Chapter-45『アユミとピカチュウ!ライバルバトル!!』 (1) ジョウトリーグとポケモンコンテスト出場のため、マサト達は最初のコンテストが行われるヨシノシティに向かっていた。 マサト「次に行くヨシノシティって、どう言うところですか?」 ミキ「ヨシノシティは、『花薫る美しい町』って言われていて、北に行くと30番道路から31番道路を抜けてキキョウシティ。西に行くと、シーサイドラインを通っていけばワカクサシティに出られるわ。比較的交通の便もいい町よ。」 コトミ「ワカクサシティって、ユカリさんの出身地でもあるんですよね。」 ミキ「うん。マサト君、コトミちゃん、ヨシノシティの次はどこにする?」 マサト「うん、僕としてはユカリさんにもお会いしたいけど、キキョウジムのジム戦も早くやりたいなぁって言う気持ちもあるんです。」 コトミ「あたしも、ジム戦がどう言うものか、一度体験してみたいって思ってるんです。」 ミキ「うん。それならキキョウシティを回ってからワカクサシティに行くことにする?ユカリさんもその事は分かってくれると思うわ。」 マサト・コトミ「はい!」 と、そこまで言ったとき、向こうから強力な電気が放たれたのが見えた。 ミキ「あれは何かしら。マサト君、コトミちゃん。ちょっと行ってみましょう!」 マサト達は電気のした方に向かって走っていった。 そこでは、1人の女性がポケモン達と一緒に特訓を重ねていた。明らかにポケモントレーナーだった。――膝の上までのスカートが一続きになった白のチューブトップにモンスターボールがあしらわれたサンダルと言う格好。背丈は女性にしてはかなり高く、ミキも1メートル80近くあり、女性にしてはかなり高かったが、この女性はさらに高かった。1メートル90とまでは行かないが、87か8はありそうだった。 その女性はマサト達に気づいて振り返った。顔立ちも非常に整った、とてもきれいな女性だった。優しいお姉さんという感じがした。 女性トレーナー「あら、初めまして!あなた達もトレーナーなの?」 マサト「はい。僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 ミキ「あたしはミキ。よろしくね!」 女性トレーナー「こちらこそよろしくね。あたしはアユミ。今はご覧の通り、ポケモン達と特訓してたのよ。」 そう言うとアユミは手を差しのべた。フシギバナ、ピカチュウ、メタグロス、ハピナス、トゲキッス、そしてトドゼルガの6匹がいた。 マサト「フシギバナとピカチュウがいるね。」 コトミ「トゲキッスもいるわ。」 マサトとコトミはポケモン図鑑を取り出してフシギバナとトゲキッスをチェックした。 マサト「アユミさん、このピカチュウを見ているとサトシのことを思い出します。サトシもピカチュウは進化させないでずっと育てていたんですよね。」 アユミ「まあ!マサト君ってあのポケモンマスターのサトシ君のことも知ってるのね。すごいわ。もしかしてお知り合いなの?」 マサト「うん。僕、サトシとはホウエンとカントーを一緒に旅したんです。サトシは僕と一緒に旅してた間、ホウエンリーグ・サイユウ大会でベスト8になって、カントーではバトルフロンティアも制覇したんです。」 アユミ「ね。すごいわね、マサト君って。あたしもポケモン達と一緒にいろんな地方を回ったんだけど、マサト君、あなたとはいいライバルになれそうな気がするわ。」 マサト「ありがとうございます。」 アユミ「そうだ、マサト君。せっかくだからバトルしよう?」 マサト「はい!そうだ、使用ポケモンはどうする?」 アユミ「そうね。初めてお相手することになるし、最初は3匹ずつでいいわ。」 ミキ「じゃあ、審判はあたしがやるわね。」 マサト・アユミ「よろしくお願いします!」 こうして、マサトとアユミのポケモンバトルになった。使用ポケモンは3体。もちろんどちらかのポケモンがすべて戦闘不能となった時点で試合終了となる。ポケモンの交代は自由だ。 マサト「僕はこのポケモンにします!