Chapter-38『ナナシマリーグ設立!それぞれの道に向かって!!』 (1) ミキ「エーフィ、サイコキネシス!ルカリオ、はどうだん!」 ユカリ「カメックス、ハイドロポンプ!ジュゴン、れいとうビーム!」 ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは準々決勝・準決勝とも、ミキとユカリのいずれも危なげない試合運びで勝ち進んでいった。そしてバトル大会・コンテスト大会とも決勝戦が行われ、 ミキは最後の1匹までもつれ合い、ユカリもわずかのポイントを争う大激戦となったが、最後は両者とも勝利を収め、晴れてアベック優勝を成し遂げたのであった。 イチロウ「バトル大会の優勝は、カントー地方・ヤマブキシティ出身のミキ選手です!」 シンイチ「コンテスト大会、見事なまでの美しい演技で優勝したのは、ジョウト地方・ワカクサシティのユカリ選手です!」 ルリカ「おめでとう!ミキさん、ユカリさん!」 マサト「2人ともすごいですね。やっぱり僕、まだかないそうもないなぁ。」 コトミ「あたしも、ユカリさんと一緒にコンテストバトルを経験して思ったんですけど、まだあたしとは実力の差がありすぎて、とてもかないそうになかったです。」 ミキ「ううん。実力の違いって言うのは、戦術次第でいくらでもひっくり返せるものなのよ。だからマサト君やコトミちゃんも、あたし達に負けない戦術を編み出せれば、 きっとあたしやユカリさんにも勝てる実力をつけられると思うわ。」 ユカリ「ミキさんの言う通りよ。あたしもコトミちゃんとバトルして思ったけど、どう言ったポケモンを出すか、どの技を使うか、どうやって美しく見せるか、そう言った工夫次第で、 バトルの流れは簡単に変えられるものだと思うわ。」 ルリカ「うふふっ。今晩はみんなでパーティーね。よろしかったら、マサト君達も参加する?」 一同「はい!」 その晩、ミキとユカリの「アベック優勝」を記念して、ルリカがパーティーを開いた。 ルリカはいつかのときと同じく弁当を用意していた。実況のスタッフに提供されるのと同じ業者に依頼して作ってもらったものだった。 ルリカ「明日はみんなでバトルスタンプラリー。そして終わったら、みんなそれぞれの道に向かって歩き出すんだね。だからみんな、今日はしっかり食べてね!」 一同「はい!」 マサト達は弁当のふたを開けた。 外からでも大盛りにしてあるのが容易に想像できたが、果たして中身を見ると、ご飯の上にぎっしりと鳥南蛮が載せられており、緑・赤・黄色のピーマン、玉ねぎ、そして レモンが入っていた(※1)。その量たるや半端なものではない。恐らく800グラムはあるだろう(※2)。 マサト「ええっ!?こんなに食べられないよ?」 ルリカ「一度に食べられなかったら、ある程度時間をおいて食べるといいわ。せーの!」 一同「いただきます!」 翌日はナナシマ・バトルチャンピオンシップス最終日、3回バトルしてスタンプを集めると記念品がもらえる「バトルスタンプラリー」だった。 すでにバトル大会予選ラウンドやコンテスト大会一次審査で敗退した選手を対象に決勝トーナメントとコンテストバトルと並行して行われており、今回はマサト達など決勝トーナメントや コンテストバトルに進出した選手も含めて行われることになった。 そしてこれと同時に、正午からナナシマリーグの設立発表が予定されており、ジムリーダーの選出が行われることになっていた。 マサト「ナナシマリーグって、どういう感じになるの?」 ミキ「ナナシマの4か所にジムを設けて、4つのジムで勝利したトレーナーがヘッドリーダーを相手にバトルする方式になるわ。オレンジリーグと同じ形式ね。」 トモヤ「ヘッドリーダーとのバトルの会場は恐らくこの7のしまになると思うよ。元々トレーナータワーと言う、有名なバトル施設を擁している上、今回の バトルチャンピオンシップスのインフラを活かしてバトルができるからね。」 レイカ「そう言えば、みんなはどこを回ってスタンプを集めるの?」 マサト「あっ、そうだね。色々なルールでバトルできるし、結構迷っちゃうね。」 