Chapter-32『負けられない戦い!決勝トーナメントとコンテストバトル!!(後編)』 (4)(段落は前編からの続き) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは決勝トーナメント1回戦、マサトとエリのバトルが繰り広げられていた。 エリはトドゼルガとカイロスが一撃必殺技を指示する中、マサトはユキメノコにまもるを命じて防御する手段に出た。しかしトドゼルガとカイロスはユキメノコの横を回り込んで ぜったいれいどとハサミギロチンの体制に入り、ギャラドスに襲いかかった。 絶体絶命となったギャラドスだったが、とっさの判断か、高く跳び跳ねたのだった。 コトミ「ギャラドスが飛んだ!?」 ミキ「あれはとびはねるって言う技よ。」 レイカ「とびはねる?」 ユカリ「とびはねるはひこうタイプの技なの。高く跳び跳ねた勢いで相手にダメージを与えるわ。たまに攻撃を受けた相手が麻痺することもあるわ。」 サヤカ「ギャラドスはひこうタイプの技をほとんど覚えないけど、この技を使うと大きなダメージを与えることができるわ。マサト君のギャラドス、よく育てられてるみたいね。」 ギャラドスは間一髪とびはねるでぜったいれいどとハサミギロチンをかわした。 エリ「そんな!ここでとびはねるを覚えるなんて!」 マサト「今だ!行け、ギャラドス!とびはねる攻撃!」 ギャラドスは勢いに任せて強烈な一撃を繰り出した。本来とびはねるは相手1体に対してダメージを与える技だが、たまたまカイロスとトドゼルガがすぐ近くにいたため、 2体とも直撃を受けてしまった。とりわけカイロスに対しては効果抜群だった。 とびはねるの一撃をもろに受けたカイロスはそのまま戦闘不能となっていた。一方のトドゼルガも大ダメージを受けており、さらに追加効果で麻痺してしまったのだろうか、 思い通りの行動がとれなくなっていた。 審判「カイロス、戦闘不能。ギャラドスの勝ち!」 イチロウ「マサト選手、ギャラドスが新たに覚えたとびはねる攻撃で、まずエリ選手のポケモンを1対ノックアウト!」 ルリカ「ギャラドスはひこうタイプの技をなかなか覚えないのですが、とびはねるを覚えると戦術の幅も広がるかと思います。そしてエリ選手もここからどう立て直して行くのでしょうか。」 エリ「なら次はこの子ね。行くよ、ギャロップ!」 エリはギャロップを繰り出した。 コトミ「ギャロップってあのポケモンね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してギャロップをチェックした。 エリ「ギャロップ、ユキメノコにフレアドライブ!トドゼルガはもう一度いわなだれ!」 ギャロップがフレアドライブの体制に入る。だがトドゼルガは麻痺の効果か、技を出すことが出来なかった。 エリ「ああっ!どうしたの、トドゼルガ!?」 イチロウ「トドゼルガ、麻痺して思い通りの行動ができない!しかしギャロップがフレアドライブでユキメノコに迫る!」 マサト「ギャラドス、ユキメノコをサポートするよ!ギャロップにアクアテール!」 ギャロップがアクアテールを放った。みずタイプのアクアテールはほのおタイプのギャロップに効果抜群だ。 エリ「ギャロップ、かわしてとびはねる!」 ギャロップはアクアテールをかわすと、高く跳び跳ねた。 マサト「なら僕だって!ギャラドス、とびはねる!」 ギャラドスもギャロップに負けじと高く跳び跳ねた。程なくしてギャロップとほぼ同じ高さになる。 マサト「ギャラドス、もう一度アクアテール!」 ギャラドスが再びアクアテールの体制に入る。空中のためか姿勢がおぼつかないが、それでも技の体制になった。 エリ「ふふ。ギャロップ、行くよ!