Chapter-59『シュウホウ大学・学園祭!初めてのトリプルバトル!!』 (1) ヤマブキシティのウォークラリーが行われた翌日、キョウスケとマナミが通う大学であるシュウホウ大学の学園祭・「シュウホウ・フェスティバル」が行われることになった。 今回、シュウホウ大学のみならず、学園祭とポケモンリーグがコラボしたイベントが各地で行われることになっており、ポケモンバトルやポケモンのプレゼントも行われることになっていたのである。 マサト「それで、シュウホウ大学ってどこにあるんですか?」 ミキ「リバーサイドガーデンにあるわ。ここから行くと、チリーンチューブからクルミルチューブに乗り換えることになるわね。」 ミキはそう言って、10以上の路線が走っているヤマブキメトロレールの路線図を見せた。――ブライトンハイツからヤマブキシティの中心部を取り囲む形で走るチリーンチューブは濃い赤で示されており、途中多くの駅で他の路線と接続している。一方のクルミルチューブはハナダシティのハナダジム駅を起点に、ヤマブキシティを南北に縦断する形で走っており、クチバシティのクチバ港まで乗り入れていた。そしてチリーンチューブとクルミルチューブは途中の駅で接続しており、ハナダジム方面行きに乗り換えて3駅行くと、シュウホウ大学の最寄り駅であるリバーサイドガーデン駅だった。 コトミ「そう言えばキョウスケさんとマナミさんもこのイベントに協力しているのかしら。」 ミキ「多分そうだと思うわ。あたし達も参加してみましょう!」 マサト「うん!負けられないね、サーナイト!」 コトミ「あたし達もしっかりやらないとね、エルレイド!」 サーナイトとエルレイドは大きくうなずいた。 ブライトンハイツから地下鉄を乗り継いで行き、マサト達はリバーサイドガーデン駅に到着した。シュウホウ大学のメインキャンパスであるリバーサイドガーデン・キャンパスはここから歩いて7、8分のところにある。 マサト「向こうは大きなビルがたくさん建っていますけど、この辺は緑が多くて静かですね。」 コトミ「都心の真ん中って言うのを忘れてしまいますね。」 ミキ「うん。リバーサイドガーデンは古くから緑豊かな一帯だったのよ。木々が多くて、きれいな川が流れていることから、たくさんのポケモンが生活しているわ。」 マサト「川づたいに歩いていけばシュウホウ大学ですね。」 ミキ「そうよ。じゃあ早速行きましょう!」 ほどなくして大きなビルが見えてきた。このビルはシュウホウ大学リバーサイドガーデン・キャンパスの校舎の1つにして重要な施設、シュウホウセントラルタワーである。 マサト「ここがシュウホウ大学になるんですね。」 コトミ「かなり設備が整っているんですね。大学というよりオフィスという感じがするわ。」 ミキ「シュウホウ大学は、カントーはもちろん全国でも名の知れた大学の1つなのよ。創設されて60年以上になる、由緒正しい学校だわ。キャンパスはここ以外にもヤマブキシティ近郊に2つ設置されていて、それらにも多くの学生が通っているわ。もちろん、ポケモンリーグの四天王やジムリーダーの多くも輩出しているわ。」 マサト「今の四天王やジムリーダーで、シュウホウ大学の卒業生っているんですか?」 ミキ「ジョウトリーグでルリカさんと一緒に四天王を務めているヒデアキさんっていう方も、このシュウホウ大学の卒業生なのよ。でんきタイプを扱う四天王として知られているわ。就任したときはでんきタイプ初の四天王ということで、とても話題になったわ。」 コトミ「でんきのエキスパートって言うことになるんですね。と言うことはキョウスケさんとマナミさんの先輩になるんですよね。あたしも会ってみたいわ。」 ミキ「そうね。そう言えばマサト君とコトミちゃんは、どう言う形で回ろうと思うの?」 マサト「まずはポケモンのプレゼントはしっかりもらっておかないといけないですもんね。それからキョウスケさんとマナミさんを探すことにしたいと思います。」 コトミ「その後でバトル大会に出られたらなぁって思います。」 ミキ「でも中は広いし、上手く見つけられるかしら。もし分からなかったら、係の人に聞いてみることにしましょう!」 マサト・コトミ「はい!」 そう言いながらマサト達はセントラルタワーの入り口に到着した。ポケモンのプレゼントやポケモンバトルに参加する人も多いのか、たくさんの来客で賑わっていた。 マサト「こんにちは!」 守衛「こんにちは。シュウホウ・フェスティバルにようこそ。」 コトミ「まずお聞きしたいんですが、『ゲット・アンド・エヴォリューション』のポケモンプレゼントって、どこで行われているんですか?」 守衛「それでしたら、この入り口を入っていただいて、すぐ左手のスペースで行われています。ポケモンはランダムでプレゼントされますので、もし手持ちが6匹そろっているんでしたら、あらかじめ1匹、パソコンに預けておいてください。」 マサト「それと、ポケモンバトル大会って、どこで行われるんですか?」 守衛「セントラルタワーと第1校舎の間にある学生広場で行われます。まだ受付は始まっていませんけど、あまり迷惑はかけないでくださいね。」 コトミ「はい。」 マサト「ありがとうございました。」 守衛「どういたしまして。では楽しんでいってくださいね。」 マサト達は守衛に礼を言って、セントラルタワーに足を踏み入れていった。果たして、マサト達はどう言ったポケモンを受け取ることができるのだろうか。そして、バトル大会ではどう言った成績を収めるのだろうか。 (2) ヤマブキシティの中心部にほど近いリバーサイドガーデンにあるシュウホウ大学・リバーサイドガーデンキャンパス。ここではシュウホウ大学の学園祭・「シュウホウ・フェスティバル」が行われていた。 開学以来毎年行われており、すでに60回以上になるこの学園祭は、創立以来学生の自主性を尊重しながら行われており、毎年カントー地方のみならず各地から多くの学生やほかの来客が訪れ、賑わいを見せていた。