Chapter-49『ポケモンコンテスト・ヨシノ大会!』 (1) 〜挿入歌:『アドバンス・アドベンチャー』が流れる〜 マサトとコトミにとって初めてのコンテストとなる、ポケモンコンテスト・ヨシノ大会。そしてそのトップバッターとして、マサトが一次審査に臨んだ。 マサト「サーナイト、シャイニング・オン!」 マサトはサーナイトを繰り出した。――無数の星と紙吹雪がボールから発したかと思うと、サーナイトがその中から現れ、会場を埋めた多数の観客に向かって深く一礼した。 ココアン「マサトさんは、ホウエンのトウカジムのリーダー・センリさんのお子さんにして、あのトップコーディネーター・ハルカさんの弟さん。先日のナナシマ・バトルチャンピオンシップスではバトル大会に出場、ベスト32という好成績を収めました。バトルにコンテストに、マルチな実力を発揮して欲しいものです!」 マサト「(とは言うものの、コンテストは初めてだし、どうすれば・・・。そうだ!)サーナイト、マジカルリーフ!」 サーナイトがマジカルリーフを放つ。マジカルリーフは美しく舞い上がり、会場内から歓声が上がった。 マサト「(うん!)サーナイト、続いてサイコキネシス!」 サーナイトがさらにサイコキネシスを放つ。マジカルリーフはサイコキネシスでうまくコントロールされ、ステージ全体に広がっていった。 コンテスタ「マジカルリーフとサイコキネシスが上手く組み合わさった、大変美しい演技です!」 ジョーイ「うっとりしますね。コンビネーションとしての技も上手く使いこなせています。」 スキゾー「好きですねぇ〜。」 マサト「サーナイト、続いてでんじほう!」 サーナイトがでんじほうを放つ。 ココアン「サーナイトはさらにでんじほうを放ちました!さて、どういった形で組み立てていくのでしょうか!」 マサト「サーナイト、でんじほうにシャドーボール!」 サーナイトがシャドーボールを放つ。でんじほうの光とシャドーボールの影が上手く対比した形だ。 ミキ「(マサト君!いつかあたしがグランドフェスティバルでエーフィに出した技と同じ組み合わせだわ。マサト君はポケモントレーナーとしてだけじゃなくて、ポケモンコーディネーターとしてもかなり素質を持っているわね。すごいわ。)」 マサト「フィニッシュだよ!サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがサイコキネシスででんじほうとシャドーボールを操った。2つの玉は光と影を表すかのごとくステージを舞い、やがて無数の光の粒となって消えた。 ココアン「でんじほうとシャドーボールが生み出した美しい光の競演でした!」 ミキ「すごいわ、マサト君!」 マサト「それほどでもないです。やっぱり一番最初だということで、かなり緊張しましたけど・・・。」 コトミ「マサト、あたしにとってもいいライバルになりそうね。初めて参加するっていうランクではなかったわ。さすがはハルカさんの弟さんね。」 ミキ「あのでんじほうとシャドーボールのコンビネーション、あたしも以前シンオウ地方のグランドフェスティバルに出たときにエーフィと一緒にやったのよ。同時に3つの技を使いこなすって、あたしでもかなり難しいことだけど、でもマサト君、もう使いこなせてるわ。今後の成長が楽しみね。」 アリサ「マサト君。あなたはこれからコーディネーターとしても腕を上げていくかもしれないけど、でも油断してはだめよ。1つ1つ、しっかりと技を考えて臨まないといけないし、同じ技を続けて出していたら、審査員の皆様にも飽きられてしまうと思うわ。だから、普通のバトルとは違った構成が必要になると思うわ。」 コトミ「そうね。さあ、次はあたしの番になるわ。しっかり応援してね!」 マサト「うん!」 そう言って、マサトとコトミはハイタッチを交わした。 