Chapter-42『ポケモンレンジャー!マナフィのタマゴとシェイミ!!』 (1) カイナシティの港から船に乗ったマサトとミキは、一路、ジョウト地方のワカバタウンに向かっていた。 マサト「ワカバタウンって、アサギシティと並んでジョウト地方の玄関口の役割を果たしているんですよね。」 ミキ「うん。ワカバタウンは『始まりを告げる風が吹く町』って言われていて、カントーからジョウトに足を踏み入れるトレーナーの多くを迎え入れているわ。ジョウト地方のポケモン研究の 権威として知られるウツギ博士の研究所もあるわ。あたしがジョウトリーグに参加登録したときも、ワカバタウンのポケモンセンターで行ったのよ。だからマサト君も、ワカバタウンに 着いたら参加登録をするといいわ。」 マサト「はい。そして参加登録が済んだら、いよいよミキさんとのフルバトルですね。」 ミキ「そうね。マサト君がナナシマを回って見たこと、感じたこと、そしてマサト君が思っていること。それを全部あたしにぶつけてみて!」 マサト「はい!」 と、そこまで言ったとき、船の前方に妙な物体が漂っているのが見受けられた。 ミキ「マサト君、あれは何かしら?」 マサト「何かの・・・タマゴにも見えますね。何だろう・・・。」 その物体は、海と同じ青い色に赤く光るものがあり、回りは黄色の小さな丸がいくつか散らばっていた。 ミキ「マサト君も言ってる通り、何かのタマゴみたいね。」 マサト「あれはもしかしたら、マナフィのタマゴかもしれないですね。」 ミキ「マナフィって、あの蒼海(うみ)の王子って言われている、幻のポケモンでしょ?マサト君、マナフィのこと、知ってるの?」 マサト「はい。まだサトシがバトルフロンティアに挑戦してた頃、ポケモン旅芸人の一座と知り合いになったんです。その一座がマナフィのタマゴを持っていて、お姉ちゃんがママになって 面倒を見てたんです。途中、色々なことがあったんですけど、ポケモンレンジャーのジャッキーさんの協力を得て、最後は無事、海に帰すことができたんです (注:ポケモンレンジャーと蒼海の王子・マナフィより)。」 ミキ「そうだったんだ。ん?ちょっとマサト君、あれは!?」 マサト「あっ!?」 ミキの指差した方向、ちょうどそこには空を飛ぶ乗り物とおぼしき物体が数台見受けられた。しかも人が乗って操縦しているではないか。 しかもこの乗り物を操縦している人物は、胸に「R」の文字が書かれたユニフォームをまとっていた。ロケット団だ。 マサト「ロケット団!?」 ミキ「そんな、あたし達がネイス神殿でバトルしたときにナナシマのロケット団は壊滅したはずでしょ?どうしてまだいるの?」 マサト「ロケット団はカントーやジョウトでも多く活動しているんだ!だからミキさん、油断しないで!」 ミキ「分かったわ!マサト君、行くわよ!」 マサト「うん!行け、サーナイト!」 マサトはサーナイトを繰り出そうとした。だがそのとき、後ろから女性の声が響いた。 女性の声「あなた達、今ここであいつらとバトルしたら、マナフィのタマゴが傷ついちゃうわ。ここはあたしに任せて!」 マサト「あなたは・・・?」 マサトにとってみれば、その女性の格好はどこかで見た記憶があるものだった。 ミキ「もしかして、ポケモンレンジャーですか?」 マサトはその言葉で思い出した。平和を守るためにポケモンの力を借りてミッションをこなす、ポケモンレンジャーだ。 女性レンジャー「よく知ってるわね。あたしはアスカ。ポケモンレンジャーよ。」 マサト「初めまして。僕、マサトです。」 ミキ「あたしはミキ。よろしくね!」 アスカ「こちらこそよろしくね。あたしはあのマナフィのタマゴを守れって言うミッションでこの船に乗り込んでいたのよ。そうしたら、あの連中がタマゴを狙って現れたって言うわけ。 マサト君、ミキちゃん、よかったらあたしに協力して!」 マサト・ミキ「はい!」 アスカ「ありがとう!」 と言っている間にも、ロケット団はマナフィのタマゴを狙って迫っていた。果たして、マサト達は無事にマナフィのタマゴを守ることはできるのだろうか。 (2) 同じ頃、コトミとルリカはトキワシティを抜けて26番道路に差し掛かっていた。 