Chapter-8『3のしま!イナズマ団とキルリア!!』 (1) 1のしまからタカシの船に乗せてもらったマサト達は、3のしまの港に到着した。 マサト「ここが3のしまか・・・。」 コトミ「あれ?向こうの方が騒がしいわ。何かあったのかな?」 コトミが言うとおり、何か物々しい雰囲気が漂っている。見ると、何かのグループの集団のようだ。 トモヤ「行ってみよう。なるべく関わり合いにならないようにな。」 マサト達はタカシに船に乗せてもらった礼を言うと、船を下りた。 道を進んでいくと、船から見えたグループが自転車に乗って騒いでいた。 トモヤ「物騒な集団だな・・・。この島の人たちに迷惑を掛けているのを知らないのだろうか?」 コトミ「本当ね・・・。」 なおも進んでいくと、町の中心に出た。そこでは住民とこのグループの中心と見られる人物が言い争っている姿が見受けられた。 町の住民A「・・・おまえ達のせいでこの島の人たちは迷惑してるんだ!」 グループのメンバーA「どうせ俺たちには関係のないことだろ!」 町の住民B「君たちのせいで迷惑してるんだよ!さっさとカントーに帰れ!」 と、住民の1人がマサト達の方を向いて言った。 町の住民A「・・・君たちは?」 マサト「僕はマサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 トモヤ「私はトモヤです。」 町の住民A「私はタクミ。この3のしまに住んでるんだが、最近カントーから暴走族が押しかけてきて、とても困ってるんだ。」 マサト「大変みたいですね・・・。」 タクミ「マサト君達、お願いだ。この暴走族を追い返して欲しいんだ!」 コトミ「あたし、やります!」 トモヤ「私も協力します!」 マサト「僕もやります!」 と、そのやりとりを聞いていたメンバーがマサト達の方を向いて言った。 グループのメンバーB「あぁ!?俺たちにけんかでも売ろうっていうのか?」 マサト「島の人たちが迷惑してるのに、自分たちは関係ないと言い張るなんて、許せない!ラルトス、行くよ!」 コトミ「あたしもあなた達のような事をする人は許せない!行こう、ラルトス!」 マサトとコトミはラルトスをそれぞれの肩から下ろした。 トモヤ「私も君たちのような行為を許すことは出来ない。行け、ニドキング!」 トモヤもモンスターボールからニドキングを出した。 グループのメンバーC「面白ぇ。じゃあやってやろうじゃねえかよ!俺はユタカ。自転車暴走族、『カントーイナズマ団』だ!行け、マタドガス!」 ユタカはモンスターボール――それもかなりなデフォルメがなされていた――からマタドガスを繰り出した。 トモヤ「ここは私が行こう。ニドキング、メガホーンだ!」 こうして、マサト達は自転車暴走族とのバトルになった。果たして、暴走族を追い払うことは出来るのだろうか。 (2) 「カントーイナズマ団」の一員と名乗るユタカとトモヤのバトルになった。 トモヤはニドキング、ユタカはマタドガスを繰り出した。 トモヤ「ニドキング、メガホーンだ!」 ニドキングはメガホーンで突撃したが、むしタイプのメガホーンはどくタイプのマタドガスには効果今ひとつのようだ。 ユタカ「へっ。こんなもの、痛くもかゆくもないぜ!今度は俺の番だ!マタドガス、だいもんじ!」 マタドガスはだいもんじを放った。ニドキングに大の文字の炎が迫る。 マサト「あのマタドガス、だいもんじが使えるの!?」 コトミ「かなり手強い相手ね・・・。」 トモヤ「ニドキング、受け止めろ!」 ニドキングはだいもんじを両手で受け止めた。 ユタカ「何っ!?だいもんじを受け止めただと!?」 トモヤ「ニドキング、そのまま炎をまとってどくづき!」 ニドキングは受け止めただいもんじを身にまとい、マタドガスにどくづきをした。効果自体は今ひとつだが、炎をまとったことで威力が増していた。 ニドキングが身にまとった炎を払うと、マタドガスは倒れた。 ユタカ「ああっ!マタドガスが!!・・・こうなったら次のポケモンだ!行け、グランブル!」 ユタカはこれもデフォルメされたモンスターボールからグランブルを繰り出した。 トモヤ「グランブルか・・・。よし、戻れ、ニドキング!」 マサト「ニドキングを戻す!?」 コトミ「きっと、トモヤさんはトモヤさんなりに戦略を考えてるんだと思うわ。」 トモヤ「行け、ゴルバット!」 トモヤはゴルバットを繰り出した。 ユタカ「グランブル、こおりのキバ!」 グランブルはこおりのキバをゴルバットに食らわせた。ひこうタイプを持つゴルバットにこおり技は効果抜群だ。しかも、追加効果で ゴルバットは凍ってしまった。 トモヤ「ああっ、ゴルバット!」 