Chapter-43『フルバトル!ミキVSマサト!!(前編)』 (1) ジョウトリーグの参加登録を行った翌日、マサト達は、ワカバタウンの中心にあるワカバポケモンコロシアムに向かった。 このワカバポケモンコロシアムは、ジョウトリーグの公認大会を行うこともある立派な競技場で、大会のときになると多数の見物客で賑わうのだが、今日は大会が行われないためか、 マサト達以外は誰もいなかった。そしてここで、マサトはミキとのフルバトルに臨むのだった。 マサト「(ミキさんを相手にいよいよフルバトルに挑むんだ。ミキさんは今の僕と比べてもずっとレベルが高い。だから生半可な戦法では太刀打ちできないと思う。僕がこれまでゲットした ポケモンが、どこまで渡り合うことができるかが鍵となるだろう。でも、ここまでになったら、後は僕のポケモンたちを信じてバトルするだけだ。)」 マサトの姿を見て、コトミ、そしてミキが声を掛けてきた。 コトミ「マサト、いよいよだね。ミキさんは今のあたしやマサトよりもっとレベルの高い相手だと思うけど、でも挑戦する価値はあると思うわ。」 ミキ「あたしも、いつかはこうしてマサト君とフルバトルをすることになるって思ってたわ。初めてバトルしたときと比べて、お互いにどれだけ強くなったのか、本当に楽しみね。マサト君、 最後までお互いにいいバトルにしましょう!」 マサト「はい!ナナシマを回ってどれだけ強くなったか、ミキさんに見せてあげたいです!よろしくお願いします!」 ルリカ「じゃあ、審判は私がやるわ。」 マサト「ルリカさんが?」 ルリカ「うん。四天王たるもの、審判ができなければ務まらないわ。マサト君、ミキさん、私たちにいいバトルを見せてね!」 そう言うとルリカは実況席の方を向いた。 ルリカ「お願いします!」 と、オーロラヴィジョンにマサトとミキの顔写真が写し出され、手持ちポケモンのスペースが表示された。ここにそれぞれが使うポケモンが入ることになる。 写し出されると、実況席から1人の人物が現れ、ルリカの姿を見ると手を上げて応えた。 ルリカ「ホウエン地方・トウカシティのマサト。カントー地方・ヤマブキシティのミキ。両者によるフルバトルを行います。時間無制限、ポケモンの交代は自由。どちらかのポケモンが、すべて 戦闘不能となった時点で試合終了となります。では、これより先攻・後攻をコイントスで決定します。表か裏かを選んでください。」 マサト「表!」 ミキ「裏!」 オーロラヴィジョンがコイントスの画面に切り替わり、コインを投げる画面になった。――結果は表となり、先攻はマサトになった。 ルリカ「では両者、バトルフィールドにお進みください!」 マサトとミキがバトルフィールドに歩を進める。 マサト「では、行きますよ!ミキさん!」 ミキ「全力でぶつかってね!マサト君!」 ルリカ「それでは、バトル開始!」 ルリカが声と同時に旗を上げた。 さあ、いよいよマサトとミキのフルバトルが幕を開ける。果たして、どう言ったバトルが繰り広げられるのだろうか。 (2) 〜挿入歌:『バトルフロンティア』が流れる〜 マサトとミキのフルバトルが幕を開けた。マサトがこれまでナナシマを回って仲間にした6体のポケモンが、果たして歴戦をくぐり抜けたミキにどこまで通用するのだろうか。 マサト「行け、スリーパー!」 マサトはスリーパーを繰り出した。 ミキ「行ってらっしゃい、ラティオス!」 ミキはラティオスを繰り出した。 コトミ「(ミキさん、いきなりラティオスを出したわ。マサト、どこまで通用するのかしら・・・。)」 マサト「スリーパー、ずつき!」 スリーパーがずつきでラティオスに襲いかかる。そしてずつきがラティオスにクリーンヒットした。 コトミ「やったの!?」 だがラティオスはずつきの1発を受けた程度で倒れるポケモンではない。 ミキ「まだまだよ!ラティオス、りゅうのはどう!」 ラティオスが強力なりゅうのはどうを放つ。スリーパーはもろにりゅうのはどうを受けてしまい、高くはね飛ばされてしまった。 マサト「戻れ、スリーパー!」 マサトはスリーパーをモンスターボールに戻した。 コトミ「(すごい・・・。ミキさんのラティオス、マサトのスリーパーと比べて段違いにレベルが違いすぎる。