ルリカ「この26番道路と27番道路は、ジョウト地方からセキエイ高原まで続く長い道のりになっているのよ。まだジョウトリーグがなかった頃は、ジョウトのバッジを8つ集めることでも カントーリーグに挑戦できたの。その頃はジョウトのバッジを集めたトレーナーが、この長い道のりを抜けてセキエイ高原に集まっていたのよ。」 コトミ「そうだったんですか。この道が今ではカントーとジョウトを結ぶ往来の中心になっているって、歴史を感じさせてくれますね。」 ルリカ「うん。ジョウトは古い歴史を持つ町が多いわ。だから、いろんなものを見て感じることができると思うわ。」 コトミ「はい!」 コトミがそこまで言ったとき、道の向こうに花束とおぼしき物体が置かれているのが見えた。 コトミ「あれは・・・?」 ルリカ「何かしら。花束にも見えるし、生きているポケモンにも見えるわ。行ってみましょう!」 コトミ「はい!」 コトミとルリカはその物体のもとに駆け寄った。 その物体は、花束にそっくりだったが、れっきとしたポケモンだった。 コトミ「これは、ポケモン?」 ルリカ「そうよ。かんしゃポケモンのシェイミ。今のはランドフォルムって言って、グラシデアの花の花粉を浴びるとスカイフォルムになるのよ。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してシェイミをチェックする。一方のシェイミは眠っているのか、安らかな寝息をたてている。 コトミ「でも、どうしてこんなところにシェイミが?」 と、そのとき。 女性の声「あなた達、そこで何をやってるの?」 コトミとルリカは驚いて振り返った。そこには、アスカと同じポケモンレンジャーのユニフォームを身にまとった女性がいた。 コトミ「あなたは、ポケモンレンジャー?」 女性レンジャー「そうよ。あたしはチヒロ。このシェイミを保護するためにミッションを受けてるのよ。」 コトミ「初めまして。あたし、コトミです。」 ルリカ「私はルリカ。ジョウトリーグの四天王です。」 チヒロ「コトミちゃんとルリカさんは、どうしてここにいるの?」 コトミ「あたし、ジョウト地方のポケモンリーグとポケモンコンテストに出るために、ワカバタウンに向かってるんです。」 ルリカ「私はジョウトリーグの公認ジムにする手続きのため、リュウグウジムに向かっているんです。」 チヒロ「悪い人達ではなさそうね。そうだ、このシェイミを無事に送り届けるミッションに、2人も協力してくれる?」 コトミ・ルリカ「はい!」 とそのとき、前方から何かしらの浮遊物体に乗った怪しい人物が数名現れた。マサトとミキが見たのと同じロケット団だ。 ロケット団員「お前達、邪魔だ!」 コトミ「何を言ってるの!?あなた達こそここで何をするつもり!?」 ロケット団員「俺達はこのシェイミを捕まえて、ジョウト支部の資金源にするのだ!そうすれば俺達も幹部に出世できるって訳だ!」 ルリカ「ふざけないで!そう言うことをする人は、この私が四天王の名にかけて許さないわ!」 ロケット団員「へっ、四天王かい。なかなか威勢のいい姉ちゃんじゃねえか。じゃあ俺達の実力を受けてみろ!行け、マタドガス!」 ロケット団員はマタドガスを繰り出した。コトミとルリカもロケット団員に囲まれた状況で、果たしてどう打開策を図るのだろうか。そして、ロケット団は一体何を企もうとしているのだろうか。 (3) 再びワカバタウンに向かう船上では、マサトとミキ、そしてアスカがロケット団員を相手にしようとしていた。 マサト「お前達、そこで何しているんだ!」 ロケット団員「このマナフィのタマゴはロケット団が復活させればいい金儲けになる!全てのポケモンはロケット団のために存在するのだ!」 ミキ「何と言うことを!?許さないわ。行くよ、マサト君!」 マサト「はい!」 ロケット団員「行くぜ、フォレトス!」 ロケット団員はフォレトスを繰り出した。 マサト「サーナイト、サイコキネシス!」 ミキ「エーフィ、サイコキネシス!」 サーナイトとエーフィが同時にサイコキネシスを放つ。が、はがねタイプも併せ持っているフォレトスに対してはダメージが今一つだ。 