バトルスタンプラリーは、バトル大会に参加した選手がコンテストに、またはその逆も可能であり、ルールも今回の大会のルールに準拠したものや、対戦者同士で作ったルールで バトルすることも可能と言う、色々なカテゴリーに分かれていた。 サヤカ「でも、せっかくだから色んなところを回ってたくさんのバトルができたらいいわね!」 コトミ「そうね!」 (2) イチロウ「さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!ナナシマ・バトルチャンピオンシップス最終日は参加者全員で楽しく大バトル!バトルスタンプラリーを行います!」 シンイチ「バトル大会に参加した選手がコンテスト大会に。またコンテスト大会に参加した選手がバトル大会にも参加できる、参加者全員が一体となって楽しむ催しです!実況の私達も 一緒になってこの模様をお伝えしたいと思います。ではルリカさん、ソウスケさん、どうぞよろしくお願いします。」 ルリカ・ソウスケ「よろしくお願いします。」 激戦が繰り広げられたナナシマ・バトルチャンピオンシップスは早いもので今日が最終日。バトル大会はミキ、コンテスト大会はユカリがそれぞれ優勝、参加者が3回バトルして記念品をもらう 「バトルスタンプラリー」、そしてナナシマリーグのジムリーダーの発表が終われば、後は閉会式を残すだけとなっていた。 シンイチ「このバトルスタンプラリーは、予選ラウンドや一次審査で敗れた選手を対象に、決勝トーナメント・コンテストバトルと並行して行われました。今回はそれに加えて、 決勝トーナメントやコンテストバトルに進出した選手も含めて全員が参加します。」 イチロウ「これと並行して、このあと正午からナナシマリーグの設立宣言が行われ、ジムリーダーの発表がなされることになっています。ルリカさん、対象はどう言った 感じになっているのでしょうか?」 ルリカ「今回のナナシマリーグでジムリーダーの対象となるのは、バトル大会に参加した全ての選手です。この中から抽選が行われ、今日の正午に発表されることになっています。 果たして誰が選ばれるのでしょうか。この点も注目したいですね。」 ソウスケ「発表が行われると、ナナシマのどこにジムを置くか、リーグ本部はどこになるかと言った調整もなされます。いよいよナナシマにもポケモンリーグが設立されます。 そしてポケモンコンテストが行われる日もさほど遠くないかと思います。」 実況の声が響く中、マサト達は思い思いに場所をめぐってバトルに臨んだ。 さすがはバトルチャンピオンシップスと言うべきであろうか、参加者のレベルはかなり高く、マサト達も敗れてしまうことも見受けられた。すなわち、バトル大会・ コンテスト大会を通じて、誰が優勝してもおかしくなかったと言えるだろう。 やがてマサトは2つのスタンプを集め、トレーナータワーの下に着いた。と、そこにコトミ、トモヤ、レイカの3人が現れた。 コトミ「マサト!」 トモヤ「マサト君!」 レイカ「みんなもここにいたんだ!」 マサト「みんなはどれだけのスタンプを集めたの?」 コトミ「あたしは2つよ。次のスタンプをもらえば記念品がもらえるわ。」 トモヤ「私も2つだよ。」 レイカ「私も!」 マサト「僕もだよ。あっ、次のスタンプを集めれば記念品がもらえるね!」 レイカ「そうだね!」 と、そのときアナウンスが響き渡った。 実行委員長「皆さん、大変長らくお待たせいたしました。これよりナナシマリーグ開設宣言を開始したいと思います。」 時刻はもう正午になっていた。ナナシマリーグ開設宣言、そしてジムリーダーの発表がなされるところだった。 イチロウ「皆さん、お聞きいただいたでしょうか。間もなくナナシマリーグ設立宣言がなされ、ジムリーダーを担う方々が発表されます!」 マサト「いよいよ設立されるんだね。」 コトミ「誰が選ばれるのかしら。あたしはコンテスト大会に出たから関係無いけど、誰が選ばれても不思議ではないわね。」 ヴィジョンが切り替わり、ポケモンリーグのケロ会長が壇上に進んだ。――サトシが各地のリーグに出場していたときに会長を務めていたタマランゼ会長はすでに 引退しており、新しくケロ会長が就任していた。 