Chapter-43『フルバトル!ミキVSマサト!!(後編)』 (5) ジョウト地方・ワカバタウンのワカバポケモンコロシアム。ジョウトリーグの試合も行われるこのコロシアムにおいて、マサトとミキのフルバトルが行われていた。 バトルは初めから両者ともポケモンの交代を駆使して積極的に試合を進めていった。序盤、マサトのガブリアスの放ったりゅうせいぐんがミキのラティオスを一撃のもとに戦闘不能にするも、 ミキはジュカインのかみなりパンチでマサトのギャラドスを撃破。互いに一歩も譲らない激しいバトルを繰り広げていた。そしてマサトはサーナイト、ミキはジュカインを出していた。 マサト「サーナイト、シャドーボール!」 サーナイトがシャドーボールを放つ。 ミキ「(さすがはマサト君のサーナイト。技もいい感じに使ってるわね。)ジュカイン、リーフブレード!」 ジュカインがリーフブレードでシャドーボールを切り刻んだ。 ミキ「ジュカイン、でんこうせっか!」 ジュカインがでんこうせっかでサーナイトに突っ込んでいく。 マサト「サーナイト、テレポート!」 サーナイトがテレポートで姿を消す。 マサト「サーナイト、今だ!サイコキネシス!」 ジュカインの真後ろに現れたサーナイトがサイコキネシスを放った。不意を突かれたジュカインはたちまちサイコキネシスで行動を封じられてしまった。 ミキ「負けないでジュカイン!リーフブレード!」 ジュカインがサイコキネシスを振りほどき、リーフブレードを真後ろに向かってお見舞いした。強烈な一撃を受けたサーナイトはたまらず吹っ飛ばされる。 マサト「戻れ、サーナイト!」 サーナイトはマサトの指示を受けてバトルフィールドから出た。 マサト「(ミキさんは強いな・・・。それなら。)行け、スリーパー!」 マサトは再びスリーパーを繰り出した。 ミキ「(マサト君、スリーパーを出したわね。)戻って、ジュカイン!」 ミキはジュカインをモンスターボールに戻した。 ミキ「行ってらっしゃい、エーフィ!」 エーフィがミキの肩から降りてバトルフィールドに入る。 コトミ「(ミキさん、エーフィを出したわね。シャドーボールにでんじほうと、警戒すべき技がたくさんあるわ。マサト、どうするのかしら。)」 マサト「スリーパー、さいみんじゅつ!」 スリーパーがさいみんじゅつでエーフィを眠らせる作戦に出た。 ミキ「エーフィ、目を閉じてかわすのよ!」 エーフィは両目を閉じてさいみんじゅつから身を守った。 ミキ「エーフィ、シャドーボール!」 エーフィがシャドーボールを放つ。ゴーストタイプの技であるシャドーボールはエスパータイプのスリーパーに対して効果抜群。まともに受ければ大ダメージは必至だった。 マサト「スリーパー、サイコキネシス!」 スリーパーがサイコキネシスでシャドーボールの向きを変える。そしてシャドーボールはそのままエーフィに向かって突っ込んでいった。 ミキ「エーフィ、でんじほう!」 エーフィがでんじほうを放つ。この程度の攻撃はミキも十分予想していたのだろう。 でんじほうはシャドーボールとぶつかり合い、激しい爆発が生じた。 マサト「(さすがはミキさんのエーフィ。攻撃に無駄がない。真正面からぶつかるのは危険だ。それなら。)スリーパー、サイコキネシス!」 スリーパーは直接サイコキネシスでエーフィを操る作戦に出た。だがサイコキネシスは元々エスパータイプのエーフィに対して効果は今一つ。マサトは作戦でも考えているのだろうか。 ミキ「(マサト君、サイコキネシスで行動を封じる作戦ね。でもどうかしら。)エーフィ、サイコキネシスにはサイコキネシスよ!」 エーフィもサイコキネシスを打ち返して反撃に出た。 実力は拮抗していたかに見えたが、やがてエーフィのサイコキネシスの方が勢いを増し始め、スリーパーのサイコキネシスを打ち破った。そして逆にスリーパーがサイコキネシスで操られる。 