Chapter-12『いてだきのどうくつのユキワラシ!』 (1) カンナとルリカの講演会の翌日、マサト達はミキと一緒に4のしまにあるいてだきのどうくつに行くことになった。 こおりタイプが多くいる洞窟と言うこともあり、4人とも寒さ対策を施している。ミキも赤いドレスの上から防寒着を羽織っていた。 マサト「そう言えば、ミキさんってこれまでどの地方を回られたんですか?」 ミキ「あ、マサト君達には言ってなかったわね。あたし、カントーのヤマブキシティの出身で、元々ポケモンリーグとポケモンコンテスト、両方に 出てみたいって思ってたの。それで、カントーからジョウト、ホウエン、シンオウと、いろんな地方を回ったのよ。」 コトミ「確かジョウトでハルカさんと、ホウエンでルリカさんと知り合いになったんでしたね。」 トモヤ「私も、ちょうどミキさんと同じ時期にジョウトを回ってたんですけど、ハルカちゃんにはとてもかなわなかったです。」 マサト「えっ、でもパパのジムに、ミキさんは挑戦してなかった気がしますけど・・・。」 ミキ「あたし、ホウエンではトウカのジムは挑戦してなくて、他の所を回ってバッジをゲットしたのよ(※1)。だから、一度センリさんにも 挑戦してみたいって思ってるわ。センリさんはマサト君のお父様でしょ?だから、きっといい勝負ができるって思うわ。」 マサト「はい。パパとミキさんのバトル、僕も是非見たいです。」 と、そこに突然冷たい風が吹いた。こごえるかぜだ。 マサト「何、今の!?」 トモヤ「確か、あれはこごえるかぜだ。こおりタイプの技で、バトルで使うと素早さを下げる効果があるんだ。」 コトミ「えっ、でもあたし達の手持ちにこおりタイプはいませんけど・・・。」 ミキ「マサト君達、あれよ!」 ミキが指さした先、ちょうどいてだきのどうくつの入り口付近に1匹のポケモンがいた。ユキワラシだ。 マサト「あれは、ユキワラシ!?」 トモヤ「おそらく野生のポケモンだろう。マサト君、気をつけるんだ!」 コトミ「と言うことは、あの洞窟がいてだきのどうくつですか?」 トモヤ「そうだ。このユキワラシは、おそらくこの洞窟をすみかにしているんだろう。行ってみよう!」 一同「はい!」 こうして、マサト達はユキワラシを追っていてだきのどうくつに入っていった。 いてだきのどうくつは、その名の通り入ってすぐの所に氷に覆われた滝があり、滝の水も凍るほどの冷たい空気に覆われていた。 マサト「寒いね・・・。」 そう言っているマサトの吐く息も白い。 コトミ「カンナさんって、昔ここでラプラスをゲットしたのね。」 トモヤ「この洞窟は、ラプラス以外にも、こおりタイプのポケモンが多く生息しているんだ。ここの氷は天然のかき氷にもなるんだよ。」 ミキ「一気に食べたら頭がきーんってなるわね。何か食べたくなってきちゃったわ。・・・あ、見て!滝の上にいるわ!」 見ると、さっきのユキワラシが滝の上にいた。しかもれいとうビームを放つ体制に入っている。 トモヤ「まずいぞ!れいとうビームをされたら、私達まで凍ってしまう!」 マサト「ここは僕が行く!キルリア、ねんりき!」 キルリアがねんりきを放った。ユキワラシが放ったれいとうビームは方向を変えて壁に命中した。だが当のユキワラシはなぜか喜んでいるような表情を 見せている。 マサト「(これって、僕がお姉ちゃん達と一緒に旅してた時の、サトシがユキワラシをゲットした時と似てるな・・・。)あのユキワラシ、 僕がゲットする!」 コトミ「えっ、マサト、大丈夫?」 トモヤ「あの滝の上は、私も昔行ったことがあるけど、あの裏は大きな洞窟で、その先は海につながっているんだ。気をつけるんだ!」 ミキ「あたし達も行きましょう!」 こうして、マサト達はユキワラシをゲットしに滝の上に向かっていった。果たして、ユキワラシをゲットすることはできるのだろうか。 (2) マサト達は、野生のユキワラシを追っていてだきのどうくつの奥深く、滝の上に上っていった。 滝の上は、入り口と比べてさらに冷たい空気が広がっており、多くのこおりタイプのポケモンが生息しているのが見受けられた。 なおも進んでいくと、さっきのユキワラシと遭遇した。 マサト「あ、さっきのユキワラシ!」 ユキワラシはやはりどことなく喜んでいるような表情だ。 コトミ「もしかして、このユキワラシ、マサトのことを気に入っているんじゃ・・・?」 トモヤ「きっとそうかもしれない。