Chapter-9『きのみのもり!マヨとスリーパー!!』 (1) イナズマ団とのバトルに勝利したマサトたちは、次の目的地・きのみのもりに向かうため、準備を整えていた。 と、マサトたちの元に、1人の男が現れた。 男性「すみません。マヨを見ませんでしたか?」 マサト「マヨさん・・・ですか?」 男性「うちの娘なんだけど、どうしたのかなぁ・・・。そろそろお昼の時間だっていうのに・・・。3のしまに行くと言っていたんだが・・・。」 コトミ「いえ。あたし達は見ませんでしたけど・・・。」 タクミ「マヨちゃんなら、さっききずなばしの方に歩いていきましたよ。」 トモヤ「きずなばしって、ここをずっと行った先ですね?」 マサト「ありがとうございます。」 男性「君たち、一緒にマヨを探してくれるのかな?」 マサト「はい。僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 トモヤ「私はトモヤと言います。」 男性「ありがとう。私はツヨシ(※)。2のしまに住んでいるんだけど、マヨがお弁当になる木の実を探すと言って3のしまに行ったままだったんだ。 それで心配で・・・。」 トモヤ「それなら、一緒に探しましょう。私たちも、ちょうどこれからきのみのもりに行こうとしてたんです。」 ツヨシ「ありがとうございます。本当によろしくお願いします。」 マサト・コトミ「よろしくお願いします!」 マサトたちは、3のしまの町からきずなばしを渡って、離れた島にあるきのみのもりに向かっていた。 ツヨシ「この橋がきずなばしだ。3のしまはこの2つの島から構成されていて、『大小揃って親子島』と呼ばれているんだ。」 マサト「と言うことは、あの島の森がきのみのもりですね?」 トモヤ「そうだよ、マサト君。私もかつて、ルビーとサファイアを探し求める途中で、きのみのもりにも渡ったことがあるんだ。」 コトミ「トモヤさんって、いろんなところを回られたんですね。」 ツヨシ「マサト君、コトミちゃん、トモヤさん。この森がきのみのもりだ。この森は、いつでも木の実がたくさんなっていて、一度訪れてもすぐまた採れる ことから、こう呼ばれているんだ。」 トモヤ「ええ、そうです。・・・マサト君、コトミちゃん。早くしないと、マヨちゃんが危険な目に遭っているかもしれない。急いでいこう!」 マサト・コトミ「はい。」 こうして、マサトたちはきのみのもりに足を踏み入れていった。果たして、何が待ち受けているのだろうか・・・。 (2) マサト達はきのみのもりに足を踏み入れていた。 きのみのもりと言う名前が示す通り、数多くの木の実がなっていて、「木の実は人とポケモンで仲良く分けよう!」という看板も立っている。 マサト「これはオレンのみだね。」 コトミ「あ、これはモモンのみだね。」 マサトとコトミは、せっかくなので木の実をいくつか取っていた。キルリアも一緒になって木の実を取っている。 トモヤ「マサト君、コトミちゃん。木の実を取るのはいいけど、マヨちゃんの事は心配しなくてもいいの?」 マサト「そうでしたね。」 マサト達はさらに森の奥に進んでいった。 進んでいくと、草ポケモンや虫ポケモンが多く生息しているのが見受けられた。この森の木の実はポケモン達にとっても重要な食べ物なのだろう。 コトミ「虫ポケモンや草ポケモンが、たくさん生息しているんですね。」 ツヨシ「ええ。この森は木の実がたくさんなっていることで、多くのポケモン達が住んでいるんです。」 トモヤ「私もかつてこの島を訪れたことがありましたが、この島の自然はポケモンと人間の共存で成り立っていると思いましたね。」 と、そこまで言った時、木々の向こうから叫び声のようなものが聞こえてきた。 マサト「あれは!?何の声?」 ツヨシ「間違いない!あれはマヨの声だ!」 トモヤ「マヨちゃんの!?」 コトミ「それじゃあ、マヨちゃんが向こうにいるって言うことですね?行こう、マサト!」 マサト「うん!」 マサト達は声のした方に向かって行った。 すると、1人の女の子が立ったまま動かなくなっているのを目撃した。この少女がマヨだろう。 ツヨシ「マヨ!」 マヨ「パパ!さっき、そこに怖いポケモンが出たの!」 トモヤ「怖いポケモンですか!?」 マヨ「この人達は?」 ツヨシ「マサト君とコトミちゃんとトモヤさん。マヨを探しに来てくれたんだよ。」 マヨ「怖いポケモンがそこに出たの!お願い、何とかしてくれない!」 マヨは木の向こうを指さしながら言った。 マサト「じゃあ、僕が行く!」 マサトはマヨが指さした方に向かった。 