SpecialEpisode-4『グランドフェスティバル!エーフィVSカメックス!!』 (1) ヒカリ達が出場、ノゾミの優勝で幕を閉じたリッシ湖・レイクサイドリゾートのグランドフェスティバルから2年、かつてディアルガ・パルキア・ダークライの激闘が繰り広げられた アラモスタウンでグランドフェスティバルが行われることになった。 シンオウ地方を回ってコンテストリボンを5つ集めれば出場できるこのグランドフェスティバルに、遠くカントー地方から1人の女性コーディネーターがエントリーを 済ませた。ミキだった。半年前に行われたカントーリーグでベスト4の好成績を収め、トレーナーとしてもかなり知られていた。 ジョーイ「ヤマブキシティのミキさんですね。トレーナーとしても大変優秀だそうで、両方に挑戦するのはかなり大変かもしれませんが、ご活躍を期待していますよ。」 ミキ「ありがとうございます。」 エントリーを済ませたミキは、グランドフェスティバルの会場となる時空の塔に向かった。 時空の塔は、3年前のディアルガとパルキアの激闘のとき、一時アラモスタウンが時空の狭間に飲み込まれる直前までになったが、そのときこの塔から響いたオラシオンの音色がディアルガと パルキアの怒りを鎮めたことで知られている。それ以来、毎日正午になるとオラシオンの音楽が鳴らされ、町の人々にとっての時報代わりにもなっているのだった。 ミキが時空の塔に着いたときがちょうど正午であり、オラシオンの美しい音色が町中に響き渡っていた。 ミキ「(この曲がオラシオンね。とてもいい音楽だわ。何と言うか、心が洗われるみたいな、そんな感じがするわ。)」 オラシオンは、この時空の塔を設計したゴーディという人物が、未来に起こる出来事を予言して作曲したといわれており、音盤という形で残されていた。そして3年前のディアルガと パルキアの激闘のときは、時空の彼方で始まったといわれる2匹の激闘の末、あわやと言うところで時空の塔から響いたオラシオンが2匹の怒りを鎮めたといわれていた。だがディアルガと パルキアの激闘はそれだけに留まらず、テンイ村の奥地にある氷河ではギラティナとシェイミ、そしてミチーナ遺跡ではシンオウ地方の神話に語られるポケモン・アルセウスも 巻き込んだ激闘が繰り広げられたのだった。 ミキは塔から流れるオラシオンの音楽にしばらく耳を傾けていた。 と、そこに1人の女性コーディネーターが声をかけてきた。ユカリだった。 ユカリ「あら、ミキさん!」 ミキ「ユカリさん!久しぶりね!と言うことは、ユカリさんもリボンを5つ集めたの?」 ユカリ「うん。どのコンテストも強敵揃いだったけど、でもこうやって5つのリボンを集めることができたわ。だけどこうしてグランドフェスティバルの会場を前にすると、 やっぱり緊張するわね。」 ミキ「そうね。ユカリさんと初めてお会いしたのは、クロガネ大会のときだったわね。」 ミキとユカリの出会いは、ミキがポケモンコンテスト・クロガネ大会に出場したときだった。ミキはカントーリーグ出場後、シンオウ地方のポケモンコンテストに 出場するため、シンオウ地方に渡っていた。 もともとミキはポケモンリーグとポケモンコンテスト、両方に出場しており、以前シンオウリーグでもベスト8に残る成績を収めていた。そしてコンテスト大会にも出場するため、 再びシンオウに渡ったのである。 クロガネ大会はミキがシンオウ地方で初めて出場したコンテストだった。この大会にユカリも出場していたのである。 ユカリ「あなたも今回のコンテストに出場するのね?シンオウのコーディネーターはかなりレベルが高いけど、大丈夫?」 ミキ「うん。