ケロ会長「ナナシマの皆さん、そしてカントー、オレンジ諸島、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュの皆さん、こんにちは。私はポケモンリーグのケロ会長です。」 その模様はナナシマから全国ネットで放送されており、トウカシティでセンリとミツコ、タマムシシティでコトミの両親、1のしまでニシキ博士、2のしまでトモヤの母、 ジョウトリーグでワタルとカリン、セキエイ高原でカンナ、マサラタウンでオーキド博士もテレビを見つめていた。 ケロ会長「ナナシマ・バトルチャンピオンシップスに参加された皆さん、期間中、本当にたくさんの名勝負を見させていただきました。コンテスト大会も含めて、 ナナシマ地区のレベルアップに繋がったかと思います。」 すでにバトルやコンテストを繰り広げていたトレーナーやコーディネーターも勝負の手を休めてケロ会長の演説を聞いている。 ケロ会長「これからもますますの発展が期待されるナナシマ。今回のバトルチャンピオンシップスの成功は、ポケモンバトルの新しい道を切り開くものだったと思います。 ここに、新たなポケモンリーグ、ナナシマリーグの設立を宣言いたします。」 この瞬間、カントー、オレンジ諸島、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュに続く新しいポケモンリーグ、「ナナシマリーグ」の設立がなされたのだった。 ケロ会長「引き続きまして、ナナシマリーグのジムの設置場所、並びにジムリーダーの発表を行います。」 いよいよナナシマリーグのジムがどこに作られるかが発表されることになった。 ケロ会長「ナナシマのポケモンジムは、1のしま、3のしま、4のしま、6のしまの4か所に開設いたします。そしてこれらのジムを回って4つのバッジを集めたトレーナーは、 7のしまのヘッドリーダーとバトルすることになります。」 スクリーンにナナシマの地図が写し出され、1のしま、3のしま、4のしま、6のしまのポケモンジム、そして7のしまのヘッドリーダーバトルの位置が記された。 恐らく7のしまのバトル会場はバトルチャンピオンシップスのインフラを活用するのだろう。 ケロ会長「では全国の皆さん、大変お待たせいたしました。これよりナナシマリーグジムリーダーとなられる、5名のトレーナーの皆様方を紹介いたします。今回選出された5名の トレーナーの皆様は、いずれも今回のナナシマ・バトルチャンピオンシップスにおいて優秀な成績を収めた方々です。今回、これまでのトレーナーとしての戦歴、成績、 また試合の対戦結果などを考慮いたして、参加されたトレーナーの中から抽選で発表させていただきました。」 そしていよいよ5人のジムリーダーが発表される。5人のうち1人はヘッドリーダーに選ばれるのだろう。果たして、誰が選ばれるのだろうか。 (3) マサト達は、ポケモンリーグのケロ会長が読み上げるナナシマリーグのジムリーダー選出発表を聞いていた。 ケロ会長「まず1人目は、シンオウ地方・トバリシティ出身のユミコさんです。」 スクリーンにユミコの写真が写された。 マサト「確かユミコさんって、ミキさんが予選ラウンド3回戦で対戦した相手だったっけ?」 コトミ「と言うことは、予選ラウンドで敗れた選手も対象に入っていたのね。やっぱりバトル大会の全員が対象だったんだわ。」 ケロ会長「続いて2人目です。2人目は、ホウエン地方・ムロタウン出身のマサヤさんです。」 続いてマサヤの写真が写し出される。 レイカ「今のマサヤさんって言う人は、私が決勝トーナメントで対戦した相手だわ!」 ケロ会長「次は3人目です。3人目は、カントー地方・シオンタウン出身のノブテルさんです。」 ノブテルの写真が写し出された。マサト達とは対戦していない人物だった。 ケロ会長「残りは2人となりました。4人目は、カントー地方・ニビシティ出身のミリコさんです。」 これもマサト達とは対戦していない人物、ミリコの写真が出た。ニビシティと言うことでクニエが選ばれるのかと思ったが、違っていた。 