Chapter-68『マイタケジム!電撃ポケモン大バトル!!』 (1) 次の目的地・ヒワダタウンを目指して旅を続けるマサト達は、湖のほとりの町にたどり着いた。 マサト「きれいな町ですね。」 コトミ「あの湖を見ていると、心が落ち着く感じがします。」 ミキ「あの湖はマイタケ湖と言って、ジョウトでも有名な観光地として知られているわ。」 マサト「するとこの町がマイタケシティですね。」 ミキ「うん。マイタケシティはでんきタイプを使うマイタケジムがあるわ。そしてリザフィックバレーの玄関口でもあるのよ。」 マサト「サトシのリザードンが修行を積んでいる場所ですね。」 コトミ「あのサトシ君のリザードン?すごいわね、リザフィックバレーで修行してるんだ。」 ミキ「ハヤトさんもおっしゃってたけど、サトシ君のリザードンはジョウトリーグやバトルフロンティア、シンオウリーグでも活躍したわ。サトシ君のポケモンの中でもピカチュウと並ぶ実力の持ち主だって聞いたわ。」 マサト「そうですね。ところでミキさん、マイタケジムはどこにあるんですか?」 ミキ「あの小島にあるわ。」 そう言ってミキは湖の小島に手をさしのべた。――小島にはかつてマサトが訪れたオルドラン城を彷彿とさせる城が建っていた。 コトミ「あのお城がマイタケジムになるんですか?」 ミキ「そうよ。マイタケジムは『水と緑と電気が奏でる美しいハーモニー』がよく知られてるわ。」 そこに1人の男が現れた。 男性トレーナー「あなた様が今回のチャレンジャーですか?」 ミキ「はい。あたしはミキです。」 男性トレーナー「申し遅れました。私はタツオミ。マイタケジムのジムリーダーでございます。」 マサト「僕、マサトです。」 コトミ「あたし、コトミです。」 タツオミ「マサトさんにコトミさんですね。以後どうぞお見知りおきを。ところでミキさん、早速ジム戦にまいりますか?」 ミキ「はい。是非よろしくお願い致します。」 タツオミ「かしこまりました。マサトさんとコトミさんも是非いらしてくださいませ。」 マサト・コトミ「ありがとうございます!」 マサト達はタツオミのボートに乗り込み、小島にそびえるマイタケジムに向かった。 タツオミ「ほお。マサトさんとコトミさんはジョウトリーグとグランドフェスティバル。ミキさんはさらに上のエキシビジョンマッチを目指していらっしゃるんですね。」 マサト「はい。」 タツオミ「今回はお二方は挑戦されないんですか?」 コトミ「はい。あたしとマサトはヒワダタウンのヒワダジムに挑戦することにしているんです。」 タツオミ「それは残念です。ですがそれは致し方のないこと。また訪れたときには是非挑戦してくださいませ。」 ミキ「それではタツオミさん、どうぞよろしくお願いします!」 タツオミ「かしこまりました。この城の広間がバトルフィールドになっております。私のポケモンが奏でる水と緑と電気の美しいハーモニーを、是非ご堪能くださいませ!」 マサト達は城の広間に通された。広間は天井がかなり高く、城内でも一番の広さを持っていた。そして広間がそのままバトルフィールドになっていたのだった。 審判「ではこれより、ジムリーダー・タツオミと、チャレンジャー・ヤマブキシティのミキによる、マイタケジム・ジム戦を行います。使用ポケモンは3体。3体のポケモンをバトルフィールドに出して、試合中1体をバトルさせるローテーションバトル形式で行います。どちらかのポケモンが、全て戦闘不能となった時点で試合終了となります。」 マサト「ローテーションバトル?」 コトミ「あたしも初めて見るわ。どう言ったバトルなのかしら。」 ミキ「3体のポケモンをフィールドに出すんだけど、実際にバトルするのは1体と言うルールになるわ。お互いに3体のうちのどれがバトルするかを読むのが重要な戦略の1つだわ。」 タツオミ「ローテーションバトルの醍醐味を存分にご堪能ください!」 ミキ「はい!」 審判「それでは、バトル開始!」 かくしてミキのエキシビジョンマッチ出場のためのバッジをかけたバトルが幕を開けた。ローテーションバトルはイッシュ地方でよく行われているバトルのルールの1つである。トリプルバトルと似ているが、バトルするのは1体と言う違いがある。 果たして、ミキはこのローテーションバトルを制して、バッジをゲットすることはできるのだろうか。 (2) ミキにとってエキシビジョンマッチ出場のための3つめのジムバッジをかけたジムバトル、タツオミとのマイタケジム・ジム戦が幕を開けた。 タツオミ「出番です!