Chapter-54『ポケモンサークル!キョウスケとマナミ!!』 (1) エノタケタウンを出たマサト達は、次のコンテストが開かれるヤギブシタウンに向かって旅を続けていた。 マサト「次に行くヤギブシタウンって、どう言うところなんですか?」 ミキ「ヤギブシタウンは、『笛と太鼓の鳴り響く町』って言われていて、毎年1回ヤギブシ祭りって言うイベントが行われているのよ。ヤギブシ祭りの時期になると、ジョウトはもちろんカントーやホウエン、シンオウ、イッシュからも多くの観光客が訪れるわ。ラフォールタウンのストリートパフォーマンスと同じで、ジョウトの3大祭りの1つに挙げられているのよ。」 コトミ「そうなんですかぁ。マサト、コンテストリボンに向かって、いい演技にしようね!」 マサト「うん!あ、ところでミキさんは?」 ミキ「あたしは観客席から応援するわ。コンテストのエキシビジョンマッチの日程はまだ出ていないし、早く集めればいいかもしれないけど、でもマサト君やコトミちゃんの演技を邪魔するのも悪い気がするわ。だから、マサト君やコトミちゃんが出るコンテストはなるべく出ないことにしようって思ってるわ。」 コトミ「えっ、そこまでして気を遣わなくてもいいんですよ。それにあたしだって、ミキさんとバトルしてみたいって言う気持ちもありますし・・・。」 ミキ「ううん。あたしは1度グランドフェスティバルまで行ってるけど、マサト君やコトミちゃんはまだでしょ?それに、あたしだってジョウトリーグのエキシビションマッチが控えてるし、コンテストに参加するのはその後でも大丈夫だって思ってるわ。」 マサト「そうでしたか・・・。でもいつか、バトルだけでなくコンテストでもミキさんとバトルしてみたいです!」 ミキ「ありがとう!その意気よ、マサト君!」 と、そこに1組の男女が声を掛けてきた。――男女ともに身長が高く、男はミキとほぼ同じ1メートル80前後。女も1メートル70ちょっとはありそうだった。 男性トレーナー「君、見たところ結構強そうだね。」 女性トレーナー「よかったら、私達とバトルしない?」 マサト「あなた方は?」 男性トレーナー「俺はキョウスケ。ジョウトリーグを目指すポケモントレーナーだよ。」 女性トレーナー「私はマナミ。キョウスケと一緒にジョウトリーグを目指してるのよ。」 マサト「初めまして。僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 ミキ「あたしはミキ。よろしくね!」 キョウスケ「俺たちは同じ大学のポケモンサークルに所属しているんだ。ジョウトリーグに挑戦しながら、こうして多くのトレーナーを取り上げていこうと思ってね。」 マナミ「マサト君と言ったわね。よろしければ是非私達とバトルしましょう!」 マサト「はい!」 キョウスケ「せっかくだし、俺とマナミが2体ずつ、マサト君が4体で戦うって言う形でどう?」 マサト「ダブルバトル・・・?」 マナミ「ちょっと戸惑うかもしれないけど、私とキョウスケを相手にマサト君がバトルするのよ。1人対2人では不利だと思うかもしれないけど、形式としては2VS2のダブルバトルになるわ。」 マサト「はい。よろしくお願いします!」 ミキ「じゃあ、審判はあたしがやるわね。」 コトミ「マサト、しっかりバトルしてね!」 マサト「うん!」 キョウスケ・マナミ「よろしくお願いします!」 こうして、マサトはキョウスケとマナミの2人を相手に変則ダブルバトルに挑むことになった。 さあ、マサトはどう言ったバトルを見せてくれるのだろうか。 (2) 〜挿入歌:『ベストウイッシュ!』が流れる〜 ポケモンサークルに所属していると言う大学生コンビ・キョウスケとマナミを相手に、マサトが変則ダブルバトルに挑むことになった。 キョウスケ「行くぞ、タカマル!」 マサト「タカマル!?」 そう言う名前のポケモンなど現段階では見つかっていない。キョウスケがタカマルと言ったのはニックネームだった。タカマルの正体はムクホークだった。 