ロケット団員「フォレトス、こうそくスピン!」 フォレトスがこうそくスピンを放つ。フォレトスは回転しながらサーナイトとエーフィを一気に弾き飛ばした。 マサト「サーナイト!」 ミキ「エーフィ!」 アスカ「ここはあたしに任せて!えーっと、適当なポケモンはいるかしら。・・・いた!」 アスカの視線の向こう、そこでは1匹のエアームドが空中を旋回していた。 アスカ「行くわよ!キャプチャ・オン!」 アスカのキャプチャ・スタイラーからディスクが放たれ、一直線にエアームドに向かって行く。 キャプチャ・スタイラーを操って線を幾重にも回していくと、エアームドの回りを何本もの線が取り囲み、やがてエアームドの体内に消えた。キャプチャ成功だ。 アスカ「お願い、エアームド!きんぞくおん(※1)!」 エアームドが急降下したかと思うと、フォレトスの回りできんぞくおんを鳴らし始めた。 ロケット団員「ああっ!耳が聞こえない!」 アスカ「エアームド、ゴッドバード(※2)!」 エアームドはそのままゴッドバードの体制に入ったかと思うと、一気にフォレトスに向かって突っ込んでいき、高くはね飛ばしていった。 ロケット団員「くっそぉ!覚えてろぉ!」 ロケット団員はフォレトスをボールに戻すと、空中を浮遊する物体に乗って海の彼方に飛んでいってしまった。 アスカ「ありがとう、エアームド!」 マサト「すごいですね、アスカさん!」 アスカ「うふふっ。それほどでもないわ。・・・あら?あのポケモンは?」 見ると、マナフィのタマゴの周りにブイゼルやキバニアなど、海のポケモンが数匹群がっているではないか。 ミキ「何をするつもりかしら?」 マサト「ああっ!?」 と、ポケモン達がマナフィの卵を抱え込んだまま海に潜ってしまったではないか。 マサト「どうしよう!?海に潜っちゃったよ?」 ミキ「あたし達ではどうしようもできないわ!」 アスカ「ここはあたしに任せて!こう言うことができなきゃ、ポケモンレンジャーは務まらないわ!」 そう言うと、アスカはマスクと酸素バッテリーを装着して、海に潜っていった。 海に潜っていったアスカは、程なくしてマナフィのタマゴを抱えたブイゼルとキバニアの姿を見つけた。 ブイゼルとキバニアはアスカの姿を見かけると、さらに深く潜っていく。 アスカ「(きっと、ブイゼルとキバニアはあたしをさっきのロケット団の仲間だと思っているのかもしれないわ。何とかして追いつかなきゃ!)」 アスカも後を追ってさらに深く潜る。と、突然海流の乱れが生じ、ブイゼルが抱え込んでいたマナフィのタマゴがさらに深い海に向かって落ちていったではないか。 アスカ「(まずいわ。このままだとかなり深くまで落ちていってしまうわ。ここはあたしが!)」 そしてアスカは後を追ってさらに深くまで潜っていった。だが、所々に海水が吹き上げる場所があり、追いつくのは並大抵なものではなかった。それでもどうにかしてタマゴを発見、 回収することができた。 アスカ「(やったわ!でも、ここはかなり深いわね。それに酸素も少なくなっているし、早く上がらなきゃね。)」 アスカはしっかりとタマゴを抱え込むと、海面に向かっていった。だが海面まであと少しというところで、さっきのブイゼルとキバニアがアスカに向かっていったではないか。 アスカ「(あのブイゼルとキバニアだわ。あたしは悪い人ではないわ!お願い!)キャプチャ・オン!」 海中ではキャプチャ・スタイラーを操るのはかなり難しかった。それでもブイゼルとキバニアを囲みながらキャプチャ・ディスクを操っていくと、やがてブイゼルとキバニアを 光の線が取り囲み、体内に消えた。キャプチャ成功だ。 アスカ「お願い!あたしとマナフィのタマゴを水面まで連れて行って!」 ブイゼルとキバニアはアスカを引っ張り上げる形で水面まで連れて行った。やがてマサトとミキの見つめる方向から海水に泡が立ちはじめ、 アスカがブイゼル・キバニアと一緒に浮かび上がってきた。 マサト・ミキ「アスカさん!」 アスカ「マナフィのタマゴは無事よ!ブイゼル、キバニア、本当にありがとうね!」 マサト「あのときと同じタマゴですね。」 ミキ「あたしも以前マナフィのタマゴを見たことがあるけど、本当に神秘的ね。