あたし、こう見えても色んな地方を回って、ポケモンリーグとポケモンコンテスト、両方に出場してるから、どういうトレーナーやコーディネーターがいるのか、 いい勉強になるって思ってるわ。」 ユカリ「そうね。あ、自己紹介がまだだったわね。あたしはユカリ。ジョウト地方のワカクサシティから来たの。仲良くしてね!」 ミキ「あたしはミキ。カントー地方のヤマブキシティから来たのよ。こちらこそよろしくね!」 ユカリ「確かミキさんって、コンテストだけ出なくて、トレーナーとしてポケモンリーグにも出てるんでしょ?両方の道を極めるってかなり難しいかもしれないけど、 それだけやりがいもあると思うわ。」 ミキ「そんなことはないわ。確かにバトルにコンテスト、2つの道に挑戦するのは厳しいかもしれないけど、だけどバトルとコンテスト、それぞれ違った発見があるわ。 挑戦し続ける限り、終わりはないのよ。ところでユカリさん、どういうポケモンを育ててるの?」 ユカリ「あそこにいるのがあたしのカメックスよ。」 そう言うとユカリは手を差し伸べた。そこではカメックスがみずでっぽうで美しい水のシャワーを放っていた。 ミキ「カメックスね。ユカリさん、とてもよく育てられているわね。水の勢いもよく調節されてるし、ユカリさんなら優勝も狙えると思うわ。」 ユカリ「ありがとう。そう言えばミキさんは?」 ミキ「この子があたしの一番のパートナーよ。」 そう言うとミキは肩に乗っていたエーフィを紹介した。エーフィは微笑んでユカリを見つめた。 ユカリ「ミキさんはエーフィね。見るからによく育てられてると思うわ。色、けづや、どれをとっても問題ないし、きれいな技が出せると思うわ。・・・あたしとミキさんって、 本当にいいライバルになれそうね。」 ミキ「うん。まずは予選を勝ち上がって、コンテストバトルでバトルしましょう!」 ユカリ「うん!いい演技にしましょう!」 こうしてミキとユカリは出会うことになった。そしてコンテストバトル、ファイナルでミキとユカリはバトルを繰り広げた。激戦の末、ユカリがミキを破ってクロガネリボンをゲットしたのだった。 ミキ「あのときはあたしが負けちゃったんだけど、今度はそうは行かないわ。ユカリさん、今度はあたしが勝って見せるわ!」 ユカリ「そうね。あのときだってミキさんが勝ってもおかしくなかったけど、だけどあたしだって負けていられないわよ。ところでミキさんは、明日のグランドフェスティバルに 備えて特訓してたの?」 ミキ「ううん。明日本番が行われるから、会場がどういうところなのか、足を運んでみたの。今のオラシオンもこの塔から流されているのね。」 ユカリ「そうよ。この時空の塔はそれ自体が1つの大きな音盤になっていて、3年前のディアルガとパルキアの激闘を鎮めたのもこの時空の塔から鳴り響いたオラシオンだって 言われているわ。今ではこの町のシンボルみたいな歌になっているのね。」 ミキ「そうね。じゃあユカリさん、明日から始まるグランドフェスティバル、お互いに勝ち上がって、一緒にバトルしましょう!今度はあたしが勝つわ!」 ユカリ「うふふっ。ミキさんとバトルできるのを楽しみにしてるわね!」 (2) ミキとユカリが時空の塔の下で再会した翌日、いよいよシンオウ地方のポケモンコンテスト・グランドフェスティバルが開催された。 公式発表によると、今回出場するのは96名。2年前にヒカリ達が出場したときに比べると幾分か少ないが、それはすなわちシンオウ地方のポケモンコンテストのレベルの高さを 証明しているということだろう。 まずは一次審査・パフォーマンスステージが行われることになり、ミキやユカリもコンテストの衣装に着替えて本番を待っていた。 