ギャラドスにつのドリル!」 トモヤ「えっ!?」 ミキ「あのギャロップ、空中でもつのドリルができるの!?」 ギャロップは勢いよくつのドリルを繰り出した。ギャラドスはアクアテールの体制もままならないうちに強烈なつのドリルの一撃を受けてしまった。 一撃必殺技をまともに受けたギャラドスはそのままフィールドにまっ逆さまに叩きつけられ、戦闘不能となってしまった。そしてギャロップがゆっくりと着地した。 審判「ギャラドス、戦闘不能。ギャロップの勝ち!」 イチロウ「ギャロップのつのドリルが炸裂!文字通り一撃でギャラドスをノックアウトしました!」 ルリカ「一撃必殺系の技は命中率がかなり低いですが、さっきの場面など、相手が上手く対応できない場面で使うと命中しやすくなります。エリ選手も使いどころを考えてますね。」 マサト「ギャラドス、よく戦ってくれたね。・・・なら次はこのポケモンにするよ!行け、ガブリアス!」 マサトはガブリアスを繰り出した。 エリ「トドゼルガ、ガブリアスにぜったいれいど!ギャロップはユキメノコにだいもんじ!」 トドゼルガが一撃必殺の技・ぜったいれいどを放つ。ギャロップも体制を立て直してだいもんじを放った。 マサト「ユキメノコ、かわしてあやしいかぜ!ガブリアスは穴を掘って地中に潜れ!」 ガブリアスがあなをほるで地中に潜る。一方のユキメノコもだいもんじをかわすと、あやしいかぜを放った。 あやしいかぜはトドゼルガとギャロップに命中、2匹ともかなりのダメージを受けた。 エリ「まだまだよ!ギャロップ、かえんぐるま!トドゼルガはいわなだれ!」 ギャロップがかえんぐるまで、トドゼルガがいわなだれでユキメノコを攻撃する。 マサト「ユキメノコ、相手の行動をよく見るんだ!」 ユキメノコはマサトの指示通りに攻撃をかわす。しかも心なしかその行動が素早くなっていた。 レイカ「ユキメノコ、素早くなってるわ!」 ケイコ「あれはあやしいかぜの追加効果よ。」 コトミ「確かあやしいかぜって、使ったポケモンの能力が上がることがあるんでしょ?」 ミキ「うん。げんしのちからと同じで、あやしいかぜを使うとポケモンの全ての能力が上がることがあるわ。マサト君のユキメノコも、さっきのあやしいかぜが能力を上げたのね。」 ユキメノコはいわなだれとかえんぐるまを巧みにかわしている。そしてかわしながら、ユキメノコが何かしらの球体じみたものを放とうとしていた。 サヤカ「あれは?」 トモヤ「間違いない。あれはみずのはどうだ!」 ミキ「すごいわ。マサト君のユキメノコ、みずのはどうも覚えるのね!」 マサト「行け、ユキメノコ!ギャロップにみずのはどう!ガブリアスもトドゼルガにあなをほる攻撃!」 ユキメノコがみずのはどうを放ち、ギャロップに強烈な一撃を食らわせた。効果は抜群だ。そして一方のガブリアスもあなをほる攻撃でトドゼルガを吹っ飛ばした。 勢いよく吹っ飛ばされたギャロップとトドゼルガはそのままフィールドに叩きつけられ、戦闘不能となった。 審判「ギャロップ、トドゼルガ、戦闘不能。ユキメノコとガブリアスの勝ち!」 イチロウ「ユキメノコ、新しく習得したみずのはどうでギャロップを圧倒!そしてガブリアスもあなをほる攻撃でトドゼルガをノックアウト!これでエリ選手は残り1体となりました!」 ルリカ「ユキメノコはこおりタイプですので、ほのおタイプの技を受けると大きなダメージを受けてしまいます。ですがみずタイプの技を使いこなせると、 ほのおタイプとも互角に渡り合えるかと思います。ユキメノコにとっては大きな意味を持つのではないでしょうか。」 エリ「マサト君、なかなかやるじゃない。ポケモン達もよく育てられてるし、技のコンビネーションだって抜群ね。でも私だって、最後まで諦めないわ!