Chapter-57『ライバルバトル!マサトVSユウジ!!(前編)』 (1) ヤマブキシティのポケモンセンターヤマブキを訪れたマサト達は、ポケモン預かりシステム・「コスモス」を運営しているタカノリと出会った。 タカノリにいつも預かりシステムを使わせていただいているお礼を言うと、タカノリは情報交換の場としてよく利用しているという隣のビルにマサト達を案内した。だが、そこにいた1人の人物を見るやいなや、ミキはマサトのサーナイトにテレポートを使うことを要請したのだった。 その人物の名はユウジ。かつてミキと親しくしていたという人物だというが、このユウジがマサトにバトルを申し込んだのだった。 バトルの舞台はポケモンセンターヤマブキと隣のビルの間にある広場。普段からポケモンセンターを利用するトレーナーやコーディネーターがよくバトルを繰り広げている場所だった。 タカノリ「使用ポケモンは6体。ルールはいずれかのポケモンが3体倒れるまでは同時に1体ずつ出して戦うシングルバトル、3体倒れた後は同時に2体ずつ出して戦うダブルバトルとします。ポケモンの交代は自由。どちらかのポケモンが、すべて戦闘不能となった時点で試合終了となります。」 マサト「珍しいルールですね。」 タカノリ「ああ。このルールは私たちのバトルではよく使われているルールなんだ。シングルバトルとダブルバトルをバランスよく使い分けることで、トレーナーの実力を見極めようと思っているんだよ。」 ユウジ「どこからでもかかってこい!」 マサト「その言葉、しっかり聞いたよ!」 その様子をポケモンセンター入り口の通路からコトミとミキも見守っていた。 コトミ「ミキさん、こんなところにいてばれないの?」 ミキ「ここなら大丈夫よ。あの人にもばれないわ。」 コトミ「ミキさん、どうしてそこまで『あの人』って言ってるの?」 ミキ「タカノリさんもさっき言いかけてたけど、あたし、以前はあの人と親しくしていたのよ。」 タカノリ「バトル開始!」 コトミ「バトルが始まったわ!」 マサト「行け、ユキメノコ!」 マサトはユキメノコを繰り出した。 ユウジ「出番だ、フライゴン!」 ユウジはフライゴンを繰り出した。 コトミ「フライゴンだわ!」 ミキ「あれは!?」 フライゴンの首に何かスカーフとおぼしきものが巻かれているのが見えた。 コトミ「あのスカーフ、ミキさんは知ってるんですか?」 ミキ「こだわりスカーフだわ。あれを使っているポケモンは、かなり素早くなるんだけど、バトルに出ている間は最初に使った技以外は使えなくなるって言う道具よ。狙って使われるとかなりやっかいな道具だわ。」 マサト「ユキメノコ、ふぶき!」 ユキメノコがふぶきを放つ。じめんタイプとドラゴンタイプを併せ持っているフライゴンにしてみれば効果は抜群だ。しかもタイプの相乗効果からかなり大きなダメージが期待できた。 ユウジ「フライゴン、かわしてかえんほうしゃ!」 フライゴンがふぶきを巧みにかわして、勢いよくかえんほうしゃを放った。しかもこだわりスカーフの効果からか、その行動はコトミのフライゴンとは比べものにならないほど早い。 マサト「ユキメノコ、まもる!」 ユキメノコが守りの体制に入ってかえんほうしゃを防ぐ。 ユウジ「フライゴン、ユキメノコを攪乱しろ!かえんほうしゃ!」 フライゴンが並みのポケモン離れした俊敏な行動でかえんほうしゃを連発する。ユキメノコは守りの体制に入ったまま、攻撃のチャンスをつかむことができない。 マサト「(だめだ、フライゴンが素早くて攻撃ができない!)戻れ、ユキメノコ!」 マサトはユキメノコをモンスターボールに戻した。 コトミ「ユキメノコを戻したわ!」 