Chapter-31『予選ラウンド3回戦!ガブリアスの意地!!』 (1) レイカ「ハッサム、メタルクロー!」 ハッサムのメタルクローがイルミーゼを吹っ飛ばした。 審判「イルミーゼ、戦闘不能。ハッサムの勝ち。よって勝者、シロガネタウンのレイカ!」 ケイコ「ボーマンダ、ドラゴンダイブ!」 ボーマンダの放ったドラゴンダイブがベトベトンを戦闘不能にした。 審判「ベトベトン、戦闘不能。ボーマンダの勝ち。よって勝者、ハナダシティのケイコ!」 ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは予選ラウンド2回戦が終わり、レイカとケイコも揃って2回戦を突破、3回戦に駒を進めた。 予選ラウンドを勝ち抜き、ここまで残ったのは512名。次に行われる3回戦を勝ち上がった256名が決勝トーナメントに進出する権利を得ることになる。 マサト「ガブリアス、りゅうせいぐん!」 コトミ「フライゴン、りゅうせいぐん!」 マサトは予選ラウンド3回戦に、コトミは二次審査・コンテストバトルに向けて技の特訓に励んでいた。ガブリアスとフライゴンが一斉にりゅうせいぐんを放つ。 高く打ち上がったりゅうせいぐんは上空できれいに分かれていき、地面に向かって落ちていった。 ミキ「うん!ガブリアスとフライゴン、りゅうせいぐんをマスターしたみたいね!」 マサト「本当ですか?やったね、ガブリアス!」 コトミ「すごいわ、フライゴン!あなた、りゅうせいぐんをマスターしたのね!」 ガブリアスとフライゴンは一声あげた。 サヤカ「やったわね。コトミちゃん、二次審査ではいい演技ができるといいね。そしてマサト君、次のバトルでうまく使いこなせたらいいね。」 マサト・コトミ「はい!」 と、そのとき後ろから1人の女性が現れた。 女性トレーナー「その程度で喜ぶなんて、まだまだお子ちゃまね。」 女性はそう言いながら、こともあろうにガブリアスの尻尾を触ったではないか。 ガブリアスは怒りの鳴き声をあげた。 マサト「おい、今どこを触ったんだ!」 女性トレーナー「尻尾!」 その女性は開き直っていた。 マサト「ふざけるな!今の接し方は間違っている!」 女性トレーナー「残念だねぇ。ウチがそれくらいでおとなしく謝ると思うの?」 マサト「何!?」 女性トレーナー「ま、せいぜい強がるのも今のうちねぇ。君とは次の試合で対戦するんだもん。コテンパンにしてあげるわ〜。」 そう言うと女性は去っていった。 マサト「あの女!あれが次の僕の相手!?」 ミキ「マサト君、落ち着いて。馬鹿にされて悔しい気持ちは分かるわ。だけどマサト君、次の対戦相手があの人なら、マサト君が勝って見返してやればいいじゃない!」 そう言うとミキはマサトの肩に手を置いた。 ミキ「人やポケモンを馬鹿にすると、言った方はすぐには何もないかもしれないけど、でもいつか言ったことが自分に跳ね返るものなのよ。マサト君、 かっとなっていたら勝てるはずのバトルに勝てないかもしれないわ。落ち着いて、深呼吸してみて。」 ミキに言われた通りにしてみると、確かにマサトも落ち着いた気分になれた。 マサト「うん。次の試合、さっきのあの女に勝って、決勝トーナメントに行って見せるよ!ガブリアス、負けてられないね!」 ガブリアスは一声あげて気合いを高めた。 かくして決勝トーナメント3回戦が幕を開けた。 トモヤ「ニドキング、どくづきだ!」 ケイコ「ボーマンダ、ドラゴンクロー!」 レイカ「ハッサム、むしくい!」 トモヤ、ケイコ、そしてレイカも順当に勝ち上がり、決勝トーナメント進出を決めた。続く試合はミキが出場する試合だった。 相手はシンオウ地方・トバリシティのユミコだった。ユミコはこれまで1回戦・2回戦と1体も倒されずにパーフェクトで勝ち抜いたと言う。相当な実力がうかがえた。 そしてこの試合が終われば、いよいよマサトの試合だった。 ユミコ「あなたがミキさんね。あなたみたいな方と一戦を交えることを光栄に思います。」 ミキ「そんな事はないわ。あたしだって、世間では有名かもしれないけど、本当は1人のトレーナーなのよ。でもあたしで良ければ、喜んでお相手してあげるわ!」 審判「試合開始!」 