Chapter-36『コンテスト対決!コトミVSユカリ!!』 (1) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはバトル大会決勝トーナメント・コンテスト大会二次審査とも、トレーナーやコーディネーターとポケモン達のコンビネーションで盛り上がりを見せていた。 バトル大会決勝トーナメントでは3回戦でマサトとレイカが対決、タイプの相性をはね除けてマサトが勝利を収めた。続いてミキも順当に勝利を収めた。 4回戦、マサトはケイコを相手にバトルすることになる。 そしてコンテスト大会二次審査は3回戦を迎え、ここまで勝ち残ったコーディネーターは64名。これからベスト32をかけた演技を繰り広げることになるのだった。 シンイチ「さあ、ナナシマ・バトルチャンピオンシップス、コンテスト大会は二次審査・コンテストバトル3回戦を迎えました!コーディネーターとポケモンの美しくも激しい競演は、 見ている私達をも引き付けてやみません!」 ソウスケ「はい。私もこうしてゲスト解説として観戦しておりますが、参加されているコーディネーターの皆さん、本当にいい演技を見せてくれています。」 試合は次々と行われている。コトミとユカリは試合が始まるまでの間、待合室で試合を観戦していた。 コトミ「(どのコーディネーターもレベルが高いわ。それに比べると、正直言ってあたし、レベルが低いかもしれない。だけど美しい演技を披露したい!そして、ユカリさんに勝ってみせるわ!)」 ユカリ「(コトミちゃん、初めてお会いしたときから普通のレベルではないって思ってた。ネイス神殿のときもそうだったわ。ポケモンとのコンビネーションもぴったりだった。 コンテストだけではなくて、バトルでも通用するかもしれないわ。あなたの実力、しっかり見せてもらうわ!)」 シンイチ「さあ、次の試合はコンテスト大会注目の試合となりました!期待の新人コーディネーターが憧れのトップコーディネーターに挑みます!」 画面にコトミとユカリ、そして両者のポイントが映し出された。 シンイチ「片やカントー地方・タマムシシティのコトミ選手!此方ジョウト地方・ワカクサシティのユカリ選手!」 マサト「いよいよコトミとユカリさんのバトルだね。」 ミキ「うん。コトミちゃんがどこまでユカリさんと渡り合えるか、本当に楽しみね。」 トモヤ「しかしユカリさんはトップコーディネーター。コトミちゃんにとってはかなりの強敵になる。どこまで粘れるかだな・・・。」 ユカリ「コトミちゃん。あたし、こうしてあなたとバトルするのを大変嬉しく思うわ!」 コトミ「はい!あたしも全力でバトルさせていただきます!お互いにいい演技にしましょう!」 シンイチ「制限時間は5分!ではまいります!バトルスタート!」 かくしてコトミとユカリのバトルが始まった。果たして、この試合を制するのは、コトミか、それともユカリか。 (2) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはコンテスト大会二次審査・コンテストバトル3回戦、コトミとユカリのバトルが始まった。 コトミ「エルレイド、ヘラクロス!ライジング・アップ!」 コトミはエルレイドとヘラクロスを繰り出した。 ユカリ「行くわよ!カメックス、ハピナス!」 ユカリはカメックスとハピナスを繰り出した。 マサト「ユカリさんはカメックスとハピナスだね。」 マサトはポケモン図鑑を取り出してハピナスをチェックした。 サヤカ「ハピナスは打たれ弱いところを豊富な技でカバーしているわ。コトミちゃんがどこまで太刀打ちできるかがポイントになるわね。」 コトミ「(やっぱりユカリさん、カメックスを出したわね。)エルレイド、サイコカッター!ヘラクロス、めざめるパワー!」 エルレイドがサイコカッターを、ヘラクロスがめざめるパワーをそれぞれ放った。 ユカリ「(コトミちゃん、エルレイドを出したわね。)カメックス、ミラーコート!ハピナス、カウンター!」 マサト「ええっ!?」 トモヤ「カメックスとハピナス、ダメージを倍返しにする技を覚えてたのか!?」 カメックスの張ったミラーコートとハピナスの張ったカウンターが炸裂。めざめるパワーとサイコカッターはそのままエルレイドとヘラクロスに向かって突っ込んでいった。 コトミ「エルレイド、サイコキネシス!ヘラクロス、メガホーン!」 エルレイドがサイコキネシスで、ヘラクロスがメガホーンでそれぞれ迎え撃つ。しかし跳ね返された技の威力は予想以上に強く、そのままエルレイドとヘラクロスはダメージを受けてしまった。 