ミキ「行くわよ!エーフィ、そのまま吹っ飛ばして!」 エーフィは勢いをつけたサイコキネシスでスリーパーを吹っ飛ばしてしまった。 スリーパーはフェンスに勢いよく叩きつけられ、その場に倒れ込んだ。それでもどうにかして立ち上がろうとする。 マサト「スリーパー!」 マサトがスリーパーに呼び掛ける。が、その声も空しくスリーパーは倒れ込み、戦闘不能となった。 ルリカ「スリーパー、戦闘不能。エーフィの勝ち!」 マサト「スリーパー、よく戦ってくれたね。ゆっくり休んでね。」 マサトはスリーパーをモンスターボールに戻した。 コトミ「(やっぱりミキさんのエーフィ、一筋縄では行かない強さだわ。同じタイプのスリーパーに対してあれだけの技を出すのだから、マサトはもしかしたら、 かなう相手ではないかもしれないわ・・・。)」 マサト「次はこのポケモンにします!行け、ガブリアス!」 マサトはガブリアスを繰り出した。 ミキ「戻って、エーフィ!」 ミキもエーフィを引き下がらせる。 コトミ「(ミキさんもポケモンを交代させるの?)」 ミキ「行ってらっしゃい、ジュカイン!」 ミキはジュカインを繰り出した。 マサト「(次はジュカイン。かなり素早いからりゅうせいぐんはかわされるかもしれない。それなら。)ガブリアス、りゅうのはどう!」 ガブリアスが勢いよくりゅうのはどうを放つ。残りポケモンの数でミキにリードを奪われた状況から、マサトはどう立ち向かっていくのだろうか。 (6) マサトとミキのフルバトルは一進一退の攻防となっていたが、ミキのエーフィがマサトのスリーパーを戦闘不能にしたことで、残りポケモンの数ではミキが一歩リードする形と なった。スリーパーを倒されたマサトはガブリアスを繰り出した。 マサト「ガブリアス、りゅうのはどう!」 ガブリアスがりゅうのはどうを放って攻撃する。 ミキ「ジュカイン、かわしてリーフブレード!」 ジュカインがりゅうのはどうをかわして、リーフブレードを放つ。素早い身のこなしは攻撃に移るまでの動作も段違いだった。 マサト「ガブリアス、かみくだく攻撃!」 ガブリアスもかみくだく攻撃で迎え撃つ。リーフブレードを叩きつけたところにかみくだくが炸裂、そのまま2匹ともフィールドに転がっていった。 ミキ「(マサト君、あなたのガブリアス、なかなかよく育てられてるわね。あたしのガブリアスにも引けを取らないレベルだわ。)ジュカイン、ジャンプよ!」 ジュカインが高く飛び上がる。 マサト「(ジュカインが飛び上がったと言うことは、相手は空中からの攻撃に入るつもりだ。それなら。)ガブリアス、りゅうせいぐん!」 ガブリアスが流星群を放つ。高く打ち上がった大きな塊がジュカインに迫った。 ミキ「ジュカイン、グラスミキサー(※)!」 次の瞬間、ジュカインはこれまでマサト達が見たことのない技を繰り出した。無数の葉っぱがジュカインから放たれたかと思うと、りゅうせいぐんの大きな塊を一撃のもとに 吹き飛ばしてしまったではないか。 コトミ「えっ!?グラスミキサー!?」 りゅうせいぐんは無数のごく小さな塊となって落ちていき、地表に到達しないうちに消えた。 ミキ「行くわよ!ジュカイン、リーフストーム!」 ジュカインはジャンプの下降の勢いを利用して、リーフストームを放った。 マサト「ガブリアス、ギガインパクトで迎え撃て!」 ガブリアスの回りで空気が渦を巻き、ギガインパクトの体制に入った。そしてそのままガブリアスとジュカインが激しくぶつかり合う。 マサト「ガブリアス!」 ミキ「ジュカイン!」 互いの技が激しくぶつかり合いながら2匹はそのまま一直線に進み、ジュカインはぴたっと着地した。そしてガブリアスもしばらく一直線に突っ切っていたが、やがて行動が止まったかと思うと、 そのままフィールドに向かって落ちていき、戦闘不能となった。 ルリカ「ガブリアス、戦闘不能。ジュカインの勝ち!」 