Chapter-30『激戦の予選ラウンド!決勝トーナメントに向かって!!』 (1) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはマサト達の中でコンテスト大会に出場したコトミ、ユカリ、サヤカの一次審査が終わり、マサト達の バトル大会予選ラウンドが続いていた。予選ラウンドも2回戦となり、トモヤとヒロトキのバトルが幕を開けた。 トモヤ「行け!ニドキング、マタドガス!」 トモヤはニドキングとマタドガスを繰り出した。 ヒロトキ「行くぞ!エレキブル、ランターン!」 ヒロトキはエレキブルとランターンを繰り出した。 コトミ「トモヤさん、マタドガスも持ってたのね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してマタドガスをチェックした。 ユカリ「でも、じめんタイプを併せ持つニドキングはランターンに対して不利かもしれないわ。」 コトミ「えっ、どうして?」 ミキ「ランターンはでんきタイプだけど、みずタイプも併せ持っているのよ。確かにじめんタイプにはでんきタイプの技が効かないけど、でもランターンは みずタイプを併せ持っているから、厳しいバトルになるかもしれないわね。」 マサト「トモヤさん、油断しないでね!」 ヒロトキ「ランターン、ほうでん!」 ランターンがほうでんをした。ほうでんはダブルバトルでは使ったポケモン以外全員にダメージを与える技である。ヒロトキはエレキブルに対して何の 指示も出していないが、これはどう言うことだろう。 トモヤ「マタドガス、まもる!ニドキングは攻撃を受け止めろ!」 マタドガスが守りの体制に入る。ニドキングはじめんタイプと言うこともあるのか、ほうでんを受け止めている。 マサト「えっ、相手はエレキブルに何の指示も出してないよ!どう言うことなの?」 ミキ「エレキブルは、でんきエンジンって言う特性を持っているのよ。」 コトミ「でんきエンジン?」 サヤカ「でんきエンジンは、でんきタイプの技を受けると素早さが上がる特性なのよ。素早くなればなるほど勝負も有利に進められるわ。レイカちゃんの メガヤンマのかそくと似てるわね。」 レイカ「油断しないでね、トモヤお兄ちゃん!」 ヒロトキ「ふっ。このエレキブルにでんき技は無意味だと言うことだよ。エレキブル、ニドキングにれいとうパンチ!」 トモヤ「ニドキング、かわせ!」 ニドキングはれいとうパンチをかわそうとするが、エレキブルの素早さはほうでんを受けて強化されたのか、ニドキングがかわす間もなく 強烈なれいとうパンチが命中してしまった。効果は抜群だ。 ヒロトキ「続いてランターン、マタドガスに10まんボルト!」 ランターンがマタドガスに10まんボルトを放った。 トモヤ「マタドガス、まもる!」マタドガスは再びまもるの体制に入ろうとする。が、まもるの発動がない。 マサト「あれっ、マタドガスはまもるを使ったのに、全然発動しないよ?」 ミキ「まもるは連続で使うと技の発動の確率が下がるのよ。だから今のまもるは失敗になるわね。」 コトミ「えっ、じゃあマタドガスは!?」 果たしてまもるが発動しなかったマタドガスは、ランターンの10まんボルトをもろに受けてしまった。 トモヤ「ああっ、マタドガス!」 ヒロトキ「まもるは連続で使うと発動しにくくなる。それぐらいは知ってて当然だろう?」 トモヤ「(ちっ・・・。)マタドガス、ランターンにヘドロばくだん!ニドキングはエレキブルにだいちのちから!」 マタドガスがヘドロばくだんを、ニドキングがだいちのちからをそれぞれ放つ。 ヒロトキ「ランターン、ハイドロポンプでヘドロばくだんを撃ち落とせ!エレキブルはジャンプ!」 ランターンがハイドロポンプでヘドロばくだんを払い落とす。