ミキ「かえんほうしゃはこおりタイプのユキメノコにとっては受けるダメージが大きくなる技。まもるは連続で使うと失敗しやすくなるわ。ユキメノコは確かにタイプの相性では有利だけど、かえんほうしゃを使われたらタイプの相性を覆されてしまうわ。だからポケモンを交代させることにしたんだと思うわ。」 マサト「行け、リザードン!」 マサトはリザードンを繰り出した。 ユウジ「(ちっ、リザードンか・・・。かえんほうしゃはこのまま使うと効果が今ひとつ。なら俺も交代させるか。)戻れ、フライゴン!」 ユウジはフライゴンをモンスターボールに戻した。 ミキ「あの人も戻したわね。さすがにかえんほうしゃ以外の技を使えないとリザードンに対して有利に戦えないと判断したのかしら。」 コトミ「あのユウジって言う人、そこまで強いトレーナーなの?」 ミキ「うん。以前あたしと親しかった頃は何度かバトルしてたんだけど、あたしとあの人の実力はほとんど同じだったわ。たまにあたしが負けてしまうこともあるほどだったわ。」 コトミ「そこまで実力のあるトレーナーとバトルして、マサト、大丈夫かしら・・・。」 ユウジ「出番だ、ゼブライカ!」 ユウジはゼブライカを繰り出した。 コトミ「ゼブライカ!?」 コトミはポケモン図鑑を取り出してゼブライカをチェックした。 ミキ「イッシュ地方のポケモンだわ。見ての通りでんきタイプのポケモンよ。」 ユウジ「ゼブライカ、10まんボルト!」 ゼブライカが10まんボルトを放つ。ひこうタイプを併せ持つリザードンにしてみれば効果は抜群だ。 マサト「リザードン、かわしてかえんほうしゃ!」 リザードンが10まんボルトをかわしながらかえんほうしゃを放つ。ゼブライカはかえんほうしゃをまともに受けてしまい、かなりのダメージを受けた。 ユウジ「ちっ!ゼブライカ、ボルトチェンジ!」 ゼブライカはマサト達が見たこともない技、ボルトチェンジを繰り出した。――ゼブライカは目にも止まらない早さでリザードンを攻撃したあと、颯爽とユウジのモンスターボールに戻っていった。 リザードンは効果抜群なでんきタイプの技を受けて勢いよく吹っ飛ばされてしまったが、まだ戦えそうだ。 マサト「ボルトチェンジ!?」 タカノリ「攻撃した後に控えのポケモンと入れ替わる技だよ。ダメージを与えつつ相手の作戦を撹乱する、高度なテクニックが求められる技だね。」 ユウジ「出番だ、カメックス!」 ユウジはカメックスを繰り出した。それも珍しい色違いのポケモンだ。 マサト「(カメックス・・・。タイプの相性ではリザードンが不利だ。それなら技で!)リザードン、あなをほる攻撃!」 リザードンが穴を掘って地中に潜る。 ユウジ「ははっ。果たしてどうかな?」 マサト「えっ!?」 ユウジ「カメックス、あまごいだ!」 カメックスが天を仰いで唸り声を上げた。と、次の瞬間空に雲が立ち込め、雨が降り始めたではないか。 マサト「(そうか。カメックスは雨状態にすることでみずタイプの技の威力を上げているんだ。それなら。)リザードン、今だ!足元を狙え!」 リザードンが地中から現れてカメックスの足元に強力な一撃を打ち込んだ。 カメックスは不意を突かれて勢いよく吹っ飛ばされ、大きなダメージを受けた・・・。と、次の瞬間ダメージを受けなかったかのごとくカメックスが立ち上がったではないか。 マサト「えっ、どうして!?」 ユウジ「カメックスの新しい特性・あめうけざらだよ(※)。」 マサト「カメックスの特性があめうけざら?」 タカノリ「最近、通常とは違う特性のポケモンが多く見られるんだ。ユウジのカメックスもそのパターンなんだよ。