みずみずしいって言うのかしら。心が洗われるみたいな、そんな感じがするわ。」 マサト「このタマゴは、どうするんですか?」 アスカ「そうね。まずはワカバタウンのウツギ博士に見てもらうことにするわ。ウツギ博士はジョウトでも有名なポケモンの研究者だから、きっと役に立ってもらえると思うわ。 マサト君、ミキちゃん、ワカバタウンまでこのタマゴを一緒に運んでもらえるかしら?」 マサト・ミキ「はい!」 (4) 一方、コトミとルリカ、そしてポケモンレンジャーのチヒロは、26番道路でロケット団を相手に一触即発の状態となっていた。ロケット団はマタドガスを繰り出してコトミ達に襲いかかってきた。 ロケット団員「マタドガス、ヘドロばくだん!」 マタドガスはヘドロばくだんでコトミ達に襲いかかる。 コトミ「行くわよ!エルレイド、サイコカッター!」 ルリカ「お願い!メガニウム、のしかかり!」 エルレイドがサイコカッターで、メガニウムがのしかかり攻撃でマタドガスに襲いかかる。サイコカッターがヘドロばくだんをはじき返している間にメガニウムがのしかかりで マタドガスを押しつぶした。 ロケット団員「負けるなマタドガス!ダストシュート!」 マタドガスがダストシュートを放った。ダストシュートはどくタイプでも指折りの破壊力を持つ技である。とりわけくさタイプのメガニウムはどくタイプの技を受けるとダメージが大きくなる。 まともにダメージを受ければ大変なことになるだろう。 ルリカ「メガニウム、げんしのちから!」 コトミ「エルレイド、サイコキネシス!」 エルレイドがサイコキネシスで、メガニウムがげんしのちからでダストシュートを跳ね返した。 ロケット団員「ぐわあぁっ!畜生、覚えてろ!だが全てのポケモンはロケット団のために存在するのだ!」 ロケット団員はマタドガスをモンスターボールに戻すと、さっきの怪しい乗り物に乗って、再び大空の彼方に消えていった。 コトミ「やったね、ルリカさん!」 ルリカ「うん!あ、そうだ。シェイミは?」 シェイミはさっきのバトルをまともに見ていた影響からか、かなりおびえている表情だった。 コトミ「シェイミ、おびえてるわ・・・。」 ルリカ「きっと、さっきロケット団に襲われたことで精神的にきついんだと思うわ。チヒロさん、キャプチャして落ち着かせてあげて!」 チヒロ「分かったわ!キャプチャ・オン!」 チヒロはキャプチャ・スタイラーを駆使してシェイミの周囲に光の線を引き始めた。やがてシェイミを光の輪が取り囲み、キャプチャできるかと思った。が、もう少しでキャプチャ完了という そのとき、シェイミが体内から強力な爆発を生じたのだった。 コトミ「何、今の!?」 ルリカ「シードフレアよ。シェイミは空気中の有害な毒素を体内に取り込んで放出することがあるわ。チヒロさん、もう1回お願い!」 チヒロ「うん!キャプチャ・オン!」 チヒロは再びキャプチャ・スタイラーを操ってシェイミの周囲に光の線を引いた。 チヒロ「(お願い、シェイミ!落ち着いて!)」 キャプチャ・ディスクはシェイミの周囲をゆっくりと取り囲んでいく。やがて光の輪がシェイミを取り囲み、輪は今度こそしっかりとシェイミの体内に消えていった。キャプチャ成功だ。 チヒロ「キャプチャ完了ね!」 コトミ「やったわね!」 ルリカ「シェイミも安心した表情になっているわ。チヒロさん、本当にありがとう!」 チヒロ「ううん。ロケット団をやっつけてくれたのは、コトミちゃんとルリカさんのおかげよ。」 コトミ「チヒロさん、このシェイミはどこまで送り届けるんですか?」 チヒロ「まずはワカバタウンのウツギ博士のところね。ウツギ博士はジョウト地方では有名なポケモンの研究者。シェイミのことについても詳しく調べてもらえると思うわ。」 コトミ「ワカバタウンですね。もしかしたらマサトとミキさんも着いているかもしれないわ。急ぎましょう!」 チヒロ「それなら話は早いわ。コトミちゃん、ルリカさん、ワカバタウンまでこのシェイミを一緒に送り届けましょう!」 コトミ・ルリカ「はい!」 (5) マサト、ミキ、そしてアスカの乗った船はワカバタウンの港に到着した。 