ココアン「続いてのエントリーは、カントー地方からやってきたコトミさん!」 ナレーションと共にコトミがステージに立つ。 コトミ「行くわよ!フライゴン、ライジング・オン!」 コトミはフライゴンを繰り出した。 ココアン「コトミさんは、ナナシマ・バトルチャンピオンシップスでもコンテスト大会ベスト32に進出、トップコーディネーターのユカリさんとも堂々と渡り合った実力の持ち主です。コンテストに出場するのは今回が初めてというコトミさん、果たして、どう言った演技を見せてくれるのでしょうか!」 コトミの演技の模様はワカクサシティでユカリも見ていた。 ユカリ「(コトミちゃん、初めてのコンテストね。さっきのマサト君もいい演技を見せていたわ。どこまで通用するか、楽しみね。)」 コトミ「フライゴン、すなあらし!」 フライゴンがすなあらしを放つ。通常であれば天候をすなあらし状態にする技だが、コンテストを意識してか、すなあらしは自分の周りに抑えられていた。 コトミ「フライゴン、続いてソニックブーム!」 フライゴンがソニックブームを放った。ソニックブームはフライゴンを中心に円形に広がっていき、すなあらしの球体を作り出した。 マサト「(コトミ、すなあらしとソニックブームで何を作り出すんだろう・・・?)」 コトミ「さあ!フライゴン、りゅうせいぐん!」 フライゴンが勢いよくりゅうせいぐんを打ち上げた。高々と打ち上がったりゅうせいぐんはすなあらしの球体を吹き飛ばし、天井近くで無数の小さな固まりに分かれて落ち始めた。 コトミ「フィニッシュよ!フライゴン、アイアンテール!」 フライゴンがアイアンテールでりゅうせいぐんの1つ1つを打ち落とした。さらに小さな固まりとなったりゅうせいぐんはすなあらしの砂と相まって神秘的な余韻をフィールドに残していった。 ジョーイ「すなあらし、ソニックブーム、りゅうせいぐん、そしてアイアンテール。たくさんの技の組み合わせがこれほど美しい演技を引き出してくれます。とてもよく育てられていますね。」 コンテスタ「1つ1つの技がしっかりとほかの技を引き立てています。素晴らしい演技でした。」 スキゾー「いやぁ、好きですねぇ。」 ココアン「華麗なるフライゴンの舞!しかとご覧いただけたでしょうか!」 マサト「コトミ、とてもよくできてたよ!」 コトミ「ありがとう。あたし、バトルチャンピオンシップスのときはダブルパフォーマンスだったから、シングルで行うのは初めてだったんだけど、でも言ってもらえてよかった。ちょっと難しかったけど、でもよくできたかなぁって思うわ。」 ミキ「うん。これからコトミちゃんもたくさんの演技を披露していくことになるけど、大事なのは演技の大きさではなくて、どれだけ美しく演技を披露できるかということよ。あまり派手さを求めすぎてもいけないし、かと言って美しさにこだわっても審査員の皆さんには伝わらないと思うわ。だから、いかに両方をバランスよく取っていけるかが、いい評価につながると思うわ。」 アリサ「ミキさんの言う通りよ。あたしも、まだコンテストに参加して日が浅いけど、それでも自分なりのスタイルをつかもうと考えているところよ。だから、しっかりと演技を組み立てていけば、リボンゲットもそれだけ近くなると思うわ!」 そう言って、アリサはコトミの肩を優しく叩いた。 コトミ「ありがとう、アリサさん!」 アリサ「ううん。お礼なんていらないわ。じゃあ次はあたしの番ね。みんな、応援よろしくね!」 一同「はい!」 ココアン「続いてのエントリーはアリサさんです!」 ナレーションと共にアリサがステージに現れた。 アリサ「行くわよ!バクフーン、ハート・スプラッシュ!」 アリサはバクフーンを繰り出した。ふんかやふんえんをイメージしたのか、黒い煙をモチーフにしたボールの装飾がなされていた。 マサト「あのポケモンがバクフーンか・・・。」 