行け、ガブリアス!」 マサトはガブリアスを繰り出した。 アユミ「あたしはこの子にするわ!行くわよ、ハピナス!」 アユミはハピナスを繰り出した。 さあ、マサトにとってジョウトで初めてのバトルは、どう言った展開になるのだろうか。 (2) 〜挿入歌:『OK!』が流れる〜 マサトとアユミのポケモンバトルが始まった。最初のポケモン、マサトはガブリアス、アユミはハピナスを繰り出した。 アユミ「マサト君、最初に攻撃していいわ。」 マサト「はい!では行きます!ガブリアス、かわらわり!」 ガブリアスがかわらわりを放つ。ノーマルタイプのハピナスに対しては効果抜群。しかもハピナスはぶつり攻撃にかなり弱いため、大きなダメージが期待できた。 アユミ「うふふっ。ハピナス、カウンター!」 ハピナスがカウンターの体制に入った。 コトミ「カウンター!?」 かわらわりはハピナスに強烈なダメージとなって襲いかかった。が、ハピナスはカウンターでかわらわりのダメージを倍返しにしてしまった。ぶつり攻撃に対する防御で劣るハピナスのこと、カウンターをすれば相手に跳ね返るダメージは凄まじいものとなった。 想像を絶する威力のカウンターを受けたガブリアスはたちまち吹っ飛ばされ、一撃のもとに戦闘不能となっていた。 ミキ「ガブリアス、戦闘不能。ハピナスの勝ち!」 アユミ「やったわね、ハピナス!」 マサト「(すごい・・・。ハピナスはぶつり攻撃を受けるとダメージが大きくなる。アユミさん、それを逆に利用してカウンターを使ってるんだ。)戻れ、ガブリアス!」 マサトはガブリアスをモンスターボールに戻した。 コトミ「(マサト、次は何を出すのかしら・・・。)」 マサト「行け、リザードン!」 マサトはリザードンを繰り出した。 アユミ「次はリザードンね。とてもよく育てられてるわね。」 マサト「ありがとうございます!リザードン、かえんほうしゃ!」 リザードンがかえんほうしゃを放った。 アユミ「ハピナス、ひかりのかべ!」 ハピナスがひかりのかべを作ってかえんほうしゃのダメージを弱める。 マサト「(まずい。ひかりのかべはとくしゅ技のダメージを弱める技。かと言ってぶつり技を使うとカウンターを食らってしまう。それなら。)リザードン、穴を掘って地中に潜れ!」 リザードンが地中から攻撃の体制に入る。 コトミ「(えっ!?あなをほるはぶつり技、カウンターで大ダメージを受けるはず!どうして・・・?)」 アユミ「ハピナス、タマゴうみ!」 ハピナスがタマゴうみをする。じこさいせいと同じく、自分の体力を回復する技だ。 マサト「回復しきっていない今がチャンスだ!リザードン、あなをほる攻撃!」 地面から飛び出たリザードンがハピナスに強烈な一撃を浴びせた。動作があまりに素早いのとタマゴうみが終わっていなかったのが影響したのか、ハピナスはカウンターを使う暇もなかった。 マサト「リザードン、エアスラッシュ!」 立て続けにリザードンがエアスラッシュを放つ。ひかりのかべでダメージは抑えられていたが、それでも連続でダメージを受けたことでハピナスはかなりへばってしまった。 アユミ「ハピナス、10まんボルト!」 ハピナスが10まんボルトを放つ。進化してひこうタイプも併せ持ったリザードン、まともに受ければダメージが大きくなってしまう。 マサト「リザードン、かわしてかえんほうしゃ!」 リザードンが10まんボルトをすんでのところでかわして、かえんほうしゃを放った。かえんほうしゃをまともに食らったハピナスは勢いよく吹っ飛ばされていった。 アユミ「ハピナス!」 ハピナスはそれでもどうにかして立ち上がろうとしたが、そのままフィールドに崩れ落ち、戦闘不能となった。 ミキ「ハピナス、戦闘不能。リザードンの勝ち!」 アユミ「戻って、ハピナス!」 アユミはハピナスをモンスターボールに戻した。 コトミ「(これで2対2ね。アユミさん、各地を回ってきたって言ってたから、レベルもかなりのものね。)」 アユミ「マサト君、やるわね。