Chapter-16『かえらずのあな!アキホとペルシアン!!』 (1) マサト達一行は、ゴージャスリゾートの本島から少し離れたところにあるかえらずのあなに入っていった。 このかえらずのあなは、マサト達をゴージャスリゾートまで送り届けた船長も言っていた通り、正しい道を進まないと、どういう訳か入り口に戻って しまうと言う、不思議な構造になっていた。 マサト達も奥に進んでいっているつもりが、なぜか入り口に戻ってしまうと言うパターンを繰り返している。 マサト「そう言えば、この穴っていくつかの岩があるよね。何のためにあるのかなぁ?」 コトミ「そう言えばそうね。えーっと・・・、ここには6つの岩があるわ。」 トモヤ「そして部屋は4方向に向かって通路が続いている。ん?待てよ。・・・そうか!」 マサト「どういうこと?」 トモヤ「この穴は、4方向の通路といくつかの岩で構成されている。正しい方向は1つ。それを考えると、時計の方向かもしれないな。」 コトミ「時計・・・?あ、そう言うことね!トモヤさんの言っていることが正しければ、この部屋の正しい方向は入り口を正面にして6時、 つまりあの方向ね!」 コトミは6時の方向を指さした。 マサト「そうだね。コトミの言う通りだと思うよ。行ってみよう!」 コトミ・トモヤ「うん!」 マサト達がコトミの指し示した方向に進んでいくと、今度は3つの岩が無造作に置かれていた。 推測が正しければ、これは3時の方向を意味しているのだろう。 マサト「次はこの方向だね!」 果たして岩が意味している方向は正しかった。次の部屋は9つの岩が置かれており、9時の方向を指し示していた。 コトミ「えっ、次って9時の方向でしょ?さっきの部屋に戻るんじゃ・・・?」 トモヤ「いや、違うと思うよ。このかえらずのあなは、正しい方向に進まないと入り口に戻ってしまうけど、正しい方向に進みさえすれば、一度来た道を 戻っても間違いではないと思うよ。」 マサト「それなら行ってみよう!」 マサト達が進んでいくと、さっきの部屋ではなく、今度は岩が6個置かれており、6時の方向を指し示しているようだった。 コトミ「やっぱりね。次は6時の方向だから、あそこね!」 その後も、岩の数に従って通路を進んでいくと、やがて12個の岩が置かれている部屋に到着した。むろん12時の方向を指し示している。 トモヤ「行ってみよう!」 マサト達は岩の指し示した12時の方向に向かった。すると、そこはそれまでの部屋とは異なり、大きく開けた部屋になっていた。 マサト「ここが洞窟の一番奥なのかなぁ・・・?」 コトミ「確かにそうかもしれないわ。だって、もう奥に続く道はないし、きっとここって、この洞窟の一番奥になるんだと思うわ。」 と、その時、一人の女性の声が響いた。 女性「誰、そこにいるの?ペルシアン、追い払って!」 マサト「えっ、別にそう言うわけでは・・・。」 マサトが言い終わらないうちに、ペルシアンが飛びかかってきた。おそらくこの女性のポケモンだろう。 マサト「仕方ない。行くよ、サーナイト!」 マサトはサーナイトを繰り出した。成り行きでバトルになってしまったが、果たしてどうなるのだろうか。 (2) かえらずのあなの奥深くまで進んでいったマサト達。しかし、最深部で突然女性トレーナーのペルシアンを相手にバトルすることになってしまった。 マサト「サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがサイコキネシスを放った。サイコキネシスが勢いよくペルシアンに命中、そのまま吹っ飛ばされてしまった。しかしまだ大丈夫そうだ。 女性「ペルシアン、きりさく攻撃!」 ペルシアンがきりさく体制に入った。 マサト「サーナイト、かげぶんしん!」 サーナイトがかげぶんしんでいくつもの姿に分かれた。きりさくはそのうちの1つに命中、攻撃は外れた。 女性「ペルシアン、だましうち!」 ペルシアンがだましうちの体制に入った。エスパータイプのサーナイトにあくタイプのだましうちは効果抜群だ。 コトミ「えっ、サーナイトってかげぶんしんで回避率を上げてるはずでしょ?どうして命中するの?」 トモヤ「だましうちは、相手の回避率や自分の命中率とは無関係に、必ず命中する技なんだ。