かくしてミキとユミコのバトルが幕を開けた。果たして、ミキはこの試合を勝ち抜き、決勝トーナメントに進出することが出来るのだろうか。そして、マサトの試合の行方は・・・。 (2) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスのバトル大会は予選ラウンド3回戦となり、ミキがシンオウ地方・トバリシティ出身のユミコを相手にしたバトルが始まった。 ミキ「行ってらっしゃい!ガブリアス、フーディン!」 ミキはガブリアスとフーディンを繰り出した。 マサト「ミキさんもガブリアスを持ってたんだ!」 コトミ「横にいるのはフーディンね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してフーディンをチェックした。 ユミコ「ムクホーク、トドゼルガ、レッツ・トライ!」 ユミコはムクホークとトドゼルガを繰り出した。 ミキ「(トドゼルガはこおりタイプとみずタイプを併せ持つ。ガブリアスは受けるダメージが大きくなるわ。それなら。) フーディン、トドゼルガにでんじは!ガブリアスはいわなだれ!」 フーディンがでんじはを放った。トドゼルガはでんじはの影響で麻痺してしまい、技が出にくくなった。さらにガブリアスがいわなだれ攻撃を放ち、 ムクホークとトドゼルガに岩の雪崩をお見舞いした。両者とも効果は抜群だ。 ユミコ「負けないで!ムクホーク、フーディンにブレイブバード!トドゼルガはふぶき!」 ムクホークがブレイブバードでフーディンに迫る。さらにトドゼルガもふぶきを放つ。 ミキ「フーディン、ムクホークにサイコキネシス!ガブリアス、まもるで受け止めて!」 ガブリアスがまもるの体制に入る。一方のフーディンはムクホークをサイコキネシスで操った。 サイコキネシスで操られたムクホークはフーディンではなく、トドゼルガの放ったふぶきに突っ込んでいき、大きなダメージを受けた。効果は抜群だ。 しかしふぶきはフーディンにも命中、ダメージを受けてしまった。 マサト「フーディンもダメージを受けた!」 ユカリ「ふぶきは相手のポケモン2体にダメージを与えることができるのよ。ミキさんはガブリアスにまもるを指示してたけど、フーディンに対してはサイコキネシスを出してたでしょ? 2体同時にダメージを与えられる技はこう言うときに威力を発揮するのよ。」 コトミ「えっ、じゃあフーディンは!?」 ユカリ「ミキさんのことよ。きっと大丈夫だと思うわ。」 ミキ「フーディン、じこさいせい!」 フーディンがじこさいせいで体力を回復する。 ユミコ「ミキさん、やっぱり強いわね。技の指示も的確だわ。でも私も負けてないですよ!ムクホーク、ガブリアスにインファイト!トドゼルガはフーディンにのしかかり!」 ムクホークがガブリアスの懐に入って攻撃を炸裂させた。インファイトだ。しかし一方のトドゼルガは攻撃の体制に入ることができない。 イチロウ「トドゼルガ、ここでまひして技が出せない!」 ルリカ「でんじはの影響でまひしてしまったのでしょう。1回でも攻撃ができないと、その後の試合運びがかなり厳しくなります。ユミコ選手、この状況をどう切り抜けるのでしょうか。」 ミキ「ガブリアス、ムクホークにドラゴンダイブ!」 ガブリアスがドラゴンダイブを放った。ムクホークは至近距離からドラゴンダイブをもろに受けてしまい、そのまま地面に叩きつけられた。 ユミコ「ムクホーク!」 ムクホークは起き上がろうとするが、そのままフィールドに倒れ込み、戦闘不能となった。 審判「ムクホーク、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 イチロウ「ガブリアス、強力なドラゴンダイブの一撃でムクホークをノックアウト!」 ルリカ「インファイトはかなり強力な技ですが、守りを捨てて懐に入る技ですので、防御面が弱くなりやすいと言う欠点を抱えています。ミキ選手の指示は的確だったと言えるでしょうね。」 ユミコ「よく戦ったわね、ムクホーク。それなら次はこのポケモンにします!ラグラージ、レッツ・トライ!」 ユミコはラグラージを繰り出した。 ミキ「戻って、フーディン!」 ミキはフーディンをモンスターボールに戻した。 