Chapter-15『キルリアと進化の神秘!サーナイトとエルレイド!!』 (1) マサト達は、5のしまの北にあるゴージャスリゾートに到着した。そこは、かつてサトシ達がカントー地方の冒険の途中に立ち寄ったアオプルコ同様、 リゾート地としてにぎわっていた。 マサト「名前の通りのリゾート地なんだね。」 トモヤ「ああ。ここゴージャスリゾートは、ナナシマはもとより全国でも有名なリゾート地でね、多くの観光客が訪れるんだ。もっとも、ゴージャスって 付くくらいだから、訪れる観光客はかなり格式の高い人が多いんだけどね。」 コトミ「あたしもこう言うところにあこがれるわ。のんびりと休暇を楽しむにはもってこいの場所だもんね。ね、キルリア!」 コトミのキルリアはにっこりとほほえみかけている。 コトミ「そうだ。以前ともしび山で拾っためざめいし、確かこれを使えば、キルリアがエルレイドに分岐進化するんでしょ?」 マサト「そうしたら、僕のキルリアもエルレイドになるのかなぁ?」 トモヤ「いや、すべてのキルリアがエルレイドになれるわけではないんだ。前にも説明したと思うけど、♂のキルリアにめざめいしを使うと、エルレイドに 進化するんだけど、♀のキルリアに使っても、何も起きないんだよ。」 マサト「同じことはユキワラシにも言えるんだ。ユキワラシは、普通に進化するとオニゴーリになるけど、♀のユキワラシにめざめいしを使うと、 ユキメノコに進化するんだよ。」 トモヤ「マサト君、結構知ってるんだね。そう言えば、マサト君もこの前ユキワラシをゲットしたんだもんね。あれも♀だったら、めざめいしを使えば ユキメノコになるんだよ。」 マサト「キルリア、どうする?進化したい?」 コトミ「キルリア、あなたは?」 マサトとコトミはそれぞれキルリアに尋ねた。キルリアはしばらく黙った後、大きくうなずいた。どうやら、2匹とも進化したいみたいだ。 トモヤ「そうか。なら進化させてみてはどうだろう。マサト君、コトミちゃん、めざめいしを出してごらん。」 マサトとコトミはめざめいしを取り出した。 コトミ「まずはあたしがやってみるね。キルリア、めざめいしよ。」 コトミはキルリアにめざめいしを使ってみた。 すると、キルリアが白く光り出し、見る見るうちに姿形が変わっていった。どうやらコトミのキルリアは♂のようだ。 そして、コトミのキルリアはエルレイドに進化したのだった。 コトミ「キルリア・・・、エルレイドに進化したのね!」 エルレイドは大きくうなずくと、肘を使って新しい技を繰り出した。サイコカッターのようだ。 トモヤ「コトミちゃん、エルレイドは進化してサイコカッターを覚えたんだよ!」 コトミ「すごいわ、エルレイド!これからもよろしくね!」 エルレイドはほほえんで答えた。 マサト「次は僕がやってみるね。キルリア、めざめいしだよ。」 マサトはキルリアにめざめいしを使ってみた。 ・・・しかし、何も変わった様子など見られない。 マサト「あれ、どうしたの、キルリア?」 もう一度めざめいしを使ってみたが、別に何も変わった様子など見受けられない。白く光る様子もない。果たして、これはどういうことなのだろうか。 (2) マサトとコトミが以前ともしび山で見つけためざめいし。これを使えば、キルリアの♂はエルレイドに進化する。そして、2人はそれぞれめざめいしを 使い、キルリアを進化させた。 ところが、コトミのキルリアはエルレイドに進化したものの、マサトのキルリアは進化する気配がない。 マサト「あれ?キルリア、進化しないよ?と言うことは・・・?」 トモヤ「ああ。おそらくマサト君、このキルリアは♀なんだろうね(※)。」 マサト「そうだったんだ・・・。と言うことは、僕のキルリアは進化するとしてもサーナイトになるって言うことだよね?」 コトミ「マサト、そんなに落ち込まないで。お互いに経験を積んでいけば、きっと進化できると思うわ。」 マサト「ありがとう、コトミ。・・・キルリア、どうする?」 マサトはキルリアの方を向いて言った。キルリアはやる気のようだ。 トモヤ「きっとキルリアは、マサト君の気持ちに応えたいんだと思うよ。確か、マサト君とキルリアって、昔病気になっていたところを 看病したのがきっかけだったんだよね。」 マサト「はい。」 トモヤ「きっとその時、マサト君とキルリアは気持ちが通じ合ったんだと思うよ。