マサト達が船を下りると、ちょうどそこにコトミ、ルリカ、チヒロの3人も到着した。 コトミ「マサト!」 ルリカ「ミキさん!」 マサト「コトミ!ルリカさん!」 マサト達は7のしま以来の再会となった。そしてアスカも船を下りる。 アスカ「チヒロ!」 チヒロ「お姉ちゃん!」 マサト「えっ?お姉ちゃん・・・?」 アスカ「うん。この子はチヒロって言って、あたしの妹なの。あたしと同じポケモンレンジャーなのよ。あ、コトミちゃんとルリカさんって言ったわね。あたしはアスカ。よろしくね!」 チヒロ「マサト君とミキちゃんね。あたしはチヒロ。お姉ちゃんと一緒にポケモンレンジャーをやってるの。仲良くしてね!」 ルリカ「こちらこそよろしくね。ん?マサト君が持っている、それは?」 マサト「これはマナフィのタマゴ。アスカさんはこのタマゴを守るミッションの途中だったんだ。そのポケモンは?」 コトミ「このポケモンはシェイミ。かんしゃポケモンって言われてて、グラシデアの花の花粉を浴びるとスカイフォルムになるのよ。今の姿はランドフォルムって言うの。チヒロさんは シェイミを守るミッションだったのよ。」 ミキ「アスカさんは、マナフィのタマゴはポケモンの博士に見てもらった方がいいだろうって言ってたわ。それで、このワカバタウンのウツギ博士に見てもらうことにしたのよ。」 ルリカ「そうだったんだ。チヒロさんもシェイミをポケモンの博士に見てもらった方がいいだろうと言ってたわ。だからウツギ博士に見てもらうことにしたの。そうとなれば話は早いわ。 行きましょう!」 一同「はい!」 マサト達はウツギポケモン研究所を訪れた。 マサト「こんにちは。」 助手「こんにちは。おや?そのポケモンは・・・?」 ミキ「マナフィって言って、とても珍しいポケモンのタマゴなんです。」 ルリカ「この子はシェイミ。かんしゃポケモンって言われている、とても珍しいポケモンです。」 アスカ「あたし達はこのポケモンを送り届けるためのミッションの最中だったんです。」 助手「そうか。それなら博士に見てもらうことにしよう。博士!」 しかし返事がない。 助手「すまないね。うちの博士はポケモンの研究になると夢中でご飯も食べないほどになるんだ。そうだ。なら、君たちが直接話をつけてみてはどうだろう?」 マサト・コトミ「はい。」 マサト達は助手に勧められて、ウツギ博士の元を訪れた。ウツギ博士は、パソコンの画面に向かいながら研究に没頭している様子で、マサト達が訪れたのにも気づかない様子だった。 マサト「こんにちは。」 マサトが話しかけてみるが、ウツギ博士は研究に熱中しており、気づいていない。 ルリカ「ここは私が話しかけてみるわ。私は四天王という立場から、ウツギ博士とも交流があるのよ。」 そう言ってルリカはウツギ博士に話しかけた。 ルリカ「お久し振りです、ウツギ博士。」 ウツギ博士はルリカの声に気づいたのか、ようやく一同の方を振り返った。 ウツギ博士「やあ、みんな。初めまして。私はウツギ博士。ジョウト地方でポケモンの研究に携わっているんだ。」 マサト「初めまして。僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 ミキ「あたしはミキです。」 アスカ「あたしはアスカ。ポケモンレンジャーです。」 チヒロ「チヒロです。お姉ちゃんと一緒のポケモンレンジャーです。」 マサト「今回お伺いしたのは、このマナフィのタマゴとシェイミについてのお話なんです。」 そう言うとマサトはマナフィのタマゴを、コトミはシェイミをウツギ博士に見せた。 ウツギ博士「これは!?・・・珍しい幻のポケモンと言われているシェイミ。そしてマナフィのタマゴ。これは大変貴重だ。こんな珍しいものをわざわざ送り届けてくれるなんて、 本当によくやった。」 アスカ・チヒロ「ありがとうございます。」 ウツギ博士「あなた達はポケモンレンジャーだったね。私からも礼を言わせてもらうよ。本当にありがとう。立派にミッションクリアだ!」 アスカ「ありがとうございます!」 チヒロ「やったね、お姉ちゃん!」 ミキ「ところで、マナフィのタマゴとシェイミは、どうなされるのでしょうか?」 