コトミ「キョウスケさん、ポケモンにニックネームを付けてるのね。」 マナミ「行くよ、ビューティ!」 マナミもポケモンにニックネームを付けているらしく、ビューティと呼ばれたポケモンが勢いよくボールから飛び出した。正体はピジョット。ひこうタイプ2体を揃えていた。 マサト「(キョウスケさんはムクホーク、マナミさんはピジョット。いずれもひこうタイプ。それなら。)行け、ユキメノコ!ガブリアス!」 マサトはユキメノコとガブリアスを繰り出した。 コトミ「(マサト、ユキメノコとガブリアスを出したわね。ユキメノコのこおりタイプの技で戦うって言う作戦かしら。でもガブリアスはちょっと不利かもしれないわ。大丈夫かしら・・・。)」 マナミ「ビューティ、おいかぜ!」 ピジョット(ビューティ)がおいかぜを繰り出す。ムクホーク(タカマル)とピジョット(ビューティ)の後ろから追い風が吹き始めた。 コトミ「(おいかぜで素早くなる作戦ね。そう言えばバトルチャンピオンシップスでミキさんもやっていたわ。)」 キョウスケ「うん!タカマル、ユキメノコにブレイブバード!」 ムクホーク(タカマル)がブレイブバードで一気にユキメノコに大ダメージを与える作戦に出た。プレイブバードは自分もダメージを受ける代わりに相手に大きなダメージを与えることができる。しかもおいかぜの効果でキョウスケとマナミのポケモンは段違いに素早く行動できるのだった。 マサト「(何て言う速さだ!これでは攻撃が間に合わない!)ユキメノコ、まもる!ガブリアスはムクホークにドラゴンクロー!」 ユキメノコはぎりぎりでまもるの体制に入り、ムクホーク(タカマル)の攻撃から身を守った。そしてガブリアスがドラゴンクローを放ってムクホーク(タカマル)に攻撃した。 キョウスケ「タカマル!」 ムクホーク(タカマル)はドラゴンクローの一撃を受けて勢いよく吹っ飛ばされたが、それでもまだ戦えそうだ。 キョウスケ「よし!タカマル、ガブリアスにでんこうせっか!」 マナミ「ビューティ、ユキメノコにエアスラッシュ!」 ムクホーク(タカマル)は素早くでんこうせっかの体制に入る。一方のピジョット(ビューティ)もエアスラッシュを放ってユキメノコに襲いかかった。 マサト「ガブリアス、りゅうせいぐん!ユキメノコ、ふぶき!」 ガブリアスがりゅうせいぐんで、ユキメノコがふぶきでそれぞれ迎え撃った。だがおいかぜで素早さが上がっていたムクホーク(タカマル)とピジョット(ビューティ)はりゅうせいぐんとふぶきを巧みにかわしつつガブリアスとユキメノコに攻撃を打ち込んだ。 マサト「ガブリアス!ユキメノコ!」 コトミ「(何て速さなの!?りゅうせいぐんとふぶきが全然命中しないわ。よく育てられてるわね。マサト、大丈夫かしら・・・。)」 キョウスケ「タカマル、ユキメノコにはがねのつばさ!」 マナミ「ビューティ、ガブリアスにゴッドバード!」 マサト「ユキメノコ、ムクホークにめざましビンタ!ガブリアス、ピジョットにりゅうのはどう!」 ムクホーク(タカマル)がはがねのつばさでユキメノコに迫る。そしてピジョット(ビューティ)がゴッドバードの体制に入った。それをユキメノコがめざましビンタで、ガブリアスがりゅうのはどうで迎え撃った。 ユキメノコとムクホーク(タカマル)は互いの技をもろに受けて勢いよく吹っ飛ばされた。一方のガブリアスのりゅうのはどうもピジョット(ビューティ)にもろに命中したが、ゴッドバードの体制は崩していない。 マナミ「行くよ!ビューティ、ゴッドバードで突撃!」 その名の通り、きらめくばかりの激しい光をまとったピジョット(ビューティ)がゴッドバードを繰り出した。ゴッドバードはぐんぐん勢いを付けてガブリアスに迫った。 マサト「ガブリアス、ギガインパクト!」 ガブリアスもギガインパクトでピジョット(ビューティ)を迎え撃つ。そして2つの技が激しくぶつかり合い、大きな衝撃波となって跳ね返った。 マサト「ガブリアス!」 マナミ「ビューティ!」 衝撃波が収まると、ガブリアスとピジョット(ビューティ)はフィールドに倒れ込んでいた。