マサト「フーディンを戻した!?」 トモヤ「恐らくミキさんの作戦だろう。ラグラージはみずタイプだが、じめんタイプも併せ持っている。でんじはで行動を封じる作戦は使えないと判断したんだろう。」 ミキ「行ってらっしゃい、ヨルノズク!」 ミキはヨルノズクを繰り出した。 マサト「確かサトシもヨルノズクを持ってたんだっけ。サトシのは色違いのヨルノズクだったなぁ。」 マサトはポケモン図鑑でヨルノズクをチェックした。 ミキ「ヨルノズク、おいかぜ!」 ヨルノズクはおいかぜを呼び起こした。ガブリアスとヨルノズクの後ろからおいかぜが吹き始めた。 コトミ「おいかぜって?」 ユカリ「おいかぜは、しばらくの間自分達のポケモンの素早さを上げることが出来るのよ。ミキさんはコンテストバトルでもヨルノズクのおいかぜを 使ったコンビネーションを使ってたわ。だけどバトルで使うのは初めてじゃないかしら。」 ユミコ「ラグラージ、ガブリアスにハイドロポンプ!トドゼルガはヨルノズクにれいとうビーム!」 ラグラージのハイドロポンプとトドゼルガのれいとうビームが襲いかかる。 ミキ「ガブリアス、ヨルノズク、ぎりぎりまで引き付けて!」 言っている間にもハイドロポンプとれいとうビームはガブリアスとヨルノズクに迫っていた。 マサト「このままだとガブリアスとヨルノズクがダメージを受けてしまうよ!?」 レイカ「大丈夫なの?」 ユカリ「まあ、見ててごらん!」 ミキ「今よ!ガブリアス、ヨルノズク、高く飛び上がって!」 後一歩でハイドロポンプとれいとうビームをもろに食らうところで、ガブリアスとヨルノズクは勢いよく飛び上がった。それも心なしか普段と比べて勢いが増していた。 レイカ「早いわ!」 コトミ「おいかぜの効果なの?」 ケイコ「そうよ。おいかぜが吹いている間はポケモンの素早さが上がるの。ミキさん、なかなかのコンビネーションね。」 ミキ「ガブリアス、ラグラージにドラゴンダイブ!ヨルノズクはトドゼルガにゴッドバード!」 ガブリアスがドラゴンダイブの体制に入る。そしてヨルノズクを激しい光が包み込んだ。 サヤカ「あの技がゴッドバードね。」 トモヤ「ミキさん、さすがはポケモンの育て方が違うな。」 マサト「えっ、どうして?」 トモヤ「ゴッドバードは、攻撃するまでの間に時間がかかる技の1つなんだよ。攻撃をためている間はダメージを受けやすいけど、おいかぜを組み込むことで行動が素早くなる。 よほどポケモンに詳しくないと、このコンビネーションは使いこなせないだろうな。」 ミキ「今よ!ガブリアス、ヨルノズク、テイク・オフ!」 ガブリアスのドラゴンダイブとヨルノズクのゴッドバードがラグラージとトドゼルガに襲いかかった。 おいかぜで素早くなっていたことも影響されてか、ラグラージとトドゼルガは反撃体制に入る間もなく吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。戦闘不能だった。 審判「ラグラージ、トドゼルガ、両者戦闘不能。ガブリアスとヨルノズクの勝ち!」 イチロウ「ガブリアスとヨルノズク、おいかぜを駆使したドラゴンダイブとゴッドバードでラグラージとトドゼルガをノックアウト!これでユミコ選手は残すところ後1体となりました!」 ルリカ「おいかぜは一定時間自分のポケモンの素早さを上げることが出来る技です。風が吹いているうちに攻撃をかけられれば相当な効果が期待できます。 ミキ選手、技の使い方をよく心得ていますね。」 ユミコ「やっぱりミキさんは強いです・・・。でもこのバトルが私にとっての1つのいい経験になればと思います。」 ミキ「そんな事はないわ。ユミコさん、あなたはあたしの新人トレーナーの頃にそっくりね。将来が楽しみだわ。」 ユミコ「ありがとうございます。では私の最後のポケモン、行きます!バシャーモ、レッツ・トライ!」 ユミコはバシャーモを繰り出した。 ミキ「ユミコさん、あなたから先に攻撃していいわ。」 マサト「えっ、どうして?」 トモヤ「恐らく相手のポケモンがどう言う実力を持っているか、見極めようとしているのだろう。確かマサト君も、ミキさんと初めてバトルしたときに同じことを言われていたね。」 マサト「はい。」 