マサトは表情に出してはいないが一瞬どきっとしただろう。 ケロ会長「最後の1名を発表します。5人目は、ジョウト地方・ラフォールタウン出身のトモヤさんです。」 マサト「えっ!?」 コトミ「トモヤさんが!?」 トモヤ「私が!?」 レイカ「トモヤお兄ちゃん!?」 マサト達は思わず互いに顔を見合わせた。 ケロ会長「今名前を呼ばれたトレーナーの皆様は、ナナシマ・バトルチャンピオンシップスの閉会式のときに、改めて名前を発表いたします。そのときにこれからするべきことについて 連絡がありますので、留意しておいてください。」 マサト「トモヤさんがジムリーダー・・・?」 コトミ「まさかトモヤさんが選ばれるなんて・・・。」 マサトとコトミは驚いた表情で顔を見つめていた。一方のレイカは状況を判断したのか、こう言った。 レイカ「おめでとう、トモヤお兄ちゃん!」 マサト・コトミ「おめでとう!」 トモヤ「ありがとう。今突然言われたので、私としても正直言って、まだジムリーダーになるって言う実感が涌かないんだ。だけどジムリーダーとなるからには、これまで以上に ポケモンに対してしっかり接していきたいと思うよ。」 だがそれは、同時にもう1つの意味を持っていた。 マサト「と言うことは、トモヤさんが僕たちと一緒に冒険できるのもここまでって言うことですね・・・。」 コトミ「これまで本当にありがとうございました。」 トモヤ「そうだね・・・。それなら、最後に私たち4人で、ポケモン1体ずつでバトルしようか?」 一同「はい!」 〜挿入歌:『ライバル!』が流れる〜 こうして、マサト、コトミ、トモヤ、そしてレイカの4人で、ポケモン1体ずつを出し合い、バトルすることになった。チーム分けはマサト・コトミの2人とトモヤ・レイカの2人だった。 マサト「行け、サーナイト!」 マサトはサーナイトを繰り出した。 コトミ「行くわよ、エルレイド!」 コトミはエルレイドを繰り出した。 トモヤ「出番だ、ニドキング!」 トモヤはニドキングを繰り出した。 レイカ「行くよ、ハッサム!」 レイカはハッサムを繰り出した。いずれもそれぞれの一番のパートナーを使うことになった。 果たして、トモヤは最後にマサト達の心にどう言った印象を刻み付けてくれるのだろうか。 (4) ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは最終日、参加者一同で交流を深めながらスタンプを集めて記念品をもらう「バトルスタンプラリー」が行われていた。 マサト達はすでに2つスタンプを集めており、次にバトルすれば記念品をもらうことができた。そしてトモヤはナナシマリーグのジムリーダーの1人に選ばれており、 今回のバトルがマサト達と同行する中では最後のバトルになるのだった。 ルールは4人のマルチバトル。ポケモンは1体ずつでバトルすることになっており、マサトとコトミがトモヤとレイカを相手にバトルすることになった。そしてマサトはサーナイト、 コトミはエルレイド、トモヤはニドキング、レイカはハッサムと、いずれも一番のパートナーを繰り出したのだった。 トモヤ「ニドキング、サーナイトにだいちのちから!」 レイカ「ハッサム、エルレイドにぎんいろのかぜ!」 ニドキングがだいちのちからを、ハッサムがぎんいろのかぜをそれぞれ放つ。 マサト「サーナイト、テレポート!」 コトミ「エルレイド、テレポート!」 サーナイトとエルレイドがテレポートで攻撃をかわす。だいちのちからとぎんいろのかぜは2匹が消えた直後に発動、ニドキングとハッサムの攻撃は外れた。 マサト「サーナイト、ハッサムにでんじほう!」 コトミ「エルレイド、ニドキングにサイコキネシス!」 ニドキングとハッサムの真後ろに現れたサーナイトとエルレイドがでんじほうとサイコキネシスを放った。 トモヤ「ニドキング、ジャンプだ!」 レイカ「ハッサム、かげぶんしん!」 ニドキングがジャンプでサイコキネシスをかわそうとする。だがサイコキネシスはニドキングの姿を捉え、行動を封じた。一方のハッサムはかげぶんしんででんじほうをかわした。 トモヤ「しっかりするんだ、ニドキング!」 