シビルドン、デンリュウ、エレキブル!」 タツオミはシビルドン、デンリュウ、エレキブルの3体を繰り出した。 ミキ「行ってらっしゃい!エーフィ、ジュカイン、ラティオス!」 ミキはエーフィ、ジュカイン、ラティオスの3体を繰り出した。 マサト「ミキさんはエーフィにジュカイン、ラティオスだね。」 コトミ「相性の面ではくさタイプとドラゴンタイプが1体ずついるからでんきタイプの攻撃を抑えられるわね。でもタツオミさんはどう言う作戦で挑むのかしら。」 ミキ「(タツオミさんはシビルドンがふゆう特性、デンリュウはうかつに攻撃するとせいでんきで麻痺してしまうかもしれないわ。そしてエレキブルはでんき技を受けると素早さが上がるでんきエンジンの特性。なかなかの強敵ね。)行くわよ!エーフィ、シビルドンにサイコキネシス!」 エーフィがサイコキネシスを放つ。シビルドンはたちまち操られてしまい、勢いよく吹っ飛ばされてしまった。だがジムリーダーのポケモンがこの程度で倒れるはずがない。 タツオミ「エーフィのサイコキネシス。なかなかいい調べです。それでは次は私の番でございます。エレキブル、エーフィにかみなりパンチ!」 シビルドンと場所を入れ替わったエレキブルがかみなりパンチを放った。エーフィはかみなりパンチをもろに受けてしまったが、まだまだ余裕と言ったところだろう。 ミキ「ラティオス、エーフィと場所を代わって!エレキブルにラスターパージ!」 エーフィがラティオスと場所をチェンジした。そしてラティオスがラスターパージを放つ。 タツオミ「シビルドン、入れ替わってラスターパージを跳ね返せ!」 エレキブルとシビルドンが素早く入れ替わる。そしてシビルドンが長い胴体を活かしてラスターパージを弾き返した。 マサト「何てパワーだ!」 コトミ「ラスターパージが弾き返されたわ!」 ミキ「ラティオス、サイコキネシス!」 ラティオスがサイコキネシスを放つ。弾き返されたラスターパージを操り、一気にシビルドンにぶつけた。 タツオミ「シビルドン!」 シビルドンは勢いよくフィールドに叩きつけられたが、まだ余力は残していたのか、どうにかして立ち上がった。 ミキ「今よ!ラティオス、もう一度サイコキネシス!」 タツオミ「デンリュウ、シビルドンと入れ替われ!シグナルビーム!」 素早くシビルドンと入れ替わったデンリュウがシグナルビームを放った。シグナルビームはサイコキネシスを打ち破り、ラティオスにクリーンヒットしてしまった。効果は抜群だ。 ミキ「ラティオス!」 ラティオスもフィールドに叩きつけられたが、まだ大丈夫そうだ。 マサト「あのシグナルビーム、かなりの威力だ!」 コトミ「シグナルビームはむしタイプ。ミキさんのポケモン全部に対して効果抜群になるわ。大丈夫かしら・・・。」 ミキ「(あのシグナルビームは注意した方がいいかもしれないわ。あたしのポケモンは3匹ともむしタイプの技に弱いから、対策が必要ね。)」 タツオミ「デンリュウ、もう一度シグナルビームだ!」 デンリュウがさらにシグナルビームを放つ。 ミキ「ラティオス、サイコキネシス!」 ラティオスもサイコキネシスで応戦する。シグナルビームをサイコキネシスが抑えていたが、実力はほぼ拮抗していると言っていいだろう。 タツオミ「デンリュウ、マックスパワーだ!」 デンリュウがマックスパワーを出してシグナルビームの勢いを強める。 ミキ「あたし達もマックスパワーよ!ラティオス、お願い!」 ラティオスもパワーを強める。拮抗したサイコキネシスとシグナルビームはフィールドの中央で激しい大爆発を引き起こした。 ミキ「ラティオス!」 タツオミ「デンリュウ!」 爆風と煙が収まると、ラティオスとデンリュウは両者ともフィールドに倒れ込み、戦闘不能となっていた。 審判「ラティオス、デンリュウ、両者戦闘不能!」 ミキ「戻って、ラティオス!」 タツオミ「戻れ、デンリュウ!・・・ミキさん、ラティオスを使いこなすとはかなり腕のいいトレーナーですね。」 ミキ「ありがとうございます。」 タツオミ「だがポケモンはまだ2体残っています。演奏も第2楽章です!シビルドン、出番です!」 タツオミはシビルドンを繰り出した。 ミキ「行ってらっしゃい、ジュカイン!」 ミキはジュカインを繰り出した。 ミキ「ジュカイン、リーフブレード!」 ジュカインが素早く迫ってリーフブレードを繰り出した。 タツオミ「シビルドン、でんじは!」 シビルドンがでんじはを放つ。まともにでんじはを受けてしまったジュカインはたちまちしびれてしまい、思い通りの行動ができなくなってしまった。 