Chapter-41『エルレイドVSメガニウム!』 (1) コトミとルリカは、クチバシティからヤマブキシティを抜けて、コトミの故郷・タマムシシティに到着した。 「夢の色、虹色の町」と呼ばれているタマムシシティ。町の中央にはタマムシデパート、南西に行くとカントーリーグの公認ジム・タマムシジムがある。そして郊外に建つタマムシ大学は、 ポケモン研究の権威として知られるオーキド博士やナナカマド博士の出身校として広く知られていた。 ルリカ「さあ、タマムシシティね。コトミちゃん、久し振りに帰ってみて、どう?」 コトミ「もうすぐお家だと思うと、やっと帰ってきたと言う思いがします。でもあたしの旅はこれで終わりではなくて、今度はジョウト地方だと思うと、もっとわくわくするんです。」 ルリカ「うふふっ。まずはコトミちゃん、お父さんとお母さんにあなたの姿を見せてあげて!」 コトミ「はい!」 コトミの家は、タマムシデパートから歩いて10分とかからない場所にあり、近所には緑豊かな公園が控えていた。 コトミ「ただいま!」 コトミの母「お帰り、コトミ!あなた、ナナシマを回って本当に成長したわね。」 コトミ「ありがとう、ママ。あ、紹介するわね。ジョウトリーグ四天王のルリカさん。バトルチャンピオンシップスではバトル大会のゲスト解説を務めたのよ。」 ルリカ「初めまして。私はルリカと申します。」 コトミの母「はい。こちらこそ初めまして。コトミの母です。」 コトミの父「初めまして。コトミの父です。この度はコトミが大変お世話になったそうで、さらにわざわざ足を運んでくださってありがとうございます。」 ルリカ「いえ、とんでもないです。お世話になったのは私の方です。コトミちゃん、マサト君やミキさん達と一緒に、ナナシマのネットワークマシンを完成させるのに たくさん協力してくれたんです。」 コトミの母「まあ!コトミ、そんなすごいことをやってたの?コトミは本当に素晴らしい仲間達と知り合えたわね。」 コトミ「うん。パパ、ママ、あのときのラルトス、今こうしてエルレイドになったのよ。」 コトミの横でエルレイドが一礼を交わした。 コトミの母「あなたがエルレイドね。コトミと約束したときはまだ小っちゃなラルトスだったのに、こうして大きくなったのね。あなた達の活躍は、パパとママもテレビでずっと見てたわ。」 コトミ「うん。最後はユカリさんに負けちゃったけど、でもみんなと一緒に出られて良かった。」 コトミの父「そうだ。せっかくですので、ルリカさん、うちのコトミと一緒にバトルしてくれませんか?」 コトミ「えっ、あたしが?ルリカさんと?」 ルリカ「うん。トレーナーとして、そしてコーディネーターとして成長したコトミちゃんの実力、私も見てみたいわ。コトミちゃん、私とバトルしてくれる?」 コトミ「はい!」 かくして、コトミがルリカを相手にポケモンバトルをすることになった。 コトミの父「それでは、バトルを始めます。まずはルールですが、どうしますか?」 ルリカ「コトミちゃん、私のメガニウムとあなたのエルレイド、1対1でいいかしら?」 コトミ「(ルリカさんのメガニウムを相手に、あたしのエルレイドで・・・。)はい、よろしくお願いします!」 コトミの母「では、コトミはエルレイド、ルリカさんはメガニウムね。いずれかのポケモンが戦闘不能となった時点で試合終了となるわ。準備はいい?」 コトミ・ルリカ「はい!」 コトミの父「それでは、試合開始!」 コトミ「行くわよ、エルレイド!」 コトミはエルレイドを繰り出した。 ルリカ「行くわよ、メガニウム!」 ルリカはメガニウムを繰り出した。かつてはあのミキのエーフィをも退けた実力の持ち主だ。 さあ、一体どう言ったバトルになるのだろうか。 (2) コトミのエルレイドとルリカのメガニウム、1対1のポケモンバトルになった。 ルリカ「コトミちゃん、最初に攻撃していいわ。」 コトミ「では行きます!エルレイド、サイコカッター!」 エルレイドがサイコカッターを放つ。サイコカッターは一直線にメガニウムに襲いかかり、ダメージを与えた。だがルリカのメガニウムごときがこの程度のダメージでへこたれるわけがない。 ルリカ「コトミちゃん、あなたのエルレイド、よく育てられてるわね!」 コトミ「ありがとうございます!」 ルリカ「次は私の番よ!メガニウム、はっぱカッター!」 メガニウムがはっぱカッターを放つ。無数の葉っぱがエルレイドに襲いかかったが、もちろんこの程度では倒れるわけがなかった。 コトミ「エルレイド、続いてサイコキネシス!」 エルレイドがサイコキネシスを放つ。メガニウムの行動を封じることに成功した。 ルリカ「落ち着いてメガニウム!エナジーボール!」 メガニウムがエナジーボールでサイコキネシスを振りほどく。エナジーボールはそのままエルレイドに向かって迫った。 コトミ「エルレイド、テレポート!」 エルレイドがテレポートでエナジーボールをかわす。 コトミ「今よ!エルレイド、サイコカッター!」 メガニウムの後ろに現れたエルレイドがサイコカッターを放つ。メガニウムはもろにサイコカッターのダメージを受けて吹っ飛ばされてしまった。 ルリカ「メガニウム、にほんばれ!」 メガニウムがにほんばれで日差しを強くする。ソーラービームをためる時間をほとんどかけずに発射することができる。またこうごうせいで回復する量が普段と比べて多くなる。 ルリカ「メガニウム、ソーラービーム!