双方とも体力は限界を越えているのは間違いなかった。 2匹ともどうにかして立ち上がろうとする。1匹はボロボロになりながらも辛うじて立ち上がることができたが、もう1匹はそのまま崩れ落ち、戦闘不能となった。倒れたのはピジョット(ビューティ)だった。 ミキ「マナミのピジョットのビューティ、戦闘不能。マサトのガブリアスの勝ち!」 マナミ「ビューティ!・・・ご苦労だったね。ゆっくり休んでね。」 キョウスケ「マサト君、とてもよく育てられてるね。」 マサト「ありがとうございます。」 マナミ「でも1匹倒したからといって、油断しない方がいいわよ!」 マサト「はい!」 マナミ「次はこのポケモンよ!行くよ、ディーテ!」 マナミが次に繰り出したのはディーテと言うポケモン。もちろんニックネームであり、正体はソーナンスだった。 コトミ「あのポケモンがソーナンスね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してソーナンスをチェックした。 マサト「(まずい・・・。ソーナンスの特性はかげふみ。ポケモンの交代ができなくなる。それにカウンターやミラーコートをされたらダメージがさらに大きくなる。どうすれば・・・。)」 マナミ「ディーテ、しんぴのまもり!」 ソーナンス(ディーテ)がしんぴのまもりを放った。ムクホーク(タカマル)共々神秘のベールに包まれ、状態異常を防ぐことになった。 キョウスケ「タカマル、ガブリアスにブレイブバード!」 マサト「(ソーナンスに攻撃しなければ大ダメージはない!)ガブリアス、ムクホークにドラゴンクロー!ユキメノコもムクホークにみずのはどう!」 ソーナンス(ディーテ)を狙ったらカウンターやミラーコートを受けてしまうと判断したのだろう、ガブリアスがドラゴンクローで、ユキメノコがみずのはどうでムクホーク(タカマル)を集中攻撃した。 キョウスケ「タカマル、全速力で突っ込め!」 ムクホーク(タカマル)はみずのはどうを突き破ると、ドラゴンクローを叩きつけたガブリアスと激しくぶつかり合い、両者とも勢いよく吹っ飛ばされてしまった。果たして、この勝負の行方は・・・。 (3) マサトのガブリアスが振り下ろしたドラゴンクロー、そしてキョウスケのムクホーク(タカマル)が勢いよく突っ込んだブレイブバード。2つの技が激しくぶつかり合い、大爆発が起きた。 マサト「ガブリアス!」 キョウスケ「タカマル!」 ガブリアスとムクホーク(タカマル)はそのままフィールドに叩きつけられ、戦闘不能になっていた。 ミキ「マサトのガブリアス、キョウスケのムクホークのタカマル、両者戦闘不能!」 キョウスケ「マサト君、君はかなりポケモンを育てているね。なかなかの実力だね。」 マサト「ありがとうございます。」 キョウスケ「じゃあ、このポケモンはどうかな?行くぞ、ビクトリー!」 キョウスケが次に繰り出した、ビクトリーと呼ばれたポケモン。勝利を意味するニックネームを持つそのポケモンは、オノノクスだった。 コトミ「あれはオノノクスね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してオノノクスをチェックした。イッシュ地方に生息しているポケモンだ。 マサト「行け、ギャラドス!」 マサトはギャラドスを繰り出した。 キョウスケ「ビクトリー、ギャラドスにドラゴンテールだ!」 マサト「あっ!?」 コトミ「ドラゴンテール!?」 オノノクス(ビクトリー)がドラゴンテールを放つ。強烈な尻尾の一振りをもろに受けたギャラドスは勢いよく吹っ飛ばされ、さらにどう言うわけかボールに戻ってしまった。代わりにサーナイトがフィールドに引きずり出されてしまった。 コトミ「今の、何が起きたの?」 キョウスケ「ドラゴンテールは、ダメージを与えたポケモンを控えのポケモンと入れ替えさせることができる技なんだ。早いうちに使うことで相手の使うポケモンの組み合わせを早く知ることができる。