Chapter-60『マサトVSコトミ!ポケモンコンテスト・ヤギブシ大会!!』 (1) マサト達はヤマブキシティからリニアに乗り、再びルートJ30・リニアステーションに降り立った。 マサト「あっという間でしたね。」 コトミ「明日がヤギブシ大会になるんでしたね。マサト、しっかり練習しないとね!」 マサト「そうだね。今のレベルのままだとユカリさんやアリサさんにも太刀打ちできないし、リボンだってゲットできないから、練習は欠かせないね。」 ミキ「そうね。今までカントーに行ってた分、しっかり取り戻さなきゃね。さあ、この道をまっすぐ行けばヤギブシタウンになるわ。マサト君、コトミちゃん、明日はしっかり演技してね!」 マサト・コトミ「はい!」 翌日――。 晴れ渡る空のもと、ヤギブシタウンの中央にあるヤギブシ地区地場産業センターにて、ポケモンコンテスト・ヤギブシ大会が行われることになった。 参加者はヨシノ大会と比べるとやや少ない。それだけマサトやコトミにも二次審査・コンテストバトルに進むチャンスが回る可能性があると言うことだが、逆にレベルの高いコーディネーターが集まっている可能性もある。油断はできなかった。 マサト「そう言えばアリサさんもいないね。」 コトミ「ここのコンテストはパスしたのかしら。」 と、そこにポケギアに連絡が入る。そのアリサからの連絡だった。 アリサ「こんにちは。」 マサト「あ、アリサさん!」 コトミ「元気でしたか?」 アリサ「うん、とっても元気にしてるわ。そう言えばマサト君とコトミちゃん、今、どこにいるの?」 マサト「ヤギブシタウンです。ポケモンコンテストのヤギブシ大会に出るんです。」 コトミ「アリサさんは今どこにいるんですか?」 アリサ「サンバタウンにいるわ。今度行われるポケモンコンテスト・サンバ大会に出るのよ。あたしはヤギブシ大会は参加できないけど、でもテレビの向こうから応援してるわ。2人ともいい演技にしてね!」 マサト・コトミ「はい!」 そう言うとアリサは通信を切った。 マサト「ヤギブシリボンは僕がゲットする!コトミ、僕も負けないよ!」 コトミ「あたしも負けてられないわ。マサト、リボンはあたしがもらうわ!」 そう言って、マサトとコトミは互いにうなずき合い、健闘を約束した。 ココアン「昨日、今日、そして明日。いつもどこかでコンテスト。お待たせいたしました。本日は夢の花咲く町、ヤギブシタウンからポケモンコンテスト・ヤギブシ大会をお送りいたします!」 ヤギブシ大会の模様はテレビを通じてジョウト地方中に伝えられており、サンバタウンにあるポケモンセンターでアリサ、そしてワカクサシティではユカリも観戦していた。 ココアン「それでは審査員の皆さま方をご紹介いたします。まずはヤギブシタウンのジョーイさん!」 ジョーイ「たくさんのコーディネーターの皆さんが繰り広げる演技。期待しています。」 ココアン「続いて、審査委員長を務めるポケモンコンテスト大会事務局長のコンテスタさん!」 コンテスタ「皆さん、たくさんのコーディネーターが織り成す美しい演技に注目したいですね。」 ココアン「そして、ポケモン大好きクラブ会長のスキゾーさん!」 スキゾー「好きですねぇ。」 ココアン「一次審査のパフォーマンスステージ、二次審査のコンテストバトルを勝ち抜き、見事優勝を勝ち取ったコーディネーターには、コンテスタさんからこのヤギブシリボンが贈呈されます!そしてリボンを5つ集めれば、夢のグランドフェスティバル!さらに、グランドフェスティバルに出場したコーディネーターが、さらにリボンを3つ集めれば、強豪がひしめくエキシビジョンマッチ!さあ、果たしてどう言った演技が繰り広げられるのでしょうか!」 ミキはその様子を観客席から見つめていた。 ミキ「(マサト君とコトミちゃん、この前のアリサさんの演技を見て、どう言ったものを感じたのかしら。あたしもしっかり応援しなきゃね。)」 ココアン「それでは最初のエントリーは、この方です!」 最初にステージに立つのはマサトだった。 ミキ「マサト君!緊張しないで、自分の思った通りに演技してね!」 マサト「チコリータ、シャイニング・オン!」 マサトはチコリータを繰り出した。しかしチコリータはゲットと同時にセンリの温室に預けられていたポケモンである。コンテストどころかバトルも今回が初めて。まさしくぶっつけ本番である。 