とりわけ今回はポケモンリーグと学園祭のコラボレーション・イベント、「ゲット・アンド・エヴォリューション」を行う大学の1つに選ばれたことから、ポケモントレーナーやポケモンコーディネーターの姿も多く見受けられた。 セントラルタワーを入ってすぐ左に行くと、その「ゲット・アンド・エヴォリューション」のイベントの1つ、ポケモンのプレゼントコーナーだった。ここでは特別な方法で進化するポケモンがプレゼントされており、ランダムプレゼントという形態で1人1体受け取ることができた。 マサト「ここでポケモンを受け取れるんですね。」 コトミ「でもあたし達、手持ちが6匹揃ってるわ。誰か1匹を預けないと受け取れないわね。」 ミキ「そうね。まずはコスモスシステムを立ち上げることにしましょう!」 そう言うとマサト達は隅にあるパソコンに向かい、ポケモン預かりシステムを立ち上げた。コスモスシステムはコノハの育て屋に接続された。 コノハ「あ、マサト君達、こんにちは!」 マサト「コノハさん!」 コトミ「いつもご苦労様です。この前預けたフライゴンは元気ですか?」 コノハ「うん、とても元気にしてるわ。そう言えば、みんなは今どこにいるのかしら?」 マサト「ヤマブキシティのシュウホウ大学です。ポケモンリーグと学園祭がコラボしたイベントが行われていて、ポケモンのプレゼントもあるんです。」 コノハ「『ゲット・アンド・エヴォリューション』ね。それでポケモンをもらいに行っているのかしら。」 マサト「僕たちが旅の途中で知り合いになった方がこの大学の学生さんなんです。それと、ポケモンバトルの大会もあるんです。」 コノハ「そうなんだ。とても面白そうね。ところで、ポケモンのプレゼントって言うことは、誰か1匹を預けないといけないんでしょ?」 マサト「はい。誰を預ければいいでしょうか?」 コノハ「それはマサト君達にお任せするわ。」 マサト「じゃあ、ユキメノコを転送します。」 コトミ「あたしはヘラクロスにします。」 コノハ「分かったわ。じゃあユキメノコとヘラクロスを台に置いてくれるかしら。」 マサト・コトミ「はい。」 マサトはユキメノコの入ったモンスターボールを、コトミはヘラクロスの入ったモンスターボールを台に置いた。程なくしてボールは転送され、コノハの育て屋に預けられた。 コノハ「ポケモンは無事に受け取ったわ。マサト君、コトミちゃん、どんなポケモンをもらえるのかしら。楽しみね!」 マサト「はい!」 コトミ「じゃあ次はミキさん、どうします?」 ミキ「そうね。あたしも受け取ることにするわ。じゃあコノハさん、タカノリさんをお願いできるかしら?」 コノハ「分かったわ。タカノリさんにつなぐね。」 画面が切り替わり、タカノリの姿が画面に映し出された。 タカノリ「おお、マサト君達。昨日はどうも。」 マサト「はい。昨日はお疲れ様でした。」 ミキ「タカノリさん、ポケモンを1匹預かってもらえないかしら。」 タカノリ「と言うことは今シュウホウ大学にいるんだね。」 コトミ「はい。ポケモンのプレゼントがあるんで、手持ちを1匹空けてもらったんです。」 タカノリ「分かった。じゃあミキさん、どのポケモンを送る?」 ミキ「そうね、じゃあラティオスにするわ。今から転送するわね。」 ミキはそう言うとラティオスの入ったモンスターボールを転送台に置いた。間もなくしてボールが台から消え、タカノリの元に送られた。 タカノリ「転送完了したよ。ラティオスはしっかり預かっておいたからね。」 ミキ「ありがとう!」 タカノリ「マサト君とコトミちゃんも、バトル大会、参加するんだよね?しっかりバトルしてね!」 マサト「はい!」 コトミ「それじゃ、行ってきます!」 タカノリは親指を突き出して答えた。それと同時に通信が切れた。 ミキ「これで準備ができたわね。それじゃ、ポケモンをもらいに行きましょう!」 マサト・コトミ「はい!」 ポケモンのプレゼントコーナーにはすでにたくさんの人が列を作っており、係員を増やして対応に追われていた。 説明によると、ポケモンはプレシャスボールに入った形でプレゼントされるのだという。ナナシマで行われたバトルチャンピオンシップスのバトルスタンプラリーで記念品として配られたものと同じボールである。どのポケモンが入っているかは実際にボールを開けてみてのお楽しみと言うことになっていた。なお、列に並んだときにもらった記念のクリアファイルによると、もらえるポケモンとしてはゴーリキー、ヤドン、ゴースト、ストライク、エレブー、ブーバー、そしてイッシュ地方に生息するカブルモとチョボマキの8種類の中からプレゼントされることになっていた。 マサト「全部特別な方法で進化するポケモンですね。」 コトミ「そのままで進化するポケモンもいれば、特別な道具を持たせることで進化するポケモンもいるわ。それと、カブルモとチョボマキもそう言ったパターンのポケモンになるわね。」 マサトとコトミはポケモン図鑑を取り出してカブルモとチョボマキをそれぞれチェックした。 ミキ「うん。例えばポケモンを預かりシステムに預けること。またはポケモンセンターにある通信交換システムを使うことで進化できるわ。ゴーリキーとゴーストはそのまま、ヤドンはおうじゃのしるし、ストライクはメタルコート、エレブーはエレキブースター、そしてブーバーはマグマブースターを使うことで進化できるわ。」 マサト「じゃあ、カブルモとチョボマキはどうすれば進化できるんですか?」 ミキ「これはちょっと特殊な方法になるわ。一方がカブルモ、もう一方がチョボマキを交換に出さないと進化できないのよ。そして、カブルモとチョボマキを交換すると、カブルモはシュバルゴ、チョボマキはアギルダーにそれぞれ進化するわ。あたしもこの進化方法は珍しいパターンだって思ってるわ。」 コトミ「そうなんですかぁ。マサト、どう言うポケモンをもらえるのかしら。気になるわね!」 マサト「そうだね!」 そう言っている間に、いよいよマサト達がポケモンを受け取る番になった。 係員「こんにちは。この中から好きなボールを選んでくださいね。」 