Chapter-32『負けられない戦い!決勝トーナメントとコンテストバトル!!(前編)』 (1) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは予選ラウンドと一次審査が全て終了、マサト達は全員決勝トーナメントと二次審査に進出することができた。 今日からいよいよバトル大会は決勝トーナメント、コンテスト大会は二次審査・コンテストバトルが始まり、それぞれ256名の進出者が優勝をかけて勝ち抜いていくことになった。 決勝トーナメント、コンテストバトルのいずれもルールは予選ラウンドや一次審査と同じで、決勝トーナメントは4対4のダブルバトル、コンテストバトルは2対2のダブルパフォーマンスだった。 一方、予選トーナメントや一次審査で敗退した選手を対象に、「バトルスタンプラリー」と言うイベントも行われることになっており、参加者同士で3回バトルすることで大会オリジナルの記念品を もらうことが出来た。このバトルスタンプラリーは決勝戦終了後、決勝トーナメントと二次審査に進出した選手も含めて行われることになっていた。 そのバトル大会は決勝トーナメント1回戦第1試合、早速ケイコが出場する試合となった。 相手はオレンジ諸島・ナツカン島のジュンヤ。予選ラウンドではこおりタイプを中心にしたバトルで勝ち進んだと言う。主力がボーマンダのケイコにとっては厳しい相手となりそうだった。 イチロウ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会も決勝トーナメントに入りました!ゲスト解説は予選ラウンドに引き続き、ジョウトリーグの四天王・ルリカさんです。 ルリカさん、決勝トーナメントもどうぞよろしくお願いします。」 ルリカ「はい。よろしくお願いします。」 イチロウ「さて、決勝トーナメント1回戦第1試合は、カントー地方・ハナダシティのケイコ選手と、オレンジ諸島・ナツカン島のジュンヤ選手のバトルとなりました!ジュンヤ選手は、 こおりタイプを中心にバトルを組み立てていく戦法を得意としています。予選ラウンドではあられ状態からふぶきを連発して勝ち進んでまいりましたが、ルリカさん、 あられ状態でふぶきを放つと特別な効果があるそうですが?」 ルリカ「はい。あられ状態になるとこおりタイプ以外のポケモンは受けるダメージが大きくなるのですが、もう1つ、ふぶきを使うと非常に高い確率で命中するんです。ジュンヤ選手は 温暖なオレンジ諸島の出身。土地柄を逆に利用した戦術と言えるでしょうか。」 イチロウ「対するケイコ選手はボーマンダが主力だそうですが、ボーマンダはドラゴンタイプとひこうタイプを併せ持っています。 こおりタイプの技のダメージがかなり大きくなりそうですが、ポイントとしてはどう言う点があるでしょうか?」 ルリカ「ふぶきと言えども上空で滞空していればほとんど命中しません。ですので、ボーマンダがそらをとぶ攻撃を使いこなせれば、あるいはケイコ選手にもチャンスはあるかと思いますね。」 ジュンヤ「どこからでもかかっておいで!」 ケイコ「すごい自信ね。確かに私はドラゴンタイプが主力だって言われてるけど、果たしてどうかしら。甘く見ないでね!」 審判「試合開始!」 かくしてバトル大会・決勝トーナメント最初の試合が幕を開けた。ケイコの相手はこおりタイプの使い手・ジュンヤ。果たして、どう言ったバトルが繰り広げられるのであろうか。 (2) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはバトル大会決勝トーナメント1回戦、ケイコとジュンヤのバトルが幕を開けた。 ケイコ「行くわよ!メタグロス、チャーレム!」 ケイコはメタグロスとチャーレムを繰り出した。 ジュンヤ「行くぜ!ユキノオー、デリバード!」 