Chapter-14『コイキングとヒンバス!水の迷路を抜けて!!』 (1) マサト達一行は、次の目的地であるゴージャスリゾートに行くため、5のしまの港から船に乗った。 ゴージャスリゾートは、5のしまの本島から北に離れた場所にあるため、しばらく船で行くことになる。 船長「君たち、ゴージャスリゾートにあるかえらずのあなって知ってるか?」 マサト「かえらずのあな?確か、不思議な構造になっているっていう洞窟ですね。」 船長「ああ。何でもそこは、一度入ってしまうと自分が今どこにいるのか、全くわからなくなってしまうという、不思議な洞窟だそうだ。」 コトミ「それで、入った人が出られたっていうのは聞くんですか?」 船長「確か、正しい方向に進まないと、奥に進んでもなぜか入り口に戻ってしまうって聞いたことがあるな。」 トモヤ「そうですか。マサト君、コトミちゃん、行くからには気をつけた方がいいよ。」 マサト・コトミ「はい。」 船長「でも、ここからゴージャスリゾートまでの間には、水の迷路っていう、通り抜けるのに結構やっかいな場所があるんだ。」 マサト「水の迷路?」 トモヤ「ああ、今からこの船が入ろうとしている海域のことだよ。マサト君、ポケナビを貸してごらん。」 トモヤはポケナビを示しながら説明を続けた。 トモヤ「ここが5のしま、そしてここがゴージャスリゾートだ。そして、この間にある海域のことを水の迷路って呼んでいるんだ。規則正しく 岩礁が浮かんでいて、注意して進まないと迷ってしまうっていう、まさしく大自然が作り上げた迷路みたいになっていることから、水の迷路って 呼ばれているんだ。」 船長「お兄さん、結構詳しいんだね。」 トモヤ「ええ、私はこれでもナナシマのあちこちに足を運んだことがありますので、結構知っているんです。」 マサト達が会話している間に、船は水の迷路に入っていった。 水の迷路は、5のしまとゴージャスリゾートの間に広がる海域の通称で、トモヤが言っていたとおり、海から顔をのぞかせている岩礁があちこちに 浮かんでおり、規則正しく並んでいる。まさしく自然の迷路だ。 空にはキャモメやペリッパー、ハネッコなど、空を飛ぶポケモンが飛び交い、海にはブイゼルやキバニアなどが飛び跳ねていた。 マサト「結構いろんなポケモンがいるんだね。」 コトミ「ナナシマだけじゃなくて、あちこちの地方にいるポケモンもいるのね。」 船長「ああ。この辺は温暖な気候に恵まれているから、カントーやジョウト、ホウエン、シンオウにいるポケモン達も生息しているんだ。 ・・・おや?あれは?」 トモヤ「どうかなされたんですか?」 船長「あれを見てくれ。」 船長が指さした先、ちょうど船の進行方向に当たる方向で、何かたくさんのポケモンが飛び跳ねているのが見受けられた。 マサト「あれはコイキングとヒンバスだね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してコイキングとヒンバスをチェックした。 コトミ「コイキングやヒンバスって、結構いろんなところに生息しているけど、でもそれ自体はさほど強くないんでしょ?」 トモヤ「いや、違うんだよ。確かにコイキングやヒンバスは、進化しない状態ではそれほど強くもなく、また美しくもないけど、でも進化すると ギャラドスとミロカロスになって、強さや美しさにも磨きがかかるんだ。」 コトミ「でもミロカロスはともかく、ギャラドスって結構凶暴なポケモンといわれているんでしょ?」 トモヤ「確かにギャラドスは、いかく特性も持っているし、凶暴なポケモンって言うイメージもあるかもしれない。だけど、 どう育てていくかは、トレーナー次第だよ。」 船長「お兄さん、ポケモンのこと、本当によく理解してるね。・・・どうだ、君たちもあのコイキングとヒンバスの群れを観察してみるか?」 一同「はい!」 (2) マサト達は、水の迷路に現れたコイキングとヒンバスの群れを観察することになった。 船長の操縦で船がコイキングとヒンバスの群れに近づいた。すると、何百匹という数のコイキングやヒンバスが一斉に飛び跳ねていた。 マサト「かなりたくさんいるんだね。」 コトミ「本当ね。群れをなして飛び跳ねているわ。どこに向かっていくのかしら。」 船長「そうか。もうそういう時期なのか・・・。」 トモヤ「そういう時期といいますと?」 船長「ああ。この海域には、毎年、ちょうど今の時期になるとコイキングとヒンバスの群れが現れて、たくさんの群れをなして泳いでいく 姿が見られるんだ。この辺の海流の影響だろう。」 マサト「それで、コイキングやヒンバス達は、どこに向かっていくんですか?」 船長「海流の流れに乗って、遠い海を巡っていくんだろう。世界は広い。コイキングやヒンバス達が向かっていく海には、ひょっとしたら私たちの まだ知らないポケモン達もいるんじゃないかな。」 