Chapter-29『レイカとサヤカ!初めての大会!!』 (1) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは3日目を迎え、バトル大会とコンテスト大会はますますの盛り上がりを見せていた。 今日はバトル大会の予選ラウンド1回戦最終日であり、レイカが1回戦に参加する。一方のコンテスト大会も一次審査は明日までで、サヤカが一次審査に 参加することになっていた。そしてバトル大会は早くも予選ラウンド2回戦が始まり、トモヤが2回戦に出場することになっていた。 レイカ「今日は私が出場するんだね。私もこう言う大会に出るの、初めてだからちょっと緊張してるけど、でもどう言った相手とバトルできるか、 わくわくしてるの。」 マサト「そうだね。僕からのアドバイスだけど、あまり力を入れずに、楽しんでバトルできたら、いい結果が残せると思うよ。」 ルリカ「マサト君の言う通りよ。こう言う大舞台だし、緊張しない方がおかしいかもしれないけど、でも力を抜いてリラックスして臨めれば、 いい成績が出せると思うわ。私も実況席から応援してるわね!」 レイカ「ありがとう、ルリカお姉ちゃん!見ててね。私、決勝トーナメントに出場するからね!」 マサト「レイカちゃん、その意気だよ!決勝トーナメントでバトルしよう!」 レイカ「うん!」 サヤカ「レイカちゃんのバトルが終わったら、今度は私の番ね。私も初めてのコンテストになるし、まだ上手く表現できてないけど、でも一次審査を 突破して、二次審査に行って見せるわ!」 コトミ「サヤカさん、あたしも応援するからね!二次審査のコンテストバトルで会いましょう!」 サヤカ「そうね!コトミちゃん、そのときは負けないわよ!」 トモヤ「サヤカさんのコンテストが終わったら、次は私だね。予選ラウンドも2回戦、ミナモシティのヒロトキさんって言う人が相手だね。」 ルリカ「私もホウエンリーグのときにヒロトキさんとバトルしたんだけど、彼はエレキブルを使ってたわ。1回戦もエレキブルを中心に組み立ててたから、 気を付けた方がいいわ。」 ミキ「トモヤさんはどくタイプが中心でしょ?ニドキングはじめんタイプも併せ持っているから、でんきタイプの技は効かないけど、 でも油断しない方がいいわ。」 トモヤ「ありがとう。バトルとコンテスト、参加する枠を越えて交流しあう。こう言うのがポケモンのいいところだね。」 ルリカ「そうね。私も四天王として色んなチャレンジャーを迎えてきたし、トレーナーとして色々な場所に足を運んだけど、勝負が終われば同じ場所で 戦った友達になれる。本当にいいことだと思うわ。」 マサト「そうですね。僕もサトシやお姉ちゃん達と一緒に旅してたときと、今回トレーナーとしてナナシマを旅したときとで色々なことを 経験しましたけど、でも僕、こうしてバトルチャンピオンシップスに参加してよかったです。」 ルリカ「うん!そういってくれると嬉しいわ。それじゃ、私は実況に行ってるわね!」 そう言うとルリカは実況が行われるトレーナータワーに向かっていった。 ユカリ「じゃああたし達も行きましょう!レイカちゃんのバトル、一緒に応援しましょう!レイカちゃん、しっかりバトルしてね!」 レイカ「うん!」 イチロウ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会予選ラウンドも1回戦は後わずか、今回の試合に参加するのは、ジョウト地方・ シロガネタウン出身のレイカ選手と、ホウエン地方・ハジツゲタウン出身のユウト選手です!レイカ選手は、かつてカントーリーグを制覇、 現在シンオウリーグに挑戦しているミノル選手の妹さんです。ルリカさん、レイカさんやミノルさんとも親交があるそうですが?」 ルリカ「はい。レイカ選手はポケモントレーナーになるときにミノルさんからハッサムを譲り受けてもらっているんです。このハッサムの看病を一緒に したのがきっかけで親しくなったんです。」 イチロウ「レイカ選手のポケモントレーナーとしての原点は、5年前にミノルさんに連れられて行ったバトルパークでした。そして今、 ポケモントレーナーとして初めての大会に臨みます!」 ユウト「君はミノル君の妹さんで、ゲスト解説の四天王さんと知り合いみたいだね。そう言う方とバトルできることを光栄に思うよ!」 レイカ「ありがとう!