だから、マサト君の気持ちに応えたいって、このキルリアも 思ってるんだろうなぁって。私で良かったら、特訓の相手になってあげるよ。」 マサト「いいんですか?」 トモヤ「ああ。それじゃ、行くよ!」 こうして、キルリアをサーナイトに進化させるため、マサトはトモヤと特訓をすることになった。 マサト「行くよ、キルリア!」 トモヤ「行け、ニドキング!」 マサトはキルリアを、トモヤはニドキングを繰り出した。 トモヤ「先攻はマサト君からでいいよ。」 マサト「はい。それじゃ行くよ!キルリア、サイコキネシス!」 キルリアがサイコキネシスを放った。どくタイプとじめんタイプを併せ持つニドキングには効果抜群だ。 トモヤ「ニドキング、かわしてメガホーン!」 ニドキングはサイコキネシスをかわして、メガホーンを放った。むしタイプのメガホーンはキルリアには効果抜群だ。 マサト「キルリア、かげぶんしん!」 キルリアはかげぶんしんでいくつもの影に分かれた。メガホーンはそのうちの1体に命中して外れた。 マサト「キルリア、続いてねんりき!」 キルリアがねんりきを放った。ねんりきがかわす間もなくニドキングに命中。効果は抜群だ。しかしさすがはトモヤのニドキング、ねんりきを受けた くらいではへこたれない。 トモヤ「ニドキング、どくづき!」 ニドキングがどくづきで突っ込んだ。 マサト「キルリア、テレポート!」 キルリアがテレポートで姿を消した。ニドキングは相手を見失ってとまどっている。 マサト「キルリア、今だ!サイコキネシス!」 ニドキングの真後ろに姿を現したキルリアがサイコキネシスを放った。強烈な一発を受けたニドキングは勢いよく吹っ飛んでしまった。 トモヤ「戻れ、ニドキング!」 トモヤはニドキングをモンスターボールに戻した。 トモヤ「なかなかやるね、マサト君。そう言えば、こうやって特訓をやったのって、初めてだったね。」 マサト「そうでしたね。」 トモヤ「それにしては、さすがはマサト君。だいぶよく育てられてるよ。じゃあ次はともしび山で捕まえたゴルバットだよ!」 トモヤはゴルバットを繰り出した。ともしび山で捕まえた、色違いのゴルバットだ。 トモヤ「ゴルバット、エアカッター!」 ゴルバットがエアカッターを放った。 マサト「キルリア、ねんりき!」 キルリアがねんりきでエアカッターの方向を変えた。方向を変えられたエアカッターはそのままゴルバットに向かって行った。そしてかわす間もなく ゴルバットにエアカッターが炸裂した。 トモヤ「ゴルバット、もう1度エアカッターだ!」 ゴルバットが勢いをつけてエアカッターの準備に入った。と、ゴルバットが白く光り始めた。 マサト「これって、進化・・・!?」 コトミ「そうだわ!確かゴルバットって、なついてるとクロバットに進化するんだわ!」 言っている間にも姿形が変わっていき、ゴルバットはクロバットに進化した。 トモヤ「お前、クロバットに進化したんだな!マサト君、ゴルバットはクロバットに進化して、スピードにも磨きがかかったんだよ。さあ、 準備はいいかい?」 マサト「はい!」 トモヤ「クロバット、どくどくのキバ!」 クロバットが段違いに速いスピードで近づき、どくどくのキバでかみつく。 マサト「キルリア、かわしてねんりき!」 キルリアはかわそうとするが、あまりの段違いの早さによけきれず、どくどくのキバが命中。どく状態にはならなかったもののかなりのダメージを受けた。 マサト「キルリア、僕たちも負けないで行くよ!」 キルリアも負けじと立ち上がり、一声あげた。 と、次の瞬間キルリアの全身が白く光り始めた・・・。 (3) マサトのキルリアは♀だった。そしてサーナイトに進化させるため、マサトはトモヤと特訓をすることになった。 特訓のさなか、トモヤのゴルバットはクロバットに進化、そしてキルリアも白く光り始めた。 マサト「今のは・・・!?」 トモヤ「ああ。マサト君、進化が始まったんだ!」 やがて姿が変わっていき、キルリアはサーナイトに進化したのだった。 マサト「キルリア・・・、サーナイトに進化したんだね!」 サーナイトは両手の間から黒い影の固まりのようなものを作り出すと、そのまま勢いよく放った。 コトミ「すごい!サーナイト、シャドーボールを覚えたわ!」 トモヤ「そうか!じゃあマサト君、そのシャドーボールが私に通用するか、やってみてごらん!」 