Chapter-51『ライバルトレーナー・マドカ!』 (1) ヨシノシティで行われた、女性限定のバトル大会は、ミキの優勝で幕を閉じた。そして、次の目的地であるキキョウシティに向かうことになったマサト達にバトルを申し込んだのは、このバトル大会において、準決勝でコトミを破り、決勝でもミキと互角のバトルを繰り広げたマドカだった。 マドカ「あなたは確か、センリさんのお子さんだったわね。」 マサト「はい。僕、マサトです。確かあなたは、今日のバトル大会でコトミとバトルしてた・・・。」 マドカ「うん、よく覚えてるわね。あたしはマドカ。よろしくね!」 マサト「コトミと互角のバトルを繰り広げた実力。マドカさん、あなたはただ者ではないと思いました。」 マドカ「あたしだって、センリさんのお子さん、そしてハルカちゃんの弟さんというその実力、是非確かめてみたいと思ったの。バトルしましょう!」 マサト「はい!」 と思ったものの、バトル大会が終わって、空は完全に暗くなっていた。今からバトルするとしてもかなり遅い時間になりそうである。 マドカ「ね、マサト君。考えてみたんだけど、もうかなり遅い時間だと思うわ。今日はポケモンセンターに泊まって、明日バトルしましょう!」 マサト「そうですね。」 マサト「マドカさんもバトルチャンピオンシップスに出てたんですね。」 マドカ「うん。予選ラウンドで負けちゃって、決勝トーナメントに進むことはできなかったのよ。確かマサト君、決勝トーナメントで4回戦まで行ったそうね。」 マサト「いえ、それほどでもないです。僕のあのときの対戦相手はケイコさんって言う方だったんですけど、とても手強かったです。ケイコさんはバトルチャンピオンシップスが終わったあとは、イッシュ地方に行くって言っていました。そう言えばマドカさんも、イッシュ地方のポケモンを使っていましたね。」 マドカ「うん。あたしが今日バトルで使ったツタージャは、イッシュ地方のアララギ博士にも推奨されている初心者用ポケモンの1つなのよ。このツタージャとは、バトルチャンピオンシップスが行われた7のしまで出会ったのよ。イッシュ地方のポケモンはこれだけではなくて、他にももっとたくさんいるわ。おいで、ウォーグル!」 マドカはそう言うとウォーグルを繰り出した。 マドカ「この子はウォーグルって言うの。たぶんマサト君達、見るのは初めてではないかしら。」 マサト「はい、初めて見ました。」 マサトはそう言うとポケモン図鑑を取り出して、ウォーグルをチェックした。 コトミ「もしかしてマドカさん、以前イッシュに行かれたことがあるんですか?」 マドカ「ううん。あたしはカントーからホウエン、そしてナナシマを回ったんだけど、まだイッシュは足を運んでいないわ。だけど、ポケモンって言うのは地方の枠を越えて、いろんなところで生活しているわ。」 ミキ「たくさんのトレーナー、そしてたくさんのポケモン。あたし達がポケモンと触れ合うことで、たくさんの物語が生まれるんですよね。」 マドカ「よく知ってるわね、ミキさん。ポケモンとトレーナーの間は、直接見ることはできないかもしれないけど、深い絆で結ばれてるって、あたしは思ってるわ。・・・マサト君、明日はいいバトルを期待してるわね!」 マサト「はい!」 翌日、ポケモンセンターの隣にある空き地を利用して、マサトとマドカのポケモンバトルが行われることになった。 マサト「使用ポケモンはどうする?」 マドカ「そうね、マサト君とは初めてバトルするんだし、ポケモンは3体でいいわ。」 ミキ「審判はあたしがやるわね。」 マサト「はい!」 マドカ「お願いします!」 ミキ「分かったわ。・・・ではこれより、トウカシティのマサトとトキワシティのマドカによるポケモンバトルを行います。使用ポケモンは3体、ポケモンの交代は自由です。」 マドカ「先攻はマサト君でいいわ。お手柔らかにね!」 マサト「よろしくお願いします!」 ミキ「バトル開始!」 かくしてマサトとマドカのバトルが幕を開けた。果たして、どう言ったバトルが繰り広げられるのだろうか。 (2) 〜挿入歌:『めざせポケモンマスター(オリジナルバージョン)』が流れる〜 マサトとマドカのポケモンバトルになった。ルールは3対3。言うまでもなくどちらかのポケモン全員が戦闘不能となった時点で試合終了となる。 マサト「行け、リザードン!」 マサトはリザードンを繰り出した。 マドカ「リザードンね。