まさに強敵ね。)」 マサト「行け、ガブリアス!」 マサトはガブリアスを繰り出した。 マサト「ガブリアス、りゅうのはどう!」 ガブリアスがりゅうのはどうを放つ。 ミキ「ラティオス、かわしてれいとうビーム!」 ラティオスがりゅうのはどうをかわして、れいとうビームを放つ。まともに受ければガブリアスは大ダメージを受けてしまうだろう。 マサト「ガブリアス、穴を掘ってかわせ!」 ガブリアスがとっさに穴を掘ってれいとうビームをかわす。だがあなをほるはじめんタイプの技。攻撃したところでふゆう特性のラティオスに対しては全くダメージを与えられない。 どうするつもりだろう。 ミキ「ガブリアスはどこから現れるか分からないわ。ラティオス、高く飛んで!」 ラティオスが上空に向かってあなをほる攻撃をガードする作戦に出る。 マサト「今だ!ガブリアス、地上に出てりゅうせいぐん!」 穴から飛び出したガブリアスがりゅうせいぐんを放った。最初の大きな塊をもろに受けたラティオスは高く跳ね上げられ、さらに無数に分かれた小さな塊のいくつかをもまともに受けてしまい、 そのまま地面に叩きつけられた。 ミキ「ラティオス!」 ラティオスはそれでも元の体制に戻ろうとしたが、そのままフィールドに倒れ込み、戦闘不能となった。 ルリカ「ラティオス、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 マサト「ガブリアス、すごい!」 ミキ「ラティオス、ありがとう。ゆっくり休んでね。・・・マサト君、あなたはナナシマを回って、本当に実力をつけたわね。」 マサト「ありがとうございます。」 ミキ「次はこの子にするわ。行ってらっしゃい、ルカリオ!」 ミキはルカリオを繰り出した。 マサト「ガブリアス、かわらわり!」 ガブリアスはかわらわりでルカリオに迫った。 ミキ「ルカリオ、はどうだん!」 ルカリオがはどうだんでガブリアスにダメージを与える。はどうだんをまともに受けたガブリアスは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 ミキ「ルカリオ、続いてりゅうのはどう!」 ルカリオがりゅうのはどうを放つ。ドラゴンタイプのガブリアスのこと、まともに食らえば効果は抜群だ。 マサト「ガブリアス、負けるな!りゅうのはどう!」 負けじとガブリアスもりゅうのはどうで応戦する。2つのりゅうのはどうがぶつかり合い、激しい衝撃が生じた。 マサト「(ここは交代させた方がいいか・・・。)戻れ、ガブリアス!」 マサトはガブリアスをモンスターボールに戻した。 ミキ「(りゅうのはどうの威力は互角。交代して別のポケモンにした方がいいわね。)戻って、ルカリオ!」 ミキもルカリオをモンスターボールに戻す。ガブリアスとルカリオはほぼ同時にボールに戻っていった。 コトミ「(威力がほとんど同じ・・・。ガブリアスは同じタイプの技だから威力が大きくなるけど、それでもルカリオはほぼ互角の威力を放っている。さすがはミキさんね。)」 マサト「行け、ユキメノコ!」 マサトはユキメノコを繰り出した。 ミキ「行ってらっしゃい、レントラー!」 ミキはレントラーを繰り出した。 コトミ「(次はユキメノコとレントラーね。どう言った戦いになるのかしら。)」 マサト「ユキメノコ、ふぶき!」 ユキメノコがふぶきを放つ。強力なふぶきが一直線にレントラーに向かって突っ込んでいった。果たして、このバトルの行方は・・・。 (3) マサトとミキのフルバトル、マサトはユキメノコ、ミキはレントラーを出していた。ユキメノコが強烈なふぶきを放ってレントラーを脅かした。 ミキ「レントラー、まもる!」 レントラーが守りの体制に入り、ふぶきから身を守った。 マサト「ユキメノコ、みずのはどう!」 続いてユキメノコがみずのはどうを放った。命中すれば混乱状態にすることもある技である。 ミキ「レントラー、10まんボルト!」 レントラーが10まんボルトでみずのはどうを打ち消す。 ミキ「行くわよ!レントラー、かみくだく攻撃!」 レントラーが強力なかみくだくの一撃を浴びせる。まともに受ければ効果は抜群だ。 マサト「ユキメノコ、まもる!」 