マサトはポケモン図鑑を取り出してバクフーンをチェックした。 コトミ「アリサさんのバクフーン、ぱっと見てもかなり育てられていそうだわ。高い評価が期待できそうね。」 アリサ「バクフーン、えんまく!」 バクフーンがえんまくを張る。 ココアン「おおっと、バクフーンはいきなりえんまくを張りました!どういう演技に結びつけていくのでしょうか?」 アリサ「バクフーン、続いてきあいだま!」 バクフーンがきあいだまを放った。きあいだまはえんまくを突き抜けて天井高く上っていく。 マサト「天井に向かってきあいだま!?」 コトミ「何をするのかしら。少なくともレベルが高そうなのは確かだわ。」 アリサ「バクフーン、ジャンプ!」 さらにバクフーンが高くジャンプ、きあいだまとほぼ同じ高さまで飛び上がった。 アリサ「バクフーン、きあいだまに飛び乗ってかえんぐるま!」 バクフーンはきあいだまに飛び乗ると、そのまま勢いよくかえんぐるまを繰り出した。きあいだまと1つになったかえんぐるまの勢いそのままに、バクフーンは勢いよくステージに向かっていく。 コトミ「でもあのまま行くと、バクフーンはステージに激突するわ!大丈夫なの?」 ミキ「アリサさんの実力なら、この程度の演技は慣れているはずだわ。見ててごらん!」 アリサ「バクフーン、ステージに向かってかえんほうしゃ!」 バクフーンがステージに向かって勢いよくかえんほうしゃを放った。かえんほうしゃはきあいだまを包み込み、炎の玉となってステージに着地した。その勢いでバクフーンは炎の玉に乗り、ステージ一面を使って玉乗り芸を繰り出した。そして最後に炎を振り払ってバクフーンは着地、観客から割れんばかりの拍手が巻き起こった。 ジョーイ「まさしくハート・スプラッシュ。きあいだまとかえんぐるま、そしてかえんほうしゃが1つに合わさった、とても美しい演技でした。」 コンテスタ「炎の中から生み出された演技。見ている私もとても感動するものがありました。」 スキゾー「好きですねぇ。」 ココアン「きあいだまとかえんぐるま、かえんほうしゃが巧みに合わさった美しい演技でした!」 その後も参加したコーディネーターによる演技が繰り広げられ、エントリーしたすべてのコーディネーターによる演技が終了、後は結果発表を待つだけとなった。 ミキ「マサト君、コトミちゃん。もうすぐ結果発表だけど、どう?」 マサト「うん。僕、お姉ちゃんの演技を見て育ったからと言って、僕自身が高い演技を生み出すことができるとは思っていないんだ。でも、僕なりにいい演技ができたって思ってる。だから、二次審査に進出できなくても、そのときは演技の問題点を振り返ることができれば、次のコンテストにつながるって思ってるんだ。」 コトミ「あたしも、まだコンテストに参加した経験が少ないし、正直言って一次審査を突破できないかもしれないって思ってます。だけど、1つ1つの経験がコーディネーターとしてのあたしを成長させていくって思ってるんです。」 アリサ「それはあたしも同じだわ。演技はどこまでが評価されて、どこからが評価されないか、それは審査員の皆さん以外には分からないと思う。だけど、美しい演技を見せたいって言う思いは、きっと誰でも同じだと思うわ。」 と、場内にアナウンスが響き渡った。 ココアン「お待たせいたしました!これより、一次審査の審査結果を発表いたします!二次審査に進出できるのは上位8名。果たして、二次審査・コンテストバトルを戦うのは、どのコーディネーターになるのでしょうか!」 張り詰めた雰囲気が漂う。そしていよいよ、一次審査を勝ち抜いた8名の顔写真がモニターに映し出された。 1人、2人と映し出されていき、やがてアリサの顔写真が写された。続いてコトミ、そして最後にマサトの顔写真も出た。 マサト「やったね!」 コトミ「うん!