じゃああたしもひこうタイプにするわ!出番よ、ウォーグル!」 マドカはウォーグルを繰り出した。 マサト「(マドカさんはウォーグル・・・。僕がバトルしたことのない相手だけど、でもやってみなければ!)リザードン、かえんほうしゃ!」 リザードンがかえんほうしゃを放った。 マドカ「ウォーグル、かわしてつばめがえし!」 ウォーグルはかえんほうしゃをかわして、つばめがえしを放った。技をかわしてから攻撃に移るまでの動作は段違いだった。無駄のない素早い行動だ。 マサト「リザードン、今だ!でんこうせっか!」 リザードンがつばめがえしで突っ込んでいたウォーグルにでんこうせっかを打ち込んだ。たまらずウォーグルは吹っ飛ばされたが、まだこの程度でへこたれるわけがない。 マドカ「ウォーグル、めざめるパワー!」 ウォーグルが至近距離からめざめるパワーを放つ。リザードンはもろにダメージを受けてしまったが、タイプの相性が効を奏したのか、ダメージはそれほどでもない。 マサト「リザードン、続いてエアスラッシュ!」 リザードンがエアスラッシュを繰り出す。 マドカ「ウォーグル、まもる!」 ウォーグルが守りの体制に入って、エアスラッシュを防ぐ。 マサト「(マドカさんのウォーグル、かなり手強いなぁ・・・。それなら。)リザードン、思い切って行け!フレアドライブ!」 リザードンがフレアドライブでウォーグルに向かっていく。自分もダメージを受ける代わりに大きなダメージを相手に与えることができる技だ。 マドカ「ウォーグル、リザードンを引き付けて!」 ウォーグルはリザードンをぎりぎりまで引き付ける。そうこうしているうちにリザードンが強烈な一撃を叩き込もうとしていた。 マドカ「今よ、ウォーグル!フリーフォール!」 コトミ「何!?」 マサト「フリーフォール!?」 ウォーグルはリザードンをがっちりとつかんだかと思うと、そのまま上空高くに飛び上がっていき、一気に下に向かって落としてしまった。マサト達が見たことのない技だった。 リザードンはたちまちのうちに戦闘不能となってしまった。 ミキ「リザードン、戦闘不能。ウォーグルの勝ち!」 マサト「(強い・・・。リザードンがたった一撃で戦闘不能になってしまった・・・。)戻れ、リザードン!」 マサトはリザードンをモンスターボールに戻した。 マドカ「さあ、マサト君。次はどのポケモンで行くの?」 マサト「マドカさん、とても強いですね。なら次はこのポケモンにします!行け、ガブリアス!」 マサトはガブリアスを繰り出した。 マドカ「ガブリアスね。マサト君もとてもよく育てているわね。じゃあ行くわよ!ウォーグル、フリーフォール!」 ウォーグルが再びフリーフォールの体制に入る。つかまれたら最後、そのまま空中から一気に叩きつけられてしまう。 マサト「ガブリアス、ドラゴンクロー!」 ガブリアスがドラゴンクローをウォーグルに叩きつける。もろにドラゴンクローを受けたウォーグルは地面に向かって落ちていった。 マサト「今だ、ガブリアス!ウォーグルを捕まえるんだ!」 ガブリアスが素早い動作でウォーグルをつかみにかかる。 マドカ「負けないで!ウォーグル、つばめがえし!」 マサト「ガブリアス、りゅうせいぐん!」 ウォーグルがつばめがえしで振りほどこうとしたそのとき、ガブリアスが強烈なりゅうせいぐんを打ち出した。 りゅうせいぐんをもろに浴びたウォーグルは空高く吹っ飛ばされ、やがて無数の小さな固まりと一緒に地面に叩きつけられた。 マドカ「ウォーグル!」 ウォーグルはどうにかして立ち上がろうとしたが、そのまま倒れ込み、戦闘不能となった。 ミキ「ウォーグル、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 マドカ「よく戦ったわね、ウォーグル。ゆっくり休んでね。・・・マサト君、さっきのりゅうせいぐん、とても良くできてたわ。」 マサト「ありがとうございます。」 マドカ「でも、だからと言ってまだ勝負は終わったわけではないわ。まだお互いに残り2体。勝負は最後まで分からないわよ!」 マサト「はい!」 マドカ「じゃあ、あたしも次のポケモンを出すわ!出番よ、ギガイアス!」 マドカはギガイアスを繰り出した。 コトミ「ギガイアス?」 コトミはポケモン図鑑を取り出してギガイアスをチェックした。 マサト「ギガイアスもイッシュ地方のポケモンですね。」 マドカ「そうよ。