Chapter-50『女の戦い!レッツ・ポケモンバトル!!』 (1) ポケモンコンテスト・ヨシノ大会を終えたマサト達3人は、その夜はポケモンセンターに泊まることになった。 マサト「次はキキョウシティだね。」 コトミ「うん。相手はひこうタイプの使い手だから、でんきタイプやこおりタイプ、いわタイプで挑むといいかもね。マサトだったら、ユキメノコやサーナイトでバトルすると有利になると思うわ。」 ミキ「キキョウシティまで行く間には、次のコンテストが行われるヤギブシタウン、そしてエノタケジムのあるエノタケタウンがあるわ。エノタケジムはあくタイプを使うジムなの。コトミちゃんは挑戦するの?」 コトミ「いえ、あたしもエノタケはパスして、マサトと同じキキョウジムに挑戦しようと思っています。ミキさんは挑戦するんですか?」 ミキ「うん。エキシビジョンマッチに向けて、1つでも多くのバッジを確保しておこうと思うの。そうすれば早く参加資格を得られることになるわ。」 コトミ「そうですね。・・・あら?」 コトミの視界に、待合室の脇に貼られていた広告が飛び込んできた。 コトミ「何か書いてあるわ。えーっと、『女の子限定・ポケモンバトル大会を開催!』だって!」 そのままコトミは告知を読んでいった。 コトミ「なになに。・・・参加資格は、以下に示したルールで参加可能な女性の方。それで・・・。」 試合は、進化していないポケモン3匹で行うと言う一風変わったルールが採用されていた。また、進化していないポケモンの中でも、高さは2メートルまで、重さは20キログラムまでと言う、小さくて可愛いポケモン達でバトルすることになっていた。 コトミ「開催は明日だって!あたし、参加してみるわ!」 ミキ「うん、あたしも参加するわ!」 コトミ「マサト、応援よろしくね!」 マサト「(・・・こう言うとき、男はお荷物になっちゃうよなぁ・・・。)」 そのぼやきを聞いてか、サーナイトがマサトの横に近づき、肩に手を置いた。 コトミとミキは、その女のバトル大会に参加するため、まずは手持ちのポケモンを入れ換えることになった。 コトミ「こんばんは、タカノリさん。」 タカノリ「おお、コトミちゃん。ミキさんも一緒でどうしたんだい?あれ、マサト君は?」 ミキ「あたしとコトミちゃん、今ヨシノシティにいるんですけど、明日行われる女性限定のバトル大会に参加するんです。大会のルールが進化前で高さ2メートル、重さ20キロまでのポケモン3匹と言うことになっていまして、それで、手持ちのポケモンを交換しようと思っているんです。」 タカノリ「そうか・・・。確かコトミちゃん、ゾロアをゲットしたそうだね。コノハさんから聞いたよ。ゾロアだったら、確かそのルールでも参加できると思うから、転送してみたらどうだい?」 コトミ「はい。」 タカノリ「ミキさんは、どう言うポケモンでバトルするのかな?」 ミキ「うん、じゃあスボミー、ムックル、サンドの3匹にするわ。何を送ればいいかしら?」 タカノリ「そうだね、じゃあオーダイル、ラティオス、ウインディでどうかな?」 ミキ「分かったわ。すぐ転送するね。」 ミキはそう言うとオーダイルを始めとする3匹のポケモンが入ったモンスターボールをそれぞれ転送した。ほどなくして、転送された3匹が到着した。 タカノリ「転送が終わりましたよ。」 ミキ「ありがとう。コトミちゃん、次はあなたの番ね。」 コトミ「はい。タカノリさん、コノハさんの育て屋さんをお願いします。」 画面が切り替わり、コノハの育て屋が写し出された。 コノハ「こんばんは、コトミちゃん。」 コトミ「こんばんは。コノハさん、ポケモンの転送をお願いしたいんです。」 コノハ「分かったわ。コトミちゃん、確かゾロアをゲットしたわよね。ゾロアを使うの?」 コトミ「はい。あたし達は今ヨシノシティにいるんですけど、明日、女の子限定のバトル大会が行われるんです。