さらに相手の作戦を潰すこともできるんだ。」 マサト「(手強いな・・・。それなら僕だって!)サーナイト、オノノクスにサイコキネシス!ユキメノコはふぶき!」 サーナイトがサイコキネシスでオノノクス(ビクトリー)の行動を封じる。さらにユキメノコがふぶきを放った。 マナミ「ふふ。ディーテ、ミラーコート!」 ソーナンス(ディーテ)がミラーコートを放つ。ふぶきは確かにソーナンス(ディーテ)自身もダメージを受けるが、カウンターやミラーコートと言った技は、ダメージを受ける代わりに受けたダメージを2倍にして相手に返すのである。 オノノクス(ビクトリー)はサイコキネシスで行動を封じられ、もろにふぶきを受けてしまった。一方のソーナンス(ディーテ)もふぶきのダメージを受けたが、ミラーコートがふぶきを跳ね返し、サーナイトとユキメノコに向かってふぶきが襲いかかった。 マサト「サーナイト、テレポート!ユキメノコ、まもる!」 サーナイトはテレポートで姿を消す。一方のユキメノコは守りの体制に入り、攻撃を防いだ。 キョウスケ「ビクトリー、サーナイトにギガインパクト!姿が出た瞬間を狙え!」 オノノクス(ビクトリー)がギガインパクトを放つ。サーナイトがテレポートで姿を現した瞬間を狙っていくことになった。 マサト「(うかつに姿を現したら強烈な一撃を受けてしまう!)サーナイト、後ろだ!」 サーナイトはオノノクス(ビクトリー)が突っ込んでいった真後ろに現れた。 マサト「サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがサイコキネシスを放つ。ギガインパクトの体制のまま突っ込んでいたオノノクス(ビクトリー)はそのまま行動を封じられた。 マサト「そのままソーナンスにぶつけるんだ!」 サーナイトは強力なサイコパワーでオノノクス(ビクトリー)を吹っ飛ばしたかと思うと、勢いよくソーナンス(ディーテ)にぶつけた。 キョウスケ「ビクトリー!」 マナミ「ディーテ!」 オノノクス(ビクトリー)とソーナンス(ディーテ)はフィールドに倒れ込んでいたが、両者ともまだまだ戦えそうである。しかし余力はほとんど残していない。ソーナンス(ディーテ)はカウンターやミラーコートでダメージを倍返しにすることも難しそうである。 マサト「一気に畳み掛けるよ!サーナイト、オノノクスにサイコキネシス!ユキメノコ、ソーナンスにシャドーボール!」 キョウスケ「だが俺たちを甘く見ない方がいい!」 マナミ「ディーテ、みちづれ!」 コトミ「みちづれ!?」 ユキメノコの放ったシャドーボールがソーナンス(ディーテ)に命中、勢いよく吹っ飛ばされたソーナンス(ディーテ)は戦闘不能となった。だが次の瞬間、シャドーボールを放ったユキメノコまでもが戦闘不能となってしまったではないか。 マサト「ユキメノコ!」 ミキ「マサトのユキメノコ、マナミのソーナンスのディーテ、両者戦闘不能!」 マナミ「驚いた、マサト君?みちづれの効果よ。」 マサト「(みちづれ・・・。確かサトシもホウエンリーグでみちづれを受けたことがある。相手の技で戦闘不能にされたとき、技を出した相手も戦闘不能にする技だった。)戻れ、ユキメノコ!」 マサトはユキメノコをモンスターボールに戻した。 キョウスケ「俺たちの実力はまだこんなものではないぜ!さあ、全力でついてこい!」 マサト「はい!行け、ギャラドス!」 マサトはギャラドスを繰り出した。 マナミ「キョウスケ、後はよろしく!」 キョウスケ「ああ。ビクトリー、サイコキネシスを振りほどいてげきりん!」 ユキメノコとソーナンス(ディーテ)が相討ちになっている間にサーナイトが放ったサイコキネシスをオノノクス(ビクトリー)は振りほどき、ドラゴンタイプでも指折りの破壊力を持つげきりんの技を繰り出した。追い詰められてもなお最後まで諦めないと言うことを意味しているのだろう。何より「ビクトリー」と言うニックネームにも勝利に対する執念が垣間見えていた。 マサト「サーナイト、サイコキネシス!