Chapter-24『7のしま!しっぽうけいこくのヒトカゲ!!』 (1) 1のしまのネットワークマシンを完成させたマサト達は、1のしまから船に乗り、ナナシマ・バトルチャンピオンシップスの行われる7のしまに 向かっていた。 海はどこまでも青く広がっており、空には白い雲が浮かんでいる。周りにこれまで足を運んだ島々が視界に入ることもあるが、もうネイス神殿の姿を 見ることはできない。 マサト「そう言えば、これから行く7のしまって、どう言うところなんですか?」 トモヤ「7のしまは、『終わりなく果てしなき求め島』って言われていて、島の南に行くとしっぽうけいこくって言う、広大な山道が広がっているんだ。 そしてさらに南に行くと、アスカナ遺跡って言う、古代の遺跡があるんだよ。」 ミキ「アスカナ遺跡は、およそ1500年前に古代人が作ったって言われているの。ネイス神殿とはまた別の流れと考えられているわ。」 ルリカ「ジョウト地方にも、同じ頃作られたアルフの遺跡って言う遺跡があるの。古代ポケモンを化石から再生する技術が進んでいて、生息していた時代の 生態系がそのまま再現されているのよ。アスカナ遺跡とアルフの遺跡がほぼ同じ頃に作られたと考えられているから、 何かしらの関連があるんじゃないかって言われているわ。」 ユカリ「そして、島の北に行くと、バトルチャンピオンシップスの会場があるのよ。ポケモンバトルにポケモンコンテストと、部門ごとに分かれていて、 参加するのはどちらか一方になるけど、たとえば知り合いがもう一方の方に参加したときのために、試合はちゃんと調整されているわ。」 コトミ「そうですかぁ。皆さんが参加している方を見学することも自由にできるんですね。」 ルリカ「うん。私はバトルの方でゲスト解説として参加するから、そこまで自由な見学はできないかもしれないけど、でもみんなの実力ならいい勝負に なると思うわ。私も実況席から応援するわね!」 一同「はい!」 やがて船は7のしまの港に到着した。 マサト達が船を下りると、声をかけてきた人物がいた。女の子の声だ。 女の子の声「あ、ルリカお姉ちゃん!」 ルリカはその声に気づいて振り返った。以前色違いのセレビィがきっかけで親しくなったレイカだった。 ルリカ「レイカちゃん!久しぶりね!」 レイカ「うん。私もバトルチャンピオンシップスに出ようと思ってるの。ルリカお姉ちゃんも元気でよかった。あ、後ろのお兄ちゃんやお姉ちゃんって、 ルリカお姉ちゃんのお友達?」 ルリカ「うん、そうよ。紹介するわね。」 マサト「僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 トモヤ「私はトモヤと言います。」 ミキ「あたしはミキ。よろしくね!」 ユカリ「あたしはユカリ。仲良くしてね!」 レイカ「初めまして。私はレイカ。お兄ちゃんやお姉ちゃんとはライバルになるんだね。よろしくお願いします!」 ルリカ「あれ?レイカちゃん、そう言えばミノル君は?」 レイカ「お兄ちゃんはシンオウ地方に行ってるの。だから今回は参加できないけど、でもルリカお姉ちゃんによろしくって言ってたわ。 あ、お兄ちゃんやお姉ちゃん達、私のお兄ちゃんは全国各地のポケモンリーグに出てるから、結構強いんだよ!」 マサト「そうなんだ。いつかお兄さんともバトルしてみたいなぁ。」 レイカ「あ、そう言えばルリカお姉ちゃん、バトルのゲスト解説をやるんでしょ?私も早く聞きたいなぁ。」 ルリカ「そうね。バトルチャンピオンシップスはみんながライバルになるんだもんね。気を引き締めていかないとね!私も心のこもった解説を やろうと思ってるわ。応援してね!」 一同「はい!」 マサト「ルリカさんは、打ち合わせとかはされるんですか?」 ルリカ「うん。もうすぐ大会が始まるし、これから会場に行って打ち合わせに入らないと間に合わないかもしれないわ。 だから私、一足早く会場に行ってるわね!」 レイカ「ルリカお姉ちゃん、また会場で会おうね!」 ルリカはマサトやレイカ達に手を振ると、会場の方向に歩いていった。 マサト「これからどうする?」 ユカリ「あたしは大会に備えてトレーニングをするつもりよ。ほら、あたし、7のしまに渡ったのはよかったんだけど、ネイス神殿の事件に 巻き込まれちゃったでしょ?だからトレーニングがあまり進んでなかったの。」 ミキ「そうなんだ。