それで、参加ルールに適した3匹を揃えることにしたんです。」 コノハ「そうなんだ。最初見たときマサト君がいなかったから、あれっ?って思っちゃったけど、そう言うことだったんだね。じゃあゾロアを転送するわ。コトミちゃん、入れ替わりに何を転送してもらえるかなぁ?」 コトミ「そうですね。じゃあ、フライゴンを送ります。」 コトミはそう言うとフライゴンの入ったモンスターボールを転送台に置いた。 コトミ「(フライゴン、コノハさんに迷惑かけないでね。)準備できました。」 コノハ「分かったわ。じゃあ送るわね。」 コノハはそう言うと転送マシンを起動させた。ほどなくして、フライゴンはコノハの育て屋に送られ、ゾロアがコトミのもとにやってきた。 コノハ「フライゴンは無事に転送されたわ。コトミちゃん、しっかりバトルしてね!それとミキさんも、マサト君によろしくね!」 ミキ「はい!」 そう言うとコノハは通信を切った。 (2) 司会「さあやってまいりました、ジョウトリーグ後援・『レッツ・ポケモンバトル!』!今回は女の子限定大会の模様を、ここヨシノシティよりお送りいたします!」 翌日、ヨシノシティの西の外れにあるシーサイドスタジアムにおいて、コトミとミキが参加する女の子限定のバトル大会が行われた。 ジョウトリーグはときおり「レッツ・ポケモンバトル!」と題して色々なルールでバトルを行うイベントを開催しており、今回は女性限定企画と言うことからか、進化前の可愛らしいポケモンたちによるバトルを行うことになった。 司会「今回は女の子限定企画と言うことで、進化していないポケモンたちが繰り広げる可愛らしいバトルが催されます!発表によりますと、参加されるトレーナーの数は512人!バトルは3VS3のシングルバトル。優勝したトレーナーには、ポケモンといっそう仲良くなれるやすらぎのすず3個を贈呈します!」 コトミ「やすらぎのすず?」 ミキ「やすらぎのすずを持っていると、ポケモンがトレーナーになつきやすくなるのよ。なついていると進化するポケモンもたくさんいるわ。トモヤさんのクロバットも、ゴルバットが十分なついた状態でいると進化するのよ。」 コトミ「そうだったわね。うん、あたしも負けていられないわ!」 ミキ「うふふっ。コトミちゃん、お互いに勝ち抜いて、一緒にバトルできたらいいわね!」 コトミ「はい!」 と、そこに1人のトレーナーが現れ、2人に向かって声をかけてきた。――背丈はミキとほぼ同じ程度、女性にしてはかなり高い部類に入る。服装は水色の涼しげなノースリーブのワンピースだった。顔立ちもよく整っており、優しげな印象だった。アユミやアリサに勝るとも劣らないきれいな顔立ちだった。 女性トレーナー「あなた達も参加するのね。普段慣れたバトルとはかなりルールが違うけど、でも気負いしないで、いつもの通りのバトルができれば、きっと大丈夫だと思うわ。」 コトミ「ありがとう。あたし、コトミです。」 ミキ「あたしはミキ。よろしくね!」 女性トレーナー「あたしはマドカ。カントーのトキワシティから来たのよ。あたしも今ジョウトリーグに挑戦していて、最初のジムに挑戦しに行っているところだったの。確かコトミちゃんって、バトルチャンピオンシップスにも出てたわね。」 コトミ「ご存じだったんですね。あたしはコンテスト大会に出てたんですけど、みんな強豪揃いで、最後はバトルオフ負けでした。でもいい演技ができたって思ってます。」 マドカ「そうね。あたしはバトル大会に出てたんだけど、予選ラウンドで負けちゃったの。確かミキさんって、バトル大会で優勝された方ですよね。すごいですね!」 ミキ「ううん、そんなことはないわ。確かにバトル大会優勝って言われてるけど、それであたしの挑戦が終わったわけではないわ。更なる高みに向かって、また新たな挑戦を続けていくのよ。」 マドカ「うん!