一方のエレキブルも素早くジャンプしてだいちのちからをかわした。 トモヤ「ニドキング、エレキブルが着地したときを狙え!どくづき!」 ニドキングがどくづきを打ち込んだ。ちょうど着地したところだったエレキブルは突然の攻撃を避けきれず、どくづきをまともに受けた。 トモヤ「今だ、ニドキング!エレキブルにメガホーン!」 さらにニドキングがメガホーンを放つ。連続で攻撃を受けたエレキブルはフェンスまで吹っ飛ばされ、戦闘不能になった。 審判「エレキブル、戦闘不能。ニドキングの勝ち!」 イチロウ「でんきエンジンの効果を跳ね返し、トモヤ選手、ヒロトキ選手の主力のエレキブルを退けました!」 ルリカ「主力のポケモンが戦闘不能になると、それだけで戦力が大幅に下がるといっても過言ではないと思います。ヒロトキ選手はここからどう立て直して いくのか、あるいはこのままトモヤ選手のペースに持ち込むのか、どちらに傾くかで戦局は大きく違っていくと思いますね。」 ヒロトキ「行くぞ、マニューラ!」 ヒロトキはマニューラを繰り出した。 イチロウ「ヒロトキ選手が次に出したのはマニューラです!あくタイプながらこおりタイプを併せ持つマニューラはニドキングに対して有利に 戦えそうですが、さてこれからどうなるのでしょうか?」 ヒロトキ「マニューラ、ニドキングにこおりのつぶて!ランターンはマタドガスにハイドロポンプ!」 トモヤ「ニドキング、まもる!」 ニドキングが守りの体制に入る。が、マタドガスには技の指示が出されていない。 マサト「トモヤさん、マタドガスに技の指示を出してないよ?」 コトミ「どうしてなの?」 ケイコ「違うわ。もしかしたらトモヤさんの作戦かもしれないわね。」 マサト「作戦?」 トモヤ「マタドガス、ハイドロポンプをぎりぎりまで引き付けろ!」 マタドガスはランターンのハイドロポンプを引き付ける作戦に入る。他方のニドキングもまもるの体制のままマニューラのこおりのつぶてを引き付けている。 トモヤ「今だ、マタドガス!だいばくはつだ!」 マタドガスがだいばくはつを放った。自分が瀕死になる代わりに相手に大ダメージを与える技である。ダブルバトルでは自分のもう一方のポケモンも ダメージを受けてしまうが、まもるなどで防御していた場合はダメージを受けない。トモヤの作戦だったのだろう。 だいばくはつで生じた爆風に巻き込まれたマニューラとランターンはたちまち吹っ飛ばされ、フェンスに叩きつけられた。2匹とも立ち上がることも出来ず、 そのまま戦闘不能となった。そして、だいばくはつを放ったマタドガスもまた戦闘不能になった。 審判「マタドガス、マニューラ、ランターン、両者戦闘不能!」 イチロウ「トモヤ選手、マタドガスの捨て身のだいばくはつでマニューラとランターンを一気に戦闘不能にしました!さあ、これでヒロトキ選手は残り1体、 トモヤ選手は残り3体となっています!」 ルリカ「ダブルバトルは自分のポケモンが残り1体になってしまうとかなり厳しくなりますが、それでも最後まで行方が分からないのがポケモンバトルの 奥深さだと思います。さあ、両者が次に出すポケモンがどう言うものか、気になりますね。」 トモヤ「行け、ウツボット!」 トモヤはウツボットを繰り出した。 コトミ「トモヤさん、ウツボットも持ってたのね。どくタイプがお気に入りなのかしら。」 コトミはそう言いながらポケモン図鑑でウツボットをチェックした。 ヒロトキ「行くぞ、ボスゴドラ!」 ヒロトキはボスゴドラを繰り出した。 ユカリ「まずいわ!トモヤさんのパーティだとはがねタイプに対して相性が悪いわ!」 マサト「それって、どくタイプの技がはがねタイプに対してほとんど効かないって言うこと?」 ミキ「うん。はがねタイプの技はどくタイプに対して普通にダメージを与えられるけど、逆にどくタイプの技ははがねタイプのポケモンにダメージを 与えられないのよ。