ニドキングはトモヤの声に応えたのか、サイコキネシスを振りほどいた。 トモヤ「よし!ニドキング、サーナイトにメガホーン!」 ニドキングがメガホーンの体制に入る。 レイカ「ハッサム、エルレイドにつばさでうつ!」 ハッサムもつばさでうつ攻撃の体制に入った。いずれもまともに受ければ効果は抜群。ダメージが大きくなってしまう。 マサト「サーナイト、シャドーボール!」 サーナイトがシャドーボールを連発する。ニドキングとハッサムはシャドーボールの連打をまともに受けてしまった。 コトミ「エルレイド、サイコカッター!」 エルレイドもサイコカッターを連発してニドキングとハッサムの行動を封じる。 トモヤ「負けるなニドキング!サーナイトにどくづきだ!」 レイカ「ハッサム、エルレイドにむしくい!」 ニドキングがどくづき、ハッサムがむしくいの体制に入る。 マサト「コトミ、準備はいい?」 コトミ「うん!」 マサト「サーナイト、サイコキネシス!」 コトミ「エルレイド、サイコキネシス!」 サーナイトとエルレイドが一斉にサイコキネシスを放った。サイコキネシスはニドキングとハッサムの行動を完全に封じたばかりでなく、そのまま後ろまで吹っ飛ばしていった。 マサト「サーナイト、ニドキングにシャドーボール!」 コトミ「エルレイド、ハッサムにインファイト!」 サーナイトがシャドーボールを放ち、エルレイドがハッサムの懐に飛び込んでインファイトを繰り出した。 インファイトではね飛ばされたハッサムは勢いよくニドキングに激突、そのまま2匹ともフェンスに叩きつけられて戦闘不能となった。 コトミ「やったね、マサト!」 マサト「うん!」 マサトとコトミは互いにハイタッチを交わした。 トモヤ「マサト君、コトミちゃん。君たちはナナシマを回って、本当に成長したね。これからもたくさんの経験を積んで、さらに成長していくだろう。 君たちとバトルできて、本当に良かったよ!ありがとう!」 レイカ「マサト君、決勝トーナメントに続いてまた負けちゃったけど、でも私、こうしてバトルチャンピオンシップスに出られて、本当に楽しかった。マサト君やコトミちゃん、 そして他のたくさんのみんなにも出会えて、私、ちょっと強くなれた気がするの。いつかまたみんなでバトルしましょう!約束よ!」 マサト・コトミ「うん!」 トモヤ「さあ、これで3回バトルしたから、記念品をもらいに行こう!」 記念品はトレーナータワーの中に特設ブースが設けられており、そこで引き替えることができた。 マサト「お願いします!」 コトミ・トモヤ・レイカ「お願いします!」 係員「かしこまりました。・・・はい、3回バトルしましたね。ではこちらが記念品になります。」 そう言うと係員は記念品を差し出した。ボールは赤く塗られており、いかにも希少品ということが一目で見受けられた。ボールの上部にバトルチャンピオンシップスのロゴと 参加記念の文字もしっかり刻まれていた。 係員「プレシャスボールって言うんです(※3)。めったやたらなことでは手に入らない、とても貴重なボールです。皆さん、大事に使ってくださいね。」 マサト「はい!」 こうして、マサト達はバトルスタンプラリーで3回バトルを行い、記念品としてプレシャスボールをもらったのだった。そしてそれは、トモヤにとって、マサト達との旅の 終わりを意味していたのだった。 そして、ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは閉会式を迎える。 (5) 〜挿入歌:『GLORY DAY〜輝くその日〜』が流れる〜 数々の激闘が繰り広げられたナナシマ・バトルチャンピオンシップスも、大会の日程はあっという間に過ぎていくもので、閉会式を残すだけとなっていた。 イチロウ「ナナシマで初めてのポケモンバトルとポケモンコンテストの公式大会、ナナシマ・バトルチャンピオンシップスもこれにてすべての内容が終了、閉会式となりました。 バトル大会の優勝は、カントー地方・ヤマブキシティのミキさん。そしてコンテスト大会の優勝は、ジョウト地方・ワカクサシティのユカリさんです!両者に盛大なる拍手をお送りください!」 