いいことを言いますわね。コトミちゃん、ミキさん、今日は是非あたし達3人で、いいバトルができたらいいわね!」 コトミ・ミキ「はい!」 司会「それでは1回戦第1試合、バトルスタート!」 〜挿入歌:『ポケッターリ・モンスターリ』が流れる〜 コトミ「イーブイ、すてみタックル!」 ミキ「サンド、かわらわり!」 コトミ「ゼニガメ、みずでっぽう!」 ミキ「ムックル、つばめがえし!」 コトミ「ゾロア、ナイトバースト!」 ミキ「スボミー、じんつうりき!」 決勝までは9回のバトルをこなすと言う長丁場だったが、コトミ、ミキ、そしてマドカの3人は準々決勝までの7試合を順当に勝ち進み、準決勝に臨んだ。 準決勝第1試合はミキが出場、相手が出したポケモンが相性が悪く、苦戦する場面も見られたものの、最後はミキが実力の差を見せつけて勝利を収め、決勝戦に駒を進めた。 続く準決勝第2試合、いよいよコトミとマドカが対戦することになった。 コトミ「マドカさん、いよいよあたし達のバトルですね。お互いに全力でバトルしましょう!」 マドカ「うん!あたしの方こそ、本当にいいバトルを期待してるわね!」 審判「バトル開始!」 かくしてコトミとマドカのバトルが幕を開けた。果たして、この試合を勝ち抜き、決勝でミキとバトルすることになるのは、コトミか、それともマドカか。 (3) 〜挿入歌:『タイプ:ワイルド』が流れる〜 ジョウトリーグ後援のバトルイベントである「レッツ・ポケモンバトル!」。今回は女性限定企画として、進化前の可愛らしいポケモン達によるバトル大会が行われていた。 そして準決勝第2試合、コトミとマドカのバトルが始まった。 コトミ「行くわよ、ゾロア!」 コトミはゾロアを繰り出した。 マドカ「(コトミちゃんはゾロアね。幻影で色々なポケモンに化けるわ。それなら。)出番よ、ニョロモ!」 マドカはニョロモを繰り出した。 コトミ「ゾロア、ナイトバースト!」 ゾロアがナイトバーストを放ってニョロモに襲いかかる。 マドカ「ニョロモ、かわしてバブルこうせん!」 ニョロモがナイトバーストをかわして、バブルこうせんを放つ。バブルこうせんは一直線にゾロアに向かっていった。 コトミ「ゾロア、みがわり!」 ゾロアがみがわりを作って攻撃をかわす。バブルこうせんはみがわりに命中、本体にダメージはなかった。 マサト「(でもみがわりは作る度ごとに自分の体力が削られてしまう。あまりみがわりを使いすぎてもかえって不利になるだけだ。コトミはどう戦うんだろう・・・。)」 コトミ「ゾロア、だましうち!」 ゾロアがだましうちを放つ。ニョロモはあらぬ方向からダメージを受けてしまい、たちまち吹っ飛ばされてしまった。 マドカ「落ち着いてニョロモ!あわ攻撃!」 ニョロモがあわ攻撃を放つ。あわ自体の威力はそれほどでもないが、命中すればときおり相手の素早さを下げることがある。 コトミ「ゾロア、ナイトバースト!」 ゾロアがナイトバーストを放つ。ナイトバーストはバトルフィールドの中央であわとぶつかり合い、激しい爆発となった。 爆発が収まると、両者とも倒れていた。 コトミ「ゾロア!」 マドカ「ニョロモ!」 2人ともポケモンに呼び掛ける。その呼び掛けが通じたのか、一方はどうにかして立ち上がった。が、もう一方はそのまま戦闘不能となってしまった。ゾロアだった。 審判「ゾロア、戦闘不能。ニョロモの勝ち!」 マドカ「やった!すごいわ、ニョロモ!」 コトミ「よく戦ったわね、ゾロア。ゆっくり休んでね。・・・マドカさん、あなたはとても強いですね。」 マドカ「そんなことはないわ、コトミちゃん。まだ1体倒れただけよ。試合の行方はまだ分からないわ。コトミちゃんもとてもよく育てられてるし、これからが楽しみね。」 コトミ「ありがとうございます。では次はこのポケモンにします!行くわよ、イーブイ!」 コトミはイーブイを繰り出した。 