マジカルリーフやスピードスターなど、同様にして 必ず命中する技はたくさんあるんだよ。」 マサト「(あのペルシアンはだましうちが使えるのか・・・。サーナイトが回避率を上げたところで、だましうちは必ず命中する。それなら。) サーナイト、マジカルリーフ!」 サーナイトがマジカルリーフを放った。マジカルリーフはペルシアンにもろに命中した。体力もかなり削られているようだ。 マサト「サーナイト、もう一度サイコキネシス!」 続いてサーナイトがサイコキネシスを放った。マジカルリーフからの連続攻撃を受けたペルシアンは戦闘不能になってしまった。 女性「ペルシアン、大丈夫?・・・あら、あなた達は?」 マサト「僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 トモヤ「私はトモヤと言います。」 女性「私はアキホ。このゴージャスリゾートに住んでるんです。・・・ごめんなさい。てっきり悪い人かと思って・・・。」 マサト「いえ。驚かせてしまった僕達が悪いんです。」 コトミ「謝らなくてもいいですよ。」 アキホ「そうでしたか。本当にすみませんでしたね。・・・よろしかったら、私のお家にいらっしゃいません?」 一同「はい!」 マサト達はアキホに連れられて、ゴージャスリゾートにあるアキホの家に案内された。 外観はもちろんのこと、内部もリゾート地にふさわしい高級感あふれる造りになっている。 アキホ「皆様は、今何をなされてるんですか?」 マサト「1のしまのニシキ博士に頼まれて、ナナシマにあるという特別な宝石、サファイア、ダイヤモンド、パールを探してるんです。」 コトミ「サファイアは、ともしび山にあるルビーと対になっていまして、それでサファイアもナナシマのどこかにあると言われているんです。そして、 ネットワークマシンを完成させるのに、さらにダイヤモンドとパールが必要になると言われているんです。」 トモヤ「そして、それが終わったら、今度は7のしまで行われるナナシマ・バトルチャンピオンシップスに出ようと考えているんです。」 アキホ「まあ。サファイアにダイヤモンドにパールなんて、マサトさん達はずいぶん大変なことにチャレンジなさろうとしているんですね。 ・・・ポケモンと一緒に旅をするなんて、本当にいいですわね。」 トモヤ「それほどでもないです。新しい場所に行くと、新しい発見がある。私たちトレーナーは、そうやって新しいことにチャレンジし続けているんです。」 アキホ「それなら、是非これをお使いになってください。」 アキホはそう言うとモンスターボールの一種を持ってきた。 アキホ「これはゴージャスボール。これでポケモンをゲットすると、そのポケモンがよくなついてくれるんです。是非使ってみてくださいね。」 マサト「ありがとうございます。」 アキホ「いえ、マサトさん達のお役に立つことができれば幸いです。ところでマサトさん達は、これからどうなされるんですか?」 トモヤ「次は6のしまに行くことになるかと思います。以前、私も6のしまのどこかに眠ると言われているサファイアを求めて足を運んだ ことがあるんです。」 マサト・コトミ「6のしま?」 アキホ「この5のしまからさらに南に行ったところにある島です。北にはへんげのどうくつと言う、今や名前の由来も知れない洞窟がありまして、 南に行くと遺跡の谷と呼ばれる、大きな峡谷があるんです。」 マサト「トモヤさんは、以前6のしまに行った時はどこに足を運んだんですか?」 トモヤ「みずのさんぽみちと言う、海のポケモンがたくさん生息しているところに行ったことがあるんだけど、へんげのどうくつや遺跡の谷までは 行けなかったんだ。だから、きっとあの辺りにサファイアにつながる手がかりが眠っていると思うよ。」 コトミ「そうだったんですか・・・。マサト、次は6のしまね。早くニシキ博士の夢、叶えてあげようね!」 マサト「うん!」 こうして、マサト達は5のしまから船に乗り、6のしまに向かうことになった。 果たして、ルビーと対になる特別なサファイアは、どこに眠っているのであろうか。 Chapter-17に続く。 <初出> (1):2009年8月30日、(2):2009年9月5日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。