ポケモンとの仲も良さそうだわ。いいライバルになれそうね。」 マサト「ありがとうございます。」 アユミ「次はこの子にするわ!行くわよ、トゲキッス!」 アユミはトゲキッスを繰り出した。 マサト「リザードン、エアスラッシュ!」 リザードンがエアスラッシュを放つ。エアスラッシュはひかりのかべを突き崩してトゲキッスに命中した。 アユミ「やるわね!トゲキッス、あたし達もエアスラッシュよ!」 トゲキッスも負けじとエアスラッシュを放つ。 マサト「リザードン、上空に飛んでかわせ!」 リザードンは空高く飛び上がってエアスラッシュをかわす。 マサト「そのままトゲキッスにでんこうせっか!」 リザードンがでんこうせっかでトゲキッスに突っ込んでいく。 アユミ「トゲキッス、もう一度エアスラッシュ!」 トゲキッスが再びエアスラッシュを放って迎え撃つ。リザードンはまともにエアスラッシュを受けながらもそのままトゲキッスに突っ込んでいった。 マサト「リザードン!」 アユミ「トゲキッス!」 リザードンとトゲキッスは互いに勢いよく吹っ飛ばされたが、まだ戦える。 マサト「うん!リザードン、かえんほうしゃ!」 リザードンはかえんほうしゃを放とうとするが、どういうわけか技が発動しない。 アユミ「チャンスよ!トゲキッス、もう一度エアスラッシュ!」 トゲキッスがさらにエアスラッシュを連発して畳み掛ける。リザードンはそれでも攻撃体制に入ろうとするが、ひるまされて思い通りの攻撃ができない。 コトミ「(!・・・エアスラッシュは相手をひるませることがある技。しかもトゲキッスはてんのめぐみ特性ならひるむ確率がさらに上がるわ。アユミさん、とてもよく育てられてるわね。)」 マサト「(トゲキッスの特性はははりきりとてんのめぐみ。アユミさんのトゲキッスはてんのめぐみと言うわけか・・・。)リザードン!」 リザードンは我に返ったのか、一声あげて気合いを高めた。 と、リザードンは全身に炎をまとい始めたではないか。 マサト「あれは!?」 コトミ「マサト、リザードンは新しい技を覚えたのよ!」 アユミ「あれはフレアドライブよ!」 マサト「そうか!リザードン、フレアドライブ!」 リザードンは炎をまとって勢いよくトゲキッスに体当たりした。フレアドライブは自分も反動でダメージを受ける代わりに相手に大ダメージを与えることができる。ほのおタイプの中でもブラストバーンやオーバーヒートの最初の1発に次ぐ威力の技だった。 フレアドライブをまともに受けたトゲキッスは、果たしてフィールドに勢いよく叩きつけられ、戦闘不能となっていた。 ミキ「トゲキッス、戦闘不能。リザードンの勝ち!」 マサト「すごいね、リザードン!」 アユミ「戻って、トゲキッス!・・・マサト君、あなたは本当にポケモンとの絆が深いのね。あたし、あなたみたいな方とライバルになれてよかったわ。」 マサト「ありがとうございます!」 アユミ「さあ、あたしの最後のポケモンよ!行くわよ、ピカチュウ!」 アユミはピカチュウを繰り出した。 マサト「(相手はピカチュウ。サトシとバトルするんだと思って挑まなければ・・・!)リザードン、かえんほうしゃ!」 リザードンがかえんほうしゃを放った。かえんほうしゃは勢いよくピカチュウに迫っていく。 アユミ「ピカチュウ、10まんボルト!」 ピカチュウは10まんボルトで対抗する。10まんボルトはかえんほうしゃを弾き返して、勢いよくリザードンに命中した。効果は抜群だ。 マサト「リザードン!」 まともに10まんボルトを受けたリザードンは戦闘不能となってしまった。 ミキ「リザードン、戦闘不能。ピカチュウの勝ち!」 マサト「戻れ、リザードン!」 マサトはリザードンをモンスターボールに戻す。 マサト「アユミさん、やりますね。まるでサトシとバトルしている感じがします。」 アユミ「ありがとう。でも勝負は最後まで分からないわ。だから、最後まで悔いの残らないバトルにしようね!」 マサト「はい!僕の最後のポケモンです!行け、サーナイト!」 マサトはサーナイトを繰り出した。 