あたし達、みんなコンテストバトル進出よ!」 アリサ「これからは負けられない戦いになるわね!」 ココアン「さあ、この8名がどう言った形でバトルを進めるのか!二次審査・コンテストバトルの組み合わせは以下の通りになりました!」 コンテストバトルの組み合わせがスクリーンに映し出される。――このまま勝ち抜いていくと、セミファイナルでマサトとアリサ、そしてファイナルで2人の勝者とコトミがバトルを繰り広げることになるのだった。 アリサ「マサト君。まずは1回戦を勝ち抜いて、セミファイナルでバトルしましょう!」 コトミ「アリサさん、ファイナルでお会いしましょう!」 マサト「ファイナルまで勝ち進むのは僕だ!」 ミキ「うふふっ。3人とも、しっかり勝ち抜いていってね!あたしも応援してるわ!」 こうして、マサト達は無事に一次審査を突破することができた。しかし、続く二次審査・コンテストバトルは、マサトにとっては未知の領域である。 果たして、コンテストバトルを勝ち抜き、ヨシノリボンをゲットするのは、誰になるのだろうか。 (2) マサト達にとって初めてのコンテスト、ポケモンコンテスト・ヨシノ大会。一次審査を無事に突破したマサト達は、順当に1回戦も突破、セミファイナルでマサトとアリサのバトルを迎えることとなった。1回戦はマサトにとっては初めてのコンテストバトルだったが、それを感じさせない演技でポイントの差を見せつけ、セミファイナルに駒を進めたのである。 ココアン「さあ、セミファイナル第1試合です!片やマサトさん、此方アリサさん!制限時間は5分です。ではまいります!バトル・スタート!」 マサト「行くよ!リザードン、シャイニング・オン!」 マサトはリザードンを繰り出した。 アリサ「チャーレム、ハート・スプラッシュ!」 アリサはチャーレムを繰り出した。 コトミ「(マサトはリザードン、アリサさんはチャーレムね。相性の面ではリザードンが有利かもしれないけど、チャーレムはたくさんのパンチ技を持っているかもしれないわ。どう言ったバトルになるのかしら。)」 マサト「リザードン、エアスラッシュ!」 リザードンがエアスラッシュを放つ。 アリサ「チャーレム、かわしてめざめるパワー!」 チャーレムがエアスラッシュをかわして、めざめるパワーを放った。めざめるパワーは一直線にリザードンに迫っていく。 マサト「リザードン、かえんほうしゃ!」 リザードンはかえんほうしゃでめざめるパワーを迎え撃つ。両者の技がぶつかり合い、ステージ上で爆発が生じた。そして両者のポイントも少しずつだが減る。現段階では両者の減り具合は互角と言っていいだろう。 アリサ「まだまだよ!チャーレム、かみなりパンチ!」 チャーレムがかみなりパンチを放つ。リザードンがまともに食らえば効果は抜群。ポイントの大幅な減点は免れないだろう。 マサト「リザードン、かわしてでんこうせっか!」 リザードンはかみなりパンチをかわして、でんこうせっかの体制に入る。 アリサ「うふふっ。チャーレム、もう一度かみなりパンチ!」 チャーレムは今まさにでんこうせっかを叩き込もうとしていたリザードンに強烈なかみなりパンチを食らわせた。予想通りマサトのポイントは大きく減ってしまった。 マサト「リザードン!」 リザードンは思わぬダメージを受けてしまったが、まだ戦えそうだ。 マサト「よし!リザードン、かえんほうしゃ!」 リザードンも負けじとかえんほうしゃで反撃に出る。至近距離からかえんほうしゃをもろに受けたチャーレムはたまらず吹っ飛ばされ、アリサのポイントも大きく減った。だがマサトのポイントはまだアリサのそれに比べて少ない。 マサト「リザードン、続いてエアスラッシュ!」 リザードンはさらにエアスラッシュを放って攻撃する。 アリサ「チャーレム、エアスラッシュを受け止めて!」 