マドカ「戻って、ニョロモ!」 マドカはニョロモをモンスターボールに戻した。 マサト「(相手はニョロモを戻した。さっきのナイトバーストでかなりダメージを受けたと判断したんだろう・・・。)」 マサトは観客席にいるため、マドカのことは知る由もない。 マドカ「出番よ、ツタージャ!」 マドカはツタージャを繰り出した。 コトミ「あのポケモンって・・・?」 コトミはポケモン図鑑を取り出してツタージャをチェックした。 マサト「(ツタージャ!?・・・そうか、あれはイッシュ地方に生息しているポケモンだ!)」 マドカ「コトミちゃん、もしかしたらあなたはこのポケモン、見たことがなかったかしら?」 コトミ「はい。初めて見ます。確か、ツタージャって言うんですよね。」 マドカ「そうよ。ツタージャは遠く離れたイッシュ地方にいるポケモンなの。イッシュ地方では初心者用ポケモンの1つに推奨されているのよ。」 コトミ「マドカさん、そう言う珍しいポケモンを持っているなんて、すごいですね。でもバトルは別です!イーブイ、でんこうせっか!」 イーブイがでんこうせっかでツタージャに迫る。あまりの素早さにツタージャは攻撃をよけきることができず、強烈なダメージを受けてしまった。 マドカ「やるわね、コトミちゃん。ならあたしだって負けていられないわ!ツタージャ、たたきつける攻撃!」 ツタージャが尻尾を生かしたたたきつける攻撃を繰り出した。たたきつける攻撃はイーブイにクリーンヒットしたが、イーブイはまだまだ戦えそうだ。 コトミ「イーブイ、負けないで!もう一度でんこうせっか!」 イーブイが再びでんこうせっかの体制に入る。と、イーブイの尻尾が白く光り始めたではないか。 コトミ「(イーブイの尻尾・・・。確かバトルチャンピオンシップスのときのフライゴンと同じだわ!)」 あのとき、尻尾が白く光ったフライゴンはアイアンテールを覚えたのだった。もしかしたらイーブイもアイアンテールを覚えたのだろうか。 コトミ「(うん。一か八かやってみるわ!)イーブイ、アイアンテール!」 イーブイがその尻尾を使ってアイアンテールを叩き込んだ。至近距離からアイアンテールをもろに受けたツタージャは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。だが、ツタージャもまだへこたれないといった表情を見せている。 コトミ「耐えた!?」 マドカ「あたし達も行くわよ!ツタージャ、グラスミキサー!」 ツタージャがグラスミキサーを放った。 マサト「(グラスミキサー!?ツタージャもあの技を使えるの!?)」 グラスミキサーは勢いを増してイーブイに迫る。 コトミ「イーブイ、かわしてかみつく攻撃!」 イーブイはすんでの所でグラスミキサーをかわすと、ツタージャに強烈なかみつく攻撃を浴びせた。 コトミ「そのままツタージャを投げ飛ばして!」 イーブイは頭を振り回してツタージャを振り回し、最後に勢いよく投げ飛ばした。ツタージャはフェンスに叩き付けられ、そのまま戦闘不能となった。 審判「ツタージャ、戦闘不能。イーブイの勝ち!」 コトミ「やったわね、イーブイ!」 マドカ「戻って、ツタージャ!・・・コトミちゃん、あなたはやっぱりトレーナーとしても光る原石かもしれないわね。これからの活躍が楽しみだわ。」 コトミ「ありがとうございます。」 マドカ「じゃあ、あたしの次のポケモン、行くわよ!出番よ、ロコン!」 マドカはロコンを繰り出した。 マサト「あれはロコンだね。」 マサトはポケモン図鑑を取り出してロコンをチェックした。 コトミ「イーブイ、一気に決めるわよ!でんこうせっか!」 イーブイがでんこうせっかを繰り出す。 マドカ「ロコン、あたし達も行くわよ!でんこうせっか!」 ロコンも負けじとでんこうせっかで応戦する。