マサト「はい!行くよ、サーナイト!シャドーボール!」 サーナイトはシャドーボールを放った。 トモヤ「クロバット、かげぶんしんだ!」 クロバットは素早さを生かしてかげぶんしんでいくつもの影に分かれた。シャドーボールはそのうちの1つに命中して外れた。 マサト「(シャドーボールをうまく生かす方法って・・・、そうだ!)」 マサトは1のしまでミキとバトルした時のことを思い出した。 マサト「(確かあの時、ミキさんはシャドーボールをサイコキネシスでうまくコントロールしてたっけ。エーフィとサーナイトは同じエスパータイプ。 それなら。)サーナイト、もう一度シャドーボール!」 サーナイトはもう一度シャドーボールを放った。 トモヤ「クロバット、かわせ!」 クロバットは素早さに任せてシャドーボールをかわそうとする。しかもいくつもの影に分かれているので回避率は格段に上がっていると見ていいだろう。 マサト「サーナイト、シャドーボールにサイコキネシス!」 サーナイトはシャドーボールに向かってサイコキネシスを放った。 シャドーボールはサイコキネシスでうまくコントロールされ、クロバットの影に次々と命中、そして本物に命中した。シャドーボールそれ自体は普通の 効果だが、エスパータイプのサイコキネシスは効果抜群だ。 トモヤ「戻れ、クロバット!」 トモヤはクロバットをモンスターボールに戻した。 トモヤ「すごいね、マサト君。覚えたばかりのシャドーボールをここまで使いこなすなんて、やっぱりセンリさんの息子さんだけのことはあるね。」 マサト「それほどでもないです。以前1のしまでミキさんとバトルした時、ミキさんはシャドーボールとサイコキネシスをうまく組み合わせてました。 だから、それをうまく取り入れられないかなぁって。」 トモヤ「そうか。マサト君もたくさんのトレーナーと出会い、いろんな経験を重ねたんだね。これからもいろんな出会いがあると思う。その1つ1つに、 トレーナーとして、またコーディネーターとしても、光るものを見いだせると思うよ。」 コトミ「そうですね。マサト、これからもよろしくね!」 マサト「うん!」 サーナイトとエルレイドはお互いにハイタッチした。 マサト達は、その夜はポケモンセンターに泊まることになり、今後の予定を立てることにした。 トモヤ「次はこの島のはずれにある、かえらずのあなに行ってみることにしよう。」 マサト「かえらずのあなって、確か船長さんが言ってた、行くなら気をつけるべきだって言う場所ですね。」 コトミ「あたし、そう言う場所って何かありそうで怖いなぁって。でもみんなが一緒なら、きっと大丈夫よね。」 トモヤ「そうだ。マサト君、コトミちゃん、あれは見た?」 マサト・コトミ「あれって?」 トモヤ「あそこにポスターが貼ってあるだろう。『ナナシマ・バトルチャンピオンシップス』だ。」 トモヤは手でポスターを指し示した。 「『ナナシマ・バトルチャンピオンシップス』。7のしまで開催。ナナシマ初のポケモンリーグ公式大会。参加資格は不問。トレーナー諸君、頂点を 目指して7のしまに集まれ!」 マサト「ナナシマ・バトルチャンピオンシップスかぁ・・・。きっと、強いトレーナーがたくさん出るんだろうなぁ。うん、僕も出る!」 コトミ「あたしも!」 トモヤ「そうか。2人ともやる気満々だね。開催は2か月後だそうだから、それまでにニシキ博士が言ってた、ネットワークマシンを完成させよう!」 マサト・コトミ「うん!」 こうして、ナナシマで初めての公式大会、ナナシマ・バトルチャンピオンシップスが開催されると知り、マサト達は出場に向けて思いを馳せるのだった。 次の目的地はかえらずのあな。そこは、果たしてどのような場所なのであろうか。 (※)「マサトのキルリアの性別について」 マサトのラルトス(現キルリア)が初めて登場したAG・ホウエン編では、性別については描写されていませんでしたが、元々この文章を投稿した 「ぽけあに」のアニメポケモン図鑑では♀とされていたことから、このキルリアは♀とすることにします。 Chapter-16に続く。 <初出> (1):2009年7月19日、(2):2009年8月1日、(3):2009年8月14日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。