ウツギ博士「これは・・・。おそらく私が中心となって、いろいろな研究が始まると思う。このタマゴが産まれたら、きっと忙しくなると思うよ。そしてシェイミのフォルムチェンジについても 研究したいことがある。だから、マナフィのタマゴとシェイミは、私たちに預けてもらえないだろうか?」 マサト「はい。よろしくお願いします。」 ウツギ博士「そう言えば、君たちはポケモントレーナーだね?」 マサト・コトミ「はい。」 ウツギ博士「それなら、ちょっと君たちの図鑑を貸してくれないか。」 ウツギ博士はマサトとコトミからポケモン図鑑を受け取ると、端末に接続してアップグレードの作業を始めた。間もなくして作業は終了した。 ウツギ博士「これで、新しいポケモンの図鑑も記録されたよ。そうだ。遠いイッシュ地方で見つかった、新しいポケモンの数々も図鑑に記録されているよ。」 マサト・コトミ「ありがとうございます。」 ウツギ博士「おや?マサト君、君が持っているのはポケナビだね。」 マサト「はい。」 ウツギ博士「ちょっと貸してくれないかね。・・・ここをこうやって、こうすれば、と。マサト君、ジョウト地方のデータがポケナビに記録されたよ。」 マサト「ありがとうございます。」 ウツギ博士「君たちは、ジョウトリーグに参加登録はしたのかな?」 コトミ「いいえ。確かポケモンセンターで参加登録ができるって聞いたのですが・・・。」 ウツギ博士「よくご存じだね。ジョウトリーグの参加登録はポケモンセンターでできるから、ジョウトリーグに挑戦するなら、是非ポケモンセンターに行くといいよ。」 マサト・コトミ「ありがとうございます!」 ウツギ研究所を出たマサト達は、早速ポケモンセンターに向かい、ジョウトリーグ参加登録を行った。 ジョーイ「トウカシティのマサト君。そしてタマムシシティのコトミちゃんですね。参加登録、終わりましたよ。」 マサト・コトミ「ありがとうございます。」 ミキ「マサト君、コトミちゃん。これからジョウトリーグに挑戦ね。長く厳しい道のりになると思うけど、でもあなた達ならきっとできると思うわ!」 マサト「はい!」 コトミ「ところで、アスカさんとチヒロさんは、これからどうなされるんですか?」 アスカ「あたし達はまた新しいミッションが入ったの。ポケモンレンジャーの仕事は、たくさんの悩み、困っている人たちを救うために、ポケモン達と力を一つにしていくのよ。」 チヒロ「マサト君、コトミちゃん、ポケモントレーナーとしてジョウトリーグに挑戦するのね。あたし達も応援してるわ!」 マサト・コトミ「ありがとうございます!」 ミキ「どうかお気をつけて!」 ルリカ「いろいろとありがとうございました!」 アスカとチヒロはマサト達に見送られてポケモンセンターを後にした。2人の姿が見えなくなると、ミキはマサトにこう言った。 ミキ「マサト君。いよいよあなたとフルバトルに臨むことになるわね。」 マサト「はい。ミキさんは僕より数段上だと言うことは僕も自覚しています。だけど、僕だって容赦はしません!全力でお相手します!」 ミキ「うん!その意気よ、マサト君!」 コトミ「マサト、ミキさん、2人とも明日のフルバトル、全力を出してバトルしてね!」 ルリカ「私も応援してるわ!」 こうして、マナフィのタマゴとシェイミは、無事ウツギ博士の元に送り届けられた。 そして、マサトはいよいよミキとのフルバトルに挑むことになる。ミキは各地のポケモンリーグとグランドフェスティバルを渡り歩き、ナナシマ・バトルチャンピオンシップスをも制覇した 実力の持ち主。並大抵の実力ではとうてい勝つことはできないだろう。 果たして、マサトとミキ、2人が実力をぶつけ合うフルバトルは、どう言ったものになるのだろうか。 Chapter-43に続く。次回、『Our Future 〜3 years after〜』ナナシマ編、ついに完結。 (※1・2)「ポケアシストについて」 ポケモンレンジャーシリーズでは、キャプチャされたポケモンが使うポケアシストは独自のものとなっていますが、ここではポケモンが使う技がそのままポケアシストになるものとします。 <初出> 全編書き下ろし。