Chapter-46『チコリータとゼニガメ!水辺でゲット作戦!?』 (1) アユミと別れたマサト達は、次の目的地であるヨシノシティに向かって旅を続けていた。 道中、一行は川のほとりにたどり着いた。――川はゆったりと流れており、岸辺は草木が生い茂っている。そして、色とりどりの花が咲き誇っていた。 ミキ「いい景色ね。」 マサト「そうですね。こう言う場所って、心が落ち着く気分になれますね。」 コトミ「あたし、こう言った景色を見ていると、とても穏やかな感じになれるんです。」 ミキ「うん。あたしもこの景色を見ていると、とても落ち着けるわ。あたしの地元も、こう言った美しい自然が広がっているのよ。」 コトミ「ルリカさんに聞きました。確かミキさんって、ヤマブキシティのブライトンハイツに実家があるんでしたね。」 ミキ「そうよ。ブライトンハイツは、高層マンションがたくさん建ち並ぶ地区なんだけど、団地の真ん中にブライトンパークっていう、とても大きな公園があるのよ。あたしも家が近いから、よく散歩に行っているわ。人とポケモンの大切な交流の場としても機能しているのよ。」 マサト「ミキさん、僕たちがヤマブキに行くことがありましたら、ブライトンハイツを案内してもらえますか?」 ミキ「うん、いいわ。そのときはブライトンハイツだけじゃなくて、ヤマブキのいろんなところを案内してあげるわ!」 マサト・コトミ「ありがとうございます!」 と、マサト達から見てすぐ右手、シェイミがスカイフォルムになるときに浴びる花粉で有名なグラシデアの花畑に、1匹のポケモンが現れた。チコリータだ。 マサト「あれは、チコリータ?」 コトミ「もしかして、野生のポケモンかしら。」 チコリータは、承知の通りウツギ博士おすすめの初心者用ポケモンの1つである。だがその反面、野生としてはほとんど出現しないと言われている。そして最終進化形態が、ルリカの一番のパートナーでもあるメガニウムである。 そのチコリータはマサト達の方を向くと、頭の葉っぱを振り回してやる気を高めたではないか。 マサト「もしかして、このチコリータは僕たちとバトルがしたいのかなぁ?」 ミキ「そうだと思うわ。きっとこのチコリータ、マサト君とバトルがしたいんだと思うわ。ゲットしてみるのはどう?」 コトミ「マサト、やるの?」 マサト「うん!」 チコリータも葉っぱを振り回してさらにやる気を高めている。 ミキ「マサト君、チコリータは進化させていくとルリカさんも使ってるメガニウムになるわ。まだ小さいけど、油断しないでね!」 マサト「はい!行け、サーナイト!」 マサトはサーナイトを繰り出した。果たして、マサトはチコリータをゲットすることはできるのだろうか。 (2) 咲き誇る美しい花々と静かに流れる川。その水辺において、マサトは野生のチコリータを相手にバトルを挑んでいた。マサトが繰り出したのはサーナイトだ。 チコリータは先制攻撃とばかりに勢いよくたいあたりを繰り出した。 マサト「サーナイト、テレポート!」 サーナイトがテレポートでチコリータの攻撃をかわす。 マサト「サーナイト、サイコキネシス!」 チコリータの真後ろをとったサーナイトが強烈なサイコキネシスを放った。チコリータはたまらずなすすべもなく操られる。 マサト「サーナイト、続いてシャドーボール!」 サーナイトがシャドーボールを放って連続攻撃をする。だがチコリータははっぱカッターでサイコキネシスを振り払うと、さらにはっぱカッターを連発してサーナイトに反撃し始めた。 マサト「サーナイト、かげぶんしん!」 サーナイトがかげぶんしんで無数の分身に分かれる。だがチコリータは勢いよくはっぱカッターを放ち、分身を次々に打ち消しただけでなく、本物にもダメージを与えた。 マサト「サーナイト!」 サーナイトは相当のダメージを受けたが、それでもまだこの程度ではへこたれない。 マサト「うん!サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがサイコキネシスでチコリータを操る。しかしチコリータもまだまだとばかりにエナジーボールを発射した。 コトミ「あのチコリータ、エナジーボールが使えるの!?」 ミキ「さすがね。あのチコリータは普通のポケモンとは違うわ。マサト君、気を付けてね!」 マサト「はい!サーナイト、サイコキネシスでエナジーボールの向きを変えるんだ!」 サーナイトはサイコキネシスでエナジーボールの向きをチコリータに向ける。だがチコリータははっぱカッターを放ってエナジーボールを切り刻んでしまった。 