これはもしかしたら、厳しい戦いになるかもしれないわね。」 ヒロトキのポケモンを残り1体まで追い詰めたトモヤ。しかし、ヒロトキが最後に繰り出したのはどくタイプの技が通用しないボスゴドラだった。 果たして、この状況を覆して、トモヤは3回戦に進出できるのだろうか。 (2) ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会の予選ラウンド2回戦ではトモヤとヒロトキのバトルが繰り広げられていた。既にトモヤはヒロトキを 残り1体まで追い詰めていた。が、ヒロトキが最後に繰り出したのはどくタイプの技が通用しないボスゴドラだった。 ヒロトキ「はがねタイプにどくタイプの技は通用しない。なすすべもないんでねえの?」 トモヤ「それくらい、やってみないと分からないだろう!ニドキング、にどげり!ウツボットはエナジーボール!」 ウツボットがエナジーボールを放つ。そしてニドキングもにどげりでボスゴドラを攻撃した。 はがねタイプとはいえ、いわタイプも併せ持っているボスゴドラに対して、エナジーボールはそこそこの威力がある。またにどげりは効果抜群以上の ダメージを与えることができた。しかし、ボスゴドラはそれくらいではへこたれる様子など見受けられない。 トモヤ「何っ!?」 マサト「あれほどの攻撃を受けても全然平気みたいだ!」 ヒロトキ「ふっ。ボスゴドラは守りが固い。ちょっとやそっとのダメージでは倒せないぞ!」 トモヤ「それならこれでどうだ!ニドキング、だいちのちから!」 ニドキングがだいちのちからを放つ。 ヒロトキ「ボスゴドラ、かわしてニドキングにすてみタックル!」 ボスゴドラはだいちのちからをかわすと、ニドキングに強烈なすてみタックルを打ちかました。勢いよく吹っ飛ばされたニドキングはフェンスに 叩きつけられ、倒れ込んでしまった。 トモヤ「ああっ、ニドキング!」 ニドキングは辛うじて立ち上がったが、今の一撃でかなりダメージを受けたのは誰が見ても一目瞭然だった。が、反動のダメージを受けたはずの ボスゴドラはいとも涼しげな表情を浮かべているではないか。 マサト「あのボスゴドラ、すてみタックルの反動を受けてないみたいだ!」 ユカリ「あれはボスゴドラの特性、いしあたまね。」 コトミ「いしあたま?」 ミキ「いしあたまって言うのは、すてみタックルやとっしん、もろはのずつきと言った反動を受ける技のダメージを受けない特性なのよ。本来、 すてみタックルなどの技を使うと自分もかなりダメージを受けてしまうけど、いしあたま特性のポケモンはその反動を受けないで済むわ。 トモヤさんにとってはかなり不利な展開になるかもしれないわね。」 ヒロトキ「続いてボスゴドラ、ウツボットにもろはのずつき!」 ボスゴドラがもろはのずつきを叩き込む。 トモヤ「ウツボット、まもる!」 ウツボットがまもるの体制に入り、もろはのずつきから身を守った。 トモヤ「ニドキング、もう一度だいちのちから!」 ニドキングが再びだいちのちからを放つ。 ヒロトキ「ボスゴドラ、かわしてニドキングにとっしん!」 ボスゴドラはだいちのちからをかわすと、ニドキングにとっしん攻撃を打ち込んだ。 トモヤ「ニドキング、かわせ!」 ニドキングはとっしんをかわそうとした。が、かわす方向を読んでいたボスゴドラは容赦なくとっしんを打ち込み、ニドキングを吹っ飛ばしてしまった。 トモヤ「ニドキング!」 ニドキングは地面に叩きつけられ、戦闘不能となってしまった。 審判「ニドキング、戦闘不能。ボスゴドラの勝ち!」 イチロウ「ヒロトキ選手、ボスゴドラのいしあたま特性を活かしたすてみタックルからとっしんの連続攻撃で、ニドキングをノックアウト! これでトモヤ選手の残りポケモンは2体となりました!」 