普通のカメックスと違ってピンチでもみずタイプの技の威力は上がらないけど、でも雨が降っていると体力が徐々に回復していく、まさに特別なカメックスなんだよ。」 コトミ「そう言う特性のポケモンって、いるの?」 ミキ「うん。あたしも聞いたことがあるんだけど、たまに普段の特性とは違うポケモンがいるって言うことがあるわ。あの人のカメックスはあめうけざらだけど、例えばフシギダネはようりょくそ、ヒトカゲはサンパワーと言った、これまで知られている特性とは違った特性を持ったポケモンが最近見かけられ始めたって言うのは聞いているわ。」 ユウジ「ふっ。俺の実力を受けてみろ!カメックス、ハイドロカノン!」 マサト「危ない、リザードン!」 雨状態で威力が増したカメックスのハイドロカノンがリザードンに迫る。果たして、マサトはこの状況をどう打破するのだろうか。 (2) ヤマブキシティのポケモンセンターヤマブキで出会ったポケモントレーナー・ユウジ。ミキのかつての知り合いだと言うこのトレーナーを相手に、マサトが前半シングルバトル、後半ダブルバトルの変則フルバトルを挑んでいた。 両者ともポケモンの交代を駆使して試合を進めていくが、ユウジが繰り出したカメックスは通常のカメックスと特性が違うポケモンだった。雨が降っていると自分の体力が回復するあめうけざらと言う特性だったのである。 そして雨の中繰り出したカメックスの技・ハイドロカノンがマサトのリザードンに迫っていった。 マサト「リザードン、もう一度あなをほる攻撃!」 リザードンは再び穴を掘って地中に潜ろうとする。しかしハイドロカノンは穴を掘ろうとしていたリザードンに勢いよく命中した。効果は抜群だ。 マサト「リザードン!」 リザードンは勢いよく吹っ飛ばされてしまい、戦闘不能となった。 タカノリ「リザードン、戦闘不能。カメックスの勝ち!」 マサト「よく戦ったね、リザードン。ゆっくり休んでね。」 マサトはリザードンをモンスターボールに戻した。 コトミ「リザードンが一撃で倒されたわ!」 ミキ「やるわね。あのカメックスはかなり手強いわ。あたしがあの人と仲良くしていた頃はあたしのエーフィとよく一緒にマルチバトルしてたのよ。」 コトミ「2人1組になってバトルするんですね。マサトとミキさんがカンナさんとルリカさんを相手にバトルしたのと同じルールですね。」 ミキ「うん。当時はあたしとあの人にルカリオを出させたらかなうトレーナーはいないって言われてたわ。あのときスイクンに導かれてマサト君がリオルをゲットしたときは『不思議なこともあるのね』って思ったわ。」 コトミ「でも、どうしてあのユウジって人とミキさんは仲たがいしてしまったんですか?」 ミキ「・・・今マサト君はバトルしてるでしょ?このお話はマサト君も交えたときに言うことにするわ。」 マサト「行け、ギャラドス!」 マサトはギャラドスを繰り出した。 ユウジ「ギャラドスか。なかなか面白いポケモンだな。カメックス、のしかかり!」 カメックスののしかかり攻撃がギャラドスに迫る。 マサト「ギャラドス、飛び上がるんだ!」 ギャラドスはカメックスの攻撃をかわすと、勢いよく跳び跳ねた。 ユウジ「ちっ、とびはねるか。なら撃ち落とすまでだ!カメックス、れいとうビーム!」 カメックスのれいとうビームが上空のギャラドスに向かって放たれた。 マサト「気を付けるんだ!ギャラドス、れいとうビームをよく見ながら行け!」 ギャラドスはれいとうビームを上手くよけながらカメックスに向かって攻撃をかけていく。 マサト「今だ!ギャラドス、とびはねる攻撃!」 ギャラドスのとびはねる攻撃がカメックスに炸裂した。カメックスは勢いよく叩きつけられ、そのまま戦闘不能となった。 タカノリ「カメックス、戦闘不能。