マサト「よく戦ってくれたね、ガブリアス。・・・ミキさん、グラスミキサーって言う技、初めて見ました。」 ミキ「そうね。マサト君だって、まだ見たことのないポケモンや見たことのない技がたくさんあると思うわ。そう言う未知のポケモンや技に対してどれだけ冷静に対処できるかが、バトルの 勝敗を分けると思うわ。」 マサト「はい。では次はこのポケモンです!行け、ユキメノコ!」 マサトはユキメノコを繰り出した。 ミキ「戻って、ジュカイン!」 ミキはジュカインをモンスターボールに戻した。 コトミ「(ジュカインはくさタイプ。こおりタイプのユキメノコを相手にしていては不利だと判断したのね。)」 ミキ「行ってらっしゃい、ルカリオ!」 ミキはルカリオを繰り出した。 コトミ「(ルカリオはかくとうタイプ。ユキメノコはゴーストタイプも併せ持っているから、かくとうタイプの技は効かないはず・・・?)」 マサト「ユキメノコ、ふぶき!」 ユキメノコがふぶきを放った。ふぶきは勢いよくルカリオに向かって迫っていく。 ミキ「ルカリオ、ラスターカノン!」 ルカリオがラスターカノンを放つ。はがねタイプの攻撃技の1つ、ユキメノコがまともに受ければ効果は抜群だ。 コトミ「(そうか。はがねタイプの技を使うことで、ユキメノコの弱点を突く作戦ね。)」 ラスターカノンはふぶきを打ち破ってユキメノコに迫る。 マサト「ユキメノコ、まもる!」 ユキメノコはまもるの体制に入ってラスターカノンから身を守った。 ミキ「まもるでダメージを防ぐ作戦。とても良くできてるわね。じゃあこれならどうかしら。ルカリオ、フェイント!」 ルカリオがフェイントの体制になる。だがかくとうタイプの技のフェイントをユキメノコに使ったところでダメージがあるわけがない。これもミキの作戦なのだろうか。 マサト「(フェイントはかくとうタイプの技。ユキメノコに対してはダメージがない!)ユキメノコ、ルカリオをぎりぎりまで引き付けるんだ!」 ユキメノコはまもるの体制のままルカリオを引き付ける。 ミキ「今よ!ルカリオ、ブレイズキック!」 ルカリオは高くジャンプしたかと思うと、足に炎をまとって強力な蹴り技を繰り出した。ブレイズキックだ。 マサト「ユキメノコ、みずのはどう!」 ユキメノコがみずのはどうで迎え撃つ。だがブレイズキックの勢いは強く、効果抜群のはずのみずのはどうを打ち消してしまった。 マサト「危ない、ユキメノコ!」 だが次の瞬間、ユキメノコはルカリオに向かっていったかと思うと、急に光り出した両手でルカリオをはたき落としたではないか。新しい技を覚えたのだろうか。 マサト「今のは!?」 ミキ「めざましビンタよ!相手が眠っているときに出すと、ねむり状態が解ける代わりに大きなダメージを与えるの。マサト君、こう言うときに新しく技を覚えるって、すごいわね!」 マサト「ありがとうございます!ユキメノコ、もう一度めざましビンタ!」 ユキメノコがめざましビンタを放つ。ルカリオはまともにめざましビンタを受けて吹っ飛んでしまった。めざましビンタはかくとうタイプの技。はがねタイプのルカリオにしてみれば 効果抜群の技だった。 ミキ「まだまだよ!ルカリオ、ラスターカノン!」 マサト「ユキメノコ、めざましビンタで跳ね返せ!」 ルカリオがラスターカノンを放つ。ユキメノコはそれをめざましビンタで跳ね返そうとする。だがラスターカノンのスピードはマサトの予想以上に早く、跳ね返す隙を与えないうちに ラスターカノンがユキメノコにクリーンヒットしてしまった。効果は抜群だ。 マサト「ユキメノコ!」 ユキメノコは勢いよく吹っ飛ばされ、フェンスに叩きつけられた。それでもどうにかして立ち上がろうとするが、そのままフィールドに崩れ落ち、戦闘不能となった。 ルリカ「ユキメノコ、戦闘不能。ルカリオの勝ち!」 マサト「よく戦ったね、ユキメノコ。ゆっくり休んでね。」 