ミキ「(一次審査はポケモン達の演技で勝負する場面。一瞬の油断が大幅な命取りになるわ。だから美しい演技を見せなきゃ!)」 ユカリ「(二次審査に出られるのはあたし達の中から32名。この中に入るためには、わずかなミスも許されない。だからあたしもポケモン達を信じて演技するだけよ!)」 と、ミキとユカリが本番に向けて決意を新たにしていると、入り口のドアの向こうから女性の声が響いた。 女性の声「もしかして、こちらにヤマブキシティのミキさんはいらっしゃいますでしょうか?」 ミキはその声を聞いて答えた。 ミキ「ルリカさん!」 声の主――ルリカはドアを開けると、嬉しそうに駆け寄った。 ルリカ「ミキさん!いよいよグランドフェスティバルだね。私もミキさんを応援したくて、それでこうして足を運んだのよ。」 ユカリ「えっ、もしかしてあなたはジョウトリーグ四天王のルリカさん?」 ミキ「そうよ。あたしとルリカさん、去年行われたホウエンリーグの決勝トーナメントでバトルしたのよ。あのときはあたしが負けちゃったんだけど、でも今ではお互いにいいライバルよ。 あ、紹介するわね。一緒にグランドフェスティバルに出場するユカリさんよ。」 ユカリ「初めまして。あたしはユカリ。仲良くしてね!」 ルリカ「うん、初めまして。私はルリカ。こちらこそよろしくね!」 ユカリ「確かルリカさんって、ジョウトはもちろん、全国でも初めてのくさタイプの四天王って言ってたわね。くさタイプで四天王って、タイプの相性からみてかなり難しいと思うけど、大丈夫?」 ルリカ「うん。確かにくさタイプは他のタイプと比べて弱点が多いけど、でもタイプの相性だけではバトルの行方は分からない。そう言ったバトルが私のスタイルよ。」 ユカリ「そうなんだ。あたし達、初対面なのにもうここまで話が弾んでる。きっとあたし達、いいライバルになれそうね。」 ミキ・ルリカ「うん!」 ユカリ「そう言えばルリカさん、ジョウトリーグの方は大丈夫なの?」 ルリカ「うん。私、これからチャンピオンリーグの挑戦者を迎えるために、またジョウトに戻らなければならないの。でもこうしてユカリさんとお会いできて、本当に良かったわ。 ミキさんも元気そうで良かった。私はこれで失礼するけど、ミキさん、そしてユカリさん、最高の演技を期待してるわね!」 と言って、ルリカは3人の真ん中に手を置いた。 ミキ・ユカリ「はい!」 ミキとユカリはルリカの手の上に手を乗せて、互いに健闘を約束した。 今回のグランドフェスティバルもヒカリ達が出場したとき同様、一次審査・パフォーマンスステージは3つのステージに分かれて演技を競い合うことになった。そしてその中から高い評価を 得た32名が、二次審査・コンテストバトルに進むことになる。ハイレベルな演技が予想された。 そしてグリーンステージの最初の演技を務めることになるのがユカリだった。グランドフェスティバルはヒカリ達のとき同様、一次審査、二次審査を通してポケモン2体の ダブルパフォーマンスで行われる。 会場を満員に埋めた観客の声援のもと、いよいよユカリの演技が幕を開ける。果たして、ユカリはどう言った演技を披露してくれるのだろうか。そして、ミキとユカリは二次審査・ コンテストバトルに駒を進めることはできるのだろうか。 (3) アラモスタウンの時空の塔を会場にして、いよいよシンオウ地方のグランドフェスティバルが始まった。 一次審査はレッド・グリーン・ブルーの3つのステージ別に演技を行うパフォーマンスステージである。2年前にヒカリ達が出場したときは、ケンゴが大技を駆使してポイントを高くしようと した勢いでミスが生じ、その結果として一次審査敗退となってしまったのは記憶に新しい。