それじゃユカリさん、また会場で会いましょう!」 ユカリ「うん!マサト君達も気をつけてね!」 そう言うとユカリはルリカとは別の方向に歩いていった。 コトミ「どうしようか、あたし達?」 トモヤ「せっかくだし、しっぽうけいこくからアスカナ遺跡を見てみようか?」 ミキ「そうね。これまでネットワークマシンやロケット団との対決でゆっくりできなかったし、いろんなところを見てみたいわ。行きましょう!」 マサト・コトミ「はい!」 (2) ミキとレイカも同行、5人となったマサト達は、7のしまの南にあるしっぽうけいこくに足を踏み入れていた。 マサト「結構切り立った岩肌になってるんですね。」 コトミ「そうね。大自然の荒々しさというのが感じ取れるわ。」 トモヤ「このしっぽうけいこくは、元々は1つの岩山だったといわれているんだ。やがてここに雨が降り、雨水が岩肌を削っていき、 今私達が見ている渓谷になったといわれているんだよ。」 ミキ「7のしまは小さな島だけど、カントーやホウエン、ジョウトと比べても暖かい土地だから、いろんなポケモンが生息しているわ。 他の場所では見られないポケモンだっているかもしれないわね。」 レイカ「すごーい!トモヤお兄ちゃんとミキお姉ちゃんって、いろんな事、知ってるんだね。」 トモヤ「そうかな?私はずっとナナシマの歴史や自然を調べてて、それでこの地方は詳しいんだよ。」 ミキ「あたしはね、カントーからジョウト、ホウエン、シンオウといろんな地方を回ったのよ。あたしとルリカお姉ちゃんは、ホウエンリーグの 決勝トーナメントで対戦したの。結果はあたしが負けちゃったんだけど、でもお互いにいいライバルだわ。そしてマサト君は、ホウエンにある トウカジムのジムリーダー、センリさんのお子さんなのよ。」 レイカ「確かお兄ちゃんに聞いたことがあるわ。マサト君って言うんだよね。マサト君のお姉さんはホウエンの舞姫って言われてるんでしょ? 各地のコンテストを渡り歩いて数々の成績を収めたトップコーディネーターって聞いたわ。」 マサト「うん。僕、まだ自分のポケモンを持てなかったときから、お姉ちゃんやサトシ達と一緒に、ホウエンからカントーを旅したんだ。 お姉ちゃんは僕が家に帰った後も、ジョウトからシンオウを1人で旅していたんだよ(※1)。」 レイカ「みんな、すごーい!確かサトシお兄ちゃんって、シンオウ地方のチャンピオンマスター・シロナさんにも認められたポケモンマスターでしょ? そんな人とお友達なんて、マサト君、うらやましいわ。」 マサト「それほどでもないよ。僕がホウエンに帰るとき、サトシとは『僕がポケモントレーナーになったら一番にサトシとバトルする』って約束してたんだ。 でも今のサトシはポケモンマスターとして知られているから、すぐにバトルはできないだろうってパパも言ってたんだけど、本当は僕が約束を破ったと 言われても仕方のないことなんだ。だけど、ミキさんやルリカさんは『そんな事はない』って言ってくれたんだ。」 レイカ「マサト君、サトシお兄ちゃんだっていろいろな事情があると思うよ。だから、今すぐはできないかもしれないけど、 でもいつかバトルできたらいいね!」 マサト「うん!」 マサトがそこまで言ったとき、上から不思議な光がマサト達に向かって落ちてきた。めざめるパワーだ。 コトミ「きゃっ!何、今の!?」 ミキ「みんな、上よ!」 ミキが指さした方向には1匹のポケモンがいた。ヒトカゲだ。 トモヤ「ヒトカゲだ!野生のヒトカゲってかなり珍しいぞ!」 レイカ「確かヒトカゲって、マサラタウンの初心者用ポケモンの1つでしょ?」 ミキ「よく知ってるわね。マサラタウンの最初の3匹は、ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの3匹よ。サトシ君も本当はこの3匹から1つ選ぶ事に なってたんだけど、同じ日にマサラタウンを旅立ったトレーナーがみんな持って行ってしまったらしくて、それでサトシ君はピカチュウを連れて 旅立ったのよ。」 マサト「あのヒトカゲ、僕がゲットする!」 ミキ「マサト君が行くの?」 マサト「うん!サトシはたまにリザードンを連れてたんだけど、最初の頃はなかなかサトシの言う事を聞いてくれなかったみたいなんだ。でもサトシと 一緒に旅を続けていくうちに、リザードンもサトシの言う事を聞いてくれて、そしてあそこまで強くなれたって聞いたんだ。