ギャラドスの勝ち!」 マサト「やったね、ギャラドス!」 ユウジ「戻れ、カメックス!・・・まだお前のギャラドスはそんなものなのか?」 マサト「えっ!?」 ユウジ「まだ分からないのか。出番だ、シビルドン!」 ユウジはシビルドンを繰り出した。 コトミ「シビルドン!?」 コトミはポケモン図鑑を取り出してシビルドンをチェックした。 ミキ「ゼブライカと同じ、イッシュ地方のポケモンだわ。でんきタイプだけど、じめんタイプの技を受けないふゆうの特性を持ってるわ。」 ユウジ「シビルドン、10まんボルト!」 シビルドンが10まんボルトを放つ。もともとでんきタイプの技のダメージが桁外れに大きくなるギャラドスのこと、まともにダメージを受けてしまえば効果抜群どころではすまされなかった。 マサト「ギャラドス、まもる!」 ギャラドスが守りの体制に入って10まんボルトを防いだ。 マサト「(ギャラドスがこのまま出ていたら圧倒的に不利だ。しかもまだ雨が降り続いている。かみなりを打たれたら間違いなくピンチだ。)戻れ、ギャラドス!」 マサトはギャラドスをモンスターボールに戻した。 コトミ「マサト、ギャラドスを戻したわね。」 ミキ「でもシビルドンの特性はふゆう。じめんタイプの技は効果がないわ。対策を施していないとかなりの強敵になるわ。」 マサト「行け、ガブリアス!」 マサトはガブリアスを繰り出した。 ユウジ「シビルドン、ギガインパクト!」 シビルドンがギガインパクトを放ってガブリアスに突っ込んだ。じめんタイプのガブリアスにでんき技は効かないと判断したのだろう。 マサト「ガブリアス、穴を掘って地中に潜るんだ!」 ガブリアスがあなをほる攻撃で地中に潜る。だがあなをほるはじめんタイプの技。ふゆう特性のシビルドンにダメージを与えることはできない。マサトはどう出るのだろうか。 コトミ「シビルドンはふゆう特性だって言ってたでしょ!?」 ミキ「マサト君、何をするつもりかしら・・・。」 マサト「ガブリアス、地上に出るんだ!」 ユウジ「シビルドン、ガブリアスの掘った穴に入れ!」 ガブリアスは穴から勢いよく地上に飛び出した。一方のシビルドンはガブリアスが掘った穴から地中に潜っていく。いきなり地上に現れてガブリアスに攻撃を打ち込む作戦なのだろう。 マサト「ガブリアス、気を付けるんだ!」 ユウジ「シビルドン、今だ!」 シビルドンはちょうどガブリアスの真後ろから現れた。 マサト「ガブリアス、空高く飛び上がれ!」 ガブリアスはシビルドンが現れる直前、高くジャンプした。 ユウジ「何っ!?」 マサト「行け、ガブリアス!りゅうせいぐん!」 ガブリアスが空高くりゅうせいぐんを打ち上げた。 りゅうせいぐんは高々と打ち上がったかと思うと、上空で無数の小さな固まりに分かれ、地上に向かって落ちてきた。 ユウジ「ちっ。シビルドン、かみなり!」 シビルドンがかみなりを放ってりゅうせいぐんを撃ち落とそうとする。だがりゅうせいぐんは全部撃ち落とすことはできず、そのままシビルドンに命中した。 ユウジ「シビルドン!」 シビルドンはそのまま勢いよくフィールドに打ち付けられ、戦闘不能となってしまった。 タカノリ「シビルドン、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 ユウジ「戻れ、シビルドン!・・・だがこの程度で満足か?」 マサト「えっ!?どう言うことだ!」 ユウジ「こう言うことだ!出番だ、ルカリオ!」 ユウジはルカリオを繰り出した。かつてミキと仲が良かった頃はよく使っていたと言うポケモンだ。 ミキ「あのルカリオだわ!」 