従って、一瞬のミスが命取りになる、大変厳しいステージだった。 そしていよいよユカリの演技が幕を開ける。グリーンステージのトップを切って演技をつとめることになった。一方のミキはレッドステージの14番目となる。 ユカリ「(先陣を切って演技を行う以上、一番に美しく見せたいわね!)行くわよ!カメックス、カイリュー!」 ユカリはカメックスとカイリューを繰り出した。 ミキ「(カメックスとカイリュー。ユカリさん、とてもよく育てられてるわね。)」 ユカリ「カメックス、みずのはどう!カイリュー、りゅうのはどう!」 カメックスがみずのはどうを放つ。そこにカイリューがりゅうのはどうを打ち込み、波動技のコラボレーションが炸裂した。 審査員A「みずのはどうとりゅうのはどう。2つの波動技が共鳴しあうことで、大変美しい演技に仕上がっています。とてもいい演技ですね。」 ユカリ「カメックス、ステージ一面にあわ攻撃!カイリューはれいとうビーム!」 続いてカメックスがあわを放つ。回転しながら繰り出されるあわはステージ一面に広がった。そこにカイリューがれいとうビームを放ち、水と氷が織りなす幻想的な光景が広がった。 審査員B「あわとれいとうビーム。水と氷のコラボレーション。ユカリさん、かなりレベルの高い演技を繰り出していますね。」 ユカリ「さあ、フィニッシュよ!カメックス、ハイドロポンプ!カイリュー、かえんほうしゃ!」 カメックスがハイドロポンプを、カイリューがかえんほうしゃを放つ。ハイドロポンプとかえんほうしゃはあわとれいとうビームで作り出された氷を美しく溶かして見せた。 最後の蒸気に至るまでが綿密に計算されていた演技だった。 審査員C「波動技に始まって、水と氷の美しいまでのコラボレーション。並大抵のレベルではとうてい実現できない演技です。とても印象に残りました。」 ミキ「(ユカリさん、やるわね。さすがはトップコーディネーターを目標としているだけのことはあるわ。あたしも負けていられないわ!)」 演技を終えたユカリが控え室に戻ってきた。 ミキ「すごいわね、ユカリさん。波動技と水と氷、3つの種類をうまく組み合わせたわね。」 ユカリ「ありがとう。でもあたし、直前までこういう演技ができるかどうか、すごく不安だったのよ。でも上手く出来てよかった。カメックスとカイリューもいい演技が出来たわ。」 ミキ「うん!とてもいいコンビネーションだったわ。あたしも負けていられないわ。ユカリさんに負けない演技を見せたいわ!」 ユカリ「そうね。次はミキさんの番、是非いい演技にしてね!」 3つのステージで同時に演技が進められていることもあり、どのステージの演技がもっとも観客や審査員を引きつけたかが二次審査・コンテストバトルに進出する鍵を握っていると 言っても過言ではなかった。それでもユカリの演技は、同時に行われた2名の演技と比べても遜色のない演技内容だったと言っても言い過ぎではないだろう。 その間にも他の参加者の演技が行われていき、ミキの出番となった。 ミキ「行ってらっしゃい!エーフィ、ルカリオ!」 ミキはエーフィとルカリオを繰り出した。 ユカリ「(ミキさんはエーフィとルカリオね。なかなかよく育てられてると思うわ。)」 ミキ「ルカリオ、はどうだん!エーフィ、サイコキネシス!」 ルカリオがはどうだんを放つ。そこにエーフィがサイコキネシスを加えて、波動と念力が合わさった光の玉が形成された。 審査員A「はどうだんとサイコキネシスが合わさると、こうまでして美しい光の玉になるんですね。ミキさんはポケモンリーグにも出場なされるほどの実力。バトルで生かした経験と コンテストで生かした経験を上手く組み合わせているのでしょう。」 