Chapter-7『たからのはま!ジグザグマとマッスグマ!!』 ミキと別れたマサトたち一行は、次の目的地、3のしまに向かうため、1のしまの港に向かっていた。 しかし、どことなく慌てている様子。それもそのはず、実は朝寝坊してしまったのだ。 全速力で港に走っていったが、船は出航してしまった後だった。 トモヤ「間に合わなかったか・・・。」 マサト「がく〜っ・・・。」 コトミはあきらめきれない様子で係員に尋ねた。 コトミ「次の船は、いつ出るんですか?」 係員「次は・・・、夕方になりますね。」 マサト「夕方ですか?」 係員「そうですね。」 マサト達が落ち込んでいると、係員が言った。 係員「でしたら、南にあるたからのはまに行かれてはどうでしょうか?」 マサト「たからのはま?」 係員「この道を行って、橋を渡るとあるんですけど、昔、この砂浜にたくさんの道具が流れ着いたことから、たからのはまと言われているんです。」 コトミ「ありがとうございました。」 マサト達は、係員に言われたとおりに道に沿って橋を渡っていった。すると、一面の砂浜に出た。たからのはまだ。 トモヤ「ここがたからのはまか・・・。」 コトミ「きれいね。まるでおとぎ話の世界にいるみたいだわ。」 マサト「そうだね。」 と、そこに一人の男が現れた。 男「君たちも、この砂浜を見にいらしたのかい?」 マサト「はい。僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 トモヤ「私はトモヤです。」 男「私はタカシ。この砂浜の自然を守る活動をやっているんだ。」 マサト「砂浜の自然を守るってことは、環境保護に努めてるんですね。」 タカシ「そうだよ。・・・最近、ここの砂浜だけでなく、全国のあちこちの砂浜が汚されている。自然環境を守ることは、人間やポケモンを 守ることでもあるんだ。」 コトミ「そうですね。美しい自然、美しい環境を守ることは、すなわちあたし達の生活に結びついていますよね。」 と、そこに1匹のジグザグマが現れた。 タカシ「このジグザグマは、私のポケモンだよ。毎日、砂浜に流れ着いたゴミを拾い集めてくれるんだ。」 マサト「僕たちも、お手伝いさせていただけないでしょうか?」 タカシ「ああ。構わないよ。」 コトミ・トモヤ「ありがとうございます!」 マサト達は、タカシに連れられて砂浜に降りていき、ゴミ拾いを始めることになった。 マサト「ラルトス、フカマル、君たちもお手伝いしてあげて!」 マサトはラルトスを肩から下ろして、フカマルをモンスターボールから出した。 コトミ「じゃああたしも!ラルトス、ナックラー、お手伝いよろしくね!」 コトミもラルトスを下ろすと、モンスターボールからナックラーを出した。 トモヤ「ニドキング、ゴルバット、頼んだぞ!」 続いてトモヤもニドキングとゴルバットをモンスターボールから出して、砂浜の清掃に取り組んだ。 ところが、この日は流木やその他のゴミが多く、片づけるのにも一苦労だった。 マサト達やポケモンも一緒になって作業を続けていたが、日は傾きはじめていた。 やがて、ゴミの山も後もう少しとなったが、すでに日が大きく傾いていた。このままでは夕方の船に乗り遅れてしまいかねない。 マサト「あともうちょっとだけど、これじゃあ、船が出ちゃうよ・・・。」 コトミ「間に合わないかもね・・・。」 マサト達がタカシのジグザグマを見ると、ゴミを見つけるや飛んでいって片づけていた。 と、その時、ジグザグマが今までに見たこともない早さでゴミに向かっていった。 トモヤ「あれは・・・、ひょっとしてしんそく(※)か!?」 マサト「えっ!?ジグザグマってしんそくを覚えないんじゃ・・・?」 トモヤ「間違いない。あれはしんそくだ!」 タカシ「おお!ジグザグマ、しんそくを覚えたのか!」 しんそくを覚えたジグザグマに刺激されたのか、マサト達とポケモンも残りわずかとなったゴミを必死でかき集め、ようやくすべてのゴミを収集できた。 タカシ「マサト君達、今日はどうもありがとう。」 マサト「いえ、どういたしまして。」 タカシはジグザグマを優しくなでた。と、その時ジグザグマが光り出した。 トモヤ「これは・・・?」 コトミ「進化が始まったのね!」 タカシのジグザグマはマッスグマに進化したのだった。 タカシ「これからもよろしくな、マッスグマ!」 マッスグマはマサト達の方を向いてほほえんだ。 が、無情にも港の方から船の姿が現れて、海を横切っていくのが見えた。 トモヤ「結局間に合わなかったか・・・。」 タカシ「マサト君達は、どこに行こうとしているのかい?」 マサト「3のしまに行くんです。」 タカシ「それなら、私の船に乗っていくといいよ。これでも私はいろんなところに行って浜辺の清掃活動をやっているんだ。」 コトミ「ありがとうございます!」 こうして、マサト達はタカシの船に乗って3のしまに向かうのであった。 (※)「ジグザグマのしんそくについて」 ジグザグマ・マッスグマとも、ゲーム中ではレベルアップでしんそくを覚えませんが、 ポケモンボックスでもらえるタマゴから孵るジグザグマがしんそくを覚えていることから、しんそくを覚えるものとします。 Chapter-8に続く。 <初出> 2008年11月9日、旧ぽけあに掲示板にて掲載。