2つのでんこうせっかはフィールドの中央で激しくぶつかり合い、両者とも勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 コトミ「イーブイ、穴を掘って地中に潜って!」 イーブイが体勢を立て直して穴を掘り、地中に潜った。 マドカ「ロコン、イーブイの掘った穴にかえんほうしゃ!」 コトミ「えっ!?」 ロコンはイーブイがあなをほるで作った穴に勢いよくかえんほうしゃを打ち込んだ。かえんほうしゃの勢いはあまりに強く、イーブイは穴から吹っ飛ばされてしまい、そのままフィールドに倒れ込んだ。そしてそのまま戦闘不能となってしまった。 審判「イーブイ、戦闘不能。ロコンの勝ち!」 コトミ「戻って、イーブイ!」 コトミはイーブイをモンスターボールに戻した。 マサト「(あのロコン、かなりよく育てられてるなぁ・・・。コトミにとってはちょっと厳しいかもしれない。後の1匹はゼニガメだけど、ロコンを倒したところで相手の最後の1匹はニョロモ。ちょすい特性だったら・・・。)」 コトミ「あたしもあっという間に最後の1匹にされてしまった気がします。でも最後まで諦めません!行くわよ、ゼニガメ!」 コトミはゼニガメを繰り出した。 マドカ「ゼニガメね。相性ではコトミちゃんが有利だけど、果たしてどこまで通用するかしら?思いっきりぶつかってね!」 コトミ「はい!ゼニガメ、みずでっぽう!」 ゼニガメがみずでっぽうを放つ。 マドカ「ロコン、かわしてでんこうせっか!」 ロコンがみずでっぽうをかわして、でんこうせっかを放つ。素早い行動でゼニガメを翻弄する作戦なのだろうか。 コトミ「ゼニガメ、からにこもる!」 ゼニガメは殻にこもってでんこうせっかを弾き返した。 コトミ「ゼニガメ、続いてハイドロポンプ!」 殻から出たゼニガメが勢いよくハイドロポンプを放った。ハイドロポンプはみずタイプでも1、2を争う強力な技。しかもロコンはほのおタイプのため、大ダメージが期待できた。 マドカ「ロコン、ぎりぎりまで引きつけて!」 ロコンは真正面に迫るハイドロポンプを引きつける作戦に出た。このままもろにダメージを受けるつもりなのだろうか。まさか・・・。 マドカ「ロコン、ジャンプ!」 ロコンは高く飛び上がってハイドロポンプをかわした。 コトミ「飛んだ!?」 マドカ「ロコン、エナジーボール!」 マサト「えっ!?」 ロコンがエナジーボールを放つ。エナジーボールはみずタイプに対して効果抜群なくさタイプの技だ。マドカのロコンは苦手なタイプの対策も施していたのだ。 コトミ「ゼニガメ、もう一度ハイドロポンプ!エナジーボールを弾き返して!」 ゼニガメがハイドロポンプを放つ。ハイドロポンプはエナジーボールと激しくぶつかり合い、双方の技が拮抗する状態となった。 コトミ「負けないでゼニガメ!パワーを上げて!」 ゼニガメはコトミの声に応えたのか、ハイドロポンプの勢いを強めた。 マドカ「あたしだって負けていられないわ!ロコン、もう一度エナジーボール!そして落下の勢いでかえんほうしゃ!」 マサト「エナジーボールとかえんほうしゃ!?」 ロコンがさらにエナジーボールを放つ。後からはなったエナジーボールが最初のそれの勢いを強め、ハイドロポンプを突き破ってゼニガメに命中した。 まともにエナジーボールを受けたゼニガメはたまらず吹っ飛ばされる。そこにかえんほうしゃが直撃、効果今一つとはいえ連続してダメージを受けたゼニガメはもはや立っているのもやっとの状況となってしまった。 コトミ「ゼニガメ、最後まで諦めないで!」 マドカ「ロコン、とどめのかえんほうしゃ!」 ロコンが勢いよくかえんほうしゃを放つ。よける間もなくかえんほうしゃはゼニガメに命中、ゼニガメはフィールドに倒れ、そのまま戦闘不能となってしまった。 審判「ゼニガメ、戦闘不能。ロコンの勝ち。よって勝者、トキワシティのマドカ!」 コトミ「ゼニガメ、よく戦ってくれたわね。