ユキメノコも守りの体制でレントラーの攻撃を防ぐ。互いに一歩も譲らないバトルを繰り広げている。トレーナーとしてのレベルの差も感じられない。 マサト「戻れ、ユキメノコ!」 マサトはユキメノコをモンスターボールに戻した。 コトミ「(ユキメノコを戻す?誰に交代させるんだろう・・・。)」 マサト「行け、ガブリアス!」 マサトは再びガブリアスを繰り出した。 コトミ「(そうか。でんきタイプに対して相性のいいガブリアスを使う作戦ね。でもミキさんも苦手タイプの対策はきちんとしていると思うわ。大丈夫かしら。)」 マサト「ガブリアス、穴を掘って地中に潜れ!」 ガブリアスが穴を掘って地面から攻撃を掛ける作戦に出た。 ミキ「レントラー、地面に向かってアイアンテール!」 レントラーがアイアンテールを放つ。強力なアイアンテールはフィールドに勢いよく降り下ろされ、地中に潜っていたガブリアスの姿があらわになってしまった。 マサト「ガブリアス、ドラゴンクロー!」 ガブリアスがドラゴンクローでレントラーを攻撃する。が、レントラーはさほどダメージは受けていなさそうである。 ミキ「戻って、レントラー!」 ミキもレントラーをモンスターボールに戻す。 コトミ「(ミキさんもポケモンを交代させたわ。どうするのかしら。)」 ミキ「行ってらっしゃい、ウインディ!」 ミキはウインディを繰り出した。 コトミ「(ウインディだわ。マサトとミキさんが初めてバトルしたときに使っていた、あのポケモンね。でもガブリアスはじめんタイプ。ほのおタイプのウインディはダメージが大きくなるわ。 ミキさん、何か作戦があるのかしら。)」 マサト「ガブリアス、りゅうのはどう!」 ミキ「ウインディ、りゅうのはどう!」 ガブリアスとウインディが一斉にりゅうのはどうを放った。さっきのルカリオ同様、これも互角の勝負だ。 マサト「ガブリアス、続いてりゅうせいぐん!」 ガブリアスがりゅうせいぐんを放つ。大きな塊が上空で無数の小さな固まりに分かれ、ウインディに向かって落ちてきた。 ミキ「ウインディ、上空に向かってねっぷう!」 ウインディがねっぷうを放つ。ねっぷうは勢いよく落ち始めたりゅうせいぐんの塊の1つ1つを高温で消し飛ばしてしまった。 コトミ「(ウインディ、何てパワーなのかしら。あのりゅうせいぐんがあっという間に消し飛んじゃったわ。さすがはミキさん。ルリカさんやユカリさんとも平気で渡り合う姿は 伊達ではないわね。)」 ミキ「ウインディ、続いてしんそく!」 ウインディがしんそくでガブリアスに攻撃した。しんそくの一撃を受けたガブリアスはたちまち吹っ飛ばされてしまった。だがそれでもまだ戦えそうだ。 マサト「戻れ、ガブリアス!」 マサトはガブリアスをモンスターボールに戻した。 マサト「行け、ギャラドス!」 マサトはギャラドスを繰り出した。 ミキ「戻って、ウインディ!」 ミキもウインディをモンスターボールに戻す。 コトミ「(さすがはミキさん。ポケモンの交代も的確ね。ギャラドスはみずタイプ。ほのおタイプのウインディで攻めていっても勝てないと判断したのかもしれないわ。)」 ミキ「行ってらっしゃい、レントラー!」 ミキは再びレントラーを繰り出した。 マサト「(まずいな・・・。ミキさんはポケモンの交代も的確。このままいったら間違いなく僕が押されていくだけだ・・・。)気を付けて、ギャラドス! 相手はでんきタイプだから、受けるダメージが多くなるよ!」 ミキ「レントラー、10まんボルト!」 レントラーが10まんボルトを放つ。みずタイプとひこうタイプを併せ持っているギャラドスはまともにダメージを受けると大変なことになるのは間違いない。果たして、 マサトはどう攻めていくのか。 (4) マサトとミキのフルバトルは、トレーナーやコーディネーターとして格上の経験を持つミキを相手にマサトもポケモンの交代などを駆使して互角以上に渡り合っていた。だが、ミキはレントラーを 出してマサトのギャラドスに10まんボルトを浴びせた。 マサト「ギャラドス、まもる!」 ギャラドスが守りの体制に入り、10まんボルトのダメージを防いだ。 ミキ「マサト君、なかなかやるじゃない。ナナシマを回って、ずいぶんと成長したみたいね。」 