マサトはユキメノコをモンスターボールに戻す。だがマサトはすでに残すポケモンはあと2体となっていた。対してミキは5体を残している。 トレーナーとしての実力はミキの方が数段上と言うのは間違いない。果たして、マサトはこの状況をどう打開して、どう立ち向かっていくのだろうか。 (7) マサトとミキのフルバトル。マサトは実力と経験のいずれの面でも格段上のミキを相手に善戦を続けていた。だが、ギャラドスに続いて、スリーパー、ガブリアス、そして ユキメノコまでもが倒され、残すポケモンは2体となっていた。対するミキはラティオスが倒されただけで、まだ5体を残している。すでに実力の差を見せつけられ始めようとしていた。 マサト「(ルカリオははがねタイプも併せ持っている。僕の残りのポケモンで有効なポケモンといえば・・・。)行け、リザード!」 マサトはリザードを繰り出した。 ミキ「(次はリザードね。それなら。)戻って、ルカリオ!」 ミキもルカリオをモンスターボールに戻した。 コトミ「(タイプの相性を考えて、ポケモンを交代させるのね。さすがはミキさん。レベルが違うわね。)」 ミキ「行ってらっしゃい、ウインディ!」 ミキはウインディを繰り出した。 マサト「(ウインディはほのおタイプ。かえんほうしゃは効きにくいし、もしウインディの特性がもらいびならダメージを与えられない。それなら。)リザード、穴を掘って地中に潜るんだ!」 リザードが穴を掘って地中に潜る。あなをほる攻撃ならほのおタイプのウインディに対しても効果抜群となる。 ミキ「ウインディも穴を掘って!」 負けじとウインディもあなをほる攻撃の態勢に入る。こうなると最初に穴から出たポケモンはダメージを与えにくい。そうなると地中での激突になるだろう。 マサト「リザード、周りに耳を傾けるんだ!」 ミキ「ウインディも周りの音に注意して!」 しばらくの間、地中からは何の音も聞こえず、不気味なほどの静寂が続いていた。だがそれを破って、穴から1匹のポケモンが飛び出すのが見えた。 マサト「今だ!リザード、あなをほる攻撃!」 ミキ「ウインディ、あなをほる攻撃!」 続いてもう1匹のポケモンも地中から飛び出した。そしてほぼ同時にあなをほる攻撃に入る。互いにほのおタイプのリザードとウインディにしてみればどちらも効果抜群。ダメージが大きくなった。 マサト「リザード、とおぼえ!」 リザードはとおぼえで気合いを高めた。と、次の瞬間ウインディの姿が赤く染まったかと思うと、そのままボールに引っ込んでいってしまったではないか。 ミキ「今のは、ほえる!?」 マサト「そうか!リザード、ほえるを覚えたんだね!」 ルリカ「(とおぼえとほえるは似たタイプの技。とおぼえは攻撃力を高めるけど、その吠え方が変わるとほえる攻撃になるわ。そしてほえるを受けたポケモンはボールに戻っていく。 マサト君、腕を上げたわね。)」 ウインディに代わってフィールドに登場したのはジュカインだった。ジュカインはくさタイプ。リザードにしてみれば相性の面で有利だった。 ミキ「マサト君、やるわね。とおぼえを変化させてほえるを覚えたのね。なかなかいい作戦だと思うわ。」 マサト「ありがとうございます。」 ミキ「でも相性が悪いからといって、簡単に倒せると思ったら大間違いよ!ジュカイン、りゅうのはどう!」 ジュカインがりゅうのはどうを放つ。 マサト「リザード、かわしてかえんほうしゃ!」 リザードがりゅうのはどうをかわして、勢いよくかえんほうしゃを放つ。ジュカインはもろにかえんほうしゃを受けて吹っ飛ばされてしまった。効果は抜群だ。 ミキ「まだまだよ!ジュカイン、エナジーボール!」 ジュカインがエナジーボールを放つ。 マサト「リザード、きりさくで迎え撃て!」 リザードがきりさくでエナジーボールを切り刻もうとする。だがエナジーボールはきりさくを受けても切り裂かれず、そのままリザードに命中した。