コトミのポイントは一気に5分の1程度減ってしまった。 ミキ「さすがはユカリさんね。技の使いどころをよく見極めてるわ。」 マサト「でもこのままだとコトミが押される一方だよ!?」 サヤカ「コトミちゃんはまだ駆け出しのコーディネーター。ユカリさんはトップコーディネーター。実力の差がありすぎるのかもしれないわ。 でも試合はまだ始まったばかり。これからコトミちゃんがどう反撃するかが見せどころね。」 コトミ「(やっぱりユカリさん、相当な実力ね。)エルレイド、もう一度サイコカッター!」 エルレイドがサイコカッターを放つ。 ユカリ「ハピナス、カウンター!」 ハピナスが再びカウンターで返す。 コトミ「今よ!ヘラクロス、つじぎり!」 ヘラクロスがつじぎりを放つ。カウンターで打ち返されたサイコカッターはつじぎりで切り刻まれ、無数の光となって散った。勢いでユカリのポイントが減る。 しかしまだユカリの方がポイントが残っている。 ユカリ「やるわね、コトミちゃん!」 コトミ「ユカリさん、さすがはトップコーディネーターと言われるだけの実力。すごいですね!」 ユカリ「うふふっ。そこまで言ってくれると嬉しいわ!さあ、行くわよ!カメックス、ハイドロポンプ!ハピナス、10まんボルト!」 カメックスがハイドロポンプを放つ。それにハピナスが10まんボルトをかけて水と電気の矢を演出した。 コトミ「(やるわね、ユカリさん。水と電気のコラボレーションね。)エルレイド、サイコカッター!ヘラクロス、こらえる!」 ヘラクロスがエルレイドをカバーする形でこらえる体制に入る。一方でエルレイドがサイコカッターを放つ。 サイコカッターがハイドロポンプと10まんボルトの矢とぶつかり合い、大爆発が起きる。爆発が収まるまでの間、煙がフィールドを覆い、様子をうかがい知ることはできなかった。 コトミ「エルレイド!ヘラクロス!」 ユカリ「カメックス!ハピナス!」 煙の向こうからポケモン達の声を聞くことができた。まだまだあの程度ではへこたれないと見ていいだろう。しかしポイントは両者とも着実に減っている。 だがコトミのポイントがユカリのそれに追い付くまでには至っていなかった。 コトミ「行くわよ!エルレイド、サイコキネシス!ヘラクロス、きしかいせい!」 エルレイドがサイコキネシスを放ち、カメックスとハピナスの行動を封じる。一方のヘラクロスはきしかいせいを繰り出した。 マサト「こらえるときしかいせいのコンビネーションだね。」 ミキ「うん。まずこらえるを使っておくと、戦闘不能になるダメージを受けたときでもこらえることができるわ。その状態できしかいせいを使うと、かなり大きなダメージを与えられるわ。 コトミちゃんもユカリさんを相手に堂々と渡り合ってるわね。」 きしかいせいの一撃はカメックスとハピナスを一気に蹴散らした。サイコキネシスで行動を封じられていたところにダメージを受けたこともあり、勢いよくポイントを減らされた。 これでコトミとユカリのポイントがほぼ並んだ。 シンイチ「コトミ選手、トップコーディネーターのユカリ選手を相手にかなり善戦しています!ですがユカリ選手の反撃はあるのでしょうか!?」 ユカリ「うん!すごいね、コトミちゃん!あたしとここまで互角に渡り合うなんて、きっと将来はあたしみたいなトップコーディネーターになれると思うわ!」 コトミ「ありがとうございます!」 ユカリ「でも勝負はまだこれからよ!カメックス、こうそくスピン!ハピナス、タマゴばくだん!」 カメックスがこうそくスピンで、ハピナスがタマゴばくだんでエルレイドとヘラクロスに迫る。果たして、コトミはどう迎え撃つのだろうか。 (3) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスはコンテスト大会二次審査・コンテストバトル3回戦、コトミとユカリのバトルが行われていた。 コトミはエルレイドとヘラクロスを出して果敢な演技を繰り広げていたが、そこはトップコーディネーターでもあるユカリのすること、生半可なレベルでポイントを奪うことはできなかった。 それでもコトミはユカリのポイントをほぼ同点まで減らしたが、ここでユカリのカメックスがこうそくスピンを、ハピナスがタマゴばくだんを放った。 ハピナスが放ったタマゴばくだんはこうそくスピンでエルレイドとヘラクロスに向かって行く。 コトミ「エルレイド、サイコカッター!ヘラクロス、めざめるパワー!」 エルレイドがサイコカッター、ヘラクロスがめざめるパワーをそれぞれ放とうとする。 しかしタマゴばくだんはコトミの予想以上に素早く、迎え撃つこともできないままエルレイドとヘラクロスに命中してしまった。 