ルリカ「トモヤ選手にとってニドキングは主力ポケモンとも言うべき存在でした。これで両者とも主力が倒れた中でバトルすることになりますが、さて トモヤ選手は次はどう言うポケモンを出すのでしょうか。」 トモヤ「(最後のポケモンか・・・。)行け、ドクロッグ!」 トモヤはドクロッグを繰り出した。 ヒロトキ「ボスゴドラ、ウツボットにもろはのずつき!」 ボスゴドラが再びもろはのずつきの体制に入る。 トモヤ「ウツボット、つるのムチでジャンプだ!」 ウツボットがつるのムチでジャンプする。だがボスゴドラもウツボットのジャンプを読んでいたのか、飛び上がってもろはのずつきの構えに入った。 トモヤ「ウツボット、エナジーボール!」 ウツボットがエナジーボールを放つ。しかしボスゴドラはエナジーボールを突き破り、ウツボットにもろはのずつきを食らわせた。 トモヤ「ああっ、ウツボット!」 ウツボットは地面に叩きつけられ、大ダメージを受けた。辛うじて戦闘不能は免れたものの、既にかなり息が上がっている。次にダメージを受ければ 戦闘不能は免れないだろう。 そしてジャンプしたボスゴドラが着地しようとしていた。 トモヤ「(待て。ボスゴドラはジャンプして着地しようとしている。今だ。)ドクロッグ、ボスゴドラが着地したところを狙え!けたぐり!」 ドクロッグはボスゴドラの着地を狙い、けたぐり攻撃をした。ちょうど着地したところに足を蹴られたボスゴドラはたまらず地面に叩きつけられた。 ヒロトキ「ボスゴドラ!」 けたぐりはかくとうタイプの技。そしてボスゴドラははがねタイプといわタイプを併せ持っており、かくとうタイプの技のダメージがさらに大きくなった。 ましてけたぐりは体重が重いほど大ダメージになる技である。 強烈な一撃を受けたボスゴドラはたちまち戦闘不能になってしまっていた。 審判「ボスゴドラ、戦闘不能。ドクロッグの勝ち。よって勝者、ラフォールタウンのトモヤ!」 イチロウ「やりました!トモヤ選手、相性の悪いはがねタイプのボスゴドラを相手に戦い抜き、3回戦進出です!」 マサト「トモヤさん、すごい!」 トモヤ「それほどでもないよ。相手がボスゴドラを出したとき、これはまずいなと思ったけど、でもドクロッグがけたぐりを使えることを思い出して 指示したんだ。次勝てばいよいよ決勝トーナメントだから、次も油断しないで臨もうと思ってるよ。」 コトミ「うん。予選ラウンドはもう2回戦。明日はまずミキさん、そしてマサトの番ね。ミキさん、準備は出来てる?」 ミキ「うん。相手がどう言ったポケモンを使うか、どう言う戦術を繰り出すかによって使うポケモンも変わるわ。だけど次の試合も勝ち進んで見せるわ。 みんな、応援してね!」 一同「はい!」 マサト「ミキさんの次は僕だね。1試合をどう勝ち抜いていくかが大切だけど、でも僕、今こうやってバトルできて、僕自身も 成長してるって思ってるんだ。」 ケイコ「マサト君のバトルの次は私の番ね。参加してる人達って、みんな本当にレベルが高いって思うけど、でも最後まで諦めなければ きっと勝ち抜いていけると思うわ。だからみんな、さらに上を目指して、しっかりバトルしましょう!」 翌日、大会4日目を迎えたナナシマ・バトルチャンピオンシップスは、コンテスト大会は今日で一次審査がすべて終了する。マサト達の中で コンテスト大会に参加しているコトミ達は既に全員二次審査・コンテストバトル進出が決定しており、マサト達の参加するバトル大会が残っていた。 そのバトル大会は予選ラウンド2回戦が行われており、オレンジ諸島・ダイダイ島出身のマサツグを相手にミキがバトルを繰り広げていた。 ミキは最初に出したエーフィとルカリオがそのまま残っており、マサツグのポケモンを最後の1体・カバルドンを残すだけとしていた。 ミキ「ルカリオ、はどうだん!」 ルカリオがはどうだんを放つ。