ユカリ「ミキさん、ああ見えてもトレーナーやコーディネーターを見抜くのが上手なのよ。あのユミコさんもこれから見込みのあるトレーナーと言うことね。」 ユミコ「はい!それでは遠慮なく行きます!バシャーモ、ヨルノズクにブレイズキック!」 バシャーモがヨルノズクにブレイズキックを放った。 炎をまとった強烈な蹴りの一撃を受けたヨルノズクは勢いよく吹っ飛ばされたが、まだ戦えそうだ。 ミキ「やるわね。そのバシャーモ、よく育てられてるわ。」 ユミコ「ありがとうございます!バシャーモ、続いてガブリアスにスカイアッパー!」 バシャーモがガブリアスにスカイアッパーを打ち込んだ。強力な一撃を受けたガブリアスは高く跳ね上げられたが、まだ戦える。 ミキ「さあ、そろそろ決着をつけさせてもらうわ!ガブリアス、ギガインパクト!」 ガブリアスがギガインパクトの体制に入る。そしてガブリアスは勢いよくバシャーモに突っ込み、バシャーモを吹っ飛ばした。 ミキ「ヨルノズク、エアスラッシュ!」 続けざまにヨルノズクがエアスラッシュを放った。空気の刃はバシャーモに命中、バシャーモはフィールドに叩きつけられた。効果は抜群だ。 ユミコ「バシャーモ!」 バシャーモは戦闘不能となっていた。 審判「バシャーモ、戦闘不能。ヨルノズクの勝ち。よって勝者、ヤマブキシティのミキ!」 イチロウ「ミキ選手、鮮やかなポケモンさばきで予選ラウンドを突破!決勝トーナメントに進出決定です!」 ユカリ「やったわね、ミキさん!」 ミキ「ありがとう。でもまだ決勝トーナメントは始まっていないのよ。それに、まだマサト君の試合が残ってるわ。マサト君、相手は何を言うか分からないけど、 マサト君は落ち着いて自分のバトルスタイルを貫けばいいのよ。」 マサト「はい。ガブリアス、あいつを見返してやろう!」 ガブリアスは一声あげた。そして両腕を大きく振り回した。 ミキ「うん。マサト君、相手の挑発に負けちゃだめよ。しっかりバトルしてね!」 そう言って、ミキはマサトの肩を叩いた。 イチロウ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会は予選ラウンド3回戦、決勝トーナメント進出をかけた激戦が続いております! 次の対戦は、ホウエン地方・トウカシティのマサト選手と、カントー地方・ニビシティのクニエ選手のバトルです!」 ルリカ「クニエ選手は、普段は力で押しきる戦法を得意としていますが、1回戦ではちょうはつを使いこなして勝利を収めたのが印象的でした。 果たして、今回はどう言ったパーティを組んでいるのでしょうか。そしてマサト選手もこれにどう立ち向かうか、注目したいですね。」 クニエ「どっからでもかかっておいで〜。ま、ウチに勝つのは無理だと思うけどねぇ。」 マサト「それはどうかな!?僕だって負けるわけにいかないんだ!」 審判「試合開始!」 こうして、マサトのガブリアスを馬鹿にしたクニエを相手に、マサトの決勝トーナメント進出をかけたバトルが始まった。 果たして、マサトはクニエの挑発に打ち勝ち、決勝トーナメントに進出することが出来るのだろうか。 (3) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは予選ラウンド3回戦、マサトとクニエのバトルを迎えていた。クニエはマサトのガブリアスを馬鹿にした相手。 マサトにとっては名誉挽回、決勝トーナメント進出の二重の意味で負けられない戦いとなった。 クニエ「行くよ!マニューラ、ナッシー!」 クニエはマニューラとナッシーを繰り出した。 マサト「行け、ギャラドス、ガブリアス!」 マサトはギャラドスとガブリアスを繰り出した。 クニエ「あーら、いきなりガブリアスを出してくれたのね。手間が省けて嬉しいわぁ。」 マサト「くっ、どこまで馬鹿にするんだ!」 ミキ「マサト君、落ち着いて!」 マサト「ギャラドス、マニューラにたきのぼり攻撃!ガブリアスはナッシーにきりさく攻撃!」 ギャラドスがたきのぼり攻撃を放つ。そしてガブリアスもきりさく攻撃でナッシーに襲いかかる。 クニエ「も〜らいっ!」 マサト「あっ!?」 クニエ「マニューラ、カウンター!」 コトミ「えっ!?」 