互いに残り1匹となったこのバトル、果たして勝利を治めるのは、マサトか、それともアユミか。 (3) 〜挿入歌:『Together』が流れる〜 マサトとアユミのバトルは大詰めとなっており、互いに最後の1体となっていた。マサトはサーナイト、アユミはピカチュウを出しており、いわば「仮想サトシ戦」と言っても過言ではなかった。 マサト「サーナイト、マジカルリーフ!」 サーナイトがマジカルリーフを放つ。まずは小手調べといったところだろうか。 アユミ「ピカチュウ、そらをとぶでかわして!」 ピカチュウは1回宙返りすると、自身にくくりつけた風船で空に舞い上がった。このピカチュウはただのピカチュウではない。空を飛ぶこともできるのだ。 マサト「ええっ!?」 コトミ「アユミさんのピカチュウ、空も飛べるの!?」 ミキ「聞いたことがあるわ。ピカチュウの中には、特別な技を使いこなすのもいるのよ。そらをとぶもそうだけど、サーフボードに乗ってなみのりをすることができるピカチュウもいるわ。」 アユミ「うふふっ。よくご存じね。あたしのピカチュウは他のピカチュウが持っていない秘めた実力を持ってるって思ってるの。あたしと他のポケモンみんなで、いろんなことにチャレンジしたわ。それで、なみのりやそらをとぶと言った、普段では使えない技を使いこなすことができるのよ。」 マサト「アユミさん、すごいですね。サトシのピカチュウとは違った強さ、そして実力が感じられます。」 アユミ「ありがとう!言ってくれると嬉しいわ。さあ、行くわよ!ピカチュウ、急降下!」 ピカチュウが一気に急降下してサーナイトに迫る。 マサト「サーナイト、シャドーボール!」 サーナイトがシャドーボールを放つ。 アユミ「ピカチュウ、かわして!」 ピカチュウは右、左とよけてシャドーボールをかわす。 マサト「サーナイト、シャドーボールをコントロールするんだ!サイコキネシス!」 後ろに飛んでいったシャドーボールにサイコキネシスがかかる。サイコキネシスでコントロールされたシャドーボールは180度方向転換してピカチュウに迫った。 アユミ「ピカチュウ、後ろよ!」 しかしよける間もなくシャドーボールはピカチュウに命中した。もろにシャドーボールを受けたピカチュウは地面に向かって落ちていく。 アユミ「まだまだよ!この程度では終わらないわ!ピカチュウ、でんこうせっか!」 ピカチュウがでんこうせっかでサーナイトに攻撃する。 マサト「サーナイト、シャドーボール!」 サーナイトが再びシャドーボールを放って応戦する。 アユミ「ピカチュウ、アイアンテール!」 ピカチュウがアイアンテールでシャドーボールを弾き返した。 マサト「サーナイト、テレポート!」 サーナイトがテレポートで姿を消す。消えた直後にシャドーボールが突っ込み、攻撃は外れた。 マサト「今だ!サーナイト、でんじほう!」 ピカチュウの真後ろに現れたサーナイトがでんじほうを発射した。でんきタイプのピカチュウに対しては効果は今一つとは言え、命中すれば相手をまひ状態にすることができる。 アユミ「ピカチュウ、10まんボルト!」 ピカチュウが10まんボルトを放つ。10まんボルトはでんじほうと激しくぶつかり合い、大きな爆発となった。 アユミ「(さすがはマサト君。よく育てられていて、レベルも高いわ。)ピカチュウ、行くわよ!ボルテッカー!」 ピカチュウが凄まじいばかりの電気を身にまとって突進する。ボルテッカーだ。フレアドライブと同じく、自分もダメージを受ける代わりに相手に大きなダメージを与えることができる。 マサト「(さすがはアユミさん。サトシのピカチュウが使わない技をたくさん使いこなしている。相手にとって不足なし!)サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがピカチュウにサイコキネシスをかけた。サイコキネシスが操る力とボルテッカーで突っ込む勢いはほぼ同等だった。しかしボルテッカーはサイコキネシスを突き破ってサーナイトにダメージを与えた。