果たして、マサトはチコリータにどう言った演技の指示をするのだろうか。 (2) ポケモンコンテスト・ヤギブシ大会は一次審査のパフォーマンスステージが開幕、一番手で登場したマサトはチコリータを繰り出した。だがチコリータはいきなり大舞台にデビューすることになったのである。 コトミ「チコリータ!?」 ミキ「確かチコリータって、センリさんの温室に預けられていたわね。手元に入ってすぐコンテストデビューって、マサト君、大丈夫かしら・・・。」 マサト「チコリータ、はっぱカッター!」 チコリータがはっぱカッターを繰り出す。頭の葉っぱを大きく振り回しながら繰り出されるはっぱカッターは円を描く形で会場に広がっていった。 ココアン「チコリータの美しいはっぱカッター!たくさんの葉っぱがステージを美しく舞い踊っています!」 マサト「チコリータ、続いてエナジーボール!」 チコリータがエナジーボールを放つ。はっぱカッターの間を通り抜ける形で打ち出されたエナジーボールが、はっぱカッターと混ざり合い、美しい緑のコラボレーションを生み出した。 コトミ「すごい・・・。マサト、初めてチコリータを使うのに、ここまで技を使いこなしてる。マサト、やっぱり伊達にハルカさんの弟さんではないわね。」 ミキ「すごいわ、マサト君!」 マサト「チコリータ、エナジーボールを連発だ!」 チコリータがさらにエナジーボールを放つ。高く打ち上がったエナジーボールはそのままチコリータに向かって落ち始めた。 マサト「チコリータ、葉っぱでエナジーボールを操るんだ!」 チコリータが頭の葉っぱを使い、お手玉の要領でエナジーボールを操る。その扱いはまさか今回がデビュー戦とはとても想像がつかないものだった。 その模様をテレビで見ていたユカリは思わず声を上げていた。 ユカリ「マサト君、チコリータも使いこなすのね。マサト君がチコリータを使う姿は初めて見たけど、でも初めてだなんて考えられないわ。マサト君、レベルを上げたわね。」 マサト「さあ、フィニッシュだ!チコリータ、ハードプラント!」 チコリータが勢いよく掛け声を上げると、ステージから大きな蔦が姿を表した。ハードプラントだ。 ハードプラントはエナジーボールを順番に割っていき、ステージにきらめく緑の光となって余韻を残していった。 コンテスタ「チコリータのまだ小さいながらも潜在的な能力を秘めた美しい技の数々。大変印象に残りました。」 ジョーイ「ハードプラントはメガニウムになって習得することが多いのですが、まだ小さいチコリータ、よく使いこなしていましたね。これからが楽しみです。」 スキゾー「好きですねぇ〜。」 ココアン「チコリータの情熱に溢れた美しい演技でした!」 コトミ「マサト、すごいわね!」 ミキ「ずっとセンリさんのところにいたなんて考えられないほどの演技だったわ。」 マサト「チコリータはコンテストでも通用するだろうって思ってたけど、でも予想以上の活躍ができたと思う。チコリータ、よくやったよ!」 チコリータもマサトの声に応える。 ミキ「次はコトミちゃんの番ね。コトミちゃん、緊張しないで自分のペースで演技すればいいと思うわ!」 マサト「コトミ、一緒にコンテストバトルに行こう!」 コトミ「うん!」 マサトとコトミはハイタッチを交わした。 ココアン「続いてのエントリーは、この方です!」 ココアンの声と共にスポットライトがコトミを照らした。 コトミ「ゼニガメ、ライジング・アップ!」 コトミはゼニガメを繰り出した。チコリータと一緒にゲットされたポケモンである。果たして、どう言った演技をするのだろうか。 マサト「ゼニガメだね!」 ミキ「コトミちゃんも新しいポケモンを使うのね。楽しみだわ。」 コトミ「ゼニガメ、あわ攻撃!」 ゼニガメが勢いよくあわ攻撃を打ち出す。無数のあわが天井高く打ち上げられていった。 コトミ「ゼニガメ、続いてみずでっぽう!」 さらにゼニガメがみずでっぽうを放つ。みずでっぽうはあわと合わさり、幻想的な水のコラボレーションを生み出した。 ココアン「みずでっぽうとあわ、2つの技が合わさった水の競演であります!」 ジョーイ「みずでっぽうの上で美しく舞うあわの数々。とてもよく仕上がっていますね。」 スキゾー「いやあ、好きですねぇ。」 コトミ「ゼニガメ、もう一度あわ攻撃!」 ゼニガメがさらにあわ攻撃を放つ。