さらにチコリータはたいあたりでサーナイトに襲いかかる。 マサト「サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがサイコキネシスでチコリータの行動を封じる。だが、チコリータは一声あげたと思うと、地面から巨大なツタを生やしたではないか。 巨大なツタの攻撃をもろに受けたサーナイトは勢いよく吹っ飛ばされてしまう。 マサト「あれは!?」 ミキ「くさタイプ最強の技・ハードプラントよ(※)!あのチコリータはすごいわ。普段、チコリータはハードプラントは覚えないはずだけど、きっとかなりの潜在能力を秘めているのね。何十匹かに1匹の逸材かもしれないわ。マサト君、油断しないでね!」 マサト「はい!」 サーナイトはかなりのダメージを受けたが、それでも体制を立て直して出方をうかがった。 チコリータはサーナイトがまだやる気なのを理解したのか、再びエナジーボールを放った。 マサト「サーナイト、でんじほう!」 サーナイトがでんじほうを放つ。でんじほうとエナジーボールは互いに激しくぶつかり合い、拮抗した形となった。 マサト「サーナイト、でんじほうにサイコキネシス!」 サーナイトがでんじほうにサイコキネシスをかけた。サイコキネシスでコントロールされたでんじほうはエナジーボールを弾き飛ばして、さらにチコリータにも命中した。 でんじほうをまともに受けたチコリータは吹っ飛ばされ、さらに追加効果で麻痺してしまった。 マサト「行け、モンスターボール!」 マサトはモンスターボールを投げた。モンスターボールはチコリータに命中、その場で赤い光を点滅させ始めた。 しばらくの間、緊張した空気が漂う。赤い光が消えるまで野生ポケモンとのバトルは終わらないのだ。――そして光が消え、マサトはチコリータをゲットしたのだった。 マサト「よーし!チコリータ、ゲットでGO!!」 サーナイト「うん!」 と、チコリータの入ったモンスターボールがその場から消えた。トウカジムかコノハの育て屋、またはコスモスシステムのいずれかに転送されたのだった。 ミキ「やったわね、マサト君!」 そこにポケギアの通信が入る。発信者はセンリだった。 センリ「マサト、今チコリータの入ったモンスターボールが転送されたよ。お前がジョウトで初めてゲットしたポケモンだね。」 マサト「パパの温室に転送されたんだね。」 センリ「そうだよ。でもまだこれからだと思う。たくさんのポケモンを捕まえて、育てていくと言うのは、トレーナー、そしてコーディネーターのいずれにしても重要なことだからね。」 マサト「はい。」 センリ「転送したくなったら、私に言うんだぞ!」 そう言ってセンリは通信を切った。と、川の反対側に別のポケモンがいるではないか。ゼニガメだ。フシギダネやヒトカゲと並ぶ、カントー地方の初心者用ポケモン。そしてあのサトシやハルカも育てたポケモンだ。 マサト「あれは、ゼニガメ?」 ミキ「うん。カントーの初心者用ポケモンの1つよ。でもこの辺は野生では珍しいポケモンが多いわね。」 コトミ「あたしがゲットするわ!」 マサト「コトミ、やってみるの?」 コトミ「うん!」 ミキ「相手は川の向こうにいるわ。あまり離れているとモンスターボールの狙いが上手く定まらないから、気を付けてね!」 こうして、マサトに続き、コトミもゼニガメをゲットすることになった。果たして、コトミはゼニガメをゲットできるのだろうか。 (3) 清らかな川の流れが美しい緑と花を育む水辺。その美しさは他では滅多に見られない野生ポケモンをも引き付けてやまないのか、野生のチコリータとゼニガメが現れたのだった。マサトはチコリータをゲットした。続いてコトミはゼニガメのゲットにかかることになった。 コトミ「ミロカロス、お願い!」 コトミはミロカロスを繰り出すと、背中にまたがって向こう岸まで渡っていった。 コトミ「ありがとう、ミロカロス!さあ、エルレイド、行くわよ!」 エルレイドは両肘を勢いよく振り回して臨戦態勢に入る。 と、ゼニガメは待ってましたとばかりに勢いよくみずでっぽうを発射した。 コトミ「エルレイド、サイコキネシス!」 エルレイドがサイコキネシスを放つ。サイコキネシスはみずでっぽうの向きを大きく変えて行き、ダメージを抑えた。 コトミ「エルレイド、つじぎり!」 エルレイドがつじぎりを放つ。強力な一撃を受けたゼニガメはたちまち勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 マサト「エルレイド、つじぎりを覚えたんだ!」 コトミ「うん!