ミキ「エーフィ、シャドーボール!ルカリオ、サイコキネシス!」 続いてエーフィがシャドーボールを放ち、ルカリオの放ったサイコキネシスが加わって、その名の通りの影の玉が作られた。 審査員B「光の玉と影の玉。相反する2つの属性が織りなすコンビネーション。大変レベルの高い演技ですね。」 ミキ「さあ、行くわよ!エーフィ、でんじほう!ルカリオ、ラスターカノン!」 フィニッシュとばかりにエーフィがでんじほうを、ルカリオがラスターカノンを放つ。でんじほうは光の玉、ラスターカノンは影の玉に命中、無数の光が美しく舞い散った。 審査員C「無数の光が織りなすコラボレーション。大変美しい演技を見せていただきました。普通のコーディネーターならここまで美しくは出来ないかと思います。 まさしくグランドフェスティバルにふさわしい演技でしたね。」 ユカリ「やるわね、ミキさん!」 ミキ「それほどでもないわ。光と影って言うイメージでやってみたんだけど、でもやってみると難しかったわ。ちょっとでも調整がうまくいかないと大幅な減点になってしまう。 でもどれだけ美しく見せられるかって言うのがコンテストならではのポイントよね。」 ユカリ「そうね。ミキさんもコーディネーターとしての基本をちゃんと押さえているのね。伊達にポケモンリーグとポケモンコンテストの両方に挑戦してないわね。」 ミキ「そんなことはないわ、ユカリさん。トレーナーやコーディネーターとして一番大切なのは、自分のポケモンを信じることよ。ポケモン達との信頼関係を築くことが、バトルやコンテスト、 そしてポケモン達との絆を深めることに役立つと思うわ。」 ユカリ「そうね!あたしだって、ポケモン達を信じることが出来たから、ここまで成長したって思ってる。そしてこれからも成長していけるって思ってるわ。」 ユカリがそこまで言ったとき、会場内にアナウンスが響いた。 アナウンス「お待たせいたしました。これよりグランドフェスティバル二次審査・コンテストバトルに進出する32名のコーディネーターを発表いたします。美しく華麗なる演技を 見せてくれた中から、コンテストバトルに駒を進めることが出来たのは、果たして誰になるのでしょうか!?」 ミキとユカリ、他のコーディネーター、そして会場内の観客も固唾をのんで発表を見守る。 アナウンス「二次審査・コンテストバトルに進出するのは、この方達です!」 アナウンスと同時に、一次審査・パフォーマンスステージを突破した32名のコーディネーターの写真が映し出された。 1人、2人、3人と紹介されていき、10人目でミキ、続く11人目でユカリの写真が写された。 ミキ「やったわね、ユカリさん!二次審査に進出ね!」 ユカリ「うん!でもこれからが本番になるわ。気を引き締めて挑まなきゃね!」 アナウンス「さあ、見事コンテストバトルに進出した32名が、いかにして勝ち上がっていくのでしょうか!二次審査・コンテストバトルの組み合わせを発表いたします!」 32名の写真が一揃えにシャッフルされ、上下に並べられた。――ミキとユカリは下の列に並び、両者とも勝ち進めばベスト4をかけて準々決勝でバトルすることになる。 ミキ「ユカリさん、あなたと一緒にバトルしたいわね!」 ユカリ「うん!お互いに勝ち進んで、3回戦でお会いしましょう!」 ミキとユカリは互いの手を取り合い、3回戦でバトルすることを約束した。 果たしてミキとユカリは、二次審査・コンテストバトルも順当に勝ち進み、3回戦でバトルするときを迎えた。 実況「シンオウ・グランドフェスティバルも3回戦。ベスト4をかけた準々決勝であります!