はどうだんはカバルドンを吹っ飛ばして、戦闘不能にした。 審判「カバルドン、戦闘不能。ルカリオの勝ち。よって勝者、ヤマブキシティのミキ!」 イチロウ「ミキ選手、2回戦も危なげないバトルで勝利を納めました!3回戦進出です!」 コトミ「ミキさん、やっぱりすごいね!」 ミキ「ううん。1つ1つの試合をいかに勝ち抜いていくかは運にも左右されるのよ。あたしのバトルはみんなから見るとレベルが高いって思うかも しれないけど、でもあたしはいつも全力でぶつかってるのよ。手を抜いてたら本当の強さは得られないわ。」 マサト「そうですね。僕も全力で勝ち抜けたらいいなって思います。次の試合も気合いを入れて行こうね、サーナイト!」 サーナイト「うん!」 ユカリ「マサト君が次に対戦する相手は、トキワシティのヨシカツさんって方ね。持久戦を得意としているみたいだわ。」 ミキ「中でもかげぶんしんやちいさくなるで回避率を上げた上で、さらにすなあらし状態で回避率を上げる、すながくれって言う特性を持っている ポケモンが多いわ。あたしがさっきバトルしたカバルドンもこのすなおこしの特性を持ってるのよ。マサト君、気を付けてね!」 マサト「はい!」 次はいよいよマサトの出場する試合である。相手は持久戦法を駆使して戦うヨシカツ。果たして、マサトはどう戦っていくのであろうか。 (3) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは大会4日目となり、バトル大会は予選ラウンド2回戦が行われていた。次はマサトの試合であり、カントー地方・ トキワシティ出身のヨシカツが相手だった。 イチロウ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会は予選ラウンド2回戦、見ている私たちをもはらはらさせる試合が続いています。 続いての試合は、ホウエン地方・トウカシティのマサト選手と、カントー地方・トキワシティのヨシカツ選手のバトルです!」 ルリカ「マサト選手は、1回戦はトリックルームを使いこなしたキイチ選手を相手にしましたが、相手の作戦を逆に利用しているのが印象的でしたね。 対してヨシカツ選手、1回戦からすながくれ特性を駆使して相手にじわじわとダメージを与えつつ、僅差の勝利を狙う腰を据えたバトルを 展開していました。果たして、どちらに軍配が上がるのでしょうか。注目したいところですね。」 審判「試合開始!」 マサト「行け、ユキワラシ、ガブリアス!」 マサトはユキワラシとガブリアスを繰り出した。 ヨシカツ「行くぜ!バンギラス、ノクタス!」 ヨシカツはバンギラスとノクタスを繰り出した。 と、バトルフィールドが強烈な砂嵐に見舞われた。バンギラスの特性、すなおこしが発動したのだ。 イチロウ「ああっと、バンギラスの特性・すなおこしが発動!バトルフィールドが砂嵐に覆われました!」 ルリカ「さらにノクタスはすながくれの特性を持っています。すながくれと言うのは、すなあらし状態の間は回避率が上がると言う、言わば持久戦向きの 特性と言っていいでしょう。ですがマサト選手もガブリアスがすながくれ特性を持っています。命中率の高い技があれば有利に戦えると思いますね。」 マサト「ユキワラシ、こごえるかぜ!」 ユキワラシがこごえるかぜを放った。ノクタスはくさタイプを持っており、効果は抜群だ。一方のバンギラスに対しては普通の効果だが、いずれにせよ 素早さを下げる効果がある。 ヨシカツ「ノクタス、かげぶんしん!」 ノクタスがかげぶんしんで幾つも分身を作り上げた。 ヨシカツ「バンギラス、ユキワラシにストーンエッジ!」 バンギラスがストーンエッジを放つ。いわタイプのストーンエッジはこおりタイプのユキワラシに効果抜群だ。 マサト「ユキワラシ、かげぶんしん!」 ユキワラシがかげぶんしんで分身を作る。