ミキ「ジュカイン、エナジーボール!」 ジュカインがエナジーボールを放とうとする。だがまひの追加効果が働き、ジュカインは行動ができなかった。 マサト「ジュカインがしびれた!」 コトミ「こう言うときに行動ができないのはかなり厳しいわ。大丈夫かしら・・・。」 ミキ「ジュカイン、もう一度エナジーボール!」 タツオミ「シビルドン、かえんほうしゃ!」 マサト「えっ!?」 シビルドンはかえんほうしゃを放ち、まひを振り払おうとしていたジュカインに大ダメージを与えたのである。効果は抜群だ。 ミキ「ジュカイン!」 勢いよく吹っ飛ばされていくジュカイン。果たして、ミキは強敵・タツオミのポケモンに打ち勝ち、バッジをゲットすることはできるのだろうか。 (3) マイタケシティにあるマイタケジム。でんきタイプを操るタツオミがジムリーダーを務めていた。そして、タツオミを相手にミキがジム戦に挑んでいたのである。 試合は一進一退の展開となっていたが、既にミキはラティオス、タツオミはデンリュウが戦闘不能となっており、またミキのジュカインはまひしてしまっていた。そこにタツオミのシビルドンが放ったかえんほうしゃが直撃、ジュカインは吹っ飛ばされてしまったのである。 勢いよくフィールドに叩きつけられたジュカインはなおも立ち上がろうとする。 タツオミ「すごい根性の持ち主ですね。エレキブル、シビルドンと交代!れいとうパンチです!」 エレキブルが強力なれいとうパンチをジュカインに打ち込もうとする。だがそのとき、ジュカインが緑色の光を発したのである。 タツオミ「あれは!?」 マサト「ジュカインの特性、しんりょくだ!」 しんりょく。主にフシギダネやチコリータ、キモリ、ナエトル、ツタージャなど、その地方の初心者用ポケモンとして推奨されているポケモンが多く持っている特性である。ピンチになるとくさタイプの技の威力が上がる特性である。 ミキ「(こうなれば一か八かやってみるわ!)ジュカイン、リーフブレード!」 ジュカインが強力なリーフブレードを放った。エレキブルのれいとうパンチと激しくぶつかり、大爆発が起きた。 爆発が収まると、エレキブルがフィールドに崩れ落ち、戦闘不能となっていた。 審判「エレキブル、戦闘不能。ジュカインの勝ち!」 タツオミ「戻れ、エレキブル!・・・しんりょくの特性。ジュカインはピンチの状況にありながらも、ミキさんの気持ちに応えたいと思っていたんですね。素晴らしいことです。」 ミキ「ありがとうございます。」 タツオミ「私の方は最後の1匹となってしまいました。ですが、最後までバッジは譲れません!行くのです、シビルドン!」 シビルドンは一声挙げて気合いを高める。 ミキ「エーフィ、ジュカイン、あたし達も負けてられないわ!」 エーフィとジュカインも声を上げる。ジュカインはかなり体力的に追い詰められているが、最後まで諦めないという意志が見て取れた。 ミキ「ジュカイン、エナジーボール!」 ジュカインがエナジーボールを放つ。残りポケモンの数で2対1となっていたこともあり、数の上ではミキが有利だった。だがタツオミも最後に残ったシビルドンはかなりの強敵である。 タツオミ「シビルドン、エナジーボールを跳ね返すのです!ドラゴンテール!」 シビルドンは強力なドラゴンテールを繰り出す。エナジーボールは跳ね返されてしまう形となってしまった。 ミキ「危ない!エーフィ、交代よ!エナジーボールにサイコキネシス!」 エーフィがエナジーボールをサイコキネシスでコントロールするべく、ジュカインと交代しようとする。だがドラゴンテールで打ち返されたエナジーボールは跳ね返りが早く、またジュカインがまひしていたことも関係してかそのままジュカインに命中してしまった。しかもしんりょく特性が働いており、技の威力も上がってしまっていた。 タツオミ「そこを狙うのです!シビルドン、ジュカインにかえんほうしゃ!」 さらにシビルドンのかえんほうしゃがジュカインを襲う。さしものジュカインもかわす間もなくフィールドに叩きつけられてしまい、そのまま戦闘不能となってしまった。 審判「ジュカイン、戦闘不能。シビルドンの勝ち!」 ミキ「戻って、ジュカイン!・・・よく戦ってくれたわね。ゆっくり休んでね。」 ミキはジュカインをモンスターボールに戻した。 マサト「ジュカインが倒された!?」 コトミ「これでミキさんは残りポケモンが1体になってしまったわね。残るはエーフィだけだけど、どうするのかしら・・・。」 タツオミ「これでお互いに残るポケモンは1体。