チャーレムはエアスラッシュを受け止める体制に入った。だがチャーレムはかくとうタイプ。ひこうタイプのエアスラッシュをまともに受けるとダメージが大きくなってしまう。さらにエアスラッシュはたまに相手をひるませることもある。果たしてチャーレムはどう言う作戦に打って出るのだろうか。 チャーレムは両手でエアスラッシュを受け止める。しかしタイプの相性からか、次第にチャーレムが押され始めた。それに従ってアリサのポイントもわずかずつだが減っていく。 マサト「リザードン、パワーを上げるんだ!」 リザードンがさらにエアスラッシュのパワーを上げていく。 アリサ「チャーレム、サイコキネシス!」 コトミ「ええっ!?」 チャーレムがサイコキネシスを放った。サイコキネシスはエアスラッシュの向きを180度変え、一気にリザードンに向かって迫っていったではないか。 ミキ「(そうか。チャーレムはかくとうタイプだけでなくて、エスパータイプも併せ持っているわ。だから、サイコキネシスと言ったエスパータイプの技も使いこなせるのね。アリサさん、かなり手強いわね。)」 パワーを上げて放ったエアスラッシュをまともに食らってしまったリザードンはそのまま勢いよく吹っ飛ばされてしまった。マサトのポイントもそれに従って減っていく。たちまちのうちに3分の1あるかないかというところまで減らされてしまった。対するアリサは半分を少し超える程度のポイントを残している。 マサト「リザードン!」 リザードンはまだやる気十分と言った表情だった。 マサト「うん!リザードン、もう一度かえんほうしゃ!」 ・・・しかしかえんほうしゃが発動しない。 マサト「(あっ!エアスラッシュの追加効果、相手をひるませる効果が出てしまったのか!)リザードン!」 ひるんで技が出せなくなったため、マサトのポイントはさらに減っていく。 アリサ「今よ!チャーレム、いわなだれ!」 チャーレムがいわなだれを放つ。いわタイプのいわなだれはほのおタイプとひこうタイプを併せ持つリザードンにしてみれば驚異的な破壊力だった。一撃を食らえば大ダメージを免れることはできない。ましてやひるんで技が出せない状況、もはや万事休すと言ったところか。 アリサ「チャーレム、いわなだれにサイコキネシス!」 いわなだれはサイコキネシスで加速され、一直線にリザードン目がけて突っ込んでいく。 マサト「リザードン!思い切ってかえんほうしゃ!」 リザードンは間一髪ひるみ状態から立ち直り、勢いよくかえんほうしゃを放った。だが放った次の瞬間、かえんほうしゃを突き破っていわなだれが炸裂、まともにダメージを受けたリザードンは容赦なく吹っ飛ばされ、ステージに倒れ込んでしまった。 マサト「リザードン!」 だがリザードンはそのまま戦闘不能と見なされ、審査員がバトル・オフの判断を下した。――マサトのポイントは0とされ、アリサが勝利を収めたのだった。 ココアン「セミファイナル第1試合、激闘を制したのはアリサさんでした!マサトさんのリザードンの技を逆に利用したのが功を奏したのでしょうか、アリサさん、ファイナル一番乗りです!」 続くセミファイナル第2試合はコトミが相手のコンビネーションを封じる作戦で勝利を収め、かくしてファイナルバトル、ヨシノリボンをかけてコトミとアリサのバトルが行われることになった。 マサト「アリサさん、僕はまだコーディネーターとしてのレベルはずっと下なのかもしれないです。やっぱりお姉ちゃんとは違うんだと、今回バトルして改めて痛感するところがありました。」 アリサ「それはないわ、マサト君。確かにマサト君はあたしやハルカちゃんに比べればレベルはまだ下かもしれないけど、でもたくさんの演技をこなすことで実力を磨いていけば、マサト君もトップコーディネーターとして認められるレベルになれると思うわ。」 コトミ「アリサさん、次はファイナルですね。