コトミ「ミキさんのルカリオも強そうだけど、あのルカリオもかなり強そうだわ。マサト、大丈夫かしら・・・。」 ユウジが繰り出したルカリオ。それはかつてミキのルカリオと組んでほぼ無敵の強さを誇っていたと言う。果たして、マサトはこのルカリオを相手に、どう立ち向かっていくのだろうか。 (3) マサトとユウジのバトルは、マサトがリザードンを倒されたものの、ユウジのカメックスとシビルドンを撃破、残りポケモンの数でマサトが一歩リードしていた。だがユウジが次に繰り出したのは、かつてミキのルカリオと強力なコンビを組んでいたと言うルカリオだった。 ユウジ「ルカリオ、りゅうのはどう!」 ルカリオがりゅうのはどうを放つ。ドラゴンタイプの技は同じドラゴンタイプに対して抜群のダメージを与えることができる。ガブリアスにしてみれば警戒すべき技だ。 マサト「ガブリアス、りゅうのはどう!」 ガブリアスも負けじとりゅうのはどうを打ち返す。フィールドの中央で2つのりゅうのはどうが激しくぶつかり合い、すさまじい衝撃波が起きた。 マサト「ガブリアス、続いてかわらわり!」 ガブリアスがかわらわりの体制に入る。 ユウジ「ルカリオ、ガブリアスの懐に潜り込め!インファイト!」 マサト「ガブリアス、気を付けるんだ!」 ガブリアスは勢いよくかわらわりを繰り出した。だがルカリオは素早い身のこなしで攻撃をかわすと、そのままガブリアスの懐に入り込んでインファイトを打ち込んだ。 マサト「ガブリアス!」 ガブリアスは勢いよく吹っ飛ばされていく。 ユウジ「今だ!ルカリオ、りゅうのはどう!」 マサト「体制を立て直すんだ!」 だがマサトの声もむなしくりゅうのはどうがガブリアスにクリーンヒットした。立て続けに技を受けたガブリアスはさらに吹っ飛ばされてしまい、ポケモンセンターの前にある道路の反対側まで飛ばされてしまった。もちろん戦闘不能となっていたのは言うまでもない。 タカノリ「ガブリアス、戦闘不能。ルカリオの勝ち!」 マサト「ガブリアス!」 マサトはガブリアスのもとに駆け寄る。――ガブリアスは技を連続して受けたことでダメージが蓄積されていたが、それでもどうにかしてマサトの声に応えていた。 コトミ「ガブリアス、あそこまで吹っ飛ばされてしまうなんて、かなりダメージを受けたみたいね。」 ミキ「あのルカリオは並大抵の実力では倒せないわ。マサト君、かなり手こずらされそうね。」 マサト「戻れ、ガブリアス!」 マサトはガブリアスをモンスターボールに戻した。 ユウジ「俺のルカリオ、まだ本気にもなっていないぜ!」 マサト「これでもまだ本番のメンバーではないのか!?」 ユウジ「ああ。次はどのポケモンだ?」 マサト「(ユウジ・・・。ミキさんとかつて何が起きたのか、僕は知らない。だけど勝ちにいく!)行け、スリーパー!」 マサトはスリーパーを繰り出した。 コトミ「マサト、次はスリーパーね。」 ミキ「でもルカリオはあくのはどうを使うこともあるわ。あくのはどうをまともに受けたらエスパータイプのスリーパーは大きなダメージになるわ。注意が必要ね。」 ユウジ「ルカリオ、あくのはどう!」 ミキの心配は的中してしまった。ルカリオはエスパータイプに対して効果抜群なあくのはどうを放った。 マサト「(やはりそうか!)スリーパー、サイコキネシスであくのはどうの向きを変えるんだ!」 スリーパーはサイコキネシスを放ってあくのはどうの方向を変えた。 マサト「スリーパー、続いてかみなりパンチ!」 スリーパーがかみなりパンチを放つ。 ユウジ「ルカリオ、かわしてアイアンテール!」 ルカリオはかみなりパンチを素早くかわすと、アイアンテールを繰り出した。