。それで、私も昔、ともしび山にルビーを、6のしまにサファイアを探しに行ったんだけど、結局は 見つけられなかったんだ。」 コトミ「ともしび山の洞窟にルビー、6のしまの遺跡にサファイアですね?」 トモヤ「ああ。でも、さすがの私も、ダイヤモンドとパールがどこに眠っているかまでは、知らないんだ。」 マサト「でも、3年前ともしび山で大きな噴火(※2)がありましたけど・・・。」 トモヤ「今はもうともしび山の噴火活動は収まっているはずだ。でも、内部の洞窟はどうなっているかは誰も知らない。だけど、もしかしたら今行けば、 ルビーを手に入れられるかもしれない。」 マサト「ともしび山の洞窟って、どこから行けるんですか?」 トモヤ「1のしまから船に乗ってともしび山まで行き、頂上に行く登山道を脇にそれて行くと、大きな洞窟がある。昔はそこにルビーがあると いわれていたんだ。でも、今は噴火活動も収まっているとはいえ、昔私が行った時とは、地形もかなり変わっているかもしれない。 ・・・2人では危険かもしれない。私も一緒に行ってもいいかな?」 コトミ「ええ。かまいません。」 トモヤ「よし。じゃあ、明日出発することにしよう。今日は家に泊まっていくといい。」 マサト・コトミ「ありがとうございます。」 こうして、マサトとコトミは、トモヤの同行のもと、1のしまの北に浮かぶともしび山に、ネットワークマシンを完成させるのに必要な宝石、 特別なルビーを探しに向かうことになった。 (※1)「ジョウト地方・ポケモンコンテストでのハルカとトモヤについて」 アニメでは、ハルカがどこでリボンを3つ(ミクリカップ編時点)ゲットしたのかや、その時の対戦相手については明記されていませんが、 少なくとも3回以上出場していることから、これらの大会のうち、どこか1つの中でハルカとトモヤが対戦したものとします。 (※2)「ともしび山について」 アニメでは、週刊ポケモン放送局最終回においてともしび山の噴火活動が描写されましたが、ここではその後噴火活動が沈静化したこととします。また、 このときともしび山の具体的な位置については言及されていませんでしたが、ファイアレッド・リーフグリーンの地図同様1のしまの北に 位置しているものとします。 Chapter-4に続く。 <初出> (1):2008年6月14日、(2):2008年6月21日、(3):2008年6月28日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。 2009年12月20日、当サイト投稿・登録掲示板に掲載。