効果は今一つだが心なしか 威力が上がっている感じがした。 コトミ「(あれはジュカインの特性、しんりょくね!ピンチになるとくさタイプの技の威力が上がる。しかもエナジーボールはくさタイプの技。リザードに対しては効果が今一つでも、 威力が上がればそれも気にしないで発動できる。ミキさん、やるわね。)」 ミキ「ジュカイン、続いてリーフブレード!」 マサト「リザード、かわしてでんこうせっか!」 ジュカインがリーフブレードをリザードに叩き付ける。かわそうとしていたリザードだったが、ジュカインのあまりの素早さにかわしきれず、リーフブレードをもろに受けてしまった。 ミキ「ジュカイン、とどめのリーフストーム!」 ジュカインが至近距離からリーフストームの態勢に入る。くさタイプの技でもハードプラントに次ぐ威力を誇るリーフストーム。相性の面では今一つなリザードとはいえ、しんりょくの効果で 威力が上がっているジュカインからもろに食らえば大ダメージは免れないだろう。 マサト「リザード、あなをほる攻撃!」 リザードはすんでの所でリーフストームをかわすと、穴を掘って地中に潜った。まもなくジュカインの真下からリザードのあなをほるが直撃、ジュカインはたまらず吹っ飛ばされた。 マサト「リザード、続いてかえんほうしゃ!」 続けざまにリザードがかえんほうしゃを放つ。強力なかえんほうしゃをもろに受けたジュカインはたちまちフェンスまで飛ばされ、一撃のもとに戦闘不能となっていた。 ルリカ「ジュカイン、戦闘不能。リザードの勝ち!」 マサト「よくやったね、リザード!」 リザードは一声あげてさらに気合いを高めた。と、次の瞬間リザードの全身が白く光り始めたではないか。 マサト「あっ!?」 コトミ「これは・・・?」 ミキ「マサト君、進化が始まったのよ!」 リザードは白い光に包まれながら次第に姿を変えていく。背中から大きな翼が生え始め、最終進化形態・リザードンに進化したのだった。 マサト「リザード・・・、進化してリザードンになったんだね!」 リザードンは高く雄叫びを上げる。そして大きな翼から空気の刃を打ち出した。新しい技・エアスラッシュだ。 マサト「リザードン、エアスラッシュを覚えたんだね!」 ミキ「すごいわ、マサト君!リザードンは進化してエアスラッシュを覚えたのよ。ひこうタイプの強力な技の1つだわ。とてもよく育てられているわね。」 マサト「ありがとうございます!」 ミキ「じゃあ、あたしの次のポケモン、行くわよ!行ってらっしゃい、エーフィ!」 ミキはエーフィを繰り出した。 マサト「リザードン、かえんほうしゃ!」 リザードンがかえんほうしゃを放つ。進化してかえんほうしゃの勢いがさらに強くなった。 ミキ「エーフィ、サイコキネシス!」 エーフィがサイコキネシスでかえんほうしゃの向きを変える。そのままかえんほうしゃはリザードンに向かって突っ込んでいった。 マサト「リザードン、エアスラッシュ!」 リザードンも負けじとエアスラッシュでかえんほうしゃを払いのける。エアスラッシュはそのままエーフィに向かって迫っていった。 ミキ「エーフィ、でんじほう!」 エーフィがでんじほうを放った。でんじほうはエアスラッシュを打ち破り、そのままリザードンに命中した。進化してひこうタイプも併せ持ったリザードンにしてみれば弱点を 突かれた形になる。効果は抜群だった。 マサト「リザードン!」 リザードンはそのまま立ち上がろうとするが、でんじほうの追加効果でまひ状態になっており、なかなか立ち上がることができない。 ミキ「エーフィ、サイコキネシス!」 そこにエーフィのサイコキネシスが炸裂。リザードンはなすすべもなくサイコキネシスで操られ、フィールドに叩き付けられた。戦闘不能だった。 ルリカ「リザードン、戦闘不能。エーフィの勝ち!」 コトミ「(やっぱり、ミキさんのエーフィってすごい・・・。