見ると、数え切れないほどたくさんのプレシャスボール――それもコンパクトに収められており、果たしてどれだけのボールが用意されているのか、マサト達にも把握できなかった――が用意されており、その中から好きなボールを選ぶことになっていた。 マサト「僕、これにします!」 コトミ「あたしはこれにします!」 ミキ「あたしはこのボールです!」 マサト達は用意されたボールに手を突っ込み、その中から1個を取り出した。 係員「ありがとうございました。是非開けてみてください。」 見ると、すでにボールを受け取ったトレーナーやコーディネーターが思い思いにボールを開けており、新しくもらったポケモンと早速触れ合っていた。 ミキ「せっかくだし、みんな一緒に出してみましょう!ね!」 マサト・コトミ「うん!」 一同「せーの!」 マサト達は勢いよくボールを投げた。――マサトの投げたボールからはブーバー、コトミの投げたボールからはヤドン、ミキの投げたボールからはゴーリキーがそれぞれ飛び出してきた。 マサト「僕はブーバーだね!」 コトミ「あたしはヤドンだわ!」 ミキ「あたしはゴーリキーね。みんなそれぞれ通信交換を通せばポケモンも進化するわね。」 マサト「うん!よろしくね、ブーバー!」 コトミ「これからよろしくね、ヤドン!」 ミキ「一緒に冒険しましょう!ゴーリキー!」 ブーバー、ヤドン、ゴーリキーの3体は大きくうなずき、マサト達の新しいポケモンとなったのだった。 ミキ「次はキョウスケさんとマナミさんに会いに行きましょう!」 マサト・コトミ「はい!」 (3) シュウホウ大学の学園祭・「シュウホウ・フェスティバル」を訪れたマサト達。まず立ち寄ったポケモンプレゼントコーナーにおいて、マサトはブーバー、コトミはヤドン、ミキはゴーリキーをそれぞれ新しい仲間に加えたのだった。 次はキョウスケとマナミを探すべく、大学内を見て回ることになった。が、肝心のキョウスケ達がどこにいるのか、実はマサト達はよく知らなかったのである。 マサト「でも、キョウスケさんとマナミさんって、どこにいるんだろう・・・?」 コトミ「そうね。あまりに広くて見つけるのが難しいかもしれないわ。」 ミキ「もしあたし達で見つけられなかったら、そこにインフォメーションが置かれているから、聞いてみた方がいいと思うわ。」 ミキが手で指し示したところにインフォメーション・ブースがあり、実行委員会を務めている学生が3名、パンフレットの配布や大学の案内を行っていた。 マサト「こんにちは。」 マサトが早速インフォメーションの学生に話を聞いてみた。 学生A「こんにちは。どう言ったご用件ですか?」 マサト「この大学に僕の知り合いがいるんですが、どの辺で活動してらっしゃるんでしょうか?」 学生B「シュウホウの学生さんですね。ではそのお方のお名前をお伺いします。」 マサト「キョウスケさんとマナミさんです。」 学生C「キョウスケさんとマナミさん、ですね。」 学生はそう言って学園祭のパンフレットをめくり始めた。 学生C「そうしますと、キョウスケさんはこの建物の2階にある第1教室でポケモンサークルの活動をやってますね。そこのエスカレーターを上っていけばいいかと思いますよ。」 マサト「ありがとうございます。それでマナミさんは・・・?」 学生B「マナミさんでしたらジャーマンポテトの販売に携わっているかと思いますけど、確か彼女、ポケモンのコスプレで校内を回っていると思いますよ。」 マサト「ポケモンのコスプレですか?」 学生A「はい。毎年ポケモンになりきって校内を回るコスプレ隊のイベントがあるんですけど、マナミさんはそのメンバーの1人に選ばれているんですよ。」 マサト「どのポケモンになりきってるんですか?」 学生B「それは私たちから言うことはできませんよ。是非自分で見つけてみてください。それとジャーマンポテトでしたら、いろいろな屋台が学生広場に出店してますんで、回っていけば見つけることができるかと思います。」 マサト「そうでしたか・・・。どうもありがとうございました。」 学生A「ありがとうございました。」 コトミ「どうだった?」 マサトは学生達とのやりとりを説明した。 コトミ「キョウスケさんは2階でポケモンサークルの活動に携わってるのね。そしてマナミさんはジャーマンポテトの販売とポケモンのコスプレを掛け持ちして大忙しって言うことかしら。いずれにしてもお会いしてみたいわ。」 ミキ「話は早いわ。早速行ってみましょう!」 マサト達はエスカレーターを上って2階に出た。シュウホウ・フェスティバルの告知や各サークルのいろいろな活動が掲示板に張り出されていた。それだけでもかなり規模の大きな学園祭ということが想像できた。 マサト「たくさんのサークルが活動してるんですね。」 コトミ「そうね。あ、この通路を行けば第1教室になるわ。」 ミキ「キョウスケさんはそこでサークル活動に励んでいると思うわ。行きましょう!」 マサト達は廊下をたどって第1教室に足を運んだ。そこはずばり「ポケモン大好きクラブ・シュウホウ大学支部」と言うサークルの活動と展示の場だった。 マサト「ここのサークルになるんですね。」 コトミ「お邪魔します。」 マサト達は教室に足を踏み入れた。トウカジムのバトルフィールドを一回り小さくした規模のスペースが設けられており、ちょうど学生の1人と挑戦者がポケモンバトルに励んでいた。 挑戦者「ゼニガメ、みずでっぽう!」 挑戦者のゼニガメがみずでっぽうを勢いよく放って学生のザングースに襲いかかる。 サークルの学生「ザングース、ブレイククロー!」 学生のザングースがブレイククローを放ち、みずでっぽうを打ち破る。そしてそのまま強烈なブレイククローがゼニガメに襲いかかった。 挑戦者「ああっ、ゼニガメ!」 印象的なコスプレの男性が審判を務めており、勝敗の判定を行った。――ノースリーブの黒い衣装を身にまとった男性。紙にはピンクの花飾りがあしらわれていた。 コスプレの学生「ゼニガメ、戦闘不能。ザングースの勝ち!」 