ジュンヤはユキノオーとデリバードを繰り出した。と、バトルフィールドの雲行きが怪しくなり、あられが降り始めた。 マサト「あれはユキノオーの特性・ゆきふらしだね。」 コトミ「ケイコさんもメタグロスを持ってたのね。それにチャーレム、ユキノオー、デリバード。相手も負けてないわね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してチャーレム、ユキノオー、デリバードを順番にチェックした。 ミキ「ゆきふらしは、あえてあられを使わなくても天気をあられにすることができるのよ。実況の人も言ってたけど、あられ状態ではこおりタイプ以外のポケモンは受けるダメージが大きくなるし、 ふぶきの命中率がすごく高くなるわ。天候を自分の思い通りにする作戦はかなり有用だけど、ケイコさんがどう攻めていくかがポイントになるわね。」 ケイコ「メタグロス、ユキノオーにバレットパンチ!チャーレムはデリバードにかみなりパンチ!」 メタグロスが物凄い早さでユキノオーにバレットパンチを叩き込む。効果は抜群だ。一方のチャーレムもデリバードにかみなりパンチを打ち込んだ。 ジュンヤ「なかなかやるね。なら今度は僕の番だ!ユキノオー、デリバード、ダブルでふぶき!」 ユキノオーとデリバードが一斉にふぶきを放った。あられ状態と言うこともあり、ふぶきはかわす間もなくメタグロスとチャーレムに命中した。 レイカ「メタグロスとチャーレム、大丈夫なの!?」 ユカリ「メタグロスははがねタイプ。こおりタイプのダメージを軽減することが出来るけど、チャーレムはダメージを軽減することは出来ないわ。ここで耐えきれればいいんだけど・・・。」 メタグロスははがねタイプのため、ふぶきのダメージを軽減できたが、チャーレムはまともにダメージを受けてしまった。 しかもあられの効果でふぶきの勢いが強くなっていたのだろう、チャーレムは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 ケイコ「戻って、チャーレム!」 ケイコはチャーレムをモンスターボールに戻した。 マサト「チャーレム、交代させるの?」 トモヤ「さっきのふぶきをまともに受けて、ダメージをかなり受けたんだろう。無理に戦うよりは交代させた方がいいと判断したのかもな。」 ケイコ「行くわよ、パルシェン!」 ケイコはパルシェンを繰り出した。 コトミ「確かカンナさんもパルシェンを使ってたでしょ?」 ミキ「うん。パルシェンはみずタイプとこおりタイプを併せ持っているわ。パルシェンならふぶきのダメージも軽減できるし、受け身のポケモンとしてはかなりいい部類に入ると思うわ。」 ケイコ「パルシェン、まきびし!」 パルシェンがまきびしを撒いた。ユキノオーとデリバードの足元にまきびしが散らばった。 レイカ「まきびしって?」 サヤカ「まきびしは相手の足元に撒いて使うのよ。まきびしがあると、相手がポケモンを交代させたとき、ふゆうの特性を持つポケモンとひこうタイプ以外なら、 ポケモンがまきびしを踏んでダメージを受けるのよ。重ねて使うと、受けるダメージも大きくなるわ。」 ケイコ「続いてメタグロス、いわなだれ!」 メタグロスがいわなだれを放った。いわなだれで発生した岩はユキノオーとデリバードの頭上から激しい音をたてて落下、2匹とも大ダメージを受けた。効果は抜群だ。 しかもデリバードはこおりタイプの他にひこうタイプも併せ持っており、さらにダメージが大きくなった。 強烈な一撃を受けたデリバードはそのままフィールドに崩れ落ち、戦闘不能となった。一方のユキノオーもかなりのダメージを受けたが、まだ戦えそうだ。 審判「デリバード、戦闘不能。メタグロスの勝ち!」 イチロウ「メタグロス、こおりタイプに対して有利ないわタイプの技を使いこなして、デリバードをノックアウト!」 