トモヤ「あのマニューラ、カウンターが使えるのか!?」 マニューラは確かにたきのぼりの攻撃を受けた。しかしたきのぼりのダメージをカウンターで倍返しにされ、ギャラドスは大ダメージを受けてしまった。 マサト「ギャラドス!!」 クニエ「続いてナッシー、ガブリアスをぎりぎりまで引き付けて、タマゴばくだん!」 ガブリアスもきりさくの体制に入っていたが、攻撃を放とうとしたまさにそのとき、タマゴばくだんの一撃を受けてしまった。 2匹ともかなりのダメージを受けたが、それでもまだ戦えそうだ。 クニエ「あーら、所詮はそれほどかしら。その程度でジムリーダーのお子さん?笑わせるわねぇ〜。」 マサト「馬鹿にするな!僕だってトレーナーとして実力をつけたんだ!行くよ、ガブリアス、ギャラドス!」 ガブリアスとギャラドスが一声あげて気合いを高める。 と、ギャラドスが口から強烈な炎を吐いたではないか。 コトミ「あれは!?」 ミキ「うん!あれはかえんほうしゃだわ!」 レイカ「すごいわ、マサト君!バトルするたびにポケモン達が新しい技を覚えていくのね!さすがはセンリさんのお子さんね!」 マサト「(カウンターはとくしゅ技を跳ね返すことはできない!)ギャラドス、マニューラにかえんほうしゃ!」 ギャラドスがかえんほうしゃを放った。 かえんほうしゃをもろに受けたマニューラは勢いよく吹っ飛ばされ、フィールドに叩きつけられた。効果は抜群だ。 クニエ「しっかりして、マニューラ!」 マニューラはよろよろしながら立ち上がった。が、追加効果が働いたのか、ときたま炎を噴くのが見受けられた。 サヤカ「あのマニューラ、今のかえんほうしゃを受けてやけど状態になったのね。」 コトミ「やけど状態?」 ユカリ「ほのおタイプの技を受けると、追加効果でたまにやけど状態になることがあるのよ。やけど状態になると、攻撃力が下がるほかにも、たまにやけどのダメージを受けるわ。 このまま行けばマサト君が有利になると思うけど、でも油断は禁物ね。」 クニエ「戻れ、マニューラ!」 クニエはマニューラをモンスターボールに戻した。 イチロウ「クニエ選手、ここでマニューラを戻しました!やけどのダメージが大きくならないうちに交代で温存させようと言うことでしょうか?」 クニエ「行くよ、マルノーム!」 クニエはマルノームを繰り出した。 コトミ「あのポケモンがマルノームね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してマルノームをチェックした。 クニエ「マルノーム、ギャラドスにヘドロばくだん!」 マルノームがヘドロばくだんを放った。 マサト「ギャラドス、ハイドロポンプ!」 ギャラドスがハイドロポンプを放つ。ハイドロポンプとヘドロばくだんがぶつかり合い、大爆発が起きた。 マサト「今だ、ガブリアス!穴を掘って地中に潜れ!」 ガブリアスが爆風を受けるぎりぎりのところで穴を掘って地中に隠れた。大爆発が収まると、ガブリアスの姿が消えていた。 クニエ「ガブリアスがいない!」 マサト「今だ!ガブリアス、マルノームにあなをほる攻撃!」 ガブリアスが地中から勢いよく飛び出し、マルノームに強烈な一撃を浴びせた。効果は抜群だ。 クニエ「マルノーム!」 マルノームは高く吹っ飛ばされたが、まだ戦えそうだ。 クニエ「いいわね、マルノーム!なら反撃よ!ギャラドスにでんげきは!ナッシーはガブリアスにサイコキネシス!」 マルノームがでんげきはを放つ。ギャラドスがまともに食らえば効果抜群どころではない。さらにダメージが大きくなってしまう。一方のナッシーもサイコキネシスで ガブリアスの行動を封じる作戦に出た。 マサト「ギャラドス、まもる!ガブリアスはサイコキネシスを振りほどけ!」 ギャラドスはまもるででんげきはから身を守った。一方のガブリアスはサイコキネシスを振りほどこうとするが、ナッシーのパワーが強く、なかなか上手くいかない。 クニエ「お〜っほほほ。所詮それまでの実力かしら。ナッシー、もっとやっちゃって〜。」 マサト「(このままなめられるわけにはいかない!)ガブリアス、お前の実力を見せてやれ!りゅうせいぐんだ!」 ガブリアスはサイコキネシスを振りほどき、りゅうせいぐんを放った。