マサトはそれを見ながら、学生の1人にキョウスケを訪ねることにした。 マサト「すみません。ここにキョウスケさんっていう方はいらっしゃいますでしょうか?」 キョウスケの声「私ですが。」 キョウスケの声がした。何とその印象的なコスプレを身にまとった審判役の学生だった。 コトミ「キョウスケさん!」 キョウスケ「皆さん!どうもこんにちは。ご無沙汰しておりました。」 マサト「お久しぶりです。」 ミキ「お元気そうで何よりです。」 キョウスケ「どういたしまして。皆さんはもう下のポケモンは受け取られたんですか?」 コトミ「はい。あたしはヤドンでした。マサトはブーバー。ミキさんはゴーリキーだったんです。」 キョウスケ「そうでしたか。あ、せっかくですので私たちのサークルを見学して行かれますか?」 マサト「そうしたいんですけど、まだマナミさんにお会いしてなくて・・・。」 キョウスケ「マナミさんはたぶん下でジャーマンポテトの販売に携わっているかと思いますよ。私も審判の仕事がまだありますんで、落ち着いたら是非また見に来てください。それと、バトルイベントは皆さんは出られるんですか?」 マサト「はい。僕たちも参加するつもりです。」 キョウスケ「なら、学生広場でもうすぐ受付が始まりますんで、是非行ってみてください。私とマナミさんも司会進行を担当するんですよ。それも是非注目してください!」 コトミ「すごいですね!あたしも応援してます!」 ミキ「ではまた後ほど!」 マサト達は大好きクラブのサークル活動が行われている教室を出ると、エスカレーターで下に降りていき、学生広場に出た。 そこはいろいろな屋台が軒を連ねており、多くの学生が売り子として販売に携わっていた。その数や半端なものではない。かつてマサトが見たホウエンリーグ・サイユウ大会やこの前のナナシマ・バトルチャンピオンシップスにも匹敵する規模だった。そしてそれを求めて多くの来場者が屋台に並んでいる。まさしく規模も桁違いだった。 マサト「たくさんの屋台があるんですね。」 コトミ「どれも美味しそうね。いろんなものを食べたくなるわ。」 ミキ「そうね。でもこれだけたくさんの屋台が軒を連ねてたら、マナミさんを見つけるのはかなり難しそうね。屋台だけでもあちこちにあるから、どこで何を売ってるのか分からなくなっちゃうかもしれないわ。」 確かにたくさんの屋台が出店しており、ポケモン焼き、クレープ、ワッフル、チュロスと言った食べ物や、サイコソーダ、ミックスオレ、モーモーミルクなど、トレーナーやコーディネーターだけでなくポケモンも喜ぶ飲み物の販売も行われている。しかもそれらに関連した売り子が広場を練り歩いているのも見受けられた。だがマナミとおぼしきコスプレの女性はどこにも見当たらなかった。それどころかジャーマンポテトの売り子の姿も見受けられない。 ミキ「たくさん人がいすぎて分からないかもしれないわ。そうね、山積みにされたモンスターボールから1匹のビリリダマを見つけるのに匹敵するかもしれないわ。」 トレーナーなら誰でも持ち歩いているモンスターボール。それと非常に姿形がそっくりなのがビリリダマである。だが山積みにされたモンスターボールから1匹のビリリダマを見つけ出せと言われると簡単に見つかるはずもないのが実情である。見つけるだけでかなりな時間を費やすのは確実だ。 コトミ「でも学生さんに聞いていけば、意外と簡単に見つけられるかもしれないですね。むしろそうした方が早いと思いますけど・・・。」 マサト「あ!」 マサトが思わず声を上げた。――マサトの視線の向こう、学生広場の階段を上がったところに2人の男子学生が売り子として練り歩いていた。それもジャーマンポテトを売っていたではないか。 コトミ「あの人達ならマナミさんのことも知ってるかもしれないわ。行ってみましょう!」 マサト・ミキ「はい!」 言うが早いか、マサト達はそのジャーマンポテト売りの学生に話しかけてみた。 マサト「こんにちは。」 ジャーマンポテト売りの学生「こんにちは。」 コトミ「あたし達、知っている方がこの大学の学生さんなんですけど、ご存じないでしょうか?」 ジャーマンポテト売りの学生「そうなんですか。知っている方がうちの学生で光栄です。どう言った方でしょうか?」 マサト「マナミさんって言いまして、確かコスプレして校内を歩いていると思うんです。それにジャーマンポテトの販売にも携わっているって伺ったのですが・・・。」 ジャーマンポテト売りの学生「マナミさんですか?彼女なら今ちょうど衣装合わせの真っ最中でして、もうすぐしたらおいでになると思いますよ。」 コトミ「どう言った衣装なんですか?」 ジャーマンポテト売りの学生「ええ、マニューラをモチーフにした衣装でして、マナミさんがいたら売り上げ10倍、大盛況間違いなしですよ!とにかく一発でマナミさんだって思いますんで、すぐ分かると思いますよ!」 ミキ「本当ですか?」 ジャーマンポテト売りの学生「ええ。彼女がいたらたちどころに売り上げがうなぎ登りです。どれだけ作っても足りなくなるって言う、まさにうちらのマスコットみたいな存在ですよ!とにかくすぐ分かると思います!」 マサト「そうですか!あ、じゃあ僕もください!」 コトミ「あたしも!」 ミキ「あたしもお願いします!」 マサト達は近くのベンチに座り、封を開けた。ジャガイモとベーコンとタマネギをハーブなどをきかせて炒めた代物で、なかなか味もよくできていた。 マサト「美味しいですね。」 コトミ「そうね。マサト、マナミさんが現れたら報告してね!」 マサト「うん!」 ミキ「分かったわ。でもマナミさんって、この大学ではかなり有名な方みたいね。もしかするとキョウスケさん以上に有名な方なのかもしれないわ。」 マサト「そうかもしれないですね。だってさっきの学生さんも『マナミさんがいたら売り上げ10倍!』って言っていたほどですし、大学ではかなりの有名人みたいですね。もしかすると僕たちはそう言った有名な方と知り合いになったのかもしれないですね。」 コトミ「ね。