お互いに最後まで、悔いの残らないバトルにしましょう!」 アリサ「うん!よろしくね、コトミちゃん!」 ポケモンコンテスト・ヨシノ大会もいよいよファイナルバトル、コトミとアリサのバトルが始まろうとしている。果たして、このバトルに勝利を収め、ヨシノリボンを手にするのは、コトミか、それともアリサか。 (3) 〜挿入歌:『チャレンジャー!』が流れる〜 ココアン「ポケモンコンテスト・ヨシノ大会もいよいよファイナルバトル!ここまで勝ち抜いてきたのは、この2名です!」 ヴィジョンにコトミとアリサの顔写真が映し出され、それぞれの残りポイントが円で記される。 ココアン「片やコトミさん!此方アリサさん!制限時間は5分。ではまいります!バトルスタート!」 コトミ「ミロカロス、ライジング・オン!」 コトミはミロカロスを繰り出した。 アリサ「チャーレム、ハート・スプラッシュ!」 アリサはチャーレムを繰り出した。 マサト「(ミロカロスとチャーレム。タイプが全く違うけど、一体どう言ったバトルになるんだろう・・・。)」 アリサ「チャーレム、とびひざげり!」 チャーレムがとびひざげりを放つ。とびひざげりはかくとうタイプの中でもかなりの威力を持つ技である。だが失敗すると本来与えるはずだったダメージの一部が自分に跳ね返る。強力な技の反面、リスキーな技でもある。 コトミ「ミロカロス、まもる!」 ミロカロスはまもるでとびひざげりのダメージを防ぐ。まもるに阻まれたチャーレムは地面に激突、とびひざげりで与えるはずだったダメージを受けてしまった。影響でアリサのポイントがわずかながら減った。 コトミ「ミロカロス、続いてみずのはどう!」 ミロカロスがみずのはどうを放つ。みずのはどうは地面に倒れ込んでいたチャーレムにそのまま直撃、さらにアリサのポイントが減っていく。 アリサ「まだまだよ!チャーレム、かみなりパンチ!」 チャーレムがかみなりパンチの体制に入る。 コトミ「ミロカロス、りゅうのいぶき!」 ミロカロスもりゅうのいぶきを放って応戦する。だがかみなりパンチはりゅうのいぶきを突き抜けてミロカロスに命中した。かみなりパンチはでんきタイプの技。みずタイプのミロカロスにしてみれば効果抜群だった。そしてコトミのポイントも大きく減っていき、一気にアリサとほぼ同じ程度まで減ってしまった。 コトミ「ミロカロス、じこさいせい!」 ミロカロスがじこさいせいで体力を回復する。 アリサ「(ミロカロスはじこさいせいしている間は攻撃に移れない!)チャーレム、もう一度とびひざげり!」 チャーレムがとびひざげりを放った。 コトミ「ミロカロス、みずでっぽう!」 負けじとミロカロスもみずでっぽうで迎え撃つ。じこさいせいの発動が終わりきっていなかったが、それでもまともにみずでっぽうを受けたチャーレムは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 アリサ「負けないで、チャーレム!メガトンキック!」 チャーレムがメガトンキックを繰り出した。メガトンキックは破壊力が大きいキック系統の大技。だが命中率に不安があるのが否めない。ミロカロスはどう迎え撃つのだろうか。 コトミ「ミロカロス、もう一度みずのはどう!」 ミロカロスが再びみずのはどうを放つ。しかしメガトンキックの威力があまりにすさまじかったのか、メガトンキックはみずのはどうを蹴り返しただけでなく、そのまま強烈なけりの一撃がミロカロスに襲いかかった。 コトミ「ミロカロス!」 勢いでコトミのポイントが大きく減る。たちまちのうちに半分を割り込んでしまった。 コトミ「(アリサさん、すごい・・・。とてもよく育てられてるし、演技にも無駄がないわ。ひょっとしたらユカリさんと肩を並べられるほど強いかもしれないわ。)」 マサト「(打撃技の威力が強い・・・。