ユタカ「ははっ、凍ってちゃあ何も出来ねえな。グランブル、続いてかみつくだ!」 グランブルが大口を開けてゴルバットにかみつこうとする。 トモヤ「ゴルバット、凍ってないで、おまえの実力を見せてやれ!」 グランブルが凍り付いたゴルバットにかみつこうとした瞬間、ゴルバットは氷を砕き、翼を大きく広げた。 トモヤ「ゴルバット、今だ!どくどくのキバ!」 ゴルバットはどくどくのキバで逆にグランブルにかみついた。毒が回ったらしく、グランブルはその場に倒れた。 ユタカ「ああっ、俺のグランブルが!・・・もう俺には戦えるポケモンがいないよ!」 どうやらトモヤとユタカのバトルは決着がついたようだが、これを見ていた、おそらくこの暴走族のリーダーとサブとおぼしき人物が現れ、 マサトとコトミの方を向いて言った。 グループのメンバーB「よくも俺たちに手を出してくれたな。俺たちを本気で怒らせたな!覚悟しろ!俺はヨウヘイ。この 『カントーイナズマ団』のサブだ!」 グループのメンバーA「俺は『カントーイナズマ団』のリーダー、タツキだ!そこの2人、俺たちとタッグバトルだ!」 トモヤ「マサト君、コトミちゃん。こいつらは手強いぞ。気をつけるんだ!」 コトミ「わかったわ。マサト、行くよ!」 マサト「うん!行け、ラルトス!」 コトミ「ラルトス、お願い!」 こうして、マサトとコトミはイナズマ団のリーダー・タツキとヨウヘイを相手にタッグバトルで戦うことになった。 果たして、マサト達は勝利を収めることは出来るのだろうか。 (3) マサトとコトミは、「カントーイナズマ団」のリーダー・タツキとサブリーダー・ヨウヘイを相手に、ダブルバトルをすることになった。 タツキ「俺はこいつでいくぜ!行け、クロバット!」 タツキはデフォルメされたモンスターボールからクロバットを繰り出した。 ヨウヘイ「行け、レントラー!」 ヨウヘイはこれもデフォルメされたモンスターボールからレントラーを繰り出した。恐らくイナズマ団のメンバーは全員がこういう デフォルメを施しているのだろう。 マサト・コトミ「頼んだよ、ラルトス!」 マサトとコトミはラルトスを繰り出した。 タツキ「ぎゃははは!こいつ、ラルトスでもって俺たちに楯突こうって度胸だぜ!」 ヨウヘイ「まとめて面倒みてやってもいいぜ!」 コトミ「あたしたちを甘く見ない方がいいわ!ラルトス、クロバットにサイコキネシス!」 コトミのラルトスがサイコキネシスを放った。 マサト「おまえたちのような、人に迷惑をかけることは許せない!ラルトス、レントラーにねんりき!」 続いてマサトのラルトスがねんりきを放った。 クロバットとレントラーはたちまちサイコキネシスとねんりきで操られた。 タツキ「クロバット、それくらいでへこたれるな!ガキどものラルトスにヘドロばくだん!」 ヨウヘイ「なめられてたまるか!レントラー、おまえも10まんボルトだ!」 クロバットとレントラーはサイコキネシスとねんりきを振りほどき、ヘドロばくだんと10まんボルトを放った。 マサト・コトミ「ラルトス、かげぶんしん!」 2匹のラルトスがそれぞれかげぶんしんで分身をいくつも作った。ヘドロばくだんと10まんボルトは分身に命中して外れた。 タツキ「ああっ、ヘドロばくだんが外れた!」 ヨウヘイ「よくもなめた真似を!タツキさん、準備はいいよな!」 タツキ「ああ。クロバット、まもるだ!」 ヨウヘイ「レントラー、ほうでん!」 レントラーがほうでんをした。ダブルバトルでは自分側のもう1匹もダメージを受けるが、クロバットは守っていてダメージがない。そしてそのまま 2匹のラルトスにほうでんが押し寄せた。 マサト・コトミ「ラルトス、テレポートで姿を隠して!」 2匹のラルトスはテレポートで姿を消した。 タツキ「何っ、テレポートだと!?」 ヨウヘイ「あのラルトス、どこに消えやがったんだ!?」 と、ちょうどクロバットとレントラーの真後ろに2匹のラルトスが姿を現した。 マサト「今だ、ラルトス!クロバットにサイコキネシス!」 コトミ「ラルトス、今よ!レントラーにサイコキネシス!」 ラルトスはサイコキネシスを放った。でんきタイプのレントラーに対しては普通の効果だが、どくタイプを持っているクロバットには効果抜群だ。 サイコキネシスでラルトスによって操られたクロバットとレントラーは、お互いにぶつかり合ってダメージを受けている。 タツキ「ああっ、クロバット!このままこいつらになめられてていいのか!!」 ヨウヘイ「レントラー、こいつらに遊びは終わりだって見せつけてやれ!」 クロバットとレントラーはサイコキネシスを振りほどいた。 トモヤ「マサト君、コトミちゃん!