ギャラドス、かみつく!」 サーナイトがサイコキネシスで、ギャラドスがかみつくでオノノクス(ビクトリー)に立ち向かっていく。だが一度サイコキネシスを振りほどいたオノノクス(ビクトリー)のパワーは並大抵のものではなく、そのまま強烈なげきりんの一撃が襲いかかった。 マサト「サーナイト!ギャラドス!」 サーナイトとギャラドスは強力なげきりんを受けて勢いよく吹っ飛ばされてしまった。だが2匹ともまだ戦えそうだ。 マサト「うん!サーナイト、でんじほう!ギャラドスはもう一度かみつくだ!」 サーナイトがでんじほうを放ってサポートする。そこにギャラドスが勢いよくかみつく攻撃を繰り出した。 キョウスケ「ビクトリー!」 オノノクス(ビクトリー)はかみつくのダメージが意外に効いているのか、攻撃に移ることができない。さらにそこにでんじほうの一撃を受けてしまい、オノノクスは吹っ飛ばされてしまった。だが神秘のベールがまだ残っているのか、麻痺することはなかった。 キョウスケ「だがこの程度では俺たちのバトルは終わらない!ビクトリー、行け!ギガインパクト!」 オノノクス(ビクトリー)がギガインパクトを放つ。 マサト「サーナイト!ギャラドス!」 と、ギャラドスの口から冷気とおぼしきものが出ているのに気がついた。 コトミ「あれは!?」 マナミ「マサト君のギャラドス、新しい技を覚えたのかもしれないわ!」 マサト「(あのわざはもしかして・・・。よし!)ギャラドス、こおりのキバ!」 ギャラドスがその冷気を生かしてこおりのキバを放った。ギガインパクトの体制のまま迫っていたオノノクス(ビクトリー)はたちまち大きなダメージを受け、吹っ飛ばされてしまった。効果は抜群だ。 キョウスケ「ビクトリー!」 こおりのキバをまともに受けたオノノクス(ビクトリー)はそのままフィールドに崩れ落ちた。それでもなお必死で立ち上がろうとしたが、音を立てて倒れ込み、戦闘不能となった。 ミキ「キョウスケのオノノクスのビクトリー、戦闘不能。マサトのギャラドスの勝ち!よってこの勝負、マサトの勝ち!」 マサト「やったね、ギャラドス、サーナイト!」 サーナイトとギャラドスがマサトに飛びつき、勝利を喜び合う。 キョウスケ「よく戦ったな、ビクトリー。・・・マサト君、俺たちを相手に、本当にいい勝負を見せてくれた。ありがとう!」 マナミ「私達もバトルできてよかったって思ってるわ。ありがとう!」 マサト「いえ。マナミさんのソーナンスがみちづれを使ったときはびっくりしました。あとキョウスケさんのオノノクス、ドラゴンテールを使ってポケモンを入れ替える作戦は新しい戦術になるって思いました。」 キョウスケ「ありがとう。そうだ、マサト君。もしよろしかったら、俺たちの大学で行われる学園祭に来てもらえないかな?」 コトミ「学園祭・・・?」 マナミ「うん。私達の大学はシュウホウ大学と言って、カントーのヤマブキシティにあるのよ。もちろん、ジョウト地方の外に行ってしまうわけだけど、大丈夫よ。ジョウトリーグの参加登録は無効にはならないわ。」 ミキ「ヤマブキシティ?実はあたしの実家もヤマブキにあるんです。どうする?マサト君とコトミちゃんは、キョウスケさんとマナミさんの学園祭に行ってみる?」 マサト「えっ、でもそうするとミキさんのエキシビジョンマッチはどうなるんですか?」 キョウスケ「大丈夫だよ。学園祭は来週末に行われるから、終わったらすぐに戻ればいいことだし、それとこう言うイベントもあるんだ。」 キョウスケはそう言って、マサト達に学園祭のパンフレットを見せた。――シュウホウ大学の学園祭、「シュウホウ・フェスティバル」は次の週末に行われることになっており、カントー地方でも指折りの規模を誇る学園祭として、学生のみならず多数の来客が訪れるイベントだった。次の週末と比較的早い段階に行われるため、ヤギブシタウンのコンテストには十分に間に合いそうだった。そして、学園祭のパンフレットとは別にもう1枚のパンフレットが挟まれていた。 コトミ「なになに・・・?