ミキとユカリが壇上に上り、実行委員長から大きなトロフィーを受け取った。 ミキ「ユカリさん。こうしてバトル大会とコンテスト大会で優勝を分かち合えたこと、あたしとしても誇りに思うわ。」 ユカリ「うん。あたしもミキさんだけじゃなくて、今回たくさんのライバルと知り合うことができて、本当によかったわ。これからも、あたしとミキさんとルリカさん、 そしてマサト君やコトミちゃん、トモヤさん、そして他のみんなと一緒に、仲良くしていこうね!」 その光景を参加者の中からマサト達も見ていた。 マサト「ミキさんとユカリさん、本当に嬉しそうだね。」 コトミ「ミキさん、ルリカさん、そしてユカリさん。3人はあるときはライバル、そしてまたあるときは無二の親友として、お互いを高め合っているのね。うん。 あたしも負けてられないわ。いつかあたしも、ユカリさんに勝って、コンテストマスターになるわ!」 マサト「そして僕も、いつかはサトシにも負けないポケモンマスターになる!本当ならすぐにでもバトルしたかったけど、でもいつか、僕とサトシでバトルするんだ!」 コトミ「そうね。実はマサト、今回参加して思ったことがあるんだけど・・・。」 マサト「ん?コトミ、どうしたの?」 コトミ「あたしもコンテストだけでなくて、バトルもやってみたいって思ってるの。たくさんの経験を積んで、トレーナーとして、またコーディネーターとして成長していくって、 今回参加して思ったわ。だからあたし、ミキさんみたいに、コンテストとバトル、両方の道を極めたいって思うわ。」 マサト「僕もそれ、ずっと思ってた。お姉ちゃんのコンテストを見てて、僕もバトルだけでなくて、コンテストもやってみたいって思ってたんだ。だけど今まで、どれか1つに絞るべきか、 それとも両方やるべきかって、ずっと迷ってた。でも、僕もサトシみたいなポケモンマスターと、お姉ちゃんみたいなコーディネーターとしての道、両方に挑戦したいって思うんだ。」 トモヤ「そうか。マサト君とコトミちゃん、バトルとコンテスト、両方に挑戦するんだね。トレーナーとして、またコーディネーターとして、『二足のわらじ』を履くことは とても大変だと思う。だけど、ミキさんにできることだから、マサト君やコトミちゃんにもきっとできると思うよ。」 レイカ「うん!マサト君、コトミちゃん、私も応援するわ!」 サヤカ「そうしたら、私はコトミちゃんだけでなくて、マサト君にとってもライバルになるわね。マサト君、いつかコンテストバトルでお会いしましょう!」 マサト「はい!」 シンイチ「ポケモンバトルとポケモンコンテストの垣根を越えて、多くのトレーナーとコーディネーターが出会い、そして友情を深めたナナシマ・バトルチャンピオンシップス。 皆さんの心には、どう言ったバトルやコンテストが記憶に刻まれたでしょうか。これから始まるナナシマリーグ、ジムに挑戦するトレーナーの皆さん、そして今回ジムリーダーに選ばれた ユミコさん、マサヤさん、ノブテルさん、ミリコさん、トモヤさんの5名にも一層の活躍を期待したいものです。」 イチロウ「そうですね。ナナシマリーグ、そしてコンテスト大会と、今後ナナシマはいろいろな意味で注目されることでしょう。今回のバトルチャンピオンシップスがきっかけとなって、 より多くのトレーナーやコーディネーターがこのナナシマから全国、そして世界に向けて羽ばたいていければと思っています。そしてゲスト解説として携わってくれました ルリカさん、ソウスケさん、今日までの長丁場、本当にありがとうございました。」 ルリカ「はい。私としてもバトル大会のゲスト解説として数々の激闘を解説することができたことを、本当に光栄に思います。本当にありがとうございました。」 ソウスケ「たくさんの美しい演技と数々の名勝負が繰り広げられたコンテスト大会、その美しい姿はいつまでも私たちの胸に刻まれることでしょう。本当にありがとうございました。」 イチロウ・シンイチ「それでは、これをもちましてナナシマ・バトルチャンピオンシップスの会場から失礼したいと思います。さようなら!」 ルリカ・ソウスケ「さようなら!」 