進化して強くなったはずなのに、でんじほうとサイコキネシスでリザードンをいとも簡単に戦闘不能にしてしまったわ。 やっぱりエーフィの実力は伊達ではないわね。マサト、これからサーナイトだけで戦わなければならないけど、大丈夫かしら・・・。)」 マサト「ミキさん、やっぱり強いですね。僕、あっという間に最後の1体にされてしまった感じがします。」 ミキ「そんなことはないわ。マサト君だって、かなり実力をつけたと思うわ。バトルは最後の最後まで分からないわ。だから、お互いに最後まで全力を出してバトルしましょう!」 マサト「はい!それでは僕の最後のポケモン、行きます!行け、サーナイト!」 マサトはサーナイトを繰り出した。再びサーナイトがバトルフィールドに足を踏み入れる。 マサトは残すところサーナイト1体のみ。対してミキはエーフィ、ルカリオ、ウインディ、レントラーの4体が残っていた。そしてサーナイトの前に立ちはだかるのは、ミキの一番の パートナーでもあるエーフィ。 果たして、マサトとミキ、このフルバトルの勝敗は、どちらに上がるのだろうか。 (8) 〜挿入歌:『スパート!』が流れる〜 マサトとミキのフルバトルは、マサトの善戦もありミキのポケモンを2体戦闘不能にすることができたのだが、ミキはその実力と経験を見せつける形でマサトのポケモンを次々と戦闘不能に していき、サーナイトを残すだけとしていた。一方でミキのポケモンは残り4体。マサトはサーナイトだけでミキのポケモン4体を相手に戦わなければならなくなった。 マサト「サーナイト、シャドーボール!」 サーナイトがシャドーボールを放つ。相性の面ではエーフィに対しても効果抜群になるが、これにエーフィはどう対応するのだろうか。 ミキ「エーフィ、シャドーボールで迎え撃って!」 エーフィもシャドーボールで応戦する。2つのシャドーボールが勢いよくぶつかり合い、フィールドの中央で大きな爆発となった。 マサト「やりますね、ミキさん!」 ミキ「マサト君もとてもよく育てられてるわ。初めてのバトルのときと比べて、進化したというのもあるけど、技の威力も格段に違うわ。マサト君、そしてサーナイト、本当に成長したわね。 あたしも嬉しいわ。」 マサト「ありがとうございます!サーナイト、マジカルリーフ!」 サーナイトがマジカルリーフを放つ。サーナイトの周囲から無数の葉っぱが舞い上がり、エーフィに襲いかかる。 ミキ「エーフィ、サイコキネシス!」 エーフィがサイコキネシスを放つ。サイコキネシスはマジカルリーフの向きを変えてそのままサーナイトを襲った。 マサト「サーナイト、テレポート!」 サーナイトがテレポートでマジカルリーフをかわす。 ミキ「エーフィ、シャドーボール!」 エーフィがサーナイトの出現ポイントを予測して、シャドーボールを連射する。 マサト「サーナイト、かげぶんしん!」 サーナイトがかげぶんしんでいくつもの分身に分かれる。シャドーボールは無数の分身に命中し続け、本体にダメージはなかった。 ミキ「まだまだよ!エーフィ、もう一度シャドーボール!サイコキネシスでコントロールして!」 エーフィがシャドーボールを放ち、さらにサイコキネシスでコントロールする。初めてバトルしたとき、当時ラルトスだったサーナイトを完膚無きまでに叩きのめした、あのコンビネーションだ。 マサト「負けないでサーナイト!シャドーボールをサイコキネシスで操って!」 負けじとサーナイトもシャドーボールを放ち、サイコキネシスをかけてコントロールした。サイコキネシスで操られた2つのシャドーボールがぶつかり合い、またしても大爆発が生じる。 爆発が収まると、2体とも着実に体力が削られているのか、やや息が上がっている感じがした。 ミキ「マサト君、あのときあたしが見せたシャドーボールとサイコキネシスのコンビネーション、マサト君も使いこなせることができたのね。