マサトって本当に有名な方が知り合いでうらやましいわ。ポケモンマスターのサトシ君やポケモンドクターのタケシ君はホウエンやカントーを一緒に冒険していたって言うし、トップコーディネーターのハルカさんに至ってはお姉さん、センリさんはお父さんになるんでしょ?あたしもそう言った人たちと一緒に冒険してたら、ちょっとは違った旅になってたのかなぁ。」 ミキ「ううん。そうやって比べることはないわ。マサト君はジムリーダーのお子さんかもしれないけど、でもそれだけで有名な方と知り合いになれるって言ったら違うと思うわ。コトミちゃんもトレーナーやコーディネーターとたくさんの出会いを重ねて、そしてトレーナーとして、コーディネーターとして成長していくんだと思うわ。」 コトミ「そうですね。」 ミキ「あ、もしかしたらあのコスプレがマナミさんかしら?」 ミキがコトミの言葉を遮って言った。ちょうど広場の脇を通っていく特徴的なコスプレの女性が目に入ったのである。――黒のスーツは誰もが振り返る印象的なものだった。さらに紫色のかつらをかぶり、頭には赤い扇子を飾っていた。マニューラを意識して仕上げたのは一目瞭然だった。それに背格好からしてもほぼ間違いない。マナミだった。 マサト「マナミさんだ!」 コトミ「行ってみましょう!」 ミキ「うん!あ、でもちゃんと残さないで食べないとね。作った方に失礼になるわ!」 マサト達はジャーマンポテトの残りをかき込む形で食べ終えると、マナミが歩いて行った方向に向かっていった。 研究棟の建物を通り抜けると、周辺の施設に囲まれた中庭になっていた。ちょうどジャーマンポテトの屋台が運営されていた。そこでマサト達はマナミに追いついた。 マサト「マナミさん!」 マナミ「あ、マサト君!コトミちゃんにミキさんも!」 コトミ「お久しぶりです。」 ミキ「ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです。」 マナミ「ありがとう。みんなも元気そうね。どう?このコスプレ、似合ってる?」 マサト「はい、とてもお似合いです。マニューラをモチーフにしたんですね。」 マナミ「そうよ。これでも結構時間がかかったのよ。あ、そうだ。キョウスケさんにはお会いしたの?」 コトミ「はい。上の大好きクラブのサークルにさっきお邪魔してきました。」 ミキ「ポケモンのプレゼントも受け取ってきました。マサト君はブーバー、コトミちゃんはヤドンでした。あたしはゴーリキーだったんです。」 マナミ「みんな強そうなポケモンをもらえてよかったわ。しっかり育ててね!」 一同「はい!」 マナミ「ところで、みんなはこれから行われるポケモンバトル大会には出るの?」 マサト「はい。そう言えば受付はどこで行われるんでしょうか?」 マナミ「そこで行われるわ。もうすぐしたら受付が始まるから、みんな、しっかりバトルしてね!」 (4) シュウホウ大学の学園祭・「シュウホウ・フェスティバル」。マサト達はこの大学に通う学生であるキョウスケとマナミを訪ね、さらにポケモンリーグと学園祭がコラボレーションしたイベントである「ゲット・アンド・エヴォリューション」にも参加するべく、この学園祭を訪れていた。 マサト達はポケモンを受け取った後、学内を散策。ポケモンのサークルに携わっていたキョウスケ、そしてマニューラをモチーフにしたコスプレで学内を回っていたマナミと再会。そしてコラボレーションの1つであるポケモンバトル大会にも参加することになったのである。 キョウスケ「今日は突き抜ける青空の下、シュウホウ・フェスティバルのポケモンバトル大会に参加してくれてどうもありがとう!」 マナミ「全国のポケモンリーグと大学の学園祭がコラボして実現した『ゲット・アンド・エヴォリューション』。今回、私たちシュウホウ大学のシュウホウ・フェスティバルとカントーリーグのコラボが実現して、こうしてポケモンバトル大会が行われることになったんです!」 キョウスケ「セントラルタワーの1階では学園祭を記念したポケモンのプレゼントも行われておりますんで、皆さん、是非受け取ってくださいね!」 マナミ「さて、こちらではこれからポケモンバトル大会を行いたいと思います!ルールは至ってシンプルなトーナメント方式。勝ち抜いて見事優勝された方には、私たちから素敵なプレゼントをご用意いたしております!」 キョウスケ「さあ、今回のルールは何と!イッシュ地方でよく行われているトリプルバトルで行います!使用ポケモンは3体。お互いに3体ずつ出して行う方式です!」 マナミ「シングルバトルやダブルバトルはやったことがある方も多いかもしれないですけど、今回はトリプルバトルって言いまして、一度に3体出して対戦するんです。キョウスケさんも言っていましたけど、イッシュ地方ではトリプルバトルがごく自然に行われているんですが、カントーやジョウトなどではあまりなじみがないかと思います。ですが今回、皆さんも実際に体験して、トリプルバトルのおもしろさを理解していただきたいと思っています!」 マサト「トリプルバトル?」 ミキ「うん。キョウスケさんやマナミさんも言ってたけど、お互いにポケモンを3体出してバトルする形式なのよ。あたしも以前やってみたことがあるんだけど、シングルバトルやダブルバトルとはまた違った戦略が試されるわ。でもやってみるとなかなか面白いわよ。マサト君、コトミちゃん、しっかりバトルしましょう!」 マサト・コトミ「はい!」 キョウスケ「さあ、まずは1回戦第1試合です!果たして、どう言ったバトルが私たちを熱くさせてくれるのでしょうか!」 マナミ「ではまいります!試合開始!」 マサト「行け!サーナイト!」 コトミ「行くわよ!エルレイド!」 ミキ「行ってらっしゃい!エーフィ!」 マサトはサーナイト、コトミはエルレイド、ミキはエーフィを中心にしたパーティでそれぞれ勝ち進んでいく。しかし参加者もかなりのレベルと言うこともあり、コトミは準々決勝で、そしてミキも準決勝で敗れてしまった。