〜挿入歌:『小さきもの』が流れる〜 こうして、数え切れないほどの激闘が繰り広げられたナナシマ・バトルチャンピオンシップスは幕を閉じ、マサト達はそれぞれの目標に向かって、新たなる第一歩を踏み出すことになった。 まずトモヤは、ナナシマリーグのジムリーダーに選出されたことを伝えるため、2のしまの実家に戻ることになった。 マサト「トモヤさん、もう出発されるんですね・・・。」 コトミ「今まであたし達と一緒にナナシマの旅にお付き合いしてくれて、本当にありがとうございました。」 トモヤ「うん。マサト君やコトミちゃんがいなかったら、私もルビーやサファイア、そしてダイヤモンドやパールと言った、数々の宝石を見つけることはできなかったと思うし、 ネイス神殿でロケット団とバトルしたときに協力してくれたミキさんやルリカさん、ユカリさんにも本当に感謝している。本当にありがとう。」 ミキ「ううん。あたし達がしたことは、本当にごく些細なことなのよ。だけどこのごく些細なことが、今では全国のネットワークを結びつけている。些細なことではないんだって思うわ。」 ユカリ「あたしだって、1人だけではロケット団にやられてたかもしれないわ。でもみんなが力を合わせたからこそ、トモヤさんの、そしてニシキ博士の夢が実現できたんだって思うわ。」 ルリカ「私がもし、あのとき1人でへそのいわに足を踏み入れていたとしたら、今頃はロケット団に敗れていたのは間違いなかったわ。私からも、あのときは本当にありがとうね。」 サヤカ「トモヤさん、これからジムリーダーとして多くの挑戦者を迎えることになるけど、大事なのは前に向かって進んでいくと言うこと。そしてたくさんの挑戦者とバトルを 重ねていくことで、ジムリーダーとしても成長できると思うわ。」 レイカ「トモヤお兄ちゃん、これからはジムリーダーだね。私もまたいつかナナシマを訪れたら、一番にトモヤお兄ちゃんのジムに挑戦しにいくね!」 トモヤ「みんな、本当にありがとう。私はこれからジムリーダーとしてやっていくことになる。そしていつか、またナナシマを訪れたときは、一緒にバトルしよう!」 一同「はい!」 そう言うとトモヤは船に乗り込み、実家のある2のしまに向かっていった。トモヤは手持ちポケモンをボールから出してマサト達に別れを告げた。 一同「さようなら!」 トモヤ「いつか、リーダーとしてバトルしよう!」 マサト達はトモヤの乗った船が見えなくなるまで手を振り続けていた。 次はサヤカとレイカだった。サヤカはポケモンコンテストに出場するため、レイカはポケモンリーグを回るため、サヤカの地元・カントー地方のセキチクシティに向かうことになるのだった。 サヤカ「皆さん、バトルやコンテストを通じて皆さんと知り合えて、本当に楽しい時間を過ごすことができました。本当にありがとう。マサト君、コトミちゃん、バトルとコンテスト、 両方に挑戦するのは生半可なことではできないと思うけど、でもあなた達ならきっとできると思うわ。」 レイカ「マサト君、今度バトルするときは私だって負けないからね!今度はポケモンリーグで会おう!そしてルリカお姉ちゃん、これからもたくさんのチャレンジャーとのバトルを通じて、 もっと強くなってね!そしていつか、チャンピオンバトルで会おう!だからルリカお姉ちゃん、いつかワタルさんに勝って、チャンピオンになってね!」 ルリカ「うん!だからレイカちゃん、私がチャンピオンになったとき、ポケモンリーグで負けないでね!お姉ちゃんとの約束よ!」 ルリカとレイカは互いに固い握手を交わした。 そしてサヤカとレイカはセキチクシティ行きの船に乗り込んだ。サヤカとレイカが乗ると、船はまもなく出航した。 サヤカ「さようなら!」 レイカ「また会おうね!」 そして次はユカリだった。ユカリはさらなる高み、コンテストマスターを目指して特訓するため、一度地元であるジョウト地方・ワカクサシティに戻ることになった。 ユカリ「そう言えば、マサト君とコトミちゃんって、これからどこに行こうと思うの?」 マサト「僕は一度トウカシティに戻ります。そして次はジョウト地方に行こうと思っているんです。お姉ちゃんが僕やサトシ、タケシと別れた後、1人で回った道を 僕もたどってみようと思っているんです。」 