ストーンエッジは分身の1つに命中して外れた。 マサト「ガブリアス、穴を掘って地中に潜るんだ!」 ガブリアスは穴を掘った。 ヨシカツ「ノクタス、ユキワラシにだましうち!」 ノクタスがだましうちを放った。ユキワラシはよける間もなくダメージを受けた。むしろよける猶予も与えられていなかったと言った方が的確だろうか。 コトミ「えっ、ユキワラシはどうしてだましうちをよけられなかったの?」 ミキ「だましうちって言うのは、相手の回避率を無視して確実にダメージを与えることのできる技なのよ。しかもノクタスはあくタイプだから、 だましうちを使ったときのダメージも大きくなるわ。まもるなどでかわすかしないとダメージを防ぐことは出来ないわ。マサト君、かなり厳しい相手と バトルすることになったわね。」 ヨシカツ「ノクタス、ガブリアスを地面から引っ張り出せ!地面に向かってニードルアーム!」 ノクタスがフィールドにニードルアームを放つ。衝撃でフィールドに穴が開き、ガブリアスの姿があらわになってしまった。 ヨシカツ「今だ!」 マサト「ガブリアス、ひるまないで行け!」 ガブリアスは腕を振り上げた。と、腕が白く光ったかと思うと、ノクタスに強烈な一撃を叩きつけた。 大ダメージを受けたノクタスはそのまま地面に叩きつけられ、戦闘不能になった。あっという間の出来事だった。 審判「ノクタス、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 コトミ「今の技、何!?」 トモヤ「あれはかわらわりだね。」 コトミ「かわらわり?」 ユカリ「かわらわりはかくとうタイプの技よ。ノクタスはあくタイプも併せ持っているから、かくとうタイプの技を受けたときのダメージが大きく なったのよ。マサト君のガブリアス、新しい技を次々に覚えるわね。よく育てられてると思うわ。」 イチロウ「ガブリアス、新たに覚えたかわらわりでノクタスをノックアウト!」 ルリカ「新しく技を覚えるタイミングはポケモンごとに違うわけですが、このガブリアスは1回戦のときのギガインパクトに続いて 強力な技を覚えてくれますね。」 マサト「ガブリアス、すごい!かわらわりを覚えたんだね!」 ヨシカツ「よく育てられてるな、そのガブリアス。なら俺だって負けてないぜ!行け、ダグトリオ!」 ヨシカツはダグトリオを繰り出した。 コトミ「あのポケモンがダグトリオね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してダグトリオをチェックした。 ケイコ「ダグトリオはありじごくとすながくれの2つの特性を持っているんだけど、このパーティに組み込んであると言うことは、もしかしたら あのダグトリオはすながくれの特性かもしれないわね。」 レイカ「ありじごく?」 ミキ「ありじごくって言うのは、ひこうタイプのポケモンとふゆう特性を持つポケモン以外は交代が出来なくなる特性なのよ。自分にとって有利な相手を フィールドに閉じこめたまま、相性のいい攻撃を一方的に与えることも出来るのよ。でもこの場に出ていると言うことは、すながくれ特性で回避率を 上げる作戦なのかもしれないわね。」 ヨシカツ「ダグトリオ、かげぶんしん!」 ダグトリオがかげぶんしんで分身を作る。 マサト「ユキワラシ、フィールド中にれいとうビーム!ガブリアスは地中にもぐってかわせ!」 ガブリアスが再び穴を掘って地中に潜る。潜るや否やユキワラシがフィールド一面にれいとうビームを放った。 れいとうビームはダグトリオやバンギラスにダメージを与えただけでなく、フィールドを覆っていたすなあらしをも吹き飛ばしてしまった。 トモヤ「やるな、あのユキワラシ!」 サヤカ「すなあらしを吹き飛ばしたわ!」 