この子とはホウエンのえんとつ山で出会ったわ。昨日も言ったと思うけど、ポケモンって言うのは1つの地方だけではなくて、色々なところに生息しているわ。」 マサト「そうですね。僕も初めて見るポケモンですし、どう言うポケモンか、まだ分からないところがありますけど、でも全力でバトルさせていただきます!」 マドカ「うん!じゃあ行くわよ!ギガイアス、かいりき!」 ギガイアスがかいりきを放った。その強力なパワーでつかまれたガブリアスは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 マサト「ガブリアス、穴を掘って地中に潜るんだ!」 ガブリアスは体制を立て直すと、穴を掘って地中に潜った。 マドカ「ギガイアス、だいちのちから!」 ギガイアスがだいちのちからを放つ。たちまちのうちにガブリアスの姿があらわになってしまった。 マサト「ガブリアス、かわらわり!」 ガブリアスがかわらわりを放つ。ギガイアスに対してかなりダメージを与えたらしく、ギガイアスは勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 マドカ「やるじゃない、マサト君。ギガイアスはいわタイプ。かくとうタイプのかわらわりは効果抜群になるのよ。」 マサト「だからと言って手加減はしませんよ!ガブリアス、りゅうせいぐん!」 ガブリアスがりゅうせいぐんを放つ。大きな固まりが上空で無数の小さな固まりに分かれて落ち始めた。 マドカ「ギガイアス、まもる!」 ギガイアスが守りの体制に入る。まもるが発動したことで、りゅうせいぐんのダメージはなかった。 マドカ「ギガイアス、行くわよ!はかいこうせん!」 ギガイアスがはかいこうせんを打ち出した。強烈な一撃がガブリアスに迫った。 マサト「ガブリアス、りゅうのはどう!」 ガブリアスも負けじとりゅうのはどうで応戦する。やがてフィールドの中央で2つの技が激しくぶつかり合い、大爆発が生じた。 マサト「ガブリアス!」 マドカ「ギガイアス!」 2人の呼び掛けがフィールドに響き渡る。果たして、フィールドに残っているのは、どのポケモンだろうか・・・。 (3) マサトのガブリアスのりゅうのはどうとマドカのギガイアスのはかいこうせんが激しくぶつかり合い、強烈な爆発が生じた。 爆風が収まると、フィールドに両者とも辛うじて立っていた。2体ともしばらく互いを見つめていた。が、やがて一方が崩れ落ち、フィールドに倒れ込んだ。それはガブリアスだった。 ミキ「ガブリアス、戦闘不能。ギガイアスの勝ち!」 マサト「戻れ、ガブリアス!・・・マドカさん、強いですね。ウォーグルとギガイアス、どちらも僕の見たことのないポケモンですけど、よく使いこなしてますね。」 マドカ「マサト君だって、リザードンにガブリアス、いずれもよく育てられてるわ。さあ、最後の1体はどういうポケモンかしら?見てみたいわ。」 マサト「はい。僕の最後のポケモンです!行け、サーナイト!」 マサトはサーナイトを繰り出した。 マドカ「マサト君、そのサーナイトは一番のパートナーなのね。サーナイトもマサト君の期待に応えたいんだと思うわ。ギガイアスははかいこうせんの反動でしばらく行動ができないから、攻撃していいわ!」 マサト「サーナイト、マジカルリーフ!」 サーナイトがマジカルリーフで攻撃した。いわタイプのギガイアスに対してくさタイプのマジカルリーフは効果抜群だ。まともに受けたギガイアスはたちまち吹っ飛ばされた。 マサト「やったのか!?」 だが横倒しになったギガイアスはぎりぎりのところで踏みとどまったではないか。 マサト「全然倒れない!?どうして?」 マドカ「うふふっ。ギガイアスの特性・がんじょうよ。」 マサト「がんじょう?確か、一撃必殺の技が効かない特性でしたね。」 マドカ「うん。がんじょうは一撃必殺の技が効かない特性だけど、それ以外にも大きなダメージを受けたときに土壇場で踏みとどまることもできるのよ(※)。守りやすくて攻めにくいのがギガイアスの特徴よ。」 と、ギガイアスがはかいこうせんの反動から回復、再び攻撃体制に入った。 マドカ「じゃあ、次はあたしの番よ!ギガイアス、いわなだれ!」 ギガイアスがいわなだれを放つ。無数の岩が頭上からサーナイトに降り注いだ。 マサト「サーナイト、テレポート!」 サーナイトがテレポートで攻撃をかわす。 マサト「今だ!行け、サーナイト!