すると、そこには振り子のようなものを持ったポケモンがいた。スリーパーだ。 コトミ「マサト、スリーパーはさいみんじゅつで眠らせる技を使うわ。気をつけてね!」 マサト「うん。行け、キルリア!」 マサトはキルリアを繰り出した。 こうして、マサトがスリーパーに挑むことになった。果たしてその行方は・・・。 (3) きのみのもりの奥でマヨがスリーパーににらまれて動けなくなっているのを発見したマサト達。そこで、マサトがキルリアを繰り出してスリーパーに 挑むことになった。 スリーパーはいきなり手に持っていた振り子ばりのものを揺らし始めた。さいみんじゅつだ。 マサト「キルリア、テレポート!」 キルリアはテレポートでスリーパーの後ろに回り込んだ。 さいみんじゅつに失敗したスリーパーは、キルリアが突然いなくなったせいか戸惑っている。 マサト「(待てよ。スリーパーはエスパータイプ。キルリアのエスパー技では効果が今一つだ。・・・でも。)キルリア、サイコキネシス!」 キルリアがサイコキネシスを放った。が、同じエスパータイプのスリーパーに対しては効果今一つだ。 スリーパーはキルリアが後ろにいたことに気づくと、突っ込んでずつきをした。 マサト「キルリア、かげぶんしん!」 キルリアがかげぶんしんをした。ずつきは分身した1つに命中して外れた。 トモヤ「あのスリーパー、なかなかの強敵だぞ!」 コトミ「マサト、気をつけてね!」 マサト「キルリア、続いてねんりき!」 キルリアはねんりきを放った。 すると、ねんりきと一緒に無数の葉っぱが舞い上がり、スリーパーにダメージを与えた。 トモヤ「あれは?・・・、マサト君、キルリアがマジカルリーフを覚えたんだ!」 コトミ「マジカルリーフ?」 トモヤ「くさタイプの技だ。相手に必ず命中する技で、エスパータイプのスリーパーにも通常通りのダメージを与えることができる技なんだ。」 マサト「そうか!行け、キルリア!もう一度マジカルリーフ!」 キルリアはもう一度マジカルリーフを放った。 マジカルリーフがスリーパーにクリーンヒット。スリーパーはその場に倒れ込んだ。 マサト「行け、モンスターボール!」 マサトはモンスターボールを投げた。 モンスターボールの赤い光がしばらくの間点滅していた。緊張の時間が流れた。・・・そして、静かに光が消えた。 マサト「よーし!スリーパー、ゲットでGO!!」 マヨ「マサト君、コトミちゃん、トモヤさん。どうもありがとう!」 ツヨシ「私からも礼を言わせてください。どうもありがとうございました。」 トモヤ「いえ、どういたしまして。」 コトミ「あたし達は当然のことをしたまでです。」 マヨ「マサト君、これはあたしからのお礼です。」 マヨはそういうと木の実を差し出した。 マサト「これは・・・?」 マヨ「イアのみ。とても珍しい木の実なんです。」 ツヨシ「私からもお礼です。これを受け取ってください。」 ツヨシはなにやら石のようなものを取り出した。三日月に似た形をしている。 ツヨシ「月の石です。特定のポケモンを進化させる時に使う道具です。」 トモヤ「私のニドキングも、ニドリーノから進化させる時、これを使ったんです。」 ツヨシ「そうでしたか。トモヤさんはニドキングを使われているんですね。ここからさらに南、4のしまにはカントーでは滅多に見かけないポケモンも たくさんいます。行かれてみてはいかがでしょうか。」 マサト「僕たち、特別なサファイアを求めてナナシマを旅しているんです。」 コトミ「昔トモヤさんは、6のしまのどこかにサファイアが眠っている話を聞いたそうですが、それにつながる遺跡とかはこの島にはないのでしょうか?」 ツヨシ「いえ。そういう話は知りませんでした。お役に立てなくてごめんなさい。でも本当にありがとうございました。」 マヨ「またこの島にも遊びにいらしてね!」 一行「はい。いろいろとお世話になりました。」 こうして、マサト達はマヨを助けることに成功、新しい仲間、スリーパーもゲットした。 次の目的地は、暖かく青い氷の島、4のしまだ。そこでは、どのような冒険がマサト達を待っているのだろうか。 (※)「ツヨシについて」 ファイアレッド・リーフグリーンでは、マヨの父親の名前は明記されていませんでしたが、ここでは敢えて「ツヨシ」と名付けることにします。 Chapter-10に続く。 <初出> (1):2008年12月27日、(2):2009年1月11日、(3):2009年1月18日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。