命中の勢いで大爆発が生じた。 爆発が収まると、サーナイトとピカチュウが限界に達した表情でたたずんでいるのが見られた。だが当のピカチュウもボルテッカーの反動を受けた上、サイコキネシスで受けたダメージが積み重なっていた。 しばらく両者はにらみ合ったままだったが、やがて両者がほぼ同時に崩れ落ち、戦闘不能となった。 ミキ「サーナイト、ピカチュウ、両者戦闘不能。よってこの勝負、引き分け!」 マサト「いいえ、僕のサーナイトが先に倒れたんです。だから、これは僕の負けです。」 アユミ「いいえ。倒れたのはあたしのピカチュウの方が先です。」 マサト・アユミ「あっ・・・。」 マサトとアユミは互いに顔を見合わせて、思わず笑い声を上げていた。 (4) バトルの後、マサト達はそれぞれの旅やこれからのことなどについて話し合っていた。 マサト「そう言えばアユミさんは、これまでどの地方を回られたんですか?」 アユミ「うん。あたしはカントーのハナダシティの出身で、カントーからナナシマ、オレンジ諸島、そしてシンオウ地方を回ったわ。まだジョウトやホウエン、そしてイッシュは回っていないんだけど、これから回っていこうって思ってるわ。それで、まずはカントーからも近いジョウト地方を回って行こうって思ってるのよ。」 コトミ「確かハナダシティって、マサトも知り合いのカスミがジムリーダーを務めてるハナダジムがあるんですよね。そう言えば、バトルチャンピオンシップスでマサトとバトルしたケイコさんも、ハナダシティの出身だって言ってたわ。」 アユミ「まあ!マサト君もバトルチャンピオンシップスに出てたのね。あたしも参加してたんだけど、予選ラウンド3回戦で負けちゃってたのよ。確かマサト君って、予選ラウンドを勝ち抜いて、決勝トーナメントまで進んだんでしょ?すごいわ。さすがはセンリさんのお子さんね。と言うことは、ミキさんはバトルチャンピオンシップスの優勝者ってことでしょ?」 ミキ「それほどのことでもないわ。あたしは今回、ジョウトリーグとグランドフェスティバルのエキシビジョンマッチに出場するためにジョウトを回ることにしてるのよ。アユミさん、マサト君だけじゃなくて、コトミちゃんともいいライバルになれそうな気がするわ。」 アユミ「ありがとう。そうだわ、確かマサト君って、手持ちポケモンは今6匹いるんでしょ?」 マサト「はい。」 アユミ「それなら、あたしのお姉さんを紹介するわ。ポケモンの預かりシステムを兼ねた育て屋をやっている、コノハお姉ちゃんよ。」 マサト「ポケモンの預かりシステム?」 ミキ「うん。ポケモンは手持ちが6匹いる状態で新しくポケモンをゲットすると、自動的に預かりシステムに転送されるわ。トレーナーの多くはこの預かりシステムを使ってポケモンを管理しているのよ。サトシ君もオーキド研究所のシステムを使っているって聞いたことがあるわ。」 コトミ「ミキさんもたくさんのポケモンを使いこなしていますけど、どこの預かりシステムを使っているんですか?」 ミキ「あたしが使っているのは、ヤマブキシティのポケモンコミュニケーションシステムよ。ヤマブキシティのポケモンセンターヤマブキ(※1)を中心に展開していて、あたしのトレーナー仲間の多くも活用しているわ。仲間達の間では『コスモス』と呼ばれているのよ。」 アユミ「コノハお姉ちゃんのシステムは、この『コスモス』とも連動しているわ。確かマサト君のお父様って、トウカジムのジムリーダーを務めてらっしゃるセンリさんでしょ?だとしたら、センリさんのシステムとも連動してると思うわ。よかったら、是非使ってみて!」 マサト「はい!」 アユミ「コトミちゃんは?」 コトミ「あたし、今はまだ手持ちは5匹のままなんですけど、これからジョウトを回って行くと、きっとたくさん手持ちが増えていくと思うんです。だから、あたしも使わせていただけないでしょうか?」 アユミ「もちろんよ!誰でも大歓迎するわ!」 コトミ「ありがとうございます!」 