本当に腕を上げたのね。」 マサト「ありがとうございます。僕も初めてバトルしたあのとき、ミキさんにいろんなことを教えられた気がします。だから、手持ちポケモンが6匹揃ったら、また バトルしようって思っていたんです。」 ミキ「ありがとう。マサト君、こんなあたしだけど、ルリカさんやユカリさんみたいにライバルとして認めてくれるなんて、本当に嬉しいわ!あたし、マサト君やコトミちゃん、トモヤさん、 そしてほかのみんなとも知り合うことができて、本当に良かったって思ってるわ!」 マサト「ありがとうございます!」 ミキ「うん!マサト君、最後まで悔いのないバトルにしましょう!」 マサト「はい!じゃあ行きますよ!サーナイト、でんじほう!」 サーナイトがでんじほうを放つ。 ミキ「エーフィ、あたし達も行くわよ!でんじほう!」 エーフィもでんじほうを放つ。2つのでんじほうがフィールドの中央に向かって一直線に突っ込んでいく。 マサト「サーナイト、マックスパワーでサイコキネシス!」 サーナイトがマックスパワーのサイコキネシスをでんじほうにかける。 ミキ「エーフィ、あたし達もマックスパワーを出すわ!サイコキネシス!」 エーフィもマックスパワーを出してサイコキネシスをでんじほうにかけた。 サイコキネシスで増幅されたでんじほうはフィールドの中央で勢いよくぶつかり合い、マサト達が正視していられないほどの大爆発を生じさせた。 マサト「なあぁっ!」 ミキ「ああっ!」 凄まじいまでの爆発だった。爆発の後も深い煙がフィールドを覆い、しばらく様子を見ることができなかった。 やがて煙が収まると、でんじほうの効果でまひ状態となっていたのか、全身から電気を発していたサーナイトとエーフィが互いに見つめ合っていた。双方とももはや体力は限界といった状況で、 辛うじて立っていると言っても過言ではなかった。 しばらくの間2匹は互いに見つめ合い続けていた。・・・そして、1匹のポケモンがゆっくりとフィールドに倒れ込み、戦闘不能となった。サーナイトだった。 ルリカ「サーナイト、戦闘不能。エーフィの勝ち。よって勝者、ヤマブキシティのミキ!」 激闘のフルバトルを制したのはミキだった。マサトにラティオスとジュカインの2体を倒されただけでの勝利だった。 マサト「サーナイト!」 マサトはサーナイトのもとに駆け寄る。 サーナイトは全力を出し切っていたが、それでも笑顔でマサトの呼びかけに答えていた。 マサト「サーナイト、本当に良く戦ってくれたね。お疲れ様。」 ミキ「マサト君。」 ミキもマサトのもとに歩を進めた。 ミキ「マサト君、ありがとう。本当に素晴らしい、いいバトルだったわ。」 マサト「いえ。まだ僕、ミキさんにはとてもかないそうにないです。今回だって、僕はミキさんのポケモンを2体倒せただけでしたし・・・。」 ミキ「ううん。そんなことはないわ、マサト君。初めてバトルしたときは2VS2のバトルだったけど、マサト君は1匹も倒せなかったでしょ?だけど、今回はマサト君もあたしのラティオスと ジュカインの2匹を戦闘不能にできたわ。それだけでもずいぶんと成長できたと思うわ。」 マサト「ミキさん。僕、まだ実力が違うかもしれないですけど、いつかきっとミキさんに勝って見せます!またバトルしましょう!」 ミキ「うん!いつでも相手になってあげるわ!マサト君、本当にありがとう!」 そう言ってミキは手を差し出した。――マサトはその手を握り、しっかりと固い握手を交わした。 そしてそのそばで、サーナイトとエーフィも互いの健闘をたたえ合い、しっかりとその手を取り合っていた。 コロシアムを出ると、日はすでに西に傾いており、美しい夕焼けとなっていた。そしてこれからいよいよ、マサトとコトミのジョウトリーグ、そしてグランドフェスティバルに 向けた挑戦が始まるのだった。 ルリカ「マサト君、コトミちゃん。