サイコキネシス!」 ギガイアスの真後ろに現れたサーナイトがサイコキネシスを放った。強力なサイコキネシスをまともに受けたギガイアスはたまらず吹っ飛ばされ、フィールドに倒れ込んだ。そしてそのまま戦闘不能となった。 ミキ「ギガイアス、戦闘不能。サーナイトの勝ち!」 マサト「やったね、サーナイト!」 マドカ「戻って、ギガイアス!・・・マサト君、サーナイトとのコンビネーション、本当によく整っているわ。あなたとはいいライバルになれそうね。」 マサト「ありがとうございます。マドカさん、最後までお互いにいいバトルにしましょう!」 マドカ「うふふっ。まるでポケモンリーグでバトルしているみたいな言葉ね。うん。あたしも最後の1体を出すわ!出番よ、カメックス!」 マドカはカメックスを繰り出した。コトミが持っているゼニガメの最終進化形態。そしてユカリの一番のパートナーでもあるポケモンだ。 コトミ「(マドカさんの最後の1体はカメックスね。あたしのゼニガメも最後まで進化するとカメックスになるわ。そしてユカリさんも使いこなすあのポケモン。マサト、どこまで太刀打ちできるかしら・・・。)」 マドカ「マサト君、あなたのサーナイトの実力がどこまであたしに通用するか、期待しているわ!全力でぶつかってね!」 マサト「はい!サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがサイコキネシスを放つ。カメックスはサイコキネシスでたちまち操られてしまった。 マドカ「カメックス、ハイドロポンプ!」 カメックスがサイコキネシスを振りほどき、ハイドロポンプを放つ。背中の砲台から勢いよく強烈な水の大砲が撃ち出された。 マサト「サーナイト、テレポート!」 サーナイトがテレポートで姿を消す。ハイドロポンプはサーナイトが消えた直後に打ち込まれ、カメックスの攻撃は外れた。 マドカ「カメックス、今度は後ろを狙って!もう一度ハイドロポンプ!」 マサト「サーナイト、でんじほう!」 カメックスはハイドロポンプを真後ろに向けて放った。ちょうどそこにテレポートで現れたサーナイトがでんじほうを発射、両者の技が勢いよくぶつかる結果となった。 でんじほうとハイドロポンプは完全に拮抗、そのまま強烈な爆風となって跳ね返った。 マサト「サーナイト、シャドーボール!」 マドカ「カメックス、ラスターカノン!」 煙の収まらない中でサーナイトがシャドーボールを、カメックスがラスターカノンを放った。2つの技は煙を打ち払い、さらにフィールドの中央で勢いよく激突した。 コトミ「(マサトとマドカさん、完全に互角ね・・・。どちらが勝っても不思議ではないわ。)」 マサト「まだまだだ!サーナイト、マジカルリーフ!」 マドカ「あたしも負けてられないわ!カメックス、からにこもる!」 コトミ「えっ!?」 サーナイトはマジカルリーフでカメックスに襲いかかる。だがカメックスは殻にこもってマジカルリーフを跳ね返した。 マドカ「カメックス、こうそくスピン!」 カメックスがこうそくスピンでサーナイトに迫る。フィールドの中央で拮抗していたシャドーボールとラスターカノンまでもがこうそくスピンに弾かれてサーナイトに迫ったではないか。 コトミ「(マドカさん、何ていう技の使い手なのかしら。昨日のバトル大会であたしを破った実力、相当なものだわ。マサト、かなり厳しくなるわね・・・。)」 マサト「(今技を出していたら、攻撃を逆に受けてしまう!)サーナイト、テレポート!」 サーナイトが再びテレポートで姿を消す。 マドカ「カメックス、サーナイトが姿を現すまでこうそくスピンを続けて!」 カメックスのこうそくスピンが続く。サーナイトが再び姿を現すのを待ち構えているのだ。やがてサーナイトがカメックスのやや左後ろに現れた。 マサト「サーナイト、でんじほう!」 マドカ「カメックス、サーナイトにかみつく攻撃!」 サーナイトはでんじほうの体制に入った。しかしこうそくスピンで絶えず駆け回っていたカメックスは行動に移るのも早かった。一気にサーナイトに飛びかかってかみつく攻撃を放った。効果は抜群だ。 マサト「サーナイト!」 マドカ「一気に畳みかけるわよ!カメックス、ハイドロカノン!」 カメックスがハイドロカノンを発射した。みずタイプの中では飛び抜けて威力の高い技。まともに食らえば大ダメージは免れないだろう。 マサト「サーナイト、負けるな!もう一度でんじほう!」 