マサト達は、ポケモンセンターからコノハの育て屋に電話をかけていた。アユミによると、コノハの育て屋はハナダシティの郊外にあり、そこではアユミを始め、多くのトレーナーのポケモンも育てられているのだという。 アユミ「あ、お姉ちゃん?あたしよ。」 コノハ「アユミ、元気にしてた?あら、後ろの方は・・・?」 アユミ「紹介するわね。マサト君にコトミちゃん、そしてミキさん。マサト君とコトミちゃんはジョウトリーグとポケモンコンテストに、ミキさんはエキシビジョンマッチに挑戦してるのよ。」 マサト「初めまして。僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 ミキ「あたしはミキ。よろしくね!」 コノハ「マサト君にコトミちゃん、ミキさんね。ミキさんは『コスモス』のシステムの通りに使っていればわかると思うけど、マサト君やコトミちゃんは初めてでしょ?あたしが使い方を教えてあげるわ。基本的に、6匹持っている状態で新しくポケモンをゲットすると、自動的にこのシステムに預けられるのよ。あたしの育て屋にいなければ、コスモスのシステムに、そこにいなければマサト君のお父様のところに転送される仕組みにしてあげるわ。マサト君、コトミちゃん、ポケモン図鑑を貸してくれるかなぁ?」 マサト・コトミ「はい。」 マサトとコトミはそう言うとポケモン図鑑をパソコンにセットした。 コノハ「しばらく待っててね。」 コノハはそう言うとポケモン図鑑のアップデート、そしてシステムの書き込み作業を行った。――程なくして、マサトとコトミのポケモン図鑑の預かりシステムの対応が完了した。 コノハ「終わったわ。これでポケモン預かりシステムが使用可能になったわ。これからもたくさんのポケモンとの出会い、期待しているわね。」 マサト・コトミ「ありがとうございます。」 と、そこに別の通信が入った。トウカジムのセンリだった。 センリ「マサト、元気にしているか?」 マサト「パパ!」 コトミ「マサト君のお父様ですね。初めまして。あたし、コトミです。」 センリ「君がコトミちゃんだね。マサトから話は聞いているよ。君もポケモントレーナー、そしてポケモンコーディネーターとして旅しているんだってね。ポケモンの転送はここでも扱えるから、これからポケモンが増えて、管理することになったら、いつでも言ってごらん!」 コトミ「ありがとうございます!よろしくお願いします!」 センリ「そしてミキさん、マサトやコトミちゃんと一緒に旅をすることになったんだね。」 ミキ「はい。あたし、ジョウトリーグとグランドフェスティバルのエキシビジョンマッチに出場することにしているんです。」 センリ「そうか。エキシビジョンマッチはかつてリーグやグランドフェスティバルに出場した選手達が集う強豪揃いの大会になる。でもミキさんの腕ならきっと大丈夫だと思うよ。ミキさん、マサトのことをよろしくお願いします。」 ミキ「はい。こちらこそよろしくお願いします!」 センリ「そちらは確か、アユミさんとおっしゃってたね。」 アユミ「初めまして。あたし、アユミです。」 センリ「マサトにとっての新たなライバルというわけだね。ライバルというものは、お互いに切磋琢磨し合い、実力を磨いて成長していくものだと思っている。そしてそこに、何かを生み出すものだと思っている。アユミさん、これからも仲良くしてくださいね。」 アユミ「はい。よろしくお願いします。」 センリ「マサト、ジョウト地方は手強いジムリーダーがたくさん揃っている。ルリカさんからも聞いたが、マサトはサトシ君がかつて挑んだジムに挑戦するそうだね。手始めはキキョウシティのキキョウジムだそうだが、あそこはハヤトと言う、ひこうタイプの使い手がジムリーダーを務めている。それなりの対策を施して臨んだ方がいいだろう。」 マサト「はい。」 センリ「マサト、お前ならできる!ハルカを、そしてサトシ君を超えていけ!」 マサト「はい!」 そう言うとセンリは通信を切った。と、間髪入れずに別の通信が入った。