アイアンテールはスリーパーの頭上から繰り出され、大ダメージとなってスリーパーに襲いかかった。 マサト「ああっ、スリーパー!」 スリーパーはそのままフィールドに崩れ落ちてしまった。 マサト「スリーパー、まだバトルできる?」 スリーパーは辛うじて立ち上がった。しかしさっきのアイアンテールが効いたのだろうか、立っているのもやっとと言ったところだった。 ユウジ「ふっ。ポケモンはボロボロだと言うのにまだ分からないのか。ルカリオ、はどうだんだ!」 ルカリオのはどうだんがスリーパーに迫る。効果は今一つとは言え、足元もおぼつかない状態のスリーパーにとってみればダメージを受けたら即戦闘不能となるのは免れなかった。 マサト「スリーパー!!」 マサトは声を限りに叫んだ。 と、スリーパーは拳を握ったかと思うと、勢いよく拳を繰り出した。その拳から放たれたパンチははどうだんを打ち砕いただけでなく、そのままルカリオに命中、勢いよく吹っ飛ばしてしまった。 コトミ「今のは!?」 ミキ「間違いないわ。あの技はきあいパンチよ!」 コトミ「きあいパンチ?」 ミキ「うん。きあいパンチはかくとうタイプの技。集中力を高めて強烈なパンチを放つのよ。ルカリオはかくとうタイプだけど、はがねタイプも併せ持っているから、受けるダメージが大きくなるわ。」 ユウジ「だが所詮スリーパーの体力はあとわずかだ!ルカリオ、バレットパンチ!」 マサト「スリーパー、もう一度きあいパンチ!」 ルカリオは体制を立て直すと、パレットパンチで勢いよく突っ込んだ。スリーパーもきあいパンチの体制に入ったが、バレットパンチをまともに受けてしまい、勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 マサト「スリーパー!」 スリーパーはそのままフィールドに叩きつけられ、戦闘不能となってしまった。 タカノリ「スリーパー、戦闘不能。ルカリオの勝ち!」 マサト「戻れ、スリーパー!」 マサトはスリーパーをモンスターボールに戻した。 コトミ「あのルカリオ、強いわね。」 ミキ「あたしのルカリオと組んでいたときの実力と全く変わっていないわ。あの人も腕を上げたのね。」 ユウジ「きあいパンチは出さないうちに技のダメージを受けると技が出せなくなる。それは知っていて当然だろう?」 マサト「だからどうしたんだ!」 ユウジ「・・・。それは自分で考えてみろ。」 マサト「何っ!」 ユウジ「これでお前のポケモンは3匹倒れた。ここからはダブルバトルだ。2匹ずつ出してバトルすることになる。分かってるな。」 マサト「はい。」 ユウジ「出番だ、ゼブライカ!」 ユウジは再びゼブライカを繰り出した。 コトミ「またゼブライカね。」 ミキ「マサト君はどう言ったポケモンを出すのかしら。」 マサト「行け、ユキメノコ!」 マサトは再びユキメノコを繰り出す。 コトミ「えっ?ユキメノコだけ?」 ミキ「と言うことはマサト君、サーナイトを使うのかしら。」 マサト「サーナイト、行ってくれる?」 サーナイトはしっかりとうなずいた。 マサト「うん!行け、サーナイト!」 サーナイトもユキメノコに続いてバトルフィールドに足を踏み入れた。 ユウジ「そのサーナイトがお前のパートナーか。果たしてどこまで俺に太刀打ちできるかな?」 マサト「やってみせる!」 本気のポケモンではないと言っていたユウジ。だがマサトはユウジのポケモンに3体を倒され、残りポケモンの数で不利なまま後半戦、ダブルバトルに突入してしまった。果たして、マサトはこの状況をどう打破していくのだろうか。そして、このバトルに勝利を収めるのは、マサトか、それともユウジか。 後編に続く。 <このお話の履歴> 全編書き下ろし。