『全国のポケモンリーグと学園祭がコラボレーション!学園祭でポケモンバトル!ポケモンを受け取ろう!』だって(※1)!」 もう1枚のパンフレットを読んでみると、カントーリーグを始め、ジョウト、ホウエン、シンオウ、ナナシマ、イッシュの各ポケモンリーグと大学の学園祭が手を組んだイベント、「バトル・アンド・エヴォリューション」(※1)の告知として、シュウホウ大学を始め、指定された各地の大学の学園祭でポケモンバトルの大会やポケモンプレゼントを行う旨が書かれていた。 ミキ「バトル大会にポケモンプレゼントのコーナーもあるわね。どうする?行ってみる?」 マサト「はい!」 コトミ「あたし達も是非行かせてください!」 キョウスケ「ありがとう!」 マナミ「うん!歓迎するわ!」 マサト「そう言えば、キョウスケさんとマナミさんはどうなされるんですか?」 キョウスケ「俺たちは学園祭の準備があるから、一度カントーに行くことにするよ。マサト君達、また学園祭で会おう!」 マナミ「コトミちゃんとミキさんも、是非バトル大会に参加してみてね!」 コトミ・ミキ「はい!」 キョウスケ「行くぞ、チェッカー!」 キョウスケはチェッカーと呼ばれたポケモン――エアームドを繰り出した。 マナミ「行くよ、スカイハイ!」 マナミはスカイハイ――チルタリスを繰り出した。 キョウスケ「今度バトルするときは負けないよ!」 キョウスケとマナミはエアームド(チェッカー)とチルタリス(スカイハイ)に乗って、シロガネ山の向こう、カントー地方に向かって飛んでいった。 ミキ「マサト君、コトミちゃん。ちょっと寄り道になっちゃうけど、ヤマブキシティまで行きましょう!」 マサト「でもここからどうやって・・・?ひょっとして、ポケモンにまたがって?」 ミキ「ううん。ちょうどこの先にリニアの駅(※2)があるわ。そこからリニアに乗っていけば、ひとっ飛びでヤマブキに行けるわ!」 コトミ「ずいぶんと便利なんですね!マサト、リニアに乗ればあっという間にカントーね!そうだ、ミキさん。せっかくですので、ヤマブキシティを案内してもらえますか?」 ミキ「うん!金色のきらめきの町、ヤマブキシティの観光案内ならあたしに任せて!」 マサト「よろしくお願いします!」 こうして、マサト達はキョウスケとマナミの通う大学、シュウホウ大学の学園祭に参加するため、リニアに乗り、しばしジョウトを離れてヤマブキシティに向かうことになった。 カントー地方一番の大都市にして、世界経済の中心都市の1つ、そしてミキの出身地でもあるヤマブキシティ。またマサトにとってはサトシのバトルフロンティア挑戦のとき以来、3年ぶりにカントー地方に足を運ぶことになる。 果たして、そこではどう言った出来事が、マサト達を待ち構えているのだろうか。 (※1)「学園祭とポケモンリーグのコラボレーション、並びにポケモンリーグ参加中の地方間の移動について」 このイベントの内容は、2010年秋にブラック・ホワイトの発売を記念して開催されるポケモンと学園祭のコラボレーション・イベント、『Trade for Evolution!』がモデルになっています。『Trade for Evolution!』ではポケモンバトルについては触れられていませんが、ここではバトル大会も行われることにします。また、1つの地方のリーグに参加している間に他の地方に行くことはできるのかと言うことについてはアニメでは詳しい描写はなされていませんが、ここでは別の地方にも足を運べるものとします。 (※2)「リニア鉄道の駅について」 金・銀・クリスタル・ハートゴールド・ソウルシルバーでは、ヤマブキシティとコガネシティ以外に駅は存在しておりませんが、ここではそれ以外にも駅があるものとします。またアニメでは、無印・ジョウト編において未完成であることが述べられていましたが、ここでは金・銀・クリスタル・ハートゴールド・ソウルシルバーの世界観に倣い、すでに完成しているものとします。 Chapter-55に続く。 <この作品の履歴> 全編書き下ろし。