行くよ、ドサイドン!」 エリはドサイドンを繰り出した。 コトミ「あのポケモンがドサイドンね。守りが固そうだわ。」 コトミはポケモン図鑑でドサイドンをチェックした。 マサト「(相手はこれまでのポケモンが全て一撃必殺の技を使っていた。カイロスはハサミギロチン、トドゼルガはぜったいれいど、ギャロップはつのドリル。 恐らくドサイドンもつのドリルを使うはず。)ユキメノコ、みずのはどう!」 ユキメノコがみずのはどうを放つ。じめんタイプといわタイプを併せ持つドサイドンはみずタイプの技で受けるダメージが大きくなるはずだった。 だが、明らかにダメージを受けているものの、ドサイドンが受けたダメージは予想に反して少なく見えた。 コトミ「ドサイドンにみずタイプの技はかなり大きなダメージを与えられるはずなのに!どうして?」 ミキ「あのドサイドンの特性はハードロックね。」 レイカ「確かお兄ちゃんが言ってたわ。ハードロックって言うのは、効果が抜群な技を受けたときのダメージを軽減するんでしょ?」 ユカリ「うん。より大きなダメージを受けなくする特性なのよ。効果が抜群で、なおかつかなりのダメージを受けるタイプの技なら、その威力を半分にできるし、そうでなくても 効果が抜群のダメージを受けたとき、ダメージを通常の威力まで抑えることができるわ。コンテストではあまり使われないけど、バトルではかなり役に立つ特性ね。」 エリ「ふふ。ドサイドンは効果が抜群な技の威力を弱めることができるの。果たしてうまく対応できるかしら?ドサイドン、ガブリアスにつのドリル!」 ドサイドンがつのドリルを放った。ギャロップが使っていたのと同様、つのドリルは命中すると一撃で相手を戦闘不能にできる。 マサト「ユキメノコ、ガブリアスを援護するんだ!」 ユキメノコがドサイドンに立ちはだかり、つのドリルの攻撃を受けた。ゴーストタイプを併せ持つユキメノコにつのドリルの攻撃はまったく効果がなかった。 マサト「ガブリアス、かわらわり!ユキメノコはこごえるかぜ!」 ガブリアスがかわらわりで、ユキメノコがこごえるかぜで攻撃する。どちらもハードロック特性のため、ドサイドンが受けるダメージは半分に抑えられてしまったが、それでも かなりのダメージを与えた。 エリ「やるじゃない。なら次はこの技でどう?ドサイドン、ユキメノコにがんせきほう!」 ドサイドンががんせきほうを放った。がんせきほうはいわタイプの攻撃技でも最高の威力を誇る。ユキメノコに対しては効果が抜群だ。まともに受ければ戦闘不能も考えられる。 マサト「ガブリアス、ユキメノコをサポートするんだ!まもる!」 ガブリアスがユキメノコをサポートする形でまもるの体制に入った。がんせきほうは間一髪ガブリアスのまもるに阻まれ、ダメージを防がれた。 マサト「ユキメノコ、あられ!」 ユキメノコがあられを降らせた。あられ状態になるとふぶきの命中率が格段に上がる。こおりタイプでないガブリアスもダメージが大きくなってしまうが、それでも十分にメリットを有していた。 エリ「ドサイドン、もう一度ユキメノコにがんせきほう!」 ドサイドンが再びがんせきほうを放つ。 マサト「ユキメノコ、かげぶんしん!」 ユキメノコがかげぶんしんを放つ。無数に分裂した中の1つにがんせきほうが命中、ドサイドンの攻撃は外れた。 マサト「行け、ガブリアス!ドラゴンクロー!ユキメノコ、ふぶき!」 ガブリアスがドラゴンクローを放つ。がんせきほうを発射した反動でほとんど動作ができなくなっていたドサイドンにクリーンヒットした。 そこにユキメノコのふぶきが直撃。強烈な一撃を立て続けに受けたドサイドンは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 エリ「ああっ、ドサイドン!」 