発射!」 予想通りメガニウムがソーラービームを放つ。日差しが強い状況下のため、発射されるまでさほど時間はかからなかった。 コトミ「エルレイド、もう一度テレポート!」 エルレイドが間一髪テレポートで姿を消す。 ルリカ「メガニウム、後ろよ!ソーラービーム、発射!」 メガニウムが後ろに向かってソーラービームを放つ。ちょうど姿を現したエルレイドにもろに命中、エルレイドはたまらず吹っ飛ばされてしまった。 コトミ「エルレイド!」 エルレイドはかなりダメージを受けたが、まだ戦えそうだ。 コトミ「うん!エルレイド、行くわよ!サイコカッター!」 エルレイドがサイコカッターを放つ。 ルリカ「メガニウム、エナジーボール!」 メガニウムがエナジーボールを放つ。エナジーボールはサイコカッターを打ち消しただけでなく、そのままエルレイドに向かって突っ込んでいった。 コトミ「エルレイド、危ない!」 だが次の瞬間、エルレイドは肘の刀を活かしてエナジーボールを無数に切り刻んだ。切り刻まれたことでエナジーボールはエメラルドグリーンの光を放ちながら舞い散った。 コトミ「今のは!?」 コトミの母「すごいわ!あれはつじぎりよ!」 コトミ「エルレイド、あなた、つじぎりを覚えたのね!」 ルリカ「やるじゃない、コトミちゃん。つじぎりはあくタイプの技。同じエスパータイプを相手にするときやゴーストタイプを相手にするときに真価を発揮するわね。」 コトミ「ありがとうございます!行くわよ、エルレイド!」 エルレイドはコトミの声に応えたのか、メガニウムに向かって一直線に突っ込んで行った。 ルリカ「うん!その意気よ、コトミちゃん!さあ、私も負けていられないわ!メガニウム、エナジーボール!」 メガニウムがエナジーボールを連射してエルレイドに襲いかかる。 コトミ「エルレイド、つじぎり!」 エルレイドはつじぎりを繰り出してエナジーボールを受け流す。そして接近戦に持ち込んだ。 コトミ「行くわよ!エルレイド、インファイト!」 エルレイドがインファイトを放つ。懐に潜り込んでの攻撃にメガニウムもたまらず大ダメージを受けた。 ルリカ「コトミちゃん、あなたもマサト君と同じで、本当にポケモンと仲がいいのね。」 コトミ「ありがとうございます。」 ルリカ「行くわよ、メガニウム!ハードプラント!」 メガニウムの回りから突然巨大な蔦が生え、エルレイドを一撃のもとに吹っ飛ばしてしまった。ハードプラントだ。使うとしばらく行動ができない代わりに大ダメージを与える、 くさタイプの中でも指折りの破壊力を持つ技だった。 コトミ「エルレイド!」 エルレイドは高くはね飛ばされたのち、地面に向かって勢いよく叩きつけられ、戦闘不能となった。 コトミの父「エルレイド、戦闘不能。メガニウムの勝ち!」 コトミはエルレイドのもとに駆け寄る。 コトミ「エルレイド、大丈夫?」 エルレイドはにっこりと微笑みかけた。 ルリカ「コトミちゃん。」 ルリカもコトミのもとに歩を進めた。 ルリカ「あなたのポケモン、本当によく育てられているわ。さすがはバトルチャンピオンシップスでユカリさんと渡り合った実力ね。」 コトミ「いえ、あたしだってまだまだです。ユカリさんにはバトルオフにされてしまいましたし、今回だって、こうしてルリカさんに・・・。」 ルリカ「でも、私のメガニウムと互角にバトルできるなんて、コトミちゃんは並大抵の実力ではないわね。コトミちゃんなら、きっとジョウトリーグでもいい成績を残すことができると思うわ。」 コトミ「ありがとうございます。」 ルリカ「私の方こそ本当にありがとう。コトミちゃん、とてもいいバトルだったわ!」 そう言って、ルリカは手を差し出した。――コトミはルリカの手を取り、固い握手を交わした。 その横で、エルレイドとメガニウムも互いの健闘を讃え合っていた。 コトミの父「コトミ、もう出発するのか?」 コトミ「うん。あたし、ジョウトではポケモンリーグとポケモンコンテスト、両方に挑戦することにしてるの。」 コトミは衣装を新しくしていた。それまでの水色のタンクトップに赤のスカート(ファイアレッド・リーフグリーンの女主人公)の衣装に代わって、緑色のワンピース姿になっていた。 前をいくつかのボタンで留めており、後ろは背中を大きく出していた。 コトミの母「ポケモンリーグとポケモンコンテストに?コトミ、片方に挑戦するだけでも大変なのに、両方に挑戦するのってすごいわね。うん、でもコトミなら、きっとできると思うわ!」 コトミ「ありがとう、ママ!ワカバタウンに着いたら連絡するね!」 コトミの父「ルリカさん、ジョウトのリュウグウジムまでコトミとご一緒されるそうですね。コトミのことを、どうかよろしくお願いします。」 ルリカ「はい。こちらこそよろしくお願いします。本当にお世話になりました!」 コトミの母「いえ、ルリカさんこそわざわざおいでなさって、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いしますね。」 ルリカ「はい!」 コトミ「それじゃ、行ってきます!」 こうして、コトミの新たなる旅が始まった。 ホウエンから船に乗り、ワカバタウンに向かうマサトとミキ。タマムシシティから一路西に向かうコトミとルリカ。果たして、行く手にはどう言ったものが待ち構えているのだろうか。 Chapter-42に続く。 <初出> 全編書き下ろし。