だから、僕もサトシみたいに リザードンを育ててみたい!」 レイカ「マサト君、負けないで!」 こうして、野生のヒトカゲをゲットするため、マサトが挑戦する事になった。果たして、マサトは無事にヒトカゲをゲットできるのだろうか。 (3) しっぽうけいこくでマサト達が見かけた野生のヒトカゲ。もともとヒトカゲは野生として生息すること自体珍しいポケモンである。マサトはそれを ゲットすることになった。 マサト「行け、スリーパー!」 マサトはスリーパーを繰り出した。 ヒトカゲはスリーパーに気づくと、一声上げて気合いを高めた。 コトミ「あれは?」 トモヤ「とおぼえ(※2)!?しかし、ヒトカゲは普通とおぼえは覚えないはずだが・・・。」 ミキ「きっとあのヒトカゲ、カントーなどでよく見るのとは覚えている技が違うんだと思うわ。マサト君、気をつけてね!」 マサト「スリーパー、さいみんじゅつ!」 スリーパーがさいみんじゅつを放つ。眠り状態にして相手の行動を封じる作戦だろう。 ヒトカゲはさいみんじゅつをかわすと、勢いよくスリーパーに突っ込んだ。それもかなりスピードが速い。 ミキ「あれはでんこうせっかよ(※3)!それにしてもあのヒトカゲ、かなりやるわ。でんこうせっかも通常は覚えないはずよ。 マサト君、相手をよく見てね!」 マサト「うん!スリーパー、サイコキネシス!」 スリーパーがサイコキネシスを放った。ヒトカゲはサイコキネシスで行動を封じられてしまった。 マサト「スリーパー、続いてずつき!」 スリーパーがずつきを放つ。勢いよく吹っ飛ばされたヒトカゲだが、まだやる気満々だ。体勢を立て直すやいなやかえんほうしゃを放った。 レイカ「マサト君、気をつけて!」 マサト「スリーパー、もう一度サイコキネシス!」 スリーパーがサイコキネシスでかえんほうしゃの方向を変える。かえんほうしゃはそのままヒトカゲに向かって突っ込んだ。しかしヒトカゲは穴を掘って 地中に潜り、かえんほうしゃをかわした。 ミキ「マサト君、ヒトカゲはどこから現れるかわからないから、慎重にね!」 マサト「(落ち着け。あなをほる攻撃は相手が地面から出たところを狙えば、自分の攻撃も確実に命中するはず。だから・・・。) スリーパー、足下に注意して!」 スリーパーが神経を足下に集中させる。 マサト「今だ!行け、かみなりパンチ!」 スリーパーが地面にかみなりパンチを放つ。ちょうど地上に出るところだったヒトカゲにもろに命中、しかも麻痺してしまった。 マサト「行け、モンスターボール!」 マサトがモンスターボールを投げた。ボールの光が点滅する、緊張の一瞬だ。・・・そして光が消え、マサトはヒトカゲをゲットした。 マサト「よーし!ヒトカゲ、ゲットでGO!!」 コトミ「やったね、マサト!」 スリーパーとサーナイトもポーズをとっていた。 マサト達は渓谷をさらに進んでいった。すると、向こうにいくつか島が見える場所に着いた。 トモヤ「見えたね。あの遺跡群がアスカナ遺跡と呼ばれていて、島々に1つずつの遺跡が存在しているんだ。」 ミキ「ジョウトにあるアルフの遺跡、そしてこのアスカナ遺跡。いずれも同じ頃に造られたんだけど、誰が何のために造ったのかはまだ分かっていないわ。 でも同じ頃に造られたから、何かしらの関係があるのではないかって言われているわ。 みんな、古代の遺跡はこの前のネイス神殿みたいな罠が仕掛けられてるかもしれないから、慎重に行きましょう!」 マサト・コトミ・レイカ「はい!」 こうして、マサト達は新たな仲間・ヒトカゲを加え、7のしまの最南端・アスカナ遺跡に到着した。 そこには、何が待ち受けているのだろうか。 (※1)「ジョウト地方・グランドフェスティバルの後のハルカについて」 以前も書いたことですが、アニメでは、現時点でまだジョウト地方のグランドフェスティバルは行われていませんが、便宜上ハルカはジョウトの後、 シンオウ地方に行ったものとします。 (※2・3)「ヒトカゲのとおぼえ・でんこうせっかについて」 通常プレイにおいて、ヒトカゲはとおぼえやでんこうせっかは覚えませんが、イベントでこれらを覚えるヒトカゲが入手できることから、 ヒトカゲはとおぼえとでんこうせっかを覚えられるものとします。 Chapter-25に続く。 <初出> (1):2009年12月1日、(2):2009年12月5日、(3):2009年12月6日、いずれも旧ぽけあに掲示板にて掲載。