ルリカ「いわなだれはダブルバトルでは相手ポケモン2体にダメージを与えることができます。相手2体に一度にダメージを与えられる技を使いこなすのは、 ここまで勝ち進んだトレーナーにとってはもはや定番の戦法と言ってもいいのではないでしょうか。」 ジュンヤ「ご苦労だった、デリバード。・・・なら次はこのポケモンだ!行け、ラプラス!」 ジュンヤはラプラスを繰り出した。さっきパルシェンが撒いたまきびしを踏み、ラプラスはダメージを受けた。 トモヤ「次はラプラスか・・・。ラプラスもまたふぶきを使いこなす。ジュンヤ選手って言う人は、あられ状態で戦うのを得意としているな。 これまでのパーティもあられ状態を念頭に置いて構成している。」 マサト「えっ、じゃあこのままあられが続くと、ケイコさんがかえって不利になるかもしれないって言うこと?」 トモヤ「しかし、ケイコさんのことだ。恐らく何かしらの対策はとっているはずだろう。まきびしを撒いたのはそれも踏まえてのことだろうね。」 ケイコ「パルシェン、ラプラスにひみつのちから!」 パルシェンがひみつのちからを放った。ラプラスは突然盛り上がったフィールドの地面に下から突き上げられ、高く吹っ飛ばされた。 ジュンヤ「今のは小手調べかな?」 ケイコ「それはないわ!続いてメタグロス、ユキノオーにほのおのパンチ!」 メタグロスがほのおのパンチを叩き込む。 ジュンヤ「ユキノオー、くさぶえ!メタグロスを眠らせろ!」 ユキノオーがくさぶえを吹いた。くさぶえの音色を聴いたメタグロスは眠ってしまった。 マサト「メタグロスが眠らされた!?」 ユカリ「くさぶえっていう技は、相手を眠らせる効果があるの。1体だけならまだしも、2体とも眠らされるとかなり厳しくなるわね。」 コトミ「じゃあ、もしパルシェンまで眠らされたら?」 ミキ「でもくさぶえ自体は命中率はそれほどでもないわ。それでも油断は禁物ね。」 ジュンヤ「続いてユキノオー、パルシェンにウッドハンマー!」 ユキノオーがウッドハンマーを放つ。 マサト「ウッドハンマー!?」 ミキ「ウッドハンマーは、自分もダメージを受ける代わりに相手にも大ダメージを与えられる技よ。すてみタックルと効果が似ているわ。もろにダメージを受けたら危ないかもしれないわね。」 ケイコ「パルシェン、からにこもる!」 パルシェンがからにこもるで防御を固める。しかしウッドハンマーは予想以上に威力が大きく、パルシェンは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 一方のユキノオーも反動でダメージを受けたが、まだ余裕と言ったところだろうか。 ケイコ「(ウッドハンマーはくさタイプの技。ユキノオーが反動で受けたダメージもかなり大きいと思うわ。それなら。)パルシェン、もう一度ユキノオーにひみつのちから!」 パルシェンが再びひみつのちからを放つ。ユキノオーの下の地面が再び盛り上がり、ユキノオーは勢いよく吹っ飛ばされた。 ジュンヤ「だがまだこれで終わるわけはないぜ!ユキノオー、もう一度パルシェンにウッドハンマー!」 ケイコ「パルシェン、まもる!」 パルシェンが守りの体制に入り、ウッドハンマーのダメージを防いだ。 ジュンヤ「(だがメタグロスはまだ眠っている!)ラプラス、ふぶき!」 ラプラスがふぶきを放つ。あられ状態が続いているせいか、強烈な勢いでふぶきが迫った。パルシェンは引き続きまもるでダメージを防いでいるが、メタグロスは眠っていて 無防備であり、ダメージを受けてしまった。効果は今一つのはずだが、それでも着実にダメージを受けているのは言うまでもない。 ケイコ「(メタグロスにふぶきは効果今一つ。だけどこのまま受け続けたら、ダメージが蓄積されてしまうわ。)メタグロス!しっかりして!」 