ドサイドンはそれでも立ち上がったが、かなり息が上がっていた。しかし次の一撃を受ければ持ちこたえることはできないだろう。 エリ「でも勝負は最後まで分からないわよ!ドサイドン、いわなだれ!」 ドサイドンがいわなだれを放つ。ガブリアスとユキメノコ、2体同時にダメージを与えることができる技だ。 マサト「ユキメノコ、かわしてふぶき!ガブリアスは攻撃を受け止めるんだ!」 ユキメノコはいわなだれをかわして強烈なふぶきを放った。一方のガブリアスはいわタイプのダメージがじめんタイプで半減されるのを利用して、いわなだれを受け止めた。 強力なふぶきはたちまちドサイドンを飲み込み、ドサイドンはその場に崩れ落ちた。戦闘不能だった。 審判「ドサイドン、戦闘不能。ユキメノコの勝ち。よって勝者、トウカシティのマサト!」 イチロウ「マサト選手、最後は天候変化を生かしたコンボでエリ選手を圧倒!2回戦に駒を進めました!」 ミキ「やったわね、マサト君!」 マサト「うん。でも次はトモヤさんとのバトルだね。トモヤさん、僕だって負けませんよ!」 トモヤ「ああ。私もこうしてマサト君とバトルできることを光栄に思うよ。マサト君、私も全力で場取るするから、マサト君も全力で私にぶつかるんだ!」 マサト「はい!」 コトミ「次はあたしのコンテストね。コンテストバトル、あたしにとっても初めてのことだけど、でもここまで勝ちあがったんだから、負けるわけにはいかない。やるわよ、エルレイド!」 エルレイドは一声上げて気合を入れた。 シンイチ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、コンテスト大会も二次審査・コンテストバトルで盛り上がっております!次のバトルは、 今後の活躍が期待される新人同士のバトルとなりました!片やカントー地方・タマムシシティのコトミ選手、此方(=こなた)ジョウト地方・エンジュシティのシンサク選手! コンテストバトルは制限時間5分、ポケモン達によるダブルパフォーマンスで行われます!」 シンサク「あなたがコトミさんですね。では参りましょう。お手柔らかにお願いしますね。」 コトミ「ええ!1つ1つの試合に勝って、さらに上を目指すんだもん!ここで負けてられないわ!」 シンイチ「では参ります!バトルスタート!」 かくしてコトミにとって初めてのコンテストバトルが幕を開けた。相手はエンジュシティのシンサク。 シンサクは果たして、どういったコンビネーションを披露するのだろうか。そしてコトミはこの試合に勝ち、2回戦に進出することができるのだろうか。 (5) 〜挿入歌・『Together』が流れる〜 ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはコンテスト大会二次審査のコンテストバトルが行われており、1回戦でコトミはエンジュシティ出身のシンサクとバトルすることになった。 シンサク「ブーバーン、エレキブル!コンテスト、スタート!」 シンサクはブーバーンとエレキブルを繰り出した。 コトミ「エルレイド、フライゴン、ライジング・アップ!」 コトミはエルレイドとフライゴンを繰り出した。 マサト「コトミはエルレイドとフライゴンだね。」 ミキ「早速りゅうせいぐんを実践するかもしれないわ。果たしてどこまで仕上がったのかしら。気になるわね。」 サヤカ「次は私ね。私も勝ち抜いて、コトミちゃんに恥ずかしくないバトルをしなきゃね。」 シンサク「行きますよ、ブーバーン!エルレイドに10まんボルト!」 ブーバーンが10まんボルトを放った。 ユカリ「あのブーバーン、10まんボルトが使えるの?」 