果たして、上手くいくのだろうか。 (4) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは予選ラウンド3回戦、マサトとクニエのバトルが続いていた。 試合直前、ひょんなことからマサトのガブリアスを馬鹿にしたクニエ。その汚名を返上すべく、マサトのガブリアスがクニエのナッシーのサイコキネシスで行動を封じられた状況から 一か八かのりゅうせいぐんを放った。 りゅうせいぐんは高く打ち上がり、ナッシーとマルノームに向かって落ちてきた。 クニエ「ナッシー、マルノーム、かわして!」 ナッシーとマルノームは降り注ぐりゅうせいぐんをかわそうとするが、無数に降り注いだりゅうせいぐんをかわし切ることは出来ず、強烈なダメージを受けてしまった(※)。 クニエ「ああっ!しっかりして!」 りゅうせいぐんの直撃を受けたナッシーとマルノームはそれでもどうにかして立ち上がろうとしたが、2匹ともその場に倒れ込み、戦闘不能となった。 審判「ナッシー、マルノーム、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 イチロウ「ガブリアス、強力なりゅうせいぐんの一撃で、ナッシーとマルノームをノックアウト!これで戦局はマサト選手に傾いたか!?」 ルリカ「でもまだクニエ選手は1体を残しています。最後の1体に何を出すかで戦局も大きく違うと思いますね。」 クニエ「ウチを本気で怒らせてくれたわねぇ〜。最後の1匹に驚くといいわ。行けっ、マニューラ、カイリュー!」 クニエはマニューラとカイリューを繰り出した。マニューラはさっきギャラドスのかえんほうしゃで受けたダメージが残っていそうだが、まだ油断は禁物だ。 そしてカイリューは、まさしくクニエの隠し球とも言うべきポケモンだった。 ミキ「これはちょっと読めなくなったわね。」 コトミ「えっ、どうして?」 トモヤ「カイリューはドラゴンタイプ。ガブリアスとはお互いに弱点の突き合いになるんだ。まだマサト君は2匹残っているけど、 あのカイリューの攻撃次第では厳しい状況になるかもしれないな。」 クニエ「行くわよ!マニューラ、ガブリアスにこおりのつぶて!カイリューはしんぴのまもり!」 カイリューがしんぴのまもりを張る。マニューラとカイリューが神秘のベールに包まれた。そしてマニューラがこおりのつぶてでガブリアスに襲いかかる。 コトミ「しんぴのまもり?」 サヤカ「うん。しばらくの間、神秘のベールで包み込んで特殊状態を防ぐ技なのよ。だけどすでにかかっている特殊状態を打ち消すことは出来ないわ。 だからさっきマニューラが受けたやけど状態は回復しないのよ。」 その通り、こおりのつぶてを放っているマニューラの動作が多少鈍っているのが見受けられた。 そしてマニューラがこおりのつぶてを放とうとしたまさにそのとき、やけどのダメージが発動した。 マサトはその一瞬を見逃さなかった。 マサト「今だ!行け、ガブリアス!マニューラにかわらわり!」 ガブリアスは物凄い早さでマニューラに近づき、強烈なかわらわりを叩き込んだ。効果は抜群だ。しかもあくタイプとこおりタイプを併せ持っているマニューラは かわらわりのダメージがさらに大きくなった。 マニューラはそのまま地面に叩きつけられ、倒れ込んだ。戦闘不能だった。 審判「マニューラ、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 イチロウ「マサト選手、ガブリアスに出した的確な指示でマニューラをノックアウト!これでクニエ選手は残すところあと1体です!」 クニエ「でもねぇ〜、ウチのカイリューちゃんを最後まで残しちゃったこと、後悔するといいわ〜。カイリュー、げきりん!」 カイリューがげきりんを発動した。ドラゴンタイプではりゅうせいぐんと並び、ぶつり技最強の威力を誇る技である。 ミキ「これはちょっとまずいわ!」 コトミ「えっ?どうして?」 ミキ「さっき、カイリューがしんぴのまもりを使ったでしょ?サヤカさんも言ってたけど、しんぴのまもりはしばらくの間特殊状態を防ぐ効果があるのよ。