ケイコの呼び掛けに応えたのか、ここでメタグロスがねむり状態から回復した。 ジュンヤ「だが今起きたところで何になる!ユキノオー、ラプラス、ふぶきだ!」 ユキノオーとラプラスが一斉にふぶきを放った。 ケイコ「(パルシェンはさっきまもるで防御した。だから連続で使うと失敗するかもしれないわ。でも。)パルシェン、もう一度まもる!」 マサト「ええっ!?」 コトミ「連続でまもるを使うと失敗しやすいんじゃ・・・?」 パルシェンが再びまもるの体制に入る。連続で使うため失敗しやすい状況だった。・・・まもるが発動した。 ジュンヤ「しまった!」 ケイコ「今よ、メタグロス!だいばくはつ!」 メタグロスが捨て身の大技・だいばくはつを出した。言うまでもなく自分も戦闘不能となる代わりに相手に大ダメージを与える技である。 しかもメタグロス並みのポケモンが使えば威力は計り知れないものとなる。 強烈な爆風をまともに食らったユキノオーとラプラスは勢いよく吹っ飛ばされ、フェンスに叩きつけられた。 ジュンヤ「ああっ、ユキノオー!ラプラス!」 ユキノオーとラプラスはそのまま立ち上がることができず、戦闘不能となった。そしてメタグロスも爆発でパワーを使い切り、戦闘不能となった。 審判「メタグロス、ユキノオー、ラプラス、両者戦闘不能!」 イチロウ「メタグロス、捨て身のだいばくはつでユキノオーとラプラスを一気に戦闘不能に追い込みました!」 ルリカ「メタグロスなどは攻撃力も高く、とどめの一発としてだいばくはつを使うと大きなダメージを与えることができます。 これでジュンヤ選手は残り1体となりましたが、果たしてこれからどう攻めていくのでしょうか。」 ジュンヤ「最後の1体だ!頼んだ、オニゴーリ!」 ジュンヤはオニゴーリを繰り出した。オニゴーリもさっきのまきびしの影響でダメージを受けた。 コトミ「あのポケモンがオニゴーリね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してオニゴーリをチェックした。 ケイコ「行くわよ、ボーマンダ!」 ケイコはボーマンダを繰り出した。 マサト「ケイコさん、ここでボーマンダを使うんだね。」 トモヤ「だがゆきふらしの効果は、普通の天候を変える技とは違って、新たに天候を変えるまで続くんだ。そして相手の最後の1匹はオニゴーリ。ふぶきを使うと見て間違いないだろう。」 ジュンヤ「オニゴーリ、ふぶき!」 オニゴーリがふぶきを放った。トモヤの予想通りだ。 ケイコ「パルシェン、私もふぶきで応戦するわよ!」 パルシェンもふぶきを放って対抗する。ふぶきとふぶきがぶつかり合い、フィールドの中間で大爆発が起きた。 ケイコ「ボーマンダ、にほんばれ!」 爆発でフィールドの様子が見えないが、さっきまでのあられが突然降りやんだかと思うと、急に日差しが強くなった。 マサト「ケイコさんのボーマンダ、にほんばれが使えるんだね!」 ミキ「ふぶきはあられ状態だと命中率が物凄く高くなるけど、逆ににほんばれで日差しが強い状態にすると、追加効果でこおり状態にならなくなるわ。さすがはケイコさん。 意外性を重視してポケモンを選んでるわね。」 ジュンヤ「だがにほんばれでふぶきの命中率は変わらない!オニゴーリ、もう一度ふぶき!」 オニゴーリが容赦なくふぶきを放つ。 ケイコ「ボーマンダ、そらをとぶ攻撃!パルシェンはまもる!」 パルシェンが守りの体制でふぶきを受け流す。一方でボーマンダは空高く飛び上がり、ふぶきをかわした。 ケイコ「ボーマンダ、かえんほうしゃ!」 ボーマンダが上空からかえんほうしゃを放つ。 ジュンヤ「オニゴーリ、れいとうビームで凍らせろ!」 オニゴーリがれいとうビームでかえんほうしゃを凍らせる作戦に出る。だがにほんばれで威力の上がったかえんほうしゃはれいとうビームを打ち消しただけでなく、そのまま オニゴーリにクリーンヒットした。