すなあらしが収まると、れいとうビームをもろに受けたのか、凍りついて動作がとれなくなったダグトリオがたたずんでいた。バンギラスはさほどの ダメージを受けていないみたいだが、それでも幾分か息が上がっているのが見受けられた。 イチロウ「ユキワラシがフィールド一面に放ったれいとうビームが、すなあらしを吹き飛ばした!これではヨシカツ選手得意の持久戦法も 意味を成さないか!?」 ルリカ「すながくれ特性は、すなあらしの状態が収まると効果も切れてしまいます。ですので、ヨシカツ選手にしてみればやや不利に展開していくかも しれませんね。この状況をどう打開するか、それともマサト選手がこのまま試合を引っ張って行くのか、展開次第で分かれそうですね。そして マサト選手、ガブリアスが地中に潜ったままですが、どのタイミングで攻撃をするのでしょうか。」 マサト「今だ、ガブリアス!バンギラスにあなをほる攻撃!」 バンギラスの足元から出たガブリアスが強烈な一撃を浴びせた。 マサト「続いてかわらわり!」 ガブリアスが続けてかわらわりを放つ。かくとうタイプに弱いいわタイプとあくタイプを併せ持っていたバンギラスにとっては効果抜群以上の一撃を 受けてしまい、そのままバトルフィールドに倒れ込んだ。戦闘不能だった。 審判「バンギラス、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 イチロウ「マサト選手、ノクタスとバンギラスを連続ノックアウト!作戦を破られたヨシカツ選手、残すは後2体です!しかもダグトリオは まだ凍りついたまま復活しません!果たして大丈夫なのでしょうか?」 ヨシカツ「最後の1体か。でもまだまだ終わったわけではないぜ!行け、サンドパン!」 ヨシカツはサンドパンを繰り出した。 イチロウ「ヨシカツ選手、最後に繰り出したのはサンドパンだ!」 ルリカ「サンドパンもすながくれの特性を持っています。恐らくはすなあらし状態にして持久戦に持ち込むパーティだったのでしょう。 こう言った状況の中でどう体制を建て直していくのでしょうか。」 ヨシカツ「勝負はまだ終わってないぜ!行くぜ、サンドパン、ダグトリオ!」 サンドパンがうなり声をあげた。そしてダグトリオも氷を振り払い、一声あげて気合いを入れた。 イチロウ「ここでダグトリオ、こおり状態から復活だ!さあ、ヨシカツ選手はここからどう攻めていくのでしょうか!」 ここまではマサトのペースで試合が進んでいたが、ヨシカツも残り2体とはいえ、まだまだ油断はできない。果たして、マサトはこの試合を勝ち抜き、 3回戦に駒を進めることはできるのだろうか。 (4) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはバトル大会の予選ラウンド2回戦が行われており、マサトとヨシカツのバトルが繰り広げられていた。 既にマサトが2体を倒しており、ヨシカツのポケモンはダグトリオとサンドパンだけになっていた。が、ここでダグトリオがこおり状態から回復、 勝負の行方は見えなくなった。 ヨシカツ「反撃開始だ!ダグトリオ、ユキワラシにきりさく攻撃!サンドパンはガブリアスにブレイククロー!」 ダグトリオがきりさくを、サンドパンがブレイククローをそれぞれ放った。 マサト「ユキワラシ、かげぶんしん!ガブリアスは穴を掘ってかわせ!」 ユキワラシはかげぶんしんで分身を作った。一方のガブリアスは再び地中に潜る。 ヨシカツ「ダグトリオ、分身全部にきりさく攻撃だ!」 ダグトリオがユキワラシの分身全部にきりさく攻撃を放つ。 マサト「ユキワラシ、れいとうビーム!」 負けじとユキワラシもれいとうビームで迎え撃つ。 ダグトリオが分身をきりさく攻撃で消していき、本体を残すのみとなっていたが、ユキワラシのれいとうビームの方が一足早かった。 