だがサーナイトは攻撃の体制に移れない。さっき受けたかみつくの追加効果でひるんでしまったのだろうか。そうこうしているうちにハイドロカノンがサーナイトに迫る。 マサト「サーナイト!」 と、サーナイトは両手から緑の球体を打ち出し、ハイドロカノンをたたき割った。そしてその緑の球体はカメックスを一気に吹っ飛ばしてしまった。 マサト「あれは!?」 コトミ「あの技はエナジーボールだわ!サーナイト、新しい技を覚えたのね!」 意表を突かれたカメックスはどうにかして体勢を立て直す。 マドカ「やるわね、マサト君!こう言う状況で新しい技を覚えるなんて、あなたのサーナイト、とてもよく育てられてるわね。でもあたしのカメックスも負けていないわよ!」 マドカの言う通り、カメックスの全身が青みを帯びていた。カメックスの特性・げきりゅうが発動したのだ。 マサト「カメックスの特性、げきりゅうですね。」 マドカ「そうよ。げきりゅうは、ピンチになるとみずタイプの技の威力が上がる特性よ。次の一撃が勝負の決め所ね!」 マサト「はい!」 マドカ「行くわよ!カメックス、もう一度ハイドロカノン!」 カメックスがハイドロカノンを打ち出す。げきりゅう特性が発動したせいか、さっきと比べて勢いが幾分か増しているのが伺えた。 マサト「サーナイト、でんじほう!」 サーナイトがでんじほうを放つ。でんじほうはハイドロカノンと激しくぶつかり合うが、げきりゅうで勢いを増したハイドロカノンがじりじりとでんじほうを押し返し始めた。 マサト「サーナイト、負けるな!でんじほうにサイコキネシス!」 サーナイトがでんじほうにサイコキネシスをかけて勢いを強めた。2つの技はフィールドの中央で押して押されてを繰り返し、完全に拮抗した状態となった。そして結集したパワーが解放され、大爆発となって跳ね返った。 マサト「ぐわああっ!」 マドカ「きゃああっ!」 2人とも手で視線を覆い隠して爆風を遮る。その爆風と煙が収まると、両者ともフィールドに倒れており、戦闘不能となっていた。 ミキ「サーナイト、カメックス、両者戦闘不能。よってこの勝負、引き分け!」 激闘は引き分けという形で終わった。 マサト「・・・今回は引き分けでしたね。」 マドカ「仕方ないわね。でもマサト君、あなたのサーナイト、とてもよく育てられてたわ。今回は決着は付けられなかったけど、でもあなたとバトルできて、とてもよかったわ。ありがとう!」 マサト「はい!」 〜挿入歌:『風のメッセージ』が流れる〜 マドカ「マサト君達も、確かジョウトリーグに挑戦してるんだったわね。」 マサト「はい。僕たち、最初はキキョウシティのキキョウジムに挑戦することにしてるんです。」 コトミ「あたし達はコンテストにも出場していて、次はキキョウシティに行く途中にあるヤギブシタウンで行われるんです。」 ミキ「あたしはエキシビジョンマッチに出場するの。次はエノタケタウンのエノタケジムに挑戦しようと思っているわ。」 マドカ「みんなもそれぞれの目標に向かって進んでいっているのね。あたしも負けていられないわ。マサト君、今度会うときは負けないわよ!」 マサト「はい!僕だって、次にバトルするときは勝ちたいです!」 コトミ「あたしもです!」 マドカ「うふふっ。マサト君、そしてコトミちゃんも、きっとジョウトリーグに出場できると思うわ!いつかジョウトリーグで、一緒にバトルできたらいいわね!」 マサト「はい!」 コトミ「是非またバトルしましょう!」 マドカ「うん!」 マドカはそう言って、にっこりと笑った。 こうして、マサト達にまた1人、新たなライバルが加わることになった。これから先、またたくさんのライバルがマサト達に立ちはだかっていくことだろう。そしてそれは、マサト達をより強くしていくことだろう。 次なる目的地、マサトとコトミが挑戦する最初のジムがあるキキョウシティに向かうマサト達の旅は、まだまだ続く。 (※)「ギガイアスのがんじょうについて」 ブラック・ホワイトで新しく追加されたがんじょう特性の効果は、正しくは「HPが満タンの状態で瀕死になるダメージを受けた場合、HPを1残して耐える」と言う、きあいのタスキの効果とほぼ同じ効果ですが、ここではそれ以外にもきあいのハチマキの効果も兼ね備えているものとします。 Chapter-52に続く。 <この作品の履歴> 2010年8月17日、ポケモン小説スクエア・小説投稿システムに収録。