残るマサトは準決勝も勝ち進み、決勝戦に駒を進めることになったのである。そしてマサトの決勝戦の相手は、シオンタウン出身のコウジ。シュウホウ大学の学生の1人で、カントーリーグに挑戦しているトレーナーだった。 キョウスケ「さあ、シュウホウ・フェスティバル、ポケモンバトル大会もいよいよ大詰め、決勝戦です!」 マナミ「決勝まで駒を進めたのは、トウカシティ出身のマサト君と、我がシュウホウ大学の学生にしてシオンタウン出身のコウジさんです!」 キョウスケ「果たして、マサト君とコウジさん、どちらが優勝の栄冠を手にすることができるのでしょうか?決勝だけにこれまでに例を見ない激闘が予想されます。さあお二方、ご挨拶と握手で試合を始めることにしましょう!」 コウジ「センリさんのお子さんだそうですね。だからといって手加減はいたしません!全力でお相手いたします!」 マサト「はい!僕の方こそよろしくお願いいたします!」 キョウスケ・マナミ「それでは試合開始!」 〜挿入歌:『ベストウイッシュ!』が流れる〜 マサト「行け!サーナイト、ガブリアス、ブーバー!」 マサトはサーナイト、ガブリアス、ブーバーの3体を繰り出した。 コウジ「出番だ!カイリュー、ヨノワール、グランブル!」 コウジはカイリュー、ヨノワール、グランブルの3体を繰り出した。 コトミ「あのポケモンがグランブルね。」 コトミはポケモン図鑑を取り出してグランブルをチェックする。 ミキ「カイリューの素早さを生かして先制攻撃しながらヨノワールとグランブルで受けに入るパーティーね。もしカイリューが敗れてもヨノワールがトリックルームを使って素早さの遅い方から素早く攻撃する手段を併せ持っていると思うわ。ほかにもいろいろなパターンが考えられそうね。マサト君はどう立ち向かうのかしら。」 コウジ「カイリュー、サーナイトにフリーフォールだ!」 マサト「フリーフォール!?」 ヨシノシティでマドカとバトルしたとき、ウォーグルが繰り出していたフリーフォール。それをコウジのカイリューも使いこなすというのだろうか。 マサト「サーナイト、テレポートでかわせ!」 サーナイトはテレポートでかわそうとする。だがカイリューは予想外に素早く、たちまちのうちにサーナイトを上空に連れ去ってしまった。 コトミ「早い!」 ミキ「何て言う早さなのかしら。マサト君、ちょっと厳しいバトルになりそうね。」 コウジ「ヨノワール、じゅうりょくだ!」 マサト「じゅうりょく!?」 じゅうりょく。それは空中に浮いているポケモンを一定時間地面に下ろすことができる技だった。この技が働いている間はそらをとぶやとびはねると言った空中を利用する技を使うことができない代わりにひこうタイプのポケモンの多くがじめんタイプの技を受けやすくなる。だが・・・。 ミキ「まずいわ。じゅうりょくを受けるとマサト君のサーナイトはしばらく行動ができなくなるわ(※1)!」 コトミ「どうして?」 ミキ「フリーフォールを受けている状態でじゅうりょくを使われると、受けたポケモンは大きなダメージを受けて、しばらくの間行動ができなくなってしまうのよ。コウジさん、かなり強いトレーナーね・・・。」 重力が強くなり、カイリューとサーナイトは地上に降ろされた。サーナイトは衝撃で地面に叩き付けられ、大きなダメージを受けてしまった。 マサト「サーナイト!」 キョウスケ「これは何というコンビネーション!」 マナミ「フリーフォールとじゅうりょくがもたらす凄まじいまでのコンビネーション!サーナイトはじゅうりょくに翻弄されて思い通りに行動できなくなってしまいました!」 コウジ「カイリュー、サーナイトにつばさでうつ攻撃!」 マサト「サーナイト、テレポート!」 だがサーナイトはじゅうりょくの影響を受けており、全く行動できなくなってしまった。そこにカイリューのつばさでうつが迫る。 マサト「ガブリアス、りゅうせいぐんでカイリューを狙え!」 とっさの判断だった。ガブリアスが放ったりゅうせいぐんはじゅうりょくの影響も受けてか、打ち上げてすぐ大きな固まりとなって地面に落下した。落下しながら無数の小さな固まりとなってコウジのポケモンに迫る。 コウジ「グランブル、はかいこうせん!」 グランブルがはかいこうせんを放つ。はかいこうせんは小さな固まりのいくつかを打ち落としたが、それでも全部の固まりを打ち落とすことはできず、それらが文字通り雨のごとくコウジのポケモンに次々と襲いかかったのだった。 じゅうりょくで勢いを増したりゅうせいぐんをまともに受けた3匹は勢いよく吹っ飛ばされてしまった。とりわけカイリューはドラゴンタイプ。同じドラゴンタイプの技を受けると効果は抜群だった。 コウジ「カイリュー!ヨノワール、グランブル!」 カイリューは向こうの芝生まで吹っ飛ばされてしまい、戦闘不能となっていた。ヨノワールとグランブルはどうにかして持ちこたえたが、それでもかなりのダメージを受けているのは容易に想像できた。そしてさっきのフリーフォールを受けたサーナイトはまだ回復し切れていない。 キョウスケ「カイリュー、戦闘不能。ガブリアスの勝ち!」 マナミ「じゅうりょく作戦が裏目に出たか!?コウジさん、早くもカイリューがノックアウト!しかしマサト君もまだサーナイトが戦闘に復帰できません!実質2VS2となっています!」 コウジ「やるね、マサト君。じゅうりょくを逆手にとるとは、さすがはセンリさんのお子さんだね。」 マサト「コウジさんも、いつもキョウスケさんやマナミさんを相手にバトルしているんだと思います。かなりの腕前ですね。」 コウジ「ありがとう。なら次はこの作戦で行きます!ヨノワール、トリックルーム!」 ヨノワールがトリックルームを放った。ミキの予想通りだった。比較的遅いポケモンであるヨノワールとグランブルの行動がトリックルームで素早くなる。反して素早く行動できるガブリアスにしてみれば致命的なハンディキャップを負うことになってしまった。 コウジ「続いてヨノワール、サーナイトにシャドーパンチ!グランブルはブーバーにかいりき!」 