そしてげきりんは、 しばらく相手にダメージを与えた後、使ったポケモンが混乱してしまうんだけど、しんぴのまもりの効果があるときに使うと混乱しないのよ。だから気を付けた方がいいわね。」 カイリューはげきりんの効果が発動しているのか、ガブリアスとギャラドスに容赦なく攻撃を放っている。ギャラドスはともかく、 ガブリアスはげきりんをもろに喰らったら大ダメージは免れないだろう。 マサト「ギャラドス、まもる!」 ギャラドスが守りの体制に入る。少しでも受けるダメージを減らす作戦だろう。 クニエ「まもるで防ぐのね。でもどうかしら〜。げきりんが収まってもカイリューは混乱しないんだも〜ん。」 マサト「(ちっ・・・。このまままもるを続けると、かえってまもるが発動しないこともある。と言ってうかつにまもるを解くと、げきりんをもろに受けてしまう。どうすれば・・・。)」 と、ふとマサトは上空に視線をやった。 マサト「(そうだ。ギャラドスがカイリューを引き付けている間にガブリアスが上空から攻撃すれば、あるいは・・・。)ガブリアス、高くジャンプだ!」 ガブリアスはマサトの声に答えたのか、高く飛び上がった。 クニエ「あっ!?」 クニエは驚いてカイリューを見たが、まだげきりんの効果が続いており、なりふり構わず攻撃を繰り返していた。だがギャラドスはまもるの体制で攻撃を防いでいる。 しかしこれもいつまで持つだろうか。 マサト「そのまま一気に突っ込むんだ!ガブリアス、ギガインパクト!」 ガブリアスがギガインパクトの体制でカイリューに突っ込んだ。 クニエ「カイリュー!」 クニエもカイリューに向かって声を掛けるが、まだげきりんの効果は切れていなかった。 そこにガブリアスのギガインパクトが炸裂、不意を打たれたカイリューは勢いよく吹っ飛ばされた。 だがギガインパクトを受けて正気に戻ったのか、げきりんの効果が切れた。しかし神秘のベールに守られているため、カイリューは混乱していない。 クニエ「カイリュー、反撃よ!ガブリアスにりゅうのはどう!」 マサト「ギャラドス、りゅうのはどうを受け止めるんだ!」 ギャラドスが素早い動作でりゅうのはどうを受け止めた。 マサト「今だ、ガブリアス!マックスパワーでりゅうせいぐん!」 ガブリアスが強烈なりゅうせいぐんを放った。マサトがマックスパワーと指示した通り、普段と比べて威力が上がっていた。 クニエ「カイリュー、かわして!」 カイリューはスピードを活かしてりゅうせいぐんをかわそうとするが、全部かわし切ることは出来ず、もろに直撃を受けてしまった。効果は抜群だ。 ギガインパクトとりゅうせいぐんをまともに受けたカイリューはフィールドに叩きつけられ、戦闘不能となった。 審判「カイリュー、戦闘不能。ガブリアスの勝ち。よって勝者、トウカシティのマサト!」 イチロウ「やりました!激しいバトルを勝ち抜き、マサト選手、決勝トーナメント進出です!」 ルリカ「ガブリアスとカイリュー、ドラゴンタイプ同士の迫力のあるバトルでしたね。マサト選手は2回戦に続いてのパーフェクト勝利になります。本当にいい勝負でしたね。」 (5) 〜挿入歌・『Ready Go!』が流れる〜 ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会はマサトがクニエを打ち破り、決勝トーナメント進出を果たした。これでマサト達全員が予選ラウンドと一次審査を突破したことになる。 トモヤ「やったな、マサト君!」 コトミ「ガブリアスもりゅうせいぐんをマスターできたし、本当に良かったわね!」 マサト「うん!だけどこれから決勝トーナメントだから、ますますバトルは厳しくなると思う。でも僕もポケモン達を信じることができれば、きっといい成績を残せると思うんだ!」 ルリカ「うん!マサト君、ポケモントレーナーとして大切なこと、しっかり学んだみたいね。さすがはセンリさんのお子さんだって思うわ。」 レイカ「決勝トーナメント、一戦一戦が厳しいバトルなのは私も同じよ。だけど私だって1人でバトルしてる訳じゃないわ。お兄ちゃんだってシンオウから応援してくれてるし、 ルリカお姉ちゃんも実況席から応援してくれてるわ。マサト君、トモヤお兄ちゃん、ミキお姉ちゃん、ケイコお姉ちゃん、優勝目指して勝ち進もうね!