サヤカ「より多くのタイプの技を覚えて、相手のポイントを減らそうという作戦かしら。コトミちゃん、かなりきつい相手かもしれないわね。」 コトミ「エルレイド、サイコカッター!10まんボルトをはじき返して!」 エルレイドがサイコカッターを放つ。サイコカッターは10まんボルトを空中ではじき返した。シンサクのゲージがわずかながら減る。 シンサク「なるほど、そういう作戦でしたか。それならこれで参ります!エレキブル、フライゴンにれいとうパンチ!」 エレキブルがれいとうパンチを放つ。もともとドラゴンタイプとじめんタイプを併せ持つフライゴンに対しては効果抜群だ。しかもダメージがかなり大きくなる。 まともに食らえばゲージの減りも激しいのは言うまでもなかった。 コトミ「フライゴン、ソニックブーム!」 フライゴンがソニックブームを放つ。ソニックブームはエレキブルにクリーンヒット。しかしエレキブルはダメージを気にしていないのか、そのままフライゴンにれいとうパンチを放った。 シンイチ「フライゴンのソニックブームをものともしないエレキブル、強烈なれいとうパンチを打ち込みました!」 れいとうパンチをまともに受けたフライゴンは勢いよく後ろまで吹っ飛ばされ、かなりのポイントが削られた。しかしまだ戦える。 コトミ「まだまだよ!フライゴン、りゅうのいぶき!エルレイド、サイコキネシス!」 フライゴンがりゅうのいぶきを放つ。さらにエルレイドがサイコキネシスを放ち、エレキブルとブーバーンに一直線に突っ込んでいった。 シンサク「ブーバーン、だいもんじ!エレキブル、10まんボルト!」 ブーバーンがだいもんじで、エレキブルが10まんボルトで迎え撃つ。技と技が激しくぶつかり、大爆発が起きた。 シンイチ「技同士のぶつかり合い!バトル大会に勝るとも劣らない白熱した試合展開です!」 爆発で両者のポイントも幾分か減った。しかしさっきのれいとうパンチの効果が響いているのか、コトミのポイントの方がやや多く減っていた。 マサト「コトミ、大丈夫かなぁ・・・?」 ユカリ「あの程度の差なら、逆転するのはさほど難しくないわ。極端な話、ポイントが0に近い状況でも、バトルオフに持ち込んで一発逆転だってできるのよ。 コンテストはバトルとはまた違った面白さがあるのよ。」 コトミ「もう一度行くわよ!フライゴン、ストーンエッジ!エルレイド、サイコキネシス!」 フライゴンがストーンエッジを放ち、エルレイドがサイコキネシスをかけて威力を強めた。 シンサク「ブーバーン、エレキブル、かわして10まんボルト!」 ブーバーンとエレキブルはフライゴンとエルレイドの攻撃をかわして、2匹同時に10まんボルトを放った。 コトミ「フライゴン、りゅうのいぶき!エルレイド、サイコカッター!」 フライゴンがりゅうのいぶきで、エルレイドがサイコカッターでそれぞれ技を跳ね返した。 シンサク「ブーバーン、エレキブル、かえんほうしゃだ!」 ブーバーンとエレキブルがかえんほうしゃを繰り出した。同じ技を2体同時に使うことで威力を高めることができる。相手もさるものである。 シンイチ「ブーバーンとエレキブル、同じ技をダブルで使いこなすコンビネーションを見せています!」 そうこうしているうちにもコトミのポイントがみるみる減っていた。 コトミ「(まずいわ。このままだとあたしのポイントは確実に減っていく。こうなったら、一か八かやってみなきゃ!)フライゴン、りゅうせいぐん!」 フライゴンが高々とりゅうせいぐんを打ち上げた。果たして、りゅうせいぐんはうまくコントロール出来るのだろうか。そして、この勝負の行方は・・・。 (6) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはコンテスト大会の二次審査・コンテストバトルが行われており、コトミとシンサクの対戦が続いていた。 