このバトルもいよいよ大詰め、最終楽章ですね。行きますよ!シビルドン、かみくだく攻撃!」 マサト「あっ!?」 コトミ「あのシビルドン、かみくだくが使えるの!?」 シビルドンが大きく口を開けてかみくだく攻撃を放った。かみくだくはあくタイプの技。まともに受ければ大ダメージとなるのは免れない。 ミキ「エーフィ、リフレクター!」 エーフィがリフレクターを張る。とっさの判断が功を奏したのか、かみくだくはリフレクターに阻まれてそれほどのダメージはなかった。 タツオミ「やりますね!」 ミキ「次はあたしの番よ!エーフィ、シャドーボール!」 エーフィがシャドーボールを放つ。 タツオミ「同じ手を使われたのですね。ならこれでどうです!シビルドン、ドラゴンテール!」 シビルドンも負けじとドラゴンテールで迎え撃つ。 ミキ「行くわよ!エーフィ、シャドーボールにサイコキネシス!」 エーフィがシャドーボールをサイコキネシスでコントロールした。あわやドラゴンテールに弾き返されるかと思ったシャドーボールは突如として高く飛び上がり、ドラゴンテールの不発を誘ったのだった。 タツオミ「だがサイコキネシスに集中している今なら大ダメージが狙えるはず!シビルドン、ワイルドボルト!」 マサト「えっ!?」 コトミ「ワイルドボルト!?」 ワイルドボルト。マサト達の見たこともない技の1つだった。反動で自分にもダメージが跳ね返る代わりに相手に大きなダメージを与えることができる。すてみタックルやブレイブバード、とっしんなどど似た系統の技である。 そのワイルドボルトをまとったシビルドンが勢いよくエーフィに迫っていた。 ミキ「エーフィ、シャドーボールを勢いよくぶつけるわ!サイコキネシスのパワーを上げて!」 エーフィがシャドーボールにかけたサイコキネシスのパワーを上げた。パワーの増したサイコキネシスの後押しを受けたシャドーボールがシビルドンに激しくぶつかり、大爆発が生じた。だがシビルドンは爆発をものともしないでエーフィに迫る。 タツオミ「シビルドン、そのまま一気にフィナーレです!マックスパワーでワイルドボルト!」 ミキ「あたしだってマックスパワーで行きます!エーフィ、でんじほう!」 シビルドンのワイルドボルトに対してエーフィはでんじほうで迎え撃った。2つのでんき技がフィールドで激しくぶつかり合い、またしても大爆発が生じた。 やがて爆発が収まると、エーフィとシビルドン――でんじほうをまともに受けてしびれていたが――の2匹が見つめ合っているのが見受けられた。 2匹はしばらくそのまま見つめ合っていたが、やがて1匹がゆっくりとフィールドに倒れ込み、戦闘不能となった。シビルドンだった。 審判「シビルドン、戦闘不能。エーフィの勝ち!」 ミキ「やったわね、エーフィ!」 エーフィは嬉しそうにミキに抱きつき、勝利を喜び合っていた。 タツオミ「ミキさん、あなたのポケモン達が織りなす美しいハーモニーに心を打たれました。あなたは本当に素晴らしいトレーナーです。」 ミキ「ありがとうございます。」 タツオミ「これはこのジムを勝ち抜いた証、イナヅマバッジです。どうぞ受け取ってください。」 ミキ「はい!・・・イナヅマバッジ、ゲットだわ!」 ミキはイナヅマバッジを高く掲げた。そしてその横で、エーフィ、ジュカイン、ラティオスの3体も一緒に飛び跳ねて喜んでいたのだった。 マサト「ミキさん、次はどこのジムに挑戦するんですか?」 タツオミ「ミキさんは確か、エキシビジョンマッチに挑戦していらっしゃるんでしたね。でしたら次はキクラゲタウンのキクラゲジムがよろしいかと思います。」 コトミ「キクラゲタウン?」 タツオミ「ヒワダタウンとワカクサシティの間、つながりの洞窟の少し手前にある町です。キクラゲジムはいわタイプの使い手がいらっしゃいます。覚悟して挑んでくださいませ。」 ミキ「ありがとうございます。」 タツオミ「そしてマサト君、コトミさん。いつかは私のジムにも挑戦しにいらしてくださいね。」 マサト・コトミ「はい。」 こうして、ミキはジョウトリーグ・エキシビジョンマッチに出場するための3つめのジムバッジとなるイナヅマバッジをゲットしたのだった。 エキシビジョンマッチに向けて必要なバッジは後2つ。果たして、この先ミキを待ち受けるのは、どう言ったジムリーダーなのだろうか。 そして、ジョウトリーグとグランドフェスティバル出場に向かって、マサト達の冒険は、まだまだ続く。 Chapter-69に続く。 <このお話の履歴> 全編書き下ろし。