ルリカさんとバトルしたときに覚えたの!」 ミキ「すごいわね!つじぎりはあくタイプの技。エスパータイプやゴーストタイプを相手に使うと大きなダメージを与えることができるわ。」 だがゼニガメもこの程度ではへこたれるわけもない。殻にこもって守りを固めたかと思うと、次の瞬間勢いよく突っ込んだではないか。 コトミ「エルレイド、サイコカッター!」 エルレイドはサイコカッターで迎え撃とうとするが、ゼニガメの一撃の方が早く、強烈な打撃をもろに受けてしまった。 マサト「あれは!?」 ミキ「ロケットずつきだわ!」 その通りだった。ロケットずつきだ。 コトミ「ロケットずつき?」 ミキ「うん。首を引っ込めて守りを固めたあとで、一気に相手に向かって突っ込む攻撃よ。最初に守りに入ってから一気に攻撃するタイプね。気を付けた方がいいわ。」 コトミ「うん。エルレイド、もう一度サイコカッター!」 エルレイドがサイコカッターを放つ。サイコカッターはゼニガメに勢いよく命中、ゼニガメはかなり吹っ飛ばされてしまった。 コトミ「エルレイド、続いてサイコキネシス!」 さらにエルレイドがサイコキネシスを放つ。たちまちゼニガメは思い通りの行動ができなくなってしまった。が、ゼニガメはサイコキネシスを振り払うと同時に強烈な水の大砲を発射した。ハイドロポンプだ。 マサト「あれは!?」 ミキ「ハイドロポンプだわ!あのゼニガメ、まだ小さいけどかなり強力な技を覚えているのね。コトミちゃん、気をつけてね!」 コトミ「エルレイド、テレポート!」 エルレイドがテレポートでハイドロポンプをかわす。次の瞬間、エルレイドはゼニガメの真後ろに現れたかと思うと、肘の周りに葉っぱをまといながら勢いよくゼニガメに叩き付けたではないか。また新しい技を覚えたのだ。 コトミ「今のは!?」 ミキ「すごいわ、コトミちゃん!エルレイド、リーフブレードを覚えたんだわ!」 マサト「リーフブレードはくさタイプの攻撃技。みずタイプのゼニガメには効果抜群だよ!」 コトミ「すごいわ、エルレイド!じゃあ、もう一度いくわよ!リーフブレード!」 エルレイドが再びリーフブレードを放つ。リーフブレードは強烈な一撃となってゼニガメに襲いかかった。効果は抜群だ。 連続してリーフブレードを受けたゼニガメは勢いよく吹っ飛ばされ、その場に叩き付けられた。 コトミ「お願い、モンスターボール!」 コトミはゼニガメに向かってモンスターボールを投げた。 モンスターボールはゼニガメに命中、ボールの真ん中で赤い光が点滅した。誰でもそうだが、ほんの短い時間だが異様なほど長く感じられるのは気のせいだろうか。――やがて赤い点滅が収まり、静かに消えていった。コトミはゼニガメをゲットしたのだった。 コトミ「やったわ!ゼニガメ、ゲットでスマイル!!」 エルレイドも喜びのあまり腕を大きく振り回して表現していた。 マサト「やったね、コトミ!」 コトミ「うん!あ、これであたし、手持ちポケモンが6匹になったわね!」 コトミの言う通りだった。エルレイド、フライゴン、イーブイ、ミロカロス、ヘラクロスと、コトミはナナシマを回って5匹のポケモンをゲットしていた。そして今回、ゼニガメをゲットしたことで、コトミはようやく手持ちポケモンが6匹になったのだった。 ミキ「そうね!コトミちゃんも、次にゲットしたポケモンからは転送システムを使うことができるわ。転送されたポケモンは、ポケモンセンターのパソコンからアクセスすれば1匹交代する代わりにいつでも連れて行くことができるわ。コトミちゃんも、たくさんのポケモンをゲットして、たくさんのポケモンと仲良くしていかなきゃね!」 コトミ「うん!さあ、もうすぐヨシノシティね。マサト、お互いに初めてのコンテストだけど、しっかり取り組んでいこうね!」 マサト「うん!僕だって負けないよ、コトミ!」 ミキ「うふふっ。マサト君とコトミちゃん、お互いにいいライバルになれそうね!」 マサト・コトミ「うん!」 こうして、マサトはチコリータを、コトミはゼニガメをゲットしたのだった。 さあ、もうすぐマサトとコトミにとって初めてのコンテスト、ポケモンコンテスト・ヨシノ大会が行われる。果たして、2人はどう言った演技を披露してくれるのだろうか。 (※)「チコリータのハードプラントについて」 本来、ハードプラントを教え技を使うことで覚えられるのはメガニウムですが、XD(ダークルギア)ではイベントでハードプラントを覚えたチコリータを入手できることから、チコリータはハードプラントを覚えられるものとします。 Chapter-47に続く。