シンサクはエレキブルとブーバーンを使いこなし、かえんほうしゃや10まんボルトでコトミのポイントをじわじわと減らしていた。 ポイントを減らされ続けたコトミは、失敗覚悟でフライゴンにりゅうせいぐんを指示した。 高々と打ち上がったりゅうせいぐんは、無数の束に分かれて落下を始め、エレキブルとブーバーンに向かって落ちてきたのだった。 シンサク「エレキブル、ブーバーン、10まんボルトでりゅうせいぐんを撃ち落とせ!」 エレキブルとブーバーンは一斉に10まんボルトを放った。しかしりゅうせいぐんは10まんボルトを突き抜けて落下、強烈な一撃となった。 シンサク「ああっ、エレキブル、ブーバーン!」 エレキブルとブーバーンはまだまだ戦えそうだが、それでも今の一撃が効いたのか、シンサクのポイントは大きく減らされ、コトミが再び逆転した。 現時点で残り時間は2分と少し。時間を考えれば、まだ勝負の行方は見えなかった。 シンイチ「フライゴンの鮮やかなりゅうせいぐんがエレキブルとブーバーンにクリーンヒット!美しい演技でありました!」 シンサク「今のりゅうせいぐん、大変美しい演技でしたね。でもまだ私だって負けたわけではない!ブーバーン、かえんほうしゃ!エレキブル、サイコキネシス!」 ブーバーンがかえんほうしゃを放ち、エレキブルがサイコキネシスで技を加速させた。さっきエルレイドとフライゴンがやったのとほとんど同じコンビネーションだ。 コトミ「(やるわね。それならあたしだって負けないわ!)エルレイド、サイコカッター!フライゴン、ソニックブーム!」 エルレイドがサイコカッターで、フライゴンがソニックブームで攻撃する。技と技がぶつかり合い、再び大爆発が起きた。 シンイチ「技と技のぶつかり合いが続いております!いかに技を美しく見せることができるか、出場する選手たちも技の研究に余念がありません!」 再び両者のポイントが減る。じわじわと減っているのだが、このわずかなポイントの差が最後に勝負を分けるのはコンテストでは日常茶飯事である。 はっきり言って1秒たりとも気を抜くことはできなかった。 シンサク「やりますね、コトミさん。あなたはこれからも多くの経験をすることだと思います。では参ります!エレキブル、ブーバーン、ダブルで10まんボルト!」 エレキブルとブーバーンが一斉に10まんボルトを放った。 コトミ「フライゴン、りゅうのいぶき!エルレイドはりゅうのいぶきにサイコキネシス!」 フライゴンがりゅうのいぶきを放つ。それにエルレイドがサイコキネシスをかけて勢いを加速させる。 さっきまではいずれもコトミが最初にコンビネーションを放ってシンサクのポケモンに打ち消されていたが、今度は逆だった。 またしても技がぶつかり合い、フィールドが見えなくなるほどの爆発が起こる。実況のシンイチも言っていたが、バトル大会で繰り広げられるバトルにも負けず劣らずの 激戦が繰り広げられていた。コンテストでもコーディネーターとポケモンはいつでも真剣勝負を繰り広げているのである。 シンサク「(くっ、煙で何も見えない・・・!)」 コトミ「今よ!フライゴン、りゅうせいぐん!エルレイド、サイコキネシス!」 フィールドを覆うほどの煙の中、フライゴンが放ったりゅうせいぐんがエルレイドのサイコキネシスでコントロールされた。 そして煙が晴れた次の瞬間、エレキブルとブーバーンの視界に無数のりゅうせいぐんが見受けられたのだった。一瞬の出来事だった。 りゅうせいぐんの直撃をもろに受けたエレキブルとブーバーンは勢いよく吹っ飛ばされた。それでもどうにかして立ち上がろうとしたが、そのまま力なくフィールドに崩れ落ちた。 シンサク「エレキブル!