そうか、チャーレムの特性はヨガパワーだ!)チャーレムの打撃技が強いのは特性の効果だよ!」 ミキ「よく知ってるわね。チャーレムの特性はヨガパワー。打撃技の威力が普段と比べてかなり上がる特性よ。あのメガトンキックの威力を見てもわかると思うけど、アリサさんのチャーレム、バトルに出しても十分通用すると思うわ。」 コトミ「(でも、あたしだって負けていられないわ!)ミロカロス、みずのはどう!」 ミロカロスがみずのはどうを放って巻き返しに図る。 アリサ「チャーレム、拳に全神経を集中させるわよ!かみなりパンチ!」 チャーレムが拳にありったけの力を集めたかみなりパンチを繰り出した。 その威力はすさまじいものだった。みずのはどうをたちまち打ち抜いただけでなく、一気にミロカロスに強烈な一撃を叩き込んだのだった。 コトミ「ミロカロス!」 ミロカロスはどうにかして持ちこたえたが、もはや限界に達しており、技を出せるかも怪しい状況だった。 アリサ「チャーレム、サイコキネシスでフィニッシュ!」 チャーレムはサイコキネシスでミロカロスを操り、ステージの外に勢いよく吹っ飛ばしていった。――これにはたまらずミロカロスもその場に倒れ込んでしまい、バトル・オフとなってしまった。 ココアン「バトル・オフ!息詰まる激戦を制したのはアリサさんでした!」 コトミ「大丈夫、ミロカロス!?」 コトミはミロカロスに駆け寄る。――ミロカロスはかなりのダメージを受けていたが、それでもコトミに対して笑顔で応えていた。 アリサ「コトミちゃん。」 アリサもコトミの元に歩を進めた。 アリサ「本当にいいバトルをさせていただいたわ。あたし達、これからもお互いを高め合えたらいいわね。」 コトミ「アリサさん、今回はあたしが負けちゃったけど、今度は是非、もう一度ファイナルでバトルしましょう!」 アリサ「うん!こう言うコンテストかもしれないし、グランドフェスティバルかもしれないけど、またファイナルで、優勝をかけてバトルできたらいいわね!」 そう言って、コトミとアリサは互いに手を取り合い、握手を交わした。 ココアン「今、審査委員長のコンテスタさんから、ヨシノ大会を勝ち抜いた証・ヨシノリボンがアリサさんに贈呈されました!」 コンテスタ「大変素晴らしい演技でした。あと3つ集めればグランドフェスティバルだそうですね。これからもいい演技を期待しています。」 アリサ「ありがとうございます。」 アリサがコンテスタからヨシノリボンを受け取り、高く掲げた。 ココアン「ポケモンコンテスト・ヨシノ大会もこれにて無事閉幕!次はあなたの町でお会いしましょう!それではまた!」 観客の拍手に包まれ、こうしてポケモンコンテスト・ヨシノ大会は幕を閉じた。 アリサ「マサト君達は、これからどうするの?」 マサト「僕たちは、次はキキョウシティのキキョウジムに挑戦するんです。ひこうタイプを使うハヤトさんがジムリーダーだと聞いています。」 アリサ「キキョウジムね。あたしも、これからジョウトを回って、リボンを集めてグランドフェスティバルに出場しようと思ってるわ。これからもバトルにコンテスト、たくさんの出会いとバトルを重ねて、お互いに実力を高めていきましょう!」 コトミ「はい!」 アリサ「じゃあ、またね!」 そう言って、アリサは一足早く出発していった。 ミキ「マサト君、コトミちゃん。アリサさんはあなた達にとって、コンテストを戦う上でのライバルになるわね。あたし達も負けていられないわね!」 マサト「はい!」 新たなるライバルの登場。それはマサト達にとってもいい刺激を与えあうことができる。そして、ジョウトリーグとポケモンコンテスト出場のため、マサト達の冒険は、まだまだ続く。 Chapter-50に続く。 <この作品の履歴> 2010年8月1日、ポケモン小説スクエア・小説投稿システムに収録。