気をつけるんだ!」 タツキ「もう遊びは終わりだ!クロバット、めがね小僧のラルトスにはがねのつばさ!」 ヨウヘイ「行けっ、レントラー!小娘のラルトスにかみなりのキバ!」 マサト「ラルトス、かげぶんしん!」 コトミ「かげぶんしんでかわして!」 ラルトスはかげぶんしんで攻撃をよけようとしたが、クロバットとレントラーの動きがあまりにも速く、もろに攻撃を受けてしまった。 勢いよく吹っ飛ばされたラルトスは、それでもまだ戦えるが、2匹ともかなり消耗している。 マサト「ラルトス!」 コトミ「お願い!」 ラルトスはマサトとコトミの声に答えたのか、さらに立ち向かっていった。 と、その時2匹のラルトスが白く光り始めた。果たして、何が始まるのだろうか・・・。 (4) 「カントーイナズマ団」のタツキとヨウヘイとのバトルの最中、マサトとコトミ、2人のラルトスが白く光り輝きだした。 トモヤ「マサト君、コトミちゃん。進化が始まったんだ!(※)」 白い光に包まれたラルトスは、次第に姿形を変え、キルリアに進化したのだった。 コトミ「ラルトスが・・・、キルリアに進化したのね!」 マサト「よし、キルリア!これからが反撃だよ!」 タツキ「何をこしゃくなまねを!クロバット、めがね小僧のキルリアにヘドロばくだん!」 ヨウヘイ「レントラー、小娘のキルリアにかみくだく攻撃!」 クロバットとレントラーが進化したばかりのキルリアに迫る。 マサト「キルリア、クロバットにサイコキネシス!」 コトミ「キルリア、レントラーにねんりき!」 キルリアになり、さらに威力を増したサイコキネシスとねんりきがクロバットとレントラーに襲いかかった。 超能力で勢いよく吹っ飛ばされたクロバットとレントラーは、地面にたたきつけられ、そのまま倒れ込んだ。戦闘不能だった。 タツキ「ああっ、クロバット!」 ヨウヘイ「レントラーが!!」 タクミ「・・・どうやら、勝負あったようだね。君たち、もう人に迷惑をかけないって、約束してもらえるかな?」 ユタカ「はい!もうしません。約束します!」 タクミ「じゃあ、おとなしくカントーに帰るか?」 ヨウヘイ「・・・そうします。」 タツキ「皆さん、本当に申し訳ありませんでした!」 タツキたちイナズマ団のメンバーは、島の人々一人一人に頭を下げると、港に向かって、自転車を押して歩いていった。どうやら、これまで行った行為で 迷惑をかけたことを深く反省しているらしい。 タクミ「マサト君、コトミちゃん、トモヤさん。君たちのおかげで、暴走族を追い出すことができました。きっとあの人たちも、今度会う時は 心を入れ替えて、真の意味でのトレーナーとなってくれるでしょう。本当にありがとうございました。」 マサト「いいえ。お礼なんて、とんでもないです。」 コトミ「あたし達は当たり前のことをしただけです。」 トモヤ「困った時はお互い様です。」 タクミ「・・・マサト君。もしかして君は、ハルカちゃんの弟さんかな?」 マサト「はい。」 タクミ「やっぱりそうだったんだね。島のポケモンセンターにも、3年前ジョウトのコンテストで大活躍した時のハルカちゃんの記事が残ってるんだよ。 君はホウエンのトウカシティのジムリーダー、センリさんの息子さんだったね。」 マサト「そうです。」 タクミ「マサト君、君はお父さんにも負けないトレーナーになれると思うよ。まだトレーナーになって日が短いと思うけど、君のラルトス・・・、 いやキルリア、これほどまでになついてる。きっとお父さんを超えるような、そんな気がするんだ。」 マサト「ありがとうございます。・・・キルリア、これからもよろしくね!」 コトミ「あたしからも、これからもよろしくね、キルリア!」 マサトのキルリアとコトミのキルリアは、それぞれの方を向いてにっこり笑うと、お互いにハイタッチをした。 (※)「ラルトスの進化の描写について」 実際にマサトがポケモントレーナーとしてラルトスと一緒に旅をする場合、本当に進化させるか否かは現段階では不明ですが、ここでは 進化させるものとします。 【トモヤVSユタカ・結果】 ○ニドキングVSマタドガス× △ニドキングVSグランブル△ ○ゴルバットVSグランブル× 【マサト・コトミVSタツキ・ヨウヘイ・結果】 ○ラルトス(マサト)・ラルトス(コトミ)(いずれもキルリアに進化)VSクロバット・レントラー× Chapter-9に続く。 <初出> (1):2008年11月22日、(2):2008年12月7日、(3):2008年12月10日、 (4):2008年12月13日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。