コトミ「ああっ!エルレイド、ヘラクロス!」 勢いでコトミのポイントが一気に減った。 ユカリ「カメックス、ハイドロポンプ!ハピナス、サイコキネシス!」 立て続けにカメックスがハイドロポンプを放つ。さらにハピナスがサイコキネシスをかけて勢いが増幅、体制を立て直せないままエルレイドとヘラクロスはダメージを受けてしまった。 たちまちコトミのポイントが大きく減らされる。残りポイントはもう4分の1もない。対してユカリはまだ3分の2近いポイントを残していた。 マサト「コトミ、もうポイントがないよ!?」 トモヤ「さすがはトップコーディネーター。口では否定していたが、やはりその実力は誰もが認めるものだったか・・・。」 ミキ「でもコトミちゃんも、かなりよくバトルしてると思うわ。これから色々な経験を積んでいけば、もっと上に行けると思うわ。」 コトミ「(まずい。このままだとポイントがなくなってしまう。残り時間はまだ半分あるけど、ちょっときついかもしれないわ。思い切ってバトルオフに持ち込めれば・・・!) エルレイド、ヘラクロス、行くわよ!」 エルレイドとヘラクロスは一声上げて気合いを高めた。まだ諦めないと言うことだろう。 と、エルレイドが息もつかせぬ早さでカメックスの懐に飛び込み、強烈な一撃を繰り出した。 コトミ「あれは!?」 ミキ「すごいわ!コトミちゃんのエルレイド、インファイトを覚えたのよ!」 コトミ「エルレイド!あなた、インファイトを覚えたのね!」 ユカリのポイントが幾分か減る。インファイトがポイントを減らしたと判断したのだろう。 ユカリ「やるわね、コトミちゃん。最後まで諦めないって言う気持ち、あたしも評価したいわ。」 コトミ「ありがとうございます!さあ行くわよ!エルレイド、インファイト!ヘラクロス、メガホーン!」 エルレイドがインファイトで、ヘラクロスがメガホーンでカメックスとハピナスに突っ込んでいく。 ユカリ「あたし達も一番のコンビネーションを見せるわよ!カメックス、ハイドロカノン!ハピナス、タマゴばくだん!」 カメックスがハイドロカノンを放つ。それにハピナスがタマゴばくだんを放ち、強力な水の大砲の中にタマゴばくだんが乱れ飛ぶ印象的なコンビネーションが繰り広げられた。 次の瞬間、水の大砲はエルレイドとヘラクロスに命中した。同時にタマゴばくだんも炸裂、エルレイドとヘラクロスは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 コトミ「エルレイド!ヘラクロス!」 爆発が収まると、エルレイドとヘラクロスはその場に倒れ込んでおり、バトル・オフ――バトルで言う戦闘不能となっていた。 審査員が同時に「×」のサインを出す。もうほとんど残りがなくなっていたコトミのポイントが0にされ、ユカリの勝利が告げられた。 シンイチ「バトルオフです!さすがはトップコーディネーターの実力!ユカリ選手、中盤までのコトミ選手の猛反撃を振り切り、最後はバトルオフで締めてくれました! コトミ選手も互角に渡り合う、本当にいい勝負を見せてくれました!」 コトミがエルレイドとヘラクロスに駆け寄る。 コトミ「エルレイド、ヘラクロス、本当にありがとう。勝負の勝ち負けは関係ないわ。あなた達、本当にいい演技を見せてくれたわ。ありがとう!」 そしてユカリも歩み寄った。 ユカリ「コトミちゃん。あなた、あたしを相手にこうして正々堂々と、本当にいい勝負を見せてくれたわね。」 コトミ「ありがとうございます。」 ユカリ「これからもコーディネーターとして、またトレーナーとして、たくさんの経験をすると思うわ。だけど、きっとその中の1つ1つに、光るものを見つけられると思うわ。 そしてコトミちゃん、いつか立派に成長したあなたと、もう一度バトルしたいわ。そのときは是非、コンテストマスター決定戦でバトルしたいわね。」 コトミ「はい。ユカリさん、いつかあたしもトップコーディネーターになります。そして、コンテストマスター決定戦で、共にバトルしましょう!」 そう言って、コトミとユカリは互いの手を取り、しっかりと固い握手を交わした。 こうして、コトミのコンテストバトルの挑戦は終わった。 しかし、まだバトル大会ではマサトとケイコのバトルが待っている。ボーマンダを使いこなすケイコは、これまでバトルした相手とは段違いに厳しい相手となるだろう。 果たして、バトル大会4回戦、激闘を勝ち抜き、5回戦に駒を進めるのは、マサトか、それともケイコか。 Chapter-37に続く。 <初出> 全編書き下ろし。