続いては第2試合、方やカントー地方・ヤマブキシティのミキさん!此方ジョウト地方・ ワカクサシティのユカリさん!果たして、どう言った演技が繰り広げられるのでしょうか!」 画面にミキとユカリの写真が映し出され、残りポイントが円で示された。 ミキ「ユカリさん、いよいよあなたとのバトルね。お互いにいい演技にしましょう!」 ユカリ「うん!ミキさん、あたしだって負けないわ!お互いに全力を出しましょう!」 実況「制限時間は5分!ではまいります!バトルスタート!」 かくしてミキとユカリのコンテストバトルが幕を開ける。強豪ひしめく中、こうして互いに火花を散らすことになった2人。果たして、準決勝に進むのは、ミキか、それともユカリか。 (4) この年のシンオウ地方のグランドフェスティバルはアラモスタウンの時空の塔を舞台として行われていた。 今回出場したのはミキとユカリを含めて96名。その中から32名がコンテストバトルに駒を進めており、その中でもすでにベスト8が出そろっていた。そして準々決勝第2試合、 ミキとユカリがベスト4をかけて争うことになるのだった。 ミキ「行ってらっしゃい!エーフィ、ルカリオ!」 ミキはエーフィとルカリオを繰り出した。 ユカリ「行くわよ!カメックス、ボスゴドラ!」 ユカリはカメックスとボスゴドラを繰り出した。 実況「ミキさんはエーフィとルカリオ。ユカリさんはカメックスとボスゴドラで演技に臨みます。さあ、どう言った演技になるのでしょうか!」 ユカリ「カメックス、みずのはどう!ボスゴドラ、ストーンエッジ!」 カメックスがみずのはどうを放つ。そこにボスゴドラがストーンエッジを掛け合わせた。みずタイプといわタイプの技のコラボレーションだ。 ミキ「(ユカリさん、なかなかいい演技になってるわね。相手にとって不足はないわ!)エーフィ、シャドーボール!ルカリオ、はどうだん!」 エーフィがシャドーボールを、ルカリオがはどうだんをそれぞれ放ち、みずのはどうとストーンエッジを迎え撃った。程なくして両者の技が激しくぶつかり合い、大爆発が起こった。 勢いで両者のポイントがわずかずつだが減る。 実況「ミキさんとユカリさん、最初から華麗なる技の応酬です!実力はかなり拮抗していると言っていいでしょうか!」 ミキ「やるわね、ユカリさん!」 ユカリ「ミキさんもとてもいい演技になってるわ。じゃあ、あたし達も行くわよ!ボスゴドラ、れいとうビーム!カメックス、ふぶき!」 ボスゴドラがれいとうビームを放つ。その後ろからカメックスがふぶきを繰り出す。ユカリはこおり技をも自由自在に使いこなすのだろう。 ミキ「(タイプ技にはタイプ技で!)エーフィ、ルカリオ、サイコキネシス!」 エーフィとルカリオがサイコキネシスを放つ。そして2つの技が互いにぶつかり合い、フィールドの中央に大きな氷の柱が立った。 実況「れいとうビームとふぶきがサイコキネシスとぶつかり、フィールドの中央に大きな柱が立ち上がりました!ミキさんとユカリさん、両者ともほぼ互角です!何という美しい演技でしょうか!」 ミキとユカリのポイントが再び減る。現段階ではどちらがよりポイントが残っているかは判別ができない。それほどわずかのポイントを争う演技が繰り広げられていたのだった。 ユカリ「すごいわ、ミキさん!」 ミキ「それほどでもないわ。ユカリさんも本当に美しい演技ね。それならあたしだって負けてないわ!ルカリオ、自分にサイコキネシス!エーフィ、ルカリオに乗って!」 ルカリオは自分にサイコキネシスをかけた。サイコキネシスのかかったルカリオは空中に浮かび上がった。さらにエーフィがルカリオに乗る。 ユカリ「(やるわね、ミキさん。演技の1つ1つに無駄がないわ。)