コトミ「まだ知られていないポケモンかぁ・・・。あたしもそういうポケモン、見てみたいわ。」 4人はしばらくの間、一斉に飛び跳ねて海を巡っていくであろうコイキングとヒンバスの群れを見つめていた。 と、そこに1匹のコイキングが落ちてきた。どうやら勢い余って船まで跳ねてしまったらしい。 マサト「あ、コイキングだ!」 コイキングは群れに戻ろうとするが、船上では海と違ってうまく跳ねることができない。その間にもコイキングの群れは遠ざかっていく。 さらにヒンバスも1匹、船まで跳ねてきた。 コトミ「ヒンバスもよ!」 コイキングとヒンバスは、跳ね回っているものの、海に戻ることができない。 トモヤ「早くしないと、群れが遠ざかってしまうな。・・・ここは私が!」 トモヤはコイキングを抱え込もうとした。が、勢いよくたいあたりを受けてしまった。 船長「どうやらこのコイキングとヒンバス、おまえさん達のことを気に入ってるんじゃないかな。」 マサト「僕たちのことを?」 船長「ああ。自分から船に飛び込むなんて、滅多にないことだからな。・・・おまえさん達、バトルしてゲットでもしてみるか?」 マサト「えっ、僕が!?」 コトミ「あたしが!?」 トモヤ「やってみる価値はあると思うよ。コイキングやヒンバスは、今はまだこうだけど、でも進化するとギャラドスとミロカロスになる。 育てがいはあると思うよ。」 マサト「よし、じゃあ行くよ、キルリア!」 マサトのキルリアがバトルの体制に入る。 コトミ「じゃああたしも!行くわよ、キルリア!」 コトミのキルリアもバトルの体制になった。 マサト「コトミ、コイキングとヒンバス、どっちがいい?」 コトミ「あたしはヒンバスにするわ。」 マサト「じゃあ僕はコイキングだね。キルリア、ねんりき!」 コトミ「キルリア、あたし達も行くわよ!ねんりき!」 キルリアがコイキングとヒンバスにそれぞれねんりきを放った。しかしコイキングとヒンバスも負けじとたいあたりで突っ込む。 マサト「キルリア、かわしてマジカルリーフ!」 マサトのキルリアがコイキングにマジカルリーフを放つ。くさタイプのマジカルリーフはコイキングに効果抜群だ。 コイキングは大きなダメージを受け、その場に倒れ込んだ。 コトミ「キルリア、サイコキネシス!」 コトミのキルリアもサイコキネシスをヒンバスに放った。ヒンバスもサイコキネシスをもろに受けて倒れ込んだ。 マサト・コトミ「行け、モンスターボール!」 マサトはコイキングに、コトミはヒンバスにモンスターボールを投げた。 ボールの光が点滅する。やはり何回やっても緊張の一瞬だ。・・・そして、ボールの光が静かに消えた。 マサト「コイキング、ゲットでGO!!」 コトミ「ヒンバス、ゲットでスマイル!!」 こうして、マサトはコイキングを、コトミはヒンバスをゲットしたのだった。 船は順調に航海を続け、ゴージャスリゾートの船着き場に到着した。 船長「ここがゴージャスリゾートだよ。」 マサト「船長さん、ありがとうございました。」 船長「君たち、かえらずのあなに行くんだったら、本当に気をつけるんだよ。」 コトミ「はい、分かりました。」 トモヤ「いろいろとお世話になりました。」 そして船は船着き場を離れていった。 船を見送った後で、マサトとコトミはメンバーに新しい仲間を紹介した。 マサト「僕の新しい仲間、コイキングだよ!」 コトミ「あたしの新しい仲間、ヒンバスよ!」 マサトはコイキングを、コトミはヒンバスをそれぞれ繰り出した。ガバイト、スリーパー、ユキワラシ、ナックラー、イーブイも新しい仲間を 迎え入れていた。 それを見て、コイキングとヒンバスは嬉しそうに飛び跳ねていた。 と、次の瞬間コイキングとヒンバスが白く光り始めた。 マサト「あっ!?」 コトミ「もしかして・・・?」 トモヤ「進化が始まったんだ!」 マサト達が見守る中、コイキングはギャラドスに、ヒンバスはミロカロスに進化したのだった。 マサト「きっと、もう進化できる段階だったんだね。・・・よろしくね、ギャラドス!」 ギャラドスはマサトの方を向き、微笑んだ。 コトミ「確かヒンバスって、かなり美しくなっているとミロカロスに進化するって聞いたわ。・・・そっか、あなたもずいぶん美しさに磨きを かけていたのね。よろしくね、ミロカロス!」 ミロカロスもコトミの方を向いて微笑んだ。 こうして、マサトはギャラドス、コトミはミロカロスを仲間に加えたのであった。 さあ、ここゴージャスリゾートでは、どのような出会いがマサト達を待っているのであろうか。 Chapter-15に続く。 <初出> (1):2009年6月14日、(2):2009年6月21日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。