ブーバーン!」 審判がバトルオフの判定を下した。ポケモンバトルで言う戦闘不能だった。それまで拮抗していたコトミとシンサクのポイントのうち、シンサクのポイントが0にされ、コトミの勝利を告げていた。 シンイチ「フライゴンのりゅうせいぐんを巧みに使い分けたコトミ選手、シンサク選手をバトルオフで下して2回戦に進出しました!」 マサト「やったね、コトミ!」 コトミ「ありがとう。初めてのコンテストバトルだし、ちょっと緊張してたけど、でもまさかバトルオフにできるなんて、思っても見なかったわ。だけど次の試合も気を引き締めていかないとね。 マサトも次はトモヤさんとバトルするんでしょ?いよいよみんなを相手にバトルするのね。マサトも負けてられないわね!」 ユカリ「コトミちゃん、すごいわね。初めてのコンテストバトルでバトルオフなんて、誰でもできることではないのよ。だけどコトミちゃん、油断は禁物よ。 過度な思い上がりはダーテングみたいに鼻を伸ばして自慢することになるかもしれないわ。でも最後は鼻をへし折られてしまうのよ(「天狗の鼻はへし折られる」の意味)。 1つ1つ、これからの試合も厳しい試合が続くと思うけど、だけどしっかり気を引き締めていかないといけないと思うわ。油断しないでね。」 サヤカ「次の出番は私ね。私もコンテストバトルをするのは初めてだし、緊張してないって言ったら変な話になるけど、でもコトミちゃんのバトルを見て自信を持てたわ。 コトミちゃん、2回戦でお会いしましょう!」 シンイチ「試合終了!ポイントはほとんど同じ、非常に僅差の勝負となりました!息詰まる攻防を制したのは、サヤカ選手です!」 サヤカが出場した試合は最後までわずかなポイントを争う大接戦となった。だがチルタリスが最後に繰り出したりゅうせいぐんが功を奏して、サヤカが2回戦出場を果たしたのだった。 コトミ「(サヤカさんのチルタリス、やっぱりよく育てられてるわ。あのチルタリスがいなければ、あたしのフライゴンやマサトのガブリアスもりゅうせいぐんを使いこなすことは できなかったかもしれない。かなりの強敵になると思うわ。だけどそれだからこそバトルする意味があると思うわ。)」 ユカリ「コトミちゃん。」 ユカリがコトミに話しかけてきた。 ユカリ「サヤカさんはコトミちゃんにとってもいいライバルになると思うわ。あのチルタリスは今のコトミちゃんにはかなりの強敵になると思うけど、 でもそう言う強い相手に立ち向かうって言うのは、バトルとコンテスト、どちらでも意義があることだと思うわ。」 コトミ「そうね。あたしだって負けてられないわね。でもそれはサヤカさんだって同じだと思う。だけど、もう迷わない。あたし、ポケモン達と一緒にいいバトルをする。 そしてユカリさん、3回戦でバトルしましょう!」 ユカリ「うん!コトミちゃんとサヤカさんのバトル、きっといい試合になると思うわ!」 こうしてコトミとサヤカはコンテスト大会1回戦を勝ち上がり、2回戦でバトルを繰り広げることになった。 次はバトル大会2回戦、マサトがトモヤと激突する。ナナシマを共に旅したトモヤは、マサト達も知っている通り、ニドキングを中心にどくタイプのポケモンでパーティを構成している。 一見するとマサトのサーナイトを中心にバトルすれば有利に試合を進められるかもしれないが、そこはトモヤのすること、マサトの手を読んで行動するかもしれない。 そしてトモヤは、マサトが見たこともないポケモンを使うかもしれないのである。 いずれにせよ、次の試合はお互いに負けられない戦いとなるのは必至だった。果たして、激戦を勝ち抜き、バトル大会3回戦に駒を進めるのは、マサトか、それともトモヤか。 Chapter-33に続く。 <初出> 全編書き下ろし。