私だって負けないわよ!」 ケイコ「ええ!この中の誰かが優勝するかもしれないし、誰も優勝しないかもしれないけど、でもお互いに勝ち進んで行きましょう!」 ミキ「これからも厳しいバトルが続くけど、でも優勝に向かって臨んでいくのは誰だって同じだわ。みんな、強いポケモンでも恐れないで立ち向かっていきましょう!」 コトミ「みんなも意気込んでるわね。あたし達も負けてられないわ。二次審査はコンテストバトル、あたしにとっては初めての経験だけど、でもここまでなったら、 後はポケモン達を信じて挑戦あるのみよ。お互いに悔いのない演技にして行きましょう!」 サヤカ「初めての挑戦は私も同じことよ。これからどう言った演技をすればいいのか、どれだけ美しく見せることができるか、まだ上手く出来ないところはたくさんあるけど、でももう迷わない。 優勝に向かって勝ち進んでいくだけね!」 ユカリ「うん!コトミちゃんにサヤカさん、ずいぶんと成長したわね。本当にいい演技ができたらいいわね!」 と、場内にアナウンスが響き渡った。 アナウンス「間もなく、バトル大会決勝トーナメント、コンテスト大会コンテストバトルの組み合わせが発表されます。発表はトレーナータワー1階の待ち合わせ広場で行われます。」 ルリカ「組み合わせが発表されるそうよ。行きましょう!」 一同「はい!」 トレーナータワーでは、2つのオーロラヴィジョンが用意されており、左にバトル大会決勝トーナメント、右にコンテスト大会二次審査の組み合わせが表示されることになっていた。 予選を勝ち抜いた人たちだろう、多くの選手がヴィジョンの回りに集まり、組み合わせの発表を今や遅しと待ち構えていた。 マサト達が到着したのとほとんど同時に実行委員長が現れ、壇上に上った。 実行委員長「ではこれより、バトル大会決勝トーナメント、並びにコンテスト大会コンテストバトルの組み合わせを発表いたします。ご覧の通りとなりました!」 ヴィジョンに画面が写し出され、決勝トーナメントとコンテストバトルの組み合わせが発表された。 まずバトル大会、マサトの1回戦の相手はホウエン地方・キナギタウンのエリだった。さらにトモヤやミキ達もこのまま勝ち進んでいくと、マサトは2回戦でトモヤ、3回戦でレイカ、 そして4回戦でケイコとバトルすることになる。そしてミキとは決勝戦まで行かないとバトルできないことになった。 続いてコンテスト大会、コトミは1回戦でジョウト地方・エンジュシティのシンサクとバトルすることになる。そして勝ち進むと、2回戦でサヤカ、そして3回戦でユカリと相まみえることになる。 マサト「勝ち進んでいけば2回戦でトモヤさん、3回戦でレイカちゃん、そして4回戦でケイコさんを相手にするんだね。」 ミキ「でもみんなも手強いわよ。だけど誰か1人でも勝ち抜いていけば、決勝戦で会えるわね!」 トモヤ「決勝戦でミキさんとバトルするのはこの私だ!」 レイカ「ううん。ミキお姉ちゃんとバトルするのは私よ!」 ケイコ「私だって負けてないわ!だからマサト君、お互いに勝ち進んで、4回戦でお会いしましょう!」 トモヤ「マサト君、2回戦で会おう!」 レイカ「3回戦で待ってるね、マサト君!」 マサト「でも誰が勝ち抜くかはやってみないと分からない。だけど、勝ち抜いていけばみんなでバトルできるね!」 コトミ「うふふっ。マサト達も意気込んでるわね。あたしも勝ち進んでいくから、サヤカさん、そしてユカリさん、是非一緒にバトルしましょう!」 サヤカ「そうね。まずは1回戦を突破して、2回戦でお会いしましょう!」 ユカリ「サヤカさんに勝てたら、次はあたしの番ね。3回戦で待ってるわね!」 こうして、マサト達は無事に予選ラウンドと一次審査を勝ち抜き、決勝トーナメントと二次審査に進出することができた。 果たして、誰がこの激戦を勝ち抜き、優勝の栄冠を手にすることになるのだろうか。負けられない戦いは、まだまだ続く。 (※)「りゅうせいぐんの効果範囲について」 本来、りゅうせいぐんの効果範囲は相手ポケモン1体に対してですが、ここでは相手ポケモン2体両方にダメージを与えられるものとします。 Chapter-32に続く。 <初出> 全編書き下ろし。