見ててね、お兄ちゃん、ルリカお姉ちゃん!そしてみんな!」 レイカが観客席にいるマサト達、そして実況席にいるルリカに手を振った。放送では映されていなかったがルリカも手を振って応えていた。 そして、妹の大会の模様はシンオウ地方を旅するミノルも見ていた。コトブキシティのポケモンセンターでテレビ観戦していた。 審判「バトル開始!」 レイカの初めての大会が幕を開けた。果たして、レイカは予選ラウンドを勝ち進み、マサト達に続くことができるのだろうか。 (2) ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会予選ラウンドはマサト達の中で最後に1回戦に参加することになったレイカの試合が始まった。 相手はホウエン地方・ハジツゲタウンのユウトだ。 ユウト「行けっ!オーダイル、バクフーン!」 ユウトはオーダイルとバクフーンを繰り出した。 レイカ「出番よ!ハッサム、メガヤンマ!」 レイカはハッサムとメガヤンマを繰り出した。 ミキ「レイカちゃん、相性の面で不利みたいね。」 マサト「と言うと・・・?」 トモヤ「レイカちゃんはハッサムとメガヤンマと言う、むしタイプのポケモンを2体も使っている。対して相手のユウト選手はほのおタイプの バクフーンを使っている。ハッサムはむしタイプに加えて、はがねタイプも併せ持っているから、ほのお技をまともに受ければ大ダメージは 免れないだろうな・・・。」 レイカ「相性が悪くたって、やってみなければ始まらないわ!ハッサム、オーダイルにでんこうせっか!」 ハッサムがオーダイルに突っ込んでいく。 ユウト「バクフーン、ハッサムにかえんほうしゃ!オーダイルはハイドロポンプだ!」 バクフーンとオーダイルがハッサムにかえんほうしゃとハイドロポンプを放つ。 レイカ「メガヤンマ、技を受け止めて!まもる!」 メガヤンマがかえんほうしゃとハイドロポンプをまもるで受け止めた。そしてハッサムはまもるの上からオーダイルにでんこうせっかを叩きつけた。 まともにでんこうせっかを受けたオーダイルはまだ大丈夫そうだが、それでもダメージを相当食らっている。 ユカリ「あのハッサム、かなり鍛えられてるわね!」 ミキ「と言うことは、あのハッサムの特性はテクニシャンね。」 マサト「テクニシャン?」 ケイコ「テクニシャンって言うのは、技の威力が普段と比べて大きくなる特性のことよ。一撃の威力が低い技ほどダメージが大きくなるわ。」 ユウト「やるな!さすがはミノル君の妹さんだね。じゃあこれはどうかな?オーダイル、メガヤンマにこおりのキバ!バクフーンは ハッサムにほのおのパンチ!」 オーダイルが氷をまとったキバでメガヤンマに迫る。一方のバクフーンも炎をまとったパンチをハッサムに繰り出そうとしていた。 レイカ「メガヤンマ、かわしてバクフーンにエアスラッシュ!ハッサムはオーダイルにむしくい!」 メガヤンマがオーダイルの攻撃をかわして、エアスラッシュを放つ。攻撃をかわしてから放つまでのステップもかなり早い。そしてハッサムもむしくいで オーダイルを攻撃した。 マサト「レイカちゃんのメガヤンマ、かなり早い動作だ!攻撃をかわしてすぐエアスラッシュを放った!」 ミキ「あのメガヤンマの特性はかそくね。」 コトミ「かそく?」 トモヤ「かそくって言うのは、技を放った後、自分の素早さが上がる特性だよ。バトルが長引けば長引くほど素早くなって、技もかわしやすくなる。 レイカちゃんはまだまだ駆け出しだけど、実力は侮れないな。」 ユウト「負けるな!オーダイル、ハッサムにハイドロポンプ!バクフーンはメガヤンマにだいもんじ!」 オーダイルが強烈なハイドロポンプを放つ。そしてバクフーンが大きな大の文字を放った。 ユカリ「ハイドロポンプとだいもんじ、さっきと比べて勢いが増してるわ!」 マサト「あれはオーダイルの特性、げきりゅうとバクフーンの特性、もうかだ!」 サヤカ「げきりゅうともうかは、自分がピンチになるとそれぞれみずタイプとほのおタイプの技の威力が上がる特性よ。レイカちゃんは着実に相手の 体力を減らしてるけど、相手のユウトさんは殆どダメージを与えていないわ。だけどピンチになると技の威力が上がるから、気を付けた方がいいわね。」 レイカ「メガヤンマ、かわしてオーダイルにむしのさざめき!ハッサムはまもる!」 ハッサムはまもるでハイドロポンプを防ぐ。一方のメガヤンマは素早くだいもんじをかわして、むしのさざめきを放つ。 強烈な音波に吹き飛ばされたオーダイルは地面に叩きつけられ、戦闘不能となった。 審判「オーダイル、戦闘不能。メガヤンマの勝ち!」 イチロウ「レイカ選手、まもるを取り入れながらの着実な攻撃でオーダイルを撃破しました!」 ルリカ「まもるは連続で使うと失敗しやすいですが、これをうまく使いこなすことでダブルバトルでは有効に働くことも多いです。レイカ選手、 技の使い方をうまく心得てますね。」 ユウト「よくやったな、オーダイル。なら、次はこいつだ!行け、メガニウム!」 ユウトはメガニウムを繰り出した。 イチロウ「ユウト選手、次に出したのはメガニウムです!ルリカさん、一番のパートナーがメガニウムだそうですが、どうでしょうか?」 ルリカ「はい。メガニウムは私もよく使うポケモンですが、くさタイプにしては比較的素早いことと、耐久面に秀でているのが挙げられますね。ただし、 レイカ選手が今出しているのがハッサムにメガヤンマと、いずれもメガニウムが苦手とするむしタイプですので、そこをどう調整していくかが鍵と なりそうですね。」 ユウト「メガニウム、メガヤンマにげんしのちから!バクフーンはハッサムにだいもんじ!」 イチロウ「ああっと、メガニウム、げんしのちからを使いました!むしタイプとひこうタイプの両方に有効ないわタイプの技だ!これは果たして!」 レイカ「メガヤンマ、かわしてメガニウムにエアスラッシュ!ハッサムはジャンプしてバクフーンにつばさでうつ!」 メガヤンマはげんしのちからをかわして、エアスラッシュを放つ。メガニウムはエアスラッシュをまともに受け、大ダメージを受けてしまった。 一方のハッサムもジャンプしてだいもんじを回避、つばさでうつ攻撃に出た。ダメージが蓄積されていたバクフーンは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 ユウト「ああっ、バクフーン!」 吹っ飛ばされたバクフーンはそのまま戦闘不能となってしまった。 審判「バクフーン、戦闘不能。ハッサムの勝ち!」 イチロウ「レイカ選手、相性の悪さをものともしない戦いで、オーダイルとバクフーンを連続ノックアウト!」 ルリカ「レイカ選手はユウト選手のバトルパターンをうまく読んでいるかもしれません。ですがまだこれから反撃の機会があるかもしれません。バトルは 最後まで展開が読めないのが面白いところですね。」 ユウト「本当になかなかやるな。だが勝負は最後まで諦めない!最後のポケモンだ!行くぜ、ベロベルト!」 ユウトはベロベルトを繰り出した。 マサト「ベロベルト?」 マサトはポケモン図鑑を取り出してベロベルトをチェックした。 ケイコ「ベロベルトは、ベロリンガがころがるを覚えた状態のときに進化するポケモンよ。ベロリンガも長いベロを持つポケモンだけど、ベロベルトも ベロを使う攻撃を得意としているわ。レイカちゃん、どうやってバトルするかが問題ね。」 レイカ「行くわよ!メガヤンマはベロベルトにソニックブーム!ハッサムはメガニウムにバレットパンチ!」 メガヤンマがソニックブームを放つ。ベロベルトはまともにダメージを受けたが、まだ戦えそうだ。一方のハッサムもバレットパンチを放つが、まだ メガニウムはへこたれない。 ユウト「ベロベルト、メガヤンマにころがる攻撃!メガニウムはにほんばれだ!」 メガニウムがにほんばれで日差しを強くした。一方のベロベルトはメガヤンマに向かってころがる攻撃に入った。 レイカ「(にほんばれね・・・。と言うことは、相手はソーラービームを打つと思うわ。)メガヤンマ、メガニウムにエアスラッシュ! ハッサムはまもるでメガヤンマを援護して!」 ベロベルトのころがる攻撃をハッサムがまもるで防ぐ。一方のメガヤンマはエアスラッシュを放った。 ユウト「メガニウム、ソーラービーム!発射!」 メガニウムがほぼため無しでソーラービームを放った。 エアスラッシュとソーラービームがぶつかり合い、大爆発が起きた。果たして、この勝負の行方は・・・。 (3) ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、予選ラウンド1回戦ではレイカとユウトのバトルが繰り広げられていた。 レイカのメガヤンマのエアスラッシュとユウトのメガニウムのソーラービームがぶつかり合い、大爆発が起きた。爆発が収まると、両者とも倒れていた。 レイカ「メガヤンマ!」 ユウト「メガニウム!」 メガニウムはそれまでのダメージがたまっていたのか、戦闘不能となってしまった。一方のメガヤンマもどうにかして立ち上がったが、それでも かなり息が上がっていた。もはやこれ以上戦わせるのは無理がある。 審判「メガニウム、戦闘不能。メガヤンマの勝ち!」 イチロウ「レイカ選手、強力な技の応酬に打ち勝ち、メガニウムを下しました!これでユウト選手はベロベルト1体を残すのみとなりました。しかし メガヤンマもかなり息が上がっています!これはどう見てもこれ以上戦わせるのは難しいでしょう。」 ルリカ「そうですね。メガヤンマはさっきのバトルで相当体力を消耗したとみられますので、一度ボールに戻した方がいいのではないでしょうか。」 レイカ「ありがとう。戻って、メガヤンマ!」 レイカはメガヤンマをモンスターボールに戻した。 ユウト「レイカさん、さすがはミノル君の妹さんだね。よくやってくれるよ。だが最後の1匹だからと言って、甘く見るなよ!行くぜ、ベロベルト!」 レイカ「出番よ、スピアー!」 レイカはスピアーを繰り出した。 ユウト「ベロベルト、スピアーにころがる攻撃!」 ベロベルトがころがる攻撃でスピアーに迫る。 レイカ「スピアー、ダブルニードル!ハッサムはでんこうせっか!」 ハッサムがでんこうせっかでベロベルトを迎え撃つ。一方のスピアーもダブルニードルで応戦する。 しかしベロベルトはでんこうせっかとダブルニードルを跳ね返し、そのままスピアーにダメージを与えた。効果は抜群だ。 レイカ「ああっ、スピアー!」 スピアーは勢いよく吹っ飛ばされたが、それでもまだ戦えそうだ。しかしころがるをまともに受けたのか、動作が鈍っている。 マサト「スピアー、大丈夫!?」 ミキ「ころがるはいわタイプの技よ。しかもただの技じゃなくて、命中するたびに威力が上がっていくの。外れない限りは当てれば当てるほど 威力が上がっていくから、むしタイプのスピアーにはきついかもしれないわ。ここをどう乗り切るかが勝負ね。」 レイカ「スピアー、かげぶんしん!」 スピアーがかげぶんしんで分身を作った。 ユウト「だがころがる攻撃は当て続ければ威力が上がる!ベロベルト、分身全部にころがる攻撃!」 ベロベルトはさらに転がって攻撃を続ける。攻撃は分身の1つ1つに命中していき、気がつけば本体を残すだけとなってしまっていた。 ユウト「行け、ベロベルト!」 レイカ「スピアー、行くわよ!かわらわり!」 ベロベルトが最後に残った本体に転がっていく。それをスピアーはかわらわりで受け止める体制に入る。そして双方の技がぶつかり合い、再び爆発が起きた。 爆発が収まると、もはや限界に達していた2匹がいた。――しかしそれもつかの間、ベロベルトがゆっくりフィールドに倒れ込み、戦闘不能となった。 審判「ベロベルト、戦闘不能。スピアーの勝ち。よって勝者、シロガネタウンのレイカ!」 イチロウ「息詰まる勝負を制したのはレイカ選手です!兄に続けとポケモントレーナーとなって、初めての大会。デビュー戦を白星で、それもポケモンを 1匹も倒されずにパーフェクト勝利で飾りました!」 マサト「レイカちゃん、おめでとう!」 レイカ「みんな、ありがとう。一時はどうなることかと思ったけど、でも勝てて良かったわ。次は2回戦ね。予選ラウンドはまだ続くし、負けたらそこで 終わりだけど、でも私、予選ラウンドを勝ち抜いて、決勝トーナメントに行ってみせるわ!みんなも一緒にやっていこうね!」 ミキ「その意気よ、レイカちゃん!あたし達がついてるわ。決勝トーナメントではみんなとバトルできたらいいわね!」 トモヤ「次からはいよいよ2回戦だね。私がトップを切って臨むことになるけど、後2勝すれば決勝トーナメント進出だね。勝ち抜くことは厳しいことだと 思うけど、でもきっとやれると思う。だから次の試合も油断しないでバトルしよう!」 サヤカ「次は私がコンテストに出るのね。私もユカリさんとコトミちゃんに続くわ。初めてのコンテストだし、緊張してないって言ったら 違うことになるけど、でも二次審査に進出してみせるわ。みんな、応援よろしくね!」 ユカリ「うん!」 コトミ「サヤカさん、二次審査で会いましょう!」 サヤカ「うん!約束よ、コトミちゃん!」 コトミとサヤカは互いにハイタッチをした。 〜挿入歌・『ハイタッチ!』が流れる〜 シンイチ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、コンテスト大会もラストスパートに入り、会場の雰囲気もますますヒートアップしております! 続いて登場するのは、カントー地方はセキチクシティからやってきたサヤカ選手です!」 ミキ「サヤカさん!落ち着いて演技してね!」 サヤカは声援に応えたのか、手を振った。 ソウスケ「サヤカ選手は今回が初めてのコンテストだそうですが、果たしてどう言った演技を披露してくれるのでしょうか。とても楽しみですね。」 サヤカ「レッツゴー!ウインディ、ライボルト!」 サヤカはウインディとライボルトを繰り出した。 マサト「サヤカさん、ウインディとライボルトを持ってたんだ。」 コトミ「あのポケモンがライボルトね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してライボルトをチェックした。 ケイコ「サヤカさんはどういう演技を見せてくれるのかしら。私はほとんどバトル中心だから、コンテストの演技はバトルにどう応用できるのか、 いい勉強になるわ。」 トモヤ「バトルとコンテストは互いに刺激し合うから、技の応用も進んでいく。これは本当にいいことだね。」 ユカリ「さあ、サヤカさんの演技が始まるわよ!みんなもしっかり見ててね!」 サヤカがコンテスト大会に臨む。コトミと同じく初めてのコンテストになるサヤカだが、果たしてどう言った演技を見せてくれるのだろうか。 そして、サヤカはユカリ、コトミに続いて二次審査に進出することができるのだろうか。 (4) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスのコンテスト大会、マサト達の中では最後に一次審査に参加したサヤカの演技が幕を開けた。 サヤカ「ウインディ、ひのこ!」 ウインディがひのこを放つ。 サヤカ「続いてライボルト、スパーク!」 ライボルトがスパークの体制に入る。そしてライボルトは電気をまとってひのこに突っ込んでいき、電気と炎のコラボレーションを演じて見せた。 シンイチ「ひのことスパークが織りなす、電気と炎のコラボレーション!ダブルパフォーマンスならではの美しい演技であります!」 ソウスケ「炎と電気が織りなす美しい技。ダブルパフォーマンスは2体同時に技を使うことで、コンビネーションの可能性も無限に広がるというものです。 さて、ここからどう言った展開にしていくのでしょうか?」 サヤカ「ライボルト、ほうでん!」 ライボルトがほうでんを放つ。 サヤカ「ウインディ、ほうでんをまとってしんそく!」 ウインディがライボルトの放った放電をまとってしんそくを繰り出した。ウインディはほうでんで放たれた電気をまとってステージを 駆けめぐり、帯電していた電気を鮮やかに放った。 シンイチ「続いてはほうでんとしんそくのコンビネーション!文字通り見ている私たちをもしびれさせてくれます!」 ソウスケ「でんきタイプのライボルトとほのおタイプのウインディ、互いの個性を上手く尊重しながらいいコンビネーションを見せてくれます。 初めてのコンテストとはとても思えないくらい良くできてますね。」 サヤカ「さあ、フィニッシュよ!ウインディ、かえんほうしゃ!」 ウインディがかえんほうしゃを放つ。そしてかえんほうしゃで出来た火球にウインディが飛び込んだ。 サヤカ「ライボルト、火球に10まんボルト!」 ライボルトが10まんボルトを放つ。10まんボルトをまとった火球にウインディが飛び込んでいき、そして火球をまとったまま勢いよく着地した。 ウインディは火球を振り払い、着地のポーズを決めて見せた。 シンイチ「まさに炎と電気のイリュージョン!文字通り熱く、そしてしびれさせてくれる演技でした!」 ユカリ「サヤカさん、お疲れ様!」 コトミ「とても良くできてたよ!炎と電気のコンビネーション、とても印象に残ったわ。」 サヤカ「ありがとう。でもこれでもまだ完成していないのよ。だから一次審査を突破できるかちょっと不安だけど、 でもやれるだけのことはやったって思ってるわ。」 ミキ「サヤカさん、あたしが見ていてもレベルの高い演技だったと思うわ。コトミちゃんやユカリさんにも負けないくらいの演技だったわ。 初めてのコンテストにしてはすごく良くできてたと思うわ。」 サヤカ「うれしいわ、そう言ってくれて。後は結果発表ね。」 マサト「あ、もう始まるよ!」 マサトが言った通り、場内のテレビは結果発表を伝えていた。 シンイチ「皆様、お待たせいたしました。ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、コンテスト大会一次審査3日目・午前の部の結果発表であります! エントリーした192名の中から、二次審査であるコンテストバトルに進めるのは32名。果たして、どう言った顔ぶれが入っているのでしょうか! それでは結果発表です!」 そして、前々日・前日と同じく顔写真が流れ始める。もちろんこの顔写真に映し出された人物が二次審査に進出できるのは言うまでもない。 1人、2人と映し出されていく。が、10人、20人の顔写真が映し出されてもサヤカが映し出される気配がなかった。 ・・・と、24人目でサヤカの顔写真が映し出された。 サヤカ「私だわ!私、一次審査を突破したのね!」 コトミ「おめでとう、サヤカさん!」 ユカリ「次はコンテストバトルね。あたし達、みんな揃って一次審査を突破できたわね。まだバトル大会は予選ラウンドが続いているけど、 コンテスト大会の方は一応一安心ね。」 マサト「確か次はトモヤさんでしたね。」 トモヤ「ああ。予選ラウンドは2回戦になる。次の相手はかつてルリカさんがバトルしたところによると、かなり手強い相手だと聞いている。 でも誰が相手だろうと私は勝ち進んでいく。みんな、応援よろしく頼むよ!」 一同「はい!」 イチロウ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会はいよいよ予選ラウンド2回戦に入りました!決勝トーナメントに 進出するためには、あと2回勝たなければなりません。もちろん負けてしまえばそこで終わりです。そして決勝トーナメントに進出しても負けたら 終わりなのは同じです。絶対に負けられない戦いがここにはあります。」 ルリカ「そうですね。予選ラウンドから決勝トーナメントまで、一度でも負けてしまえばそこで終わりというのが今回の特徴ですね。例えば ジョウトリーグは、予選はリーグ戦形式になっていますが、それでも勝ち点が足りないと予選敗退と言うことになります。ましてや今回は負けたら そこで終わりと言うことになっていますので、選手達は入念に準備して臨んでいると考えられますね。」 イチロウ「さて次の試合は、ジョウト地方・ラフォールタウンのトモヤ選手と、ホウエン地方・ミナモシティのヒロトキ選手です!ヒロトキ選手、 1回戦は素早いポケモン同士の接戦の末、ユキオ選手に競り勝って2回戦に駒を進めました。一方のトモヤ選手はどくタイプを中心としたパーティで 1回戦を制しましたが、果たして両者、どちらに軍配が上がるのでしょうか!」 ルリカ「ヒロトキ選手はエレキブルを中心に組み立てているチームという印象が伺えました。かつてホウエンリーグで私とバトルしたときもエレキブルを 使っていましたし、恐らくヒロトキ選手はエレキブルをエースとして捉えているのでしょう。対するトモヤ選手はニドキングが中心となっている構成です。 ニドキングはどくタイプですが、じめんタイプを併せ持っていることを考えると、トモヤ選手にやや分がありそうですが、でもこれはバトルしてみないと 分からないことです。どう言った展開になるのか、気になりますね。」 ヒロトキ「ふっ、俺の方が出来るんでねえの?」 トモヤ「それはやってみなければ分からないだろう!」 マサト「あの人がかつてルリカさんがバトルしたって言うヒロトキさんだね。」 ミキ「確かあのとき、ルリカさんはマリルリでエレキブルに挑んでたわ。相性の悪いポケモンだけど、それを跳ね返して予備選を勝ち抜いたのよ。 だからトモヤさんも、相手のペースに巻き込まれなければ十分に勝機はあると思うわ。」 審判「バトル開始!」 かくしてトモヤが予選ラウンド2回戦に挑むことになった。相手はかつてホウエンリーグでルリカと対戦したことのある強者・ヒロトキ。 トモヤはいったいどう言ったバトルを見せてくれるのだろうか。 Chapter-30に続く。 <初出> 全編書き下ろし。