バトルは負けちゃったけど、でもあなた、とてもよくバトルしてたわ。」 コトミはゼニガメに駆け寄り、しっかりと抱きかかえた。――ゼニガメもコトミの顔を見上げると、微笑み返して答えた。 マドカ「コトミちゃん。」 マドカもコトミの元に歩を進めた。 コトミ「マドカさん・・・?」 マドカ「コトミちゃんもとても素晴らしいバトルを見せてくれたわ。あなたはこれからもっと強くなれるって、そう言う気がしたわ。」 コトミ「ありがとうございます。・・・マドカさん、次は決勝戦ですね。」 マドカ「うん。決勝の相手はミキさん、バトルチャンピオンシップスでバトル大会優勝の実力は半端なものではないと思うけど、でもあたし、ミキさんみたいな人を相手に自分の実力を試すことができると言うことは、今の自分がどれだけの強さなのかを知ることができるって思ってるの。あたし、コトミちゃんの分まで、いいバトルにするわ!」 コトミ「はい!」 かくして迎えた決勝戦、ミキとマドカのバトルはお互いに一進一退の攻防となったものの、バトルはやがて経験豊富なミキのペースとなっていき、マドカは最後の1体、ツタージャとなっていた。対するミキはスボミーを出していた。 マドカ「ツタージャ、たたきつける攻撃!」 ツタージャがたたきつける攻撃を放つ。 ミキ「スボミー、かわしてヘドロばくだん!」 スボミーはたたきつける攻撃をかわして、ヘドロばくだんを打ち込む。もろにヘドロばくだんを受けたツタージャはフィールドに崩れ落ち、戦闘不能となった。 審判「ツタージャ、戦闘不能。スボミーの勝ち。よって勝者、ヤマブキシティのミキ!」 司会「決着!今回のレッツ・ポケモンバトル、女の子限定バトル大会の優勝者は、カントーはヤマブキシティからやってきたミキさんです!」 そしてバトル大会も閉会式を迎え、優勝したミキに景品となるやすらぎのすず3個が贈呈された。 実行委員長「ミキさん、あなたはこれからジョウトリーグ・エキシビジョンマッチに参加されるそうですね。これからのご活躍、期待していますね。」 ミキ「はい!・・・やすらぎのすず、ゲットだわ!」 ミキはやすらぎのすずを高く掲げて喜びを表した。 司会「ジョウトリーグ後援のバトル大会、『レッツ・ポケモンバトル』!次回はどう言ったルールで、どう言ったバトルが繰り広げられるのでしょうか!それでは皆さん、次回をお楽しみに!」 マサト「ミキさん、優勝おめでとう!」 ミキ「ありがとう。このやすらぎのすず、ちょうど3個あるし、あたしだけが使うって言うのも変な気がするわ。だから、マサト君とコトミちゃんも使ってみて!持っているとポケモンともっと仲良くなれるわ!」 コトミ「いいんですか?」 ミキ「うん!だって、3個もらったんだし、あたし達3人で仲良く1個ずつ持っていれば、みんながポケモンと仲良くなれると思うわ!ね!」 マサト「はい!」 コトミ「では、使わせていただきます!」 マサトとコトミはミキからやすらぎのすずを分けてもらい、3人で一緒に鳴らした。――美しい鈴の音が響き渡り、3人はお互いの顔を見合わせて、笑顔を浮かべた。 と、そのとき1人の女性が現れ、マサトに向かって声を掛けた。マドカだった。 マドカ「あなたは確か、センリさんのお子さんだったわね。」 マサト「はい。僕、マサトです。確かあなたは、今日のバトル大会でコトミとバトルしてた・・・。」 マドカ「うん、よく覚えてるわね。あたしはマドカ。よろしくね!」 マサト「コトミと互角のバトルを繰り広げた実力。マドカさん、あなたはただ者ではないと思いました。」 マドカ「あたしだって、センリさんのお子さん、そしてハルカちゃんの弟さんというその実力、是非確かめてみたいと思ったの。バトルしましょう!」 Chapter-51に続く。 <この作品の履歴> 2010年8月8日、ポケモン小説スクエア・小説投稿システムに収録。