あなた達はジョウトリーグとグランドフェスティバルに挑戦するのよね。ミキさんみたいに2つの道を極めるっていうことは難しいかもしれないけど、 でもマサト君とコトミちゃんなら、きっとできると思うわ。」 コトミ「ありがとうございます。」 マサト「ルリカさんは、確かこれからリュウグウジムに向かわれるんでしたね。」 ルリカ「そうよ。リュウグウジムはみずタイプを中心としたジムなの。これまで長い間公認ジムとして認められていなかったんだけど、私が公認ジムにするために行くことになるのよ。 公認ジムとなったら、正式にジョウトリーグに出場するためのバッジが発行されるわ。マサト君も挑戦するの?」 マサト「いえ。僕、昔サトシが回ったのと同じジムに挑戦してみたいんです。サトシもかつて8つのジムを回って、ジョウトリーグに挑戦したんですよね。」 ルリカ「うん。サトシ君が回ったジムなら、ジョウトリーグにもちゃんと記録が残ってるわ。サトシ君が最初に回ったのは、キキョウシティにあるキキョウジムよ。そこから、ヒワダタウンの ヒワダジム、コガネシティのコガネジム、エンジュシティのエンジュジム、タンバシティのタンバジム、アサギシティのアサギジム、チョウジタウンのチョウジジム、 そしてフスベシティのフスベジムの8つを回ったのよ。」 マサト「そうだったんですか。サーナイト、最初のジムはキキョウジムだね!」 サーナイトも大きくうなずいて決意を新たにした。 コトミ「そう言えば、グランドフェスティバルに出場するためには、リボンを5つ集めることになるんでしたよね?」 ルリカ「そうよ。今から行くと、次のコンテストはヨシノシティで行われるわ。ヨシノシティはリュウグウジムの先にある町よ。そこから30番道路、31番道路を抜けていくと、 キキョウシティに出られるわ。」 コトミ「ありがとうございます!」 ルリカ「さあ、マサト君、コトミちゃん。リュウグウジムまでの短い間だけど、一緒に行きましょう!」 マサト「はい!」 コトミ「よろしくお願いします!」 そしてマサトとコトミはミキの方を向いた。 マサト「そう言えば、ミキさんはこれからどうなされるんですか?」 ミキはマサトとコトミの方を向くと、優しい笑顔でこう言った。 ミキ「マサト君、コトミちゃん。あたしも、一緒にジョウトを回らせてもらえないかなぁ?」 マサト「えっ?」 コトミ「ミキさんが・・・?」 ミキ「うん。あたし、マサト君とフルバトルして思ったの。マサト君とコトミちゃん、これからポケモンリーグにポケモンコンテストと、いろんなことを経験してもっと強くなっていく。 だから、あなた達が成長して、あたしも一緒に成長できたらいいなぁって思ったの。一緒に行きましょう!ね!」 マサト「本当ですか?」 コトミ「いいんですか?」 ミキ「うん!」 ミキは大きくうなずいた。 マサト「はい!」 コトミ「よろしくお願いします!」 ミキ「ありがとう!」 マサト「僕、ミキさんにもっといろんなことを教わりたいです!」 コトミ「あたしも、ミキさんみたいな方が一緒にいてくれると、心強いです!」 ミキ「そんな、言ってくれると嬉しいわ!ありがとう!」 こうして、マサトとコトミのジョウト地方を巡る新たなる旅が始まった。 ポケモンリーグとポケモンコンテスト、2つの道に挑戦することになる、マサトとコトミ。そして、2人の旅に同行することになったミキ。果たして、3人の行く手には、一体どういった ことが待ち構えているのだろうか。 今、新たなる挑戦が幕を開ける。 (※)「ジュカインのグラスミキサーについて」 これを書いている時点ではブラック・ホワイトの新技を誰が覚えるかは不明なため、ジュカインがグラスミキサーを覚えられない可能性もありますが、ここでは便宜上ジュカインも グラスミキサーを覚えるものとします。 Chapter-44に続く。次回よりジョウト編スタート。 <初出> 全編書き下ろし。