カメックス、首を引っ込めて!ボスゴドラはてっぺき!」 カメックスが甲羅に首を引っ込めた。一方のボスゴドラはてっぺきで守りを固める。 ユカリ「カメックス、ロケットずつき!ボスゴドラ、もろはのずつき!」 カメックスがロケットずつきで、ボスゴドラがもろはのずつきで一気に突っ込んでいく。 ミキ「あたし達も負けないわ!エーフィ、サイコキネシス!ルカリオ、しんそく!」 サイコキネシスで勢いの増したエーフィとルカリオがしんそくで一気に突っ込む。4匹のポケモンはちょうどフィールド中央の氷の柱に向かっていった。 ユカリ「カメックス、ボスゴドラ、柱から回り込んで!」 ミキ「エーフィ、ルカリオ、上に行くわよ!」 カメックスとボスゴドラは氷柱の横を回り込む。一方のエーフィとルカリオは氷柱に沿って上に上っていく。そしてずつきの勢いが切れると、エーフィとルカリオは氷柱のてっぺんにいた。 ミキ「行くわよ!エーフィ、でんじほう!ルカリオ、ロッククライム!」 エーフィがでんじほうを放つ。そしてでんじほうを身にまとったルカリオが氷柱を勢いよく降り始めた。 ユカリ「カメックス、ハイドロポンプ!ボスゴドラ、かえんほうしゃ!」 カメックスがハイドロポンプを、ボスゴドラがかえんほうしゃを放つ。そしてみず、ほのお、でんきの3タイプの技がぶつかり合い、大爆発が起きた。 実況「みずとほのおとでんき、3つの技が勢いよくぶつかりました!」 両者のポイントもそれに応じて減る。しかし双方ともほぼ同じだけ減っており、まだ勝負の行方は見えない。だが残り時間は2分を切っていた。 ここまで拮抗した勝負はファイナルでもそうは見られないだろう。 ユカリ「でんじほうをまとって突っ込む。ミキさん、なかなかいいアイデアね。」 ミキ「ユカリさんも、ずつきからハイドロポンプとかえんほうしゃにすぐつなげるって、かなり機転を利かせてるわ。いいコンビネーションね。」 ユカリ「ありがとう。さあ、これならどうかしら?カメックス、きあいだま!ボスゴドラ、いわなだれ!」 ボスゴドラがいわなだれを放ち、カメックスがきあいだまを繰り出す。強力な技のコンビネーションだ。 ミキ「エーフィ、サイコキネシス!ルカリオ、はどうだん!」 負けじとエーフィもサイコキネシス、ルカリオもはどうだんで応戦する。またしても技がぶつかり合い、激しい爆発が生じた。勢いでさっきの氷柱が一気に砕け散った。 ミキ「(今よ!あの氷柱を使えば・・・!)エーフィ、サイコキネシス!」 衝撃波の中、サイコキネシスで操られた無数の氷の固まりがカメックスとボスゴドラに向かっていった。煙で何も見えなかったカメックスとボスゴドラは氷の固まりをまともに受けてしまった。 実況「ミキさん、氷の柱が砕け散ったのをサイコキネシスで有効に利用しました!これでポイントで一歩リードしました!」 言っている間にも双方のポイントが減った。が、氷柱を利用したのが功を奏したのか、ミキのポイントがわずかにユカリのそれを上回っていた。 そうこうしている間にも残り時間はまもなく残り1分になろうとしていた。 ユカリ「ミキさん、すごいわね。あの氷柱を上手く利用するなんて、いい作戦ね。」 ミキ「ありがとう。さあ、最後までお互いにいい演技にしましょう!」 いよいよこの勝負も大詰めを迎える。果たして、この激戦を制するのは、誰になるのだろうか。 (5) 〜挿入歌:『君のそばで(ヒカリバージョン)』が流れる〜 シンオウ地方のグランドフェスティバルを舞台に繰り広げられるミキとユカリのコンテストバトルもいよいよ大詰めとなった。 