あわは最初のあわとみずでっぽうを取り込み、大きなシャボン玉にも似た水玉となった。 ココアン「さあ、いよいよフィニッシュにかかろうとしています!この大きな水玉をどうしようとするのでしょうか!」 コトミ「ゼニガメ、フィニッシュよ!こうそくスピン!」 ゼニガメは勢いよくこうそくスピンを繰り出した。こうそくスピンは大きな水玉のほぼ真ん中を貫いていき、美しい水しぶきとなってステージを覆った。 コンテスタ「みずでっぽうとあわ。2つの技が合わさった、大変素晴らしい演技でした。」 ジョーイ「水の技を使う演技はテクニックが要りますが、良くできていたと思います。本当にいい演技でしたね。」 スキゾー「好きですねぇ。」 ココアン「美しい水玉が織り成した、幻想的な演技でございました!」 マサト「コトミ、すごいね!」 コトミ「ううん。あたし、これでもうまくいっていなかったって思ってるのよ。みずでっぽうの威力がちょっと強すぎたかなぁって思ってるわ。」 ミキ「そんなことはないわ、コトミちゃん。あたしも見ていたけど、とても良くできてたわ。マサト君のチコリータもそうだったけど、ゼニガメも初めてに見えない、いい演技だったわ。」 コトミ「ありがとう。あとは結果発表を待つだけね。」 と、場内のモニターにココアンが映し出され、結果発表を行う旨を告げた。 ココアン「お待たせいたしました!これより一次審査・パフォーマンスステージの結果発表をいたします!二次審査・コンテストバトルに進出できるのは8名!果たして、誰がコンテストバトルに駒を進めることができるのでしょうか!」 マサトやコトミを始め、他のコーディネーターも固唾を飲んでモニターを見つめる。――1人、2人と顔写真が紹介されていき、やがて7人目、コトミの写真が写し出された。 コトミ「あたしだわ!」 続いて最後の1人、8人目に写し出されたのは、マサトの顔写真だった。 マサト「僕もだ!」 ミキ「2人ともおめでとう!」 ココアン「さあ、果たしてこの8名がどうぶつかるのでしょうか!二次審査・コンテストバトルの組み合わせは、こうなりました!」 顔写真がシャッフルされていき、やがて8人の対戦カードが決定した。――マサトとコトミは一番両端に離れており、順調に勝ち進んでいけばファイナル、ヤギブシリボンをかけてバトルを繰り広げることになる。 コトミ「マサト、勝ち進んでいけばファイナルで激突ね!」 マサト「うん!」 コトミ「ヤギブシリボンをゲットするのはあたしよ!」 マサト「僕も負けてられないよ!コトミ、ファイナルで会おう!」 ミキ「うふふっ。マサト君、コトミちゃん、二次審査もしっかりバトルしてね!あたしも応援するわ!」 マサトとコトミは、二次審査・コンテストバトルも順調に勝ち進み、ファイナルで対戦することになった。 ココアン「さあ、ポケモンコンテスト・ヤギブシ大会もいよいよファイナルを残すだけとなりました!片やマサトさん!此方コトミさん!」 スクリーンにマサトとコトミの写真が写し出される。そして、互いのポイントが円で示された。 ココアン「制限時間は5分!ではまいります!バトルスタート!」 かくしてヤギブシ大会のファイナル、マサトとコトミの初めてのコンテストバトルの火蓋が切って落とされた。果たして、このバトルに勝利を納めて、ヤギブシリボンをゲットするのは、マサトか、それともコトミか。 (3) ポケモンコンテスト・ヤギブシ大会はファイナルバトル、マサトとコトミがコンテストの舞台では初めてぶつかり合うことになった。 マサト「1のしまのときは決着が付いていなかったけど、今回は勝負がつくね!」 コトミ「うん!あたしだって負けていられないわ!一緒にいい演技にしましょう!」 マサト「サーナイト、シャイニング・オン!」 マサトはサーナイトを繰り出した。 コトミ「エルレイド、ライジング・アップ!」 コトミはエルレイドを繰り出した。 ミキ「(マサト君はサーナイト、コトミちゃんはエルレイドね。お互いに一番のパートナーでバトルするのね。どう言ったバトルになるのかしら。楽しみだわ。)」 マサト「サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがサイコキネシスでエルレイドの行動を封じる作戦に出る。 コトミ「あたしだって負けないわよ!エルレイド、サイコカッター!」 エルレイドがサイコキネシスを振りほどき、サイコカッターを放つ。