コトミ「あたしもジョウトに行こうと思っているんです。コンテストもそうですけど、ルリカさんが四天王を務めるジョウトリーグ。あたしも挑戦してみたいって思っているんです。 まずはタマムシシティに戻って、それからジョウトに行こうと思っています。」 ユカリ「そうなんだ。もし途中でワカクサに立ち寄ることがあれば、是非あたしに連絡してね!」 マサト・コトミ「はい!」 ミキ「ユカリさん、これからもいい演技を期待してるわ!応援してるわね!」 ルリカ「私も応援してるわ!コンテストマスターを目指して、お互いに励まし合っていきましょう!」 ユカリ「うん!」 そしてユカリは船に乗り、一足早くジョウトに向かっていった。 ユカリ「みんな、これからもお互いにしっかりやっていこうね!あたしも応援してるわ!」 後にはマサト、コトミ、ミキ、ルリカの4人が残った。 マサト「ミキさんとルリカさんは、これからどうなされるんですか?」 ミキ「あたしもマサト君と一緒に、トウカシティに行こうと思うの。ほら、センリさんに挑戦してなかったってお話、以前に言ってたでしょ?だから、あたしもセンリさんに 挑戦してみようと思うの。マサト君のお父様の実力、しっかり見させてもらうわ。」 ルリカ「私は一度クチバシティに戻って、それからジョウトリーグに戻ることになるんだけど、ジョウト地方にこれまで高い実力がありながら、未だに公式ジムとして認められて なかった、リュウグウジムって言うのがあるの。今度、私がリュウグウジムを公式ジムとして認めるために、足を運ぶことになるの。だからコトミちゃん、しばらく一緒できるわね。」 コトミ「そうですか!ではルリカさん、よろしくお願いしますね!」 ルリカ「うん!しばらくの間だけど、よろしくね!」 マサト「ジョウトリーグの参加登録は、どこで行えるんですか?」 ルリカ「今の私達の状況から行くと、ワカバタウンで行うのが一番効率がいいわね。ホウエンからもワカバタウン行きの船が出てるわ。私とコトミちゃんは、タマムシシティから トキワシティを経由した方が早いけど、マサト君とミキさんは船を使うことになるわね。ワカバタウンの港に着いたら、私かコトミちゃんに連絡を入れてね!」 コトミ「マサト、またワカバタウンで会おうね!」 マサト「うん!」 マサトとコトミは互いに握手を交わした。 船の出発する順番としては、コトミとルリカが乗るカントー地方・クチバシティ行きの船の方が早く出ることになっていた。そのため、コトミとルリカは一足早く船に乗っていた。 2人が乗り込むと、程なくして船は港を離れ、カントーに向かって出発していった。そして船が見えなくなると、ミキがマサトの方を向いて言った。 ミキ「マサト君、あたし達の乗る船ももうすぐ出発するわ。行きましょう!」 マサト「はい!」 こうして、ナナシマ・バトルチャンピオンシップスは終わった。しかし、さらなる高みに向かって立ち向かっていく姿勢が終わることはない。 マサトとミキが向かうのは、ホウエン地方のトウカシティ。コトミとルリカが向かうのは、カントー地方のクチバシティだ。そしてマサトとコトミがその先に見つめるのは、 新しい冒険の舞台・ジョウト地方。 新たなる旅に向かうマサト達の冒険は、まだまだ続く。 Chapter-39に続く。 (※1・2)「ルリカが差し入れした弁当について・その2」 ルリカが用意した弁当は、小田原駅の東海道新幹線コンコースで販売されている駅弁、「BIGとり南蛮重」がモデルになっています(実際に800グラム超の量があり、筆者も いちどきに食べきれませんでした)。Chapter-27のときのシウマイ弁当同様、今回もモデルとなった弁当の内容をそのまま尊重しています。 (※3)「プレシャスボールについて」 ゲームでは、プレシャスボールはイベントなどでプレゼントされたポケモンの多くが入っているというもので、実際に「プレシャスボールのデータ」が配信されたことは (2010年6月現在)ありませんが、ここでは特別限定仕様としてプレシャスボールが一般にも流通しているものとします。 <初出> 全編書き下ろし。