ポケモンの中には、自分でトレーナーを選ぶという、変わったゲットの仕方もあるんだ。」 ミキ「きっとこのユキワラシは、マサト君と仲良くなりたいって言ってるんだと思うわ。でも、バトルしてマサト君の実力を確かめたいって言う 気持ちもあるんだと思うの。だからマサト君、油断しないでね!」 マサト「はい!行くよ、キルリア!」 マサトはキルリアを繰り出した。それを見るなりユキワラシは再びれいとうビームを放った。 マサト「キルリア、サイコキネシス!」 キルリアがサイコキネシスを放った。れいとうビームはサイコキネシスとぶつかって消えた。しかしユキワラシはやはり喜んでいるような表情を見せている。 そしてそのまま洞窟の奥に向かっていった。 トモヤ「マサト君、この奥は海につながっているんだ。ユキワラシはそこでマサト君とバトルしたいのかもしれない。気をつけるんだ!」 マサト「はい!」 マサト達はユキワラシを追って、洞窟の最深部にたどり着いた。 トモヤも言っていた通り、洞窟に海水が入り込んでおり、外は一面続く海になっている。そして、そこにユキワラシもいた。 ユキワラシはマサトを見つけると、こごえるかぜを放った。 ミキ「マサト君、こごえるかぜよ!注意して!」 マサト「キルリア、テレポート!」 キルリアはテレポートで身を隠した。次に現れた時にはユキワラシの後ろにいた。 マサト「キルリア、そのままねんりき!」 キルリアがねんりきを放った。ユキワラシはねんりきで操られ、思うように動けない。そしてねんりきの効果でユキワラシは壁にたたきつけられた。 マサト「今だ!行け、モンスターボール!」 マサトはモンスターボールを投げた。 しばらく赤い光が点滅する。緊張の時間が流れた。・・・そして赤い光が消え、ユキワラシをゲットしたのだった。 マサト「よーし!ユキワラシ、ゲットでGO!!」 その横で、キルリアもポーズを決めて喜んでいた。 マサト達はいてだきのどうくつを出ると、次の目的地を考えていた。 コトミ「次はどこに行くの?」 トモヤ「次はこの東にある5のしまだね。5のしまは、南に思い出の塔、北にゴージャスリゾートがあるんだ。その奥に行くと、かえらずのあなと言う、 不思議な洞窟があるんだ。」 マサト「ミキさんは、これからどうするんですか?」 ミキ「あたしはナナシマの南の果て、たんじょうのしま(※2)に行こうと思うの。」 マサト「たんじょうのしま?」 ミキ「うん。ほら、この前あたし、マサト君とバトルしたでしょ?あの後、ニシキ博士に会いに行ったんだけど、その時ニシキ博士がおっしゃってたわ。 『たんじょうのしまに、特別な宝石、ダイヤモンドとパールの手がかりがあるんじゃないか』って。マサト君達、ニシキ博士の夢である、 ネットワークマシンの完成のためにナナシマを旅してるんでしょ?だったら、あたしも協力できたらいいなって思ったの。」 コトミ「ミキさん、なんかすごいですね。1人でそんな遠いところまで赴くなんて、あたしもまだまだミキさんにはかないそうもないです。」 トモヤ「ミキさんもお手伝いするなんて、私達も負けてられないですね。」 ミキ「ううん。せっかくマサト君達がネットワークマシン完成のために宝石を集めてるんだから、あたしもお手伝いができればなぁって思ってたの。 同じ目標に向かって、お互いに協力し合っていきましょう!」 コトミ「そうね。やるっきゃないんだもん。ね!」 こうして、ミキはたんじょうのしまに向かい、一足早く出発していった。 そして、マサト達が向かうのは5のしま。そこでは、どのような冒険が、マサト達を待っているのだろうか。 (※1)「ミキのホウエンリーグ・ジムバッジについて」 アニメ(AG・ホウエン編)では、サトシが挑戦した8か所のジム以外の存在は描写されていませんが、無印・カントー編ではシゲルが10個の ジムバッジをゲットしていることから、各地方にはアニメで登場した以外のジムも存在するものとします。 (※2)「たんじょうのしまの位置について」 ファイアレッド・リーフグリーンで、2004年の映画前売り券の特典としてプレゼントされたオーロラチケットの行き先にあたるたんじょうのしまは、 位置では7のしまのやや南東でしたが、ここではそれよりさらに南にあるものとします。 Chapter-13に続く。 <初出> (1):2009年4月5日、(2):2009年4月11日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。