ミキも使っているネットワークシステム・『コスモス』を運営しているタカノリと言う人物だった。 タカノリ「初めまして、マサト君、コトミちゃん。私はコスモスを運営しているタカノリと言うものです。」 マサト「初めまして。僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 タカノリ「詳しい使い方はコノハさんやセンリさんのシステムとだいたい同じだから、後は実際に使いこなして覚えていくといいだろう。たくさんのポケモン達と出会い、そしてポケモンリーグとポケモンコンテストでいい成績を残していって欲しい!」 マサト・コトミ「はい!」 タカノリ「君たちにこの言葉を贈りたい。『ベスト・ウイッシュ(※2)』だ。」 マサト「ベスト・ウイッシュ?」 ミキ「旅立つ人の幸運を願う言葉よ。これからたくさんのポケモンと出会い、たくさんの経験を積んでいく。今のマサト君とコトミちゃんにぴったりの言葉だと思うわ。」 マサト「ありがとうございます!」 コトミ「これからよろしくお願いします!」 アユミ「マサト君達は、これからどうするの?」 マサト「僕たちはヨシノシティで行われるポケモンコンテストに出場するんです。その後は、僕はキキョウシティのキキョウジムに挑戦することにしています。」 コトミ「あたしもヨシノシティのポケモンコンテストの後は、ポケモントレーナーとしてポケモンジムにも挑戦しようと思っているんです。」 ミキ「あたしはジムバッジを後4つ集めて、グリーンフィールドで行われるエキシビジョンマッチに出場しようと思ってるわ。もちろん、ポケモンコンテストにも参加して、グランドフェスティバルのエキシビジョンマッチにも出るつもりよ。」 アユミ「まあ!ポケモンリーグとポケモンコンテスト、両方に挑戦するのね。あたしはこれまで、ポケモンバトルが中心で、コンテストはほとんどやっていなかったんだけど、でもそれを聞いて、あたしもコンテストにも挑戦してみようかなぁって思ったわ。あたしも負けていられないわね。」 コトミ「アユミさんは、これからどうなされるんですか?」 アユミ「そうね。あたしもジムとコンテスト、両方を回って行こうと思ってるわ。みんなとは行く方向は別々になると思うけど、でも一歩ずつ、夢に向かって挑戦していく限り、トレーナーとして、またコーディネーターとしての成長は終わらないって思うわ。」 マサト「はい!アユミさん、いつかまたバトルしましょう!」 アユミ「うん!マサト君、約束よ!」 そう言うとアユミは満面の笑顔を浮かべた。 アユミ「いつでもスマイル!ね!」 こうして、マサトにまた1人、新たなライバルが誕生した。 ライバルの存在は、マサト、コトミ、ミキ、そしてアユミのいずれにとってもいい刺激になることだろう。 ジョウトリーグ、そしてグランドフェスティバル出場に向かって、マサト達の旅は、まだまだ続く。 (※1)「ポケモンセンターヤマブキについて」 アニメやゲームでは、「ポケモンセンター」はトレーナーの宿泊施設やポケモンの回復所としての役割(ブラック・ホワイトではグッズ販売のフレンドリィショップも併設)が中心ですが、「ポケモンセンター○○」と言う表記の場合は、それに加えてトレーナー同士のコミュニケーションの場も兼ね備えた、基幹施設としてのポケモンセンターとして存在することにします。なお、ポケモンセンターヤマブキは東京都港区の浜松町に存在するポケモン専門店・「ポケモンセンタートウキョー」がモデルになっています。 (※2)「『ベスト・ウイッシュ』について」 通常の表記では「ベスト・ウィッシュ」とするのが一般的ですが、ダイヤモンド・パール編に続く新シリーズのタイトルが「ポケットモンスター・ベストウイッシュ」となっており、ブラック・ホワイトの舞台となるイッシュ地方にも掛けていると考えられることから、ここでは「ベスト・ウイッシュ」と表記することとします。 Chapter-46に続く。 <初出> 全編書き下ろし。