ヨノワールが目にもとまらぬ素早い行動でサーナイトにシャドーパンチを繰り出した。じゅうりょくの呪縛で思い通りの行動ができないサーナイトは勢いよく吹っ飛ばされる。効果は抜群だ。さらにグランブルもブーバーにかいりき攻撃を打ちかました。 マサト「サーナイト!ブーバー!」 サーナイトはじゅうりょくのダメージに加え、シャドーパンチをまともに受けたことも影響してか戦闘不能になってしまった。一方のブーバーはどうにか持ちこたえたが、それでもかなりのダメージを受けたことは一目瞭然だった。 キョウスケ「サーナイト、戦闘不能。ヨノワールの勝ち!」 マナミ「マサト君のサーナイト、何と1回も技を使うことができずにノックアウト!やはりフリーフォールとじゅうりょくのコンビネーションが効いてしまったのでしょうか。あら?」 見ると、グランブルの腕から炎が吹き上げているではないか。ほのおのパンチではない。これは・・・。 キョウスケ「おおっと!さっきのかいりきのときにブーバーの特性が発動したのでしょうか!?グランブル、やけど状態になってしまいました!」 コトミ「あれは!?」 ミキ「ブーバーの特性、ほのおのからだよ。直接攻撃を受けると、たまに相手をやけど状態にすることがあるわ。やけど状態になると攻撃力や素早さが下がって、不利になるわ。これは逆にマサト君、チャンスかもしれないわね。」 コウジ「だがその程度で俺たちにかなうかな?ヨノワール、ガブリアスにシャドーパンチ!グランブル、もう一度ブーバーにかいりき!」 マサト「ガブリアス、もう一度りゅうせいぐん!ブーバーはグランブルにかえんほうしゃだ!」 ガブリアスが高くりゅうせいぐんを打ち上げる。一方のブーバーもグランブルにかえんほうしゃを放った。だがヨノワールはりゅうせいぐんを巧みにかわしつつシャドーパンチを打ち込んだではないか。一方のグランブルもかえんほうしゃをかわしてしまった。 コトミ「早いわ!」 ミキ「トリックルームの効果ね。しばらくの間行動の遅いポケモンから先に行動できる。マサト君もバトルチャンピオンシップスで経験してるけど、コウジさんって言うトレーナー、かなり使い方をわきまえているわね。」 そしてグランブルのかいりきがブーバーに炸裂する。攻撃力が下がっていたとは言え、ブーバーはかなりのダメージを受けてしまった。だがまだ戦える。 コウジ「これでとどめだ!ヨノワール、ガブリアスにれいとうパンチ!グランブル、ブーバーにとどめのかいりき!」 ヨノワールのれいとうパンチとグランブルのかいりきがガブリアスとブーバーに迫った。まともに受ければれいとうパンチはじめんタイプとドラゴンタイプを併せ持つガブリアスにしてみれば致命傷。ブーバーもグランブルのかいりきを2発受けており、もう1発受ければ戦闘不能にもなりかねなかった。 マサト「ガブリアス!ブーバー!」 ガブリアスとブーバーはマサトの呼び声に応えたのか、雄叫びを上げた。 と、ブーバーの全身が白く光り始めたではないか。確か「交換することで進化する」と言うことになっていたはずだったが・・・(※2)。 コトミ「あれは!?」 ミキ「間違いないわ。進化が始まったのよ!」 ブーバーは受け取ったときにマグマブースターも一緒に持っていたのである。そしてマグマブースターの力が働き、ブーバーは光に包まれながら姿を変えていき、最終進化形態・ブーバーンに進化したのである。 マサト「ブーバー・・・、進化してブーバーンになったんだね!」 コウジ「ここで進化するとは素晴らしいですね。だが勝負もここまでです!ヨノワール、れいとうパンチ!グランブル、かいりき!」 マサト「ガブリアス、れいとうパンチにかみくだく攻撃!ブーバーンはグランブルにかえんほうしゃ!」 コウジ「何っ!?」 まさにヨノワールがれいとうパンチを繰り出そうとしたそのとき、ガブリアスが強烈なかみくだく攻撃を浴びせたのだった。ほぼ同時にグランブルもブーバーンに進化してさらに強力になったかえんほうしゃをもろに浴びてしまい、勢いよく吹っ飛ばされてしまった。 マサト「行け、ガブリアス!マックスパワーでりゅうせいぐんだ!」 ガブリアスはヨノワールに噛みついたまま勢いよくりゅうせいぐんを繰り出した。ヨノワールはりゅうせいぐんで一気に打ち上げられ、無数の小さな固まりと一緒に地上に落ちていった。そしてかえんほうしゃで吹っ飛ばされたグランブルと一緒に地面に叩き付けられ、2匹とも戦闘不能となっていた。 キョウスケ「ヨノワール、グランブル、両者戦闘不能。ガブリアスとブーバーンの勝ち!よって勝者、トウカシティのマサト君!」 マナミ「決着!シュウホウ・フェスティバル、ポケモンバトル大会の優勝は、ホウエン地方はトウカシティからジョウトリーグに挑戦中、今回シュウホウ・フェスティバルに遊びに来てくれたマサト君でした!」 キョウスケ「おめでとう、マサト君。これは今回のポケモンバトル大会を優勝した証、おうじゃのしるしだ。ポケモンに持たせると、特定のポケモンの進化に役立つほか、技を繰り出したとき、たまに相手が攻撃できなくなることがあるんだ。」 マナミ「コトミちゃんがもらったヤドン。この子もおうじゃのしるしの作用が働くと、ヤドキングに進化するのよ。」 マサト「ありがとうございます。よーし!おうじゃのしるし、ゲットでGO!!」 マサトはおうじゃのしるしを高く掲げた。サーナイト、ガブリアス、そしてブーバーンの3匹も飛び上がって喜びを分かち合っていた。 キョウスケ「と言うわけで、シュウホウ・フェスティバル、ポケモンバトル大会はこれにて閉会といたします。ではまたいつかお会いしましょう!」 マナミ「それでは皆さん、さようなら!」 盛大なる拍手がわき起こり、バトル大会を勝ち抜いたマサト、そしてほかの参加者をたたえていた。 〜挿入歌:『心のファンファーレ』が流れる〜 こうして、シュウホウ大学の学園祭・「シュウホウ・フェスティバル」も終わり、マサト達は再びジョウト地方に戻ってジョウトリーグとグランドフェスティバルに向けた挑戦が始まるのだった。 