マサト「ありがとうございます。ミキさんも相当な実力。僕、こうしてバトルできるのをずっと楽しみにしていたんです!」 ミキ「ありがとう!さあ、これならどうかしら?レントラー、かみなりのキバ!」 レントラーがかみなりのキバでギャラドスに襲いかかる。 マサト「ギャラドス、かわしてたきのぼり!」 ギャラドスはかみなりのキバをかわすと、勢いよくたきのぼりを繰り出した。もろにダメージを受けたレントラーは勢いよく吹っ飛ばされたが、まだ戦えそうだ。しかし、さっきガブリアスに 受けたダメージがまだ残っていたのか、やや表情がきつくなっていた。 ミキ「戻って、レントラー!」 ミキはレントラーをモンスターボールに戻した。 コトミ「(さっきのたきのぼりでレントラーはかなりのダメージを受けたのね。一度ポケモンを交代してゆっくり休ませるのね。ミキさんもポケモンのこと、よく考えてるわ。)」 ミキ「行ってらっしゃい、ジュカイン!」 ミキはジュカインを繰り出した。 コトミ「(ジュカイン?ギャラドスはひこうタイプも併せ持っているから、くさタイプの技のダメージは思ったほどにはならないわ。ミキさん、ひょっとして作戦なのかしら。)」 マサト「(ミキさんのことだ。あえて苦手なタイプのポケモンをぶつけると言うことは、作戦を考えているに違いない。それなら。)ギャラドス、ハイドロポンプ!」 ギャラドスがハイドロポンプを放つ。マサトもまた相性の悪いみずタイプの技で攻撃した。 ミキ「ジュカイン、りゅうのはどう!」 ジュカインがりゅうのはどうでハイドロポンプを迎え撃つ。フィールドの中央で2つの技が激しくぶつかり合い、まともに見ていられないほどの大爆発が生じた。 爆発が収まると、ギャラドスの姿が消えていた。 コトミ「(あら?ギャラドスは?)」 ミキ「ジュカイン、気を付けて!ギャラドスは上にいるわ!」 ミキの言った通りだった。爆発の瞬間、ギャラドスはとびはねるの体制で空中に飛び上がっていたのだった。 マサト「(さすがはミキさん。対応が早いな・・・。よし、それなら。)ギャラドス、思い切っていけ!とびはねる攻撃!」 ギャラドスがとびはねる攻撃でジュカインに襲いかかった。 ミキ「(マサト君もやるわね。爆発を利用して空中に飛ぶって、いいコンビネーションになってるわ。)ジュカイン、ギャラドスをぎりぎりまで引き付けて!」 言っている間にもギャラドスはジュカインに向かって迫っていく。そしてその長い姿がみるみるうちに大きくなっていった。 ミキ「今よ、ジュカイン!かみなりパンチ!」 コトミ「かみなりパンチ!?」 ジュカインは拳に貯めた電気でかみなりパンチを打ち出した。とびはねるで攻撃を繰り出したギャラドスと激しくぶつかり合い、またしても大爆発が生じた。 爆発が収まると、全身から電気を発したギャラドス、そして拳にまだ電気が残っていたジュカインがお互いに見つめあっていた。――だがそれもつかの間、ギャラドスがゆっくりとフィールドに 倒れ込み、戦闘不能となった。恐らくかみなりパンチのダメージが予想以上にひどかったのだろう。 ルリカ「ギャラドス、戦闘不能。ジュカインの勝ち!」 マサト「戻れ、ギャラドス!」 マサトはギャラドスをモンスターボールに戻した。 コトミ「(さすがはミキさんね。あのギャラドスのとびはねるをかみなりパンチで打ち落としたわ。トレーナーとして、またコーディネーターとして、マサトに実力を見せているのね。)」 ミキ「マサト君。初めてバトルしたときと比べて、とても成長してるわね。あたしも嬉しいわ。」 マサト「ありがとうございます。でもまだ勝負はこれからです!」 ミキ「うふふっ。まだ倒れたポケモンは1体だけ。これからどう言った勝負にしてくれるか、マサト君、あなたとポケモンの絆をあたしに見せてね!」 マサト「はい!次はこのポケモンです。行け、サーナイト!」 マサトはサーナイトを繰り出した。 互いに1体ずつが倒れた状況。現段階では両者とも互角の勝負と言ってもいいだろう。経験、実力と、あらゆる面でマサトの上を行くミキ。彼女に対して、マサトはどう言った試合運びを 見せてくれるのだろうか。そして、この勝負の果て、マサトは何を見つけるのだろうか。 後編に続く。 <初出> 全編書き下ろし。