効果は抜群だ。 オニゴーリはたまらず地面に叩きつけられ、戦闘不能となった。 審判「オニゴーリ、戦闘不能。ボーマンダの勝ち。よって勝者、ハナダシティのケイコ!」 イチロウ「ケイコ選手、ボーマンダのにほんばれからかえんほうしゃの天候を活かしたコンボでジュンヤ選手に勝利!2回戦進出を果たしました!」 コトミ「やるわね、ケイコさん!」 ケイコ「ううん。まだ決勝トーナメントは始まったばかりなのよ。相手はこれからもっと強くなると思うけど、だけど1つずつ勝ち抜いていくだけよ。」 トモヤ「そうだね。次は私の試合だ。そして私の試合が終わったら、いよいよマサト君の番だね。これまで培ったことを出しきれば、きっといい成績を残せると思う。 だけど油断してはいけないよ!マサト君、2回戦でバトルしよう!」 マサト「はい!」 かくしてトモヤが出場した試合、相手は3のしまのシュウタだった。トモヤはシュウタを相手に終始有利に試合を運んでいき、最後の1匹まで追い詰めていた。 シュウタ「ジュカイン、クロバットにかみくだく!」 トモヤ「クロバット、かわしてどくどくのキバ!」 クロバットがジュカインの攻撃をかわして、どくどくのキバで噛みついた。攻撃でジュカインはひるんだのか、技が出せなくなった。 トモヤ「今だ!行け、ニドキング!どくづき!」 ニドキングがどくづきを放った。ジュカインは勢いよくフェンスに叩きつけられ、戦闘不能になった。 審判「ジュカイン、戦闘不能。ニドキングの勝ち。よって勝者、ラフォールタウンのトモヤ!」 ケイコに続いてトモヤも1回戦を勝ち抜き、2回戦進出を果たした。 次はマサトの試合だ。果たして、どう言ったバトルが繰り広げられるのであろうか。そして、マサトはこの試合を勝ち抜き、トモヤとバトルすることはできるのだろうか。 (3) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはバトル大会も決勝トーナメントに入り、白熱した試合が繰り広げられていた。 その決勝トーナメントは1回戦が行われており、次はマサトの試合だった。相手はキナギタウンのエリ。マサトとは同じホウエン地方出身と言うことになる。 ちょうど試合と試合の間のインターバルに入っており、ルリカがマサト達の元を訪れていた。 ルリカ「エリ選手は、予選ラウンドから一撃必殺技を多用して試合を進めていたわね。」 マサト「一撃必殺の技?」 ミキ「例えば、カイロスが使うハサミギロチン、トドゼルガなどが使うぜったいれいど、ニドキングなどが使うつのドリルと言った技のことを言うわ。一撃必殺の技は、命中率は すごく低いんだけど、技が決まれば一撃で相手を戦闘不能にすることができるわ。命中率が低いからといって、油断は禁物ね。」 マサト「かなり手強そうだね・・・。でも負けてられないね、サーナイト!」 サーナイトは大きくうなずいた。 ルリカ「そうね!1つずつ勝ち抜いていくことが選手としての目標。ここで簡単に負けてられないもんね!」 マサト「はい!」 ルリカ「マサト君、相手の技に気をつけてバトルすれば、次の試合もきっと勝てると思うわ!私も実況席から応援してるわね!」 そしてマサトとエリのバトルが始まる時間となった。 イチロウ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、バトル大会は決勝トーナメント1回戦、白熱したバトルで実況の私達まで興奮しています!さて次の試合は、 ホウエン地方・トウカシティのマサト選手と、同じくホウエン地方・キナギタウンのエリ選手のバトルとなりました!」 ルリカ「マサト選手とエリ選手は同じホウエン出身と言うことですが、マサト選手は攻守共にバランスよく使用しているのに対しまして、エリ選手は一撃必殺系の技を多用していると言う 特徴があります。