キョウスケ「マサト君達、本当にいろいろとありがとう!」 マナミ「これからもお互いにいいライバルとして、高め合えたらいいわね!」 マサト「はい。僕たちも今回受け取ったポケモン、大切に育てます!」 ミキ「コトミちゃん、ヤドンはおうじゃのしるしの作用でヤドキングになるけど、普通に進化させていくとヤドランになるわ。どのポケモンにするかは、コトミちゃん自身で判断すればいいと思うわ。」 コトミ「はい。ところで、キョウスケさんとマナミさんは、これからどうなされるんですか?」 キョウスケ「僕たちは学園祭の後片付けがあるから、ジョウトに戻るのはその後だね。マサト君、君の実力は半端なものではないね。これからの活躍、期待してるよ!」 マナミ「今度バトルするときは、お互いにもっとレベルアップしてたらいいわね。それじゃ、またお会いしましょう!」 マサト「はい!」 マサト達はキョウスケとマナミに見送られてシュウホウ大学を後にした。まず向かうのはブライトンハイツのミキの自宅だった。 ミキの母「ミキ、またジョウトに戻るんだね。」 ミキ「うん。あたし達はこれからジョウトに戻って、まずはヤギブシタウンのポケモンコンテストに出るつもりよ。あたしは出ないんだけど、マサト君とコトミちゃんが参加することにしてるから、あたしは観客席から応援するわ。」 マサト「いろいろとお世話になりました。」 コトミ「ありがとうございました。」 ミキの母「こちらこそどうもありがとうね。マサト君にコトミちゃん、これからもミキのことをよろしくお願いいたしますね。」 マサト・コトミ「はい。」 ミキの母「ミキ、あまりマサト君とコトミちゃんに心配をかけないでね。」 ミキ「分かってるわ。これからももっと強いトレーナーやコーディネーターが現れると思うけど、でもあたし達ならきっと上手くやっていけると思うわ。ね!」 マサト・コトミ「はい!」 そしてマサト達は再びジョウトに向かって歩き始めた。向かうはブライトンハイツのリニアステーション。リニア鉄道に乗っていけばルートJ30ステーションからヤギブシタウンはすぐそばである。 ミキの母「気をつけるのよ!」 ミキ「うん!」 マサト・コトミ「ありがとうございました!」 そしてリニアステーションに着くと、マサト達はパソコンからタカノリに電話をかけた。 タカノリ「マサト君達だね。今どこにいるのかな?」 マサト「ブライトンハイツのリニアステーションです。ジョウト行きのリニアに乗るんです。」 タカノリ「そうか。またジョウトに戻るんだね。」 コトミ「それで、ポケモンを一度総入れ替えしたいと思うんです。」 タカノリ「そうか。手持ちが埋まった後もたくさんのポケモンをゲットしたから、ここで一度メンバーチェンジするんだね。分かった。では誰から行こうか?」 マサト「僕からでいいですか?」 タカノリ「分かった。マサト君、新しく連れて行くのはどのメンバーにするんだい?」 マサト「チコリータとツタージャ、リオル、ブーバーンです。」 タカノリ「サーナイトを入れて5匹だね。分かった。ポケモンの転送、よろしくね。」 マサト「はい。」 ポケモンの入ったモンスターボールが次々と転送されていく。タカノリもコノハの育て屋にアクセスしてポケモンを転送してもらっているのだろう。やがて、マサトの新しいメンバー5匹が出そろった。 タカノリ「無事に転送が終わったよ。ガブリアス、ギャラドス、スリーパー、リザードンはしっかり預かったからね。次は?」 コトミ「お願いします。」 タカノリ「コトミちゃんだね。新しいメンバーはどうするんだい?」 コトミ「そうですね、ゼニガメとポカブ、ゾロア、そしてヤドンにします。」 タカノリ「分かった。エルレイドを入れて5匹にするんだね。早速転送をお願いするね。」 コトミ「はい。」 コトミのポケモンも次々と転送されていき、やがて新しいメンバーがそろった。 タカノリ「転送が終了したよ。イーブイとミロカロスはしっかり預かっておいたよ。」 コトミ「ありがとうございました。」 タカノリ「最後はミキさんだね。どうする?」 ミキ「ミジュマルを連れて行くわ。」 タカノリ「そうか。と言うことはエーフィ以外は全部預けるっていうことでいいのかな?」 ミキ「いいわ。」 タカノリ「分かった。それじゃあミキさん、いつもみたいに転送よろしくね。」 ミキは手慣れた手つきでポケモンを転送していき、転送が終了した。 タカノリ「転送が終わったよ。ポケモンはしっかり預かっておいたからね。じゃあみんな、これからの活躍にも期待しているよ!」 一同「はい!」 タカノリ「またカントーを訪れたときは一緒にバトルしよう!ベスト・ウイッシュ!」 そう言ってタカノリは通信を切った。 ミキ「マサト君、コトミちゃん。それじゃ、行きましょう!」 マサト・コトミ「はい!」 こうして、マサト達は新しいメンバーとなり、気持ちも新たにジョウト地方での旅に戻っていくのだった。 次なる目的地はヤギブシタウン。そこではポケモンコンテスト・ヤギブシ大会が行われる。果たして、どう言った出会いが、そしてどう言ったライバルが、マサト達を待ち受けているのだろうか。 (※1)「フリーフォールとじゅうりょくの組み合わせについて」 ブラック・ホワイトでは、「フリーフォール状態でじゅうりょくを使うとフリーフォールされたポケモンは行動不能、使った側もボルトチェンジやとんぼがえりでも交代しなくなる」と言うバグがあり、この影響からWi-Fiランダムマッチでのフリーフォールの使用が停止される事態になってしまいましたが、ここでは地面に下ろされた影響で大きなダメージを受け、しばらく行動ができなくなってしまうと言うことにします。 (※2)「通信交換で進化するポケモンの扱いについて」 ゲームでは、通信交換で進化するポケモンは実際に通信交換の媒体を介することで進化しますが、アニメでは必ずしも通信交換の描写がなされていないことから、一定の時間を経過することでも進化するものとします。 Chapter-60に続く。 <このお話の履歴> 全編書き下ろし。