互いに戦術は理解している。それも影響しているのか、互いに駆け引きが大切だということはうすうす理解しているであろう。 ココアン「サイコキネシスがサイコカッターとぶつかり合いました!」 マサトとコトミのポイントがわずかずつだが減っていく。しかしサイコキネシスを封じられたということが影響したのか、マサトのポイントの方がわずかだが減りが大きかった。 ミキ「(さすがはマサト君とコトミちゃんね。お互いに相手の手の内は読めている。だから小細工しないで堂々と渡り合っているんだと思うわ。)」 コトミ「エルレイド、インファイト!」 エルレイドがインファイトの体制に入る。 マサト「サーナイト、シャドーボール!」 サーナイトがシャドーボールを放つ。しかしエルレイドはそれをものともしないでサーナイトに一直線に突っ込んでいった。そしてマサトのポイントがさらに減っていく。 コトミ「今よ、エルレイド!」 エルレイドが強力なインファイトをサーナイトにたたき込んだ。タイプの相性としては今一つだが、それでもサーナイトを吹っ飛ばすほどの威力だった。 ココアン「エルレイド、シャドーボールを押しのけて強力なインファイトを放ちました!コトミさん、マサトさんのポイントをさらに減らしていきます!」 コトミ「続けていくわよ!エルレイド、つじぎり!」 さらにエルレイドがつじぎりを放ってサーナイトに襲いかかる。つじぎりはあくタイプの技である。まともにダメージを受けたらサーナイトはひとたまりもないだろう。これ以上ポイントを減らされるとマサトにとっても展開がますます不利になっていく。 マサト「サーナイト、エルレイドをぎりぎりまで引きつけるんだ!」 サーナイトはエルレイドがつじぎりの体制のまま迫るのを引きつけている。やがてエルレイドがつじぎりを放った。 マサト「今だ、サーナイト!テレポート!」 サーナイトがテレポートで姿を消す。つじぎりはサーナイトが姿を消した直後に発動、エルレイドの攻撃は外れた。 ココアン「サーナイト、エルレイドのつじぎりをテレポートでかわしました!これでマサトさんもポイントをじりじりと詰め寄っていきます!」 サーナイトがつじぎりをかわしたことで、コトミのポイントも大きく減り、3分の2程度までになった。マサトのポイントは3分の2を少し割り込んでいるが、それでもコトミのそれとの差は確実に縮まっていた。 コトミ「(マサト、さすがはハルカちゃんの弟さんね。バトルだけじゃなくて、コンテストの実力も確かなものだわ。)」 マサト「(コトミもバトルチャンピオンシップスでユカリさんと渡り合った実力。並大抵のことでは勝てない!)」 ミキ「(マサト君、コンテストに出ても十分通用する実力を秘めているわね。さすがはハルカちゃんの弟さんだわ。コトミちゃんもそうだけど、これからの活躍が期待できるわね。)」 マサト「サーナイト、シャドーボール!」 コトミ「エルレイド、つじぎり!」 サーナイトがシャドーボールを放つ。しかしエルレイドが放ったつじぎりに切り刻まれ、逆にマサトのポイントが減る結果となる。 コトミ「そのままサーナイトにつじぎりよ!」 マサト「サーナイト、サイコキネシス!」 サーナイトがサイコキネシスを放つ。つじぎりを放とうとしていたエルレイドはあっという間に吹っ飛ばされていき、コトミのポイントもじりじりと減る。両者のポイントはほぼ互角。残り時間はすでに半分を切っており、どちらが勝ってもおかしくない状況だった。 マサト「(さすがはコトミのエルレイド。行動に無駄がない。)」 コトミ「(マサトのサーナイト、やっぱり相当な実力ね。でも勝つのはあたしよ!)エルレイド、サイコキネシス!」 エルレイドがサイコキネシスを放つ。サーナイトはサイコキネシスで操られてしまった。 マサト「サーナイト、サイコキネシスを振りほどけ!」 サーナイトはエルレイドが放ったサイコキネシスを振りほどこうとするが、思いの外サイコキネシスの威力が強く、なかなか思い通りに振りほどくことができない。 コトミ「エルレイド、そのままリーフブレード!」 そこにエルレイドのリーフブレードが炸裂。サーナイトは勢いよくステージに叩きつけられてしまった。それに応じてマサトのポイントも減っていき、4分の1を割り込んでしまった。対するコトミのポイントは半分を切るか切らないかのところである。 マサト「サーナイト、しっかりするんだ!」 