一撃必殺の技はその名の通り一撃で戦闘不能にできる技ですが、いかんせん命中率が低いと言う欠点もあります。果たしてエリ選手は一撃系の技をどう使いこなすのか、 そしてマサト選手がどう迎え撃つのか、注目したいところですね。」 エリ「話は聞いているわ。センリさんのお子さんだそうね。でも容赦しないわよ!」 マサト「はい!」 審判「試合開始!」 かくして戦いの火蓋が切って落とされた。 マサト「行け!ギャラドス、ユキメノコ!」 マサトはギャラドスとユキメノコを繰り出した。 エリ「行くよ!トドゼルガ、カイロス!」 エリはトドゼルガとカイロスを繰り出した。 ユカリ「マサト君、上手く作戦を読んでるみたいね。」 コトミ「えっ、どう言うことですか?」 ミキ「カイロスが使うハサミギロチンはノーマルタイプ。マサト君のユキメノコはこおりタイプだけど、ゴーストタイプも併せ持っているわ。ノーマルタイプのハサミギロチンは ユキメノコに対しては有効ではないわ。だけど相手のポケモンがみやぶるを覚えていたら、注意が必要ね。」 レイカ「どうして?」 トモヤ「みやぶるを使うと、ゴーストタイプでもノーマルタイプとかくとうタイプの攻撃技が命中するんだ。もちろんハサミギロチンなどの一撃必殺技も命中するから、 みやぶるを覚えたポケモンと戦うときは注意した方が良さそうだね。」 ケイコ「それに、ぜったいれいどはこおりタイプの技だから、タイプの相性に関係なく命中する可能性があるわ。がんじょうって言う特性を持っているポケモンなら、 一撃必殺技を完全に防げるけど、マサト君のポケモンはがんじょう特性を持つポケモンがいないから、その点は注意しないとね。」 エリ「トドゼルガ、いわなだれ!カイロスはきあいだめ!」 カイロスがきあいだめで気合いを高めている。次に繰り出す攻撃の威力を高める作戦だろう。一方のトドゼルガはいわなだれを放った。ギャラドスはひこうタイプ、ユキメノコはこおりタイプを それぞれ併せ持っており、まともに食らえば大ダメージは必至だ。 マサト「ギャラドス、ハイドロポンプで岩を打ち砕け!ユキメノコはあやしいかぜ!」 ギャラドスがハイドロポンプで、ユキメノコがあやしいかぜでそれぞれいわなだれを打ち砕く。 打ち砕かれた岩は細かい破片となってフィールドに落ちていき、ギャラドスとユキメノコのダメージは最小限に食い止められた。 エリ「やるわね。なら次はこれで行くわよ!トドゼルガ、ギャラドスにのしかかり!カイロスはユキメノコにシザークロス!」 トドゼルガがギャラドスにのしかかりを、カイロスがユキメノコにシザークロスをそれぞれ放った。 マサト「ギャラドス、トドゼルガにずつき!ユキメノコ、カイロスにれいとうビーム!」 ギャラドスがずつきで、ユキメノコもれいとうビームで応戦する。トドゼルガはずつきに逆に押し返され、カイロスもれいとうビームで吹っ飛ばされた。 エリ「さすがね。でもここからが本番よ!トドゼルガ、ユキメノコにぜったいれいど!カイロスはギャラドスにハサミギロチン!」 エリがいよいよ本気を出したのだろう、トドゼルガがぜったいれいどを、カイロスがハサミギロチンをそれぞれ放った。 ミキ「マサト君!まともに受けたら戦闘不能になるわ!気をつけて!」 マサト「ユキメノコ、まもる!」 ユキメノコが守りの体制に入った。ぜったいれいどとハサミギロチンを一手に受ける作戦だろう。 エリ「ふふ。甘いわね。トドゼルガ、カイロス、ユキメノコの横を回り込むのよ!」 何とトドゼルガとカイロスはユキメノコの横から回り込み、ギャラドスに狙いを定めたではないか。 マサト「危ない、ギャラドス!」 ギャラドスはマサトの呼び掛けに応えたのか、自らをフィールドに叩きつけると、反動で高く跳び跳ねたのだった。 果たして、何が起ころうとしているのだろうか・・・。 後編に続く。 <初出> 全編書き下ろし。