バトルは最初からわずかのポイントを争う真剣勝負となったが、残り時間があと1分になるかならないかというところでミキのエーフィが放ったサイコキネシスが砕け散った氷柱を 操り、ユカリのカメックスとボスゴドラを翻弄。ここでミキのポイントがわずかにリードしたのだった。 ユカリ「(まだあと1分。最後まで諦めないわ!)カメックス、ふぶき!ボスゴドラ、アイアンテール!」 カメックスがふぶきを放つ。さらにボスゴドラがアイアンテールでエーフィとルカリオに突っ込む。 ミキ「(ユカリさんも最後まで諦めてないわね。ならあたしだって!)エーフィ、でんじほう!ルカリオ、はどうだん!」 エーフィがでんじほうを、ルカリオがはどうだんをそれぞれ放ち、ふぶきやアイアンテールとぶつかって激しい爆発が起きた。爆発の影響からか、互いのポイントがわずかずつだが減る。 しかし減り幅に差は見られない。 ミキ「ルカリオ、きあいだま!エーフィ、サイコキネシス!」 続いてルカリオがきあいだまを放ち、エーフィがサイコキネシスで操る。 ユカリ「カメックス、首を引っ込めて!ボスゴドラはカメックスの首に乗ってまもる!」 カメックスが首を引っ込める。ボスゴドラは首を引っ込めたカメックスの上に乗った。カメックスはロケットずつきの体制に入ったと見られるが、果たして何をするのだろう。そして そのまままもるの体制できあいだまとサイコキネシスを防いだ。 残り時間は後15秒。次の一撃で決着がつくだろう。 ユカリ「カメックス、ロケットずつき!ボスゴドラ、もろはのずつき!」 カメックスがロケットずつきでボスゴドラをエーフィとルカリオに向かって吹っ飛ばす。さらに勢いをつけたボスゴドラがもろはのずつきの体制に入った。 ミキ「エーフィ、サイコキネシス!ルカリオ、はどうだん!」 ルカリオがはどうだんを放ち、それにエーフィがサイコキネシスをかけて勢いをつけた。サイコキネシスで加速されたはどうだんはボスゴドラとカメックスに命中、しかしそれを突き抜けて ボスゴドラがもろはのずつきを繰り出した。それぞれの技が激しくぶつかり合い、大爆発が起きた。そして両者のポイントもそれに呼応して減る。 実況「タイムアップ!」 ちょうどその瞬間、制限時間の5分が終了した。果たして勝負の行方は誰の手に上がったのだろうか。 実況「ファイナルさながらの大激戦でした。果たしてこの勝負を制したのは・・・!」 ミキとユカリ、いずれのポイントも残りわずかとなっていた。だが、一方のポイントが他方をごくわずかに上回っていた。 それはミキのポイントだった。 実況「ミキさんです!ユカリさんとのわずかのポイントを争う大激闘を制して、準決勝進出です!」 ミキ「やったわね!エーフィ、ルカリオ!」 エーフィとルカリオはミキに抱きつき、勝利を喜び合った。 そしてユカリもミキの元に歩を進めた。 ユカリ「ミキさん。」 ミキ「ん?どうしたの、ユカリさん?」 ユカリ「今回、あなたとバトルできて、あたし、とても嬉しかった。でもミキさん、あなたはトレーナーとして、そしてコーディネーターとして、これからももっとレベルを上げていくと思うわ。 だから、あたしの分まで勝ち進んで行ってね!」 ミキ「ううん。ユカリさん、ひょっとしたらあたしが負けていたかもしれないのよ。本当にいい勝負だったわ。次は準決勝、きっと手強い相手になると思うけど、 でもユカリさんにも負けないいい演技を見せるわ。あたしこそ、本当にありがとうね!」 ユカリ「うん!」 そう言って、ミキとユカリは固い握手を交わした。 続いてミキが臨んだ準決勝、相手はイッシュ地方・ヒウンシティ出身のシンタロウだった。だがシンタロウの実力は並大抵のものではなく、残り時間はあとわずかと 迫っていたが、ミキとシンタロウの間はポイントの