サーナイトはどうにかして立ち上がる。しかしこのまま行くと不利な状況なのは間違いない。 コトミ「さあ、フィニッシュよ!エルレイド、サイコカッター!」 エルレイドがサイコカッターを放つ。 マサト「(まずい。これをまともに受けたらバトルオフになるかもしれない。どうすれば・・・。そうだ!)サーナイト、テレポート!」 再びサーナイトがテレポートで姿を消す。 コトミ「エルレイド、姿を現したところを狙って!リーフブレード!」 エルレイドがリーフブレードの体制に入る。しかし技を放つ段階までは至っていない。サーナイトが姿を現したところに一撃を与えるのだろう。やがてサーナイトがエルレイドの真後ろに現れた。 コトミ「後ろよ!」 マサト「そうはさせるか!サーナイト、もう一度テレポート!」 リーフブレードがまさにサーナイトに命中しようかというまさにそのとき、サーナイトが再びテレポートで姿を消した。 マサト「サーナイト、シャドーボールだ!」 サーナイトがシャドーボールを放つ。 コトミ「エルレイド、つじぎりでシャドーボールを切り刻んで!」 マサト「サーナイト、シャドーボールにサイコキネシス!」 エルレイドがつじぎりでシャドーボールを打ち払おうとする。しかしサーナイトもシャドーボールにサイコキネシスをかけてパワーアップさせた。互いの技が激しくぶつかり合う。 コトミ「エルレイド、サイコカッター!」 マサト「サーナイト、でんじほう!」 エルレイドがサイコカッターを放つ。そして負けじとサーナイトもでんじほうを放って応戦した。技と技がステージの中央でぶつかり合い、大爆発となって跳ね返ったのである。 ココアン「タイム・アップ!」 ここでタイム・アップの号令がかかった。激しい煙に巻かれてポイントを表示しているディスプレイの画面が見えない。果たして、煙が晴れたとき、誰が勝利を手にしているのだろうか。 ココアン「さあ、どちらが勝利を手にしたのでしょうか。ポケモンコンテスト・ヤギブシ大会、ファイナルを制したのは!」 やがて煙が晴れ、ディスプレイに残りのポイントが映し出された。――マサト、コトミの両者とも、残っていたポイントはごくわずか。だが、一方がごくわずかの差をつけて勝利を収めていた。それはマサトだった。 ココアン「マサトさんです!コトミさんとの息詰まる攻防を制して、ヤギブシリボン、獲得です!」 マサト「えっ、僕・・・?」 コトミ「マサト。」 コトミがマサトの元に歩を進めた。 コトミ「マサトって、ポケモントレーナーだけじゃなくて、ポケモンコーディネーターとしての素質もあるのね。あたし、今回バトルして思ったわ。今回は負けちゃったけど、次にバトルするときは負けないわ!」 マサト「コトミもよくバトルしてくれたね。うん。次もまた、正々堂々と勝負しよう!」 コトミ「うん!」 ココアン「今、大会事務局長のコンテスタさんから、マサトさんにヤギブシリボンが贈呈されます!」 コンテスタ「マサトさん、あのトップコーディネーターのハルカさんの弟さんだそうですね。ポケモンリーグとポケモンコンテストの両方に挑戦されていると伺っております。ポケモンコンテストでも、お姉さんに負けない実力を発揮してくださいね。」 マサト「はい!」 そう言ってマサトはヤギブシリボンを受け取った。 マサト「よーし!ヤギブシリボン、ゲットでGO!!」 マサトはリボンを高く掲げた。そして、サーナイトとチコリータも一緒に喜びを分かち合っていた。 その模様をユカリはテレビで見つめていた。 ユカリ「(マサト君。コトミちゃんを負かすなんて、さすがはハルカちゃんの弟さんね。あたしがバトルチャンピオンシップスでコトミちゃんとバトルしたときも、コトミちゃんはかなりの素質があるって思ってたけど、マサト君もすごい実力ね。この実力、ポケモンリーグだけに留めておくだけじゃなくて、是非コンテストでも発揮してほしいわ。マサト君、ワカクサに来たときは、是非あたしとバトルしましょう!)」 こうして、マサトはコトミを破り、初めてのコンテストリボンであるヤギブシリボンをゲットしたのだった。 次の目的地、キキョウシティはもうすぐだ。マサトとコトミにとって初めてのジム戦、キキョウジムが控えている。果たして、どう言ったバトルが待ち構えているのだろうか。 Chapter-61に続く。 <このお話の履歴> 全編書き下ろし。