至近距離かられいとうビームをもろに受けたダグトリオは勢いよく吹っ飛ばされ、後ろにいたサンドパンに激突。2匹とも一気に後ろのフェンスまで 吹っ飛ばされ、あえなく戦闘不能となってしまった。あっという間の出来事だった。 ヨシカツ「ダグトリオ!サンドパン!」 審判「ダグトリオ、サンドパン、両者戦闘不能。ユキワラシの勝ち。よって勝者、トウカシティのマサト!」 イチロウ「あっという間の決着でした!マサト選手、ユキワラシとガブリアスの2体だけでヨシカツ選手に勝利を収めました!」 ルリカ「ヨシカツ選手も最初の方はすなあらしを駆使した戦法に持ち込もうとしていましたが、やはりユキワラシがフィールド一面にれいとうビームを 放ったのが勝負の分岐点だったのではないでしょうか。」 コトミ「やったね、マサト!」 ミキ「これでマサト君も3回戦進出ね。次の試合に勝てば、いよいよ決勝トーナメントね。でも油断は禁物よ。負けたらそこで終わりになってしまうわ。 次の試合は決勝トーナメントに進出できるかを争う重要な試合だから、相手もきっと全力でバトルすると思うわ。」 マサト「うん。僕、誰が相手だろうと全力で立ち向かっていく。次の試合も勝って、決勝トーナメントに行くんだ!」 ユカリ「うん!その意気よ、マサト君!」 マサト「そう言えば、次の相手は・・・?」 ミキ「マサト君、次の相手はニビシティのクニエさんって言う方ね。これまでのデータを見てみると、どちらかというと力押しで攻めていくタイプの 相手ね。しっかり対策を練らないと勝ち抜けないかもしれないわ。」 マサト「はい。」 トモヤ「そう言えばマサト君、ユキワラシは?」 マサト「えっ?」 今になって気がついたのだが、マサトはモンスターボールからユキワラシを出したままにしていたのだった。 ケイコ「マサト君、あれ!」 ケイコが指差した先、ちょうどマサトのバッグをユキワラシがあさっていた。 マサト「ああっ、ユキワラシ、何をするの?」 ユキワラシはバッグからあるものをおもむろに取り出した。以前ともしび山で手に入れためざめいしだ。キルリア(現在のサーナイト)は♀だったため、 エルレイドに進化できなかったのだが、それ以来バッグに入れたままにしていたのだった。 マサト「それって、めざめいし!?」 ユキワラシはめざめいしが気に入ったのか、両手で抱えていた。 と、めざめいしごとユキワラシが白く光り始めたのだった。 マサト「あっ!?」 コトミ「もしかして?」 サヤカ「間違いないわ。進化が始まったのよ!」 トモヤ「と言うことはマサト君、このユキワラシは♀だったんだ!」 ユカリ「めざめいしは♀のユキワラシに使うと進化させることができるのよ。」 言っている間にもユキワラシは光に包まれながら姿を変えていき、ユキメノコに進化したのだった。 マサト「ユキワラシ、ユキメノコに進化したんだね!」 コトミ「このポケモンがユキメノコね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してユキメノコをチェックした。 ミキ「ユキメノコはこおりタイプとゴーストタイプを併せ持つポケモンよ。なかなか育てがいがあるポケモンだと思うわ。」 マサト「これからもよろしくね、ユキメノコ!」 レイカ「次は私たちの番ね。マサト君やトモヤお兄ちゃん、ミキお姉ちゃんにも負けないくらいのバトルをするわ。応援よろしくね!」 ケイコ「私も皆さんに負けてられないわ。勢いで3回戦も勝ち抜いて見せるわ!」 ユカリ「うん!次の試合もしっかりバトルしてね!」 マサトは予選ラウンド2回戦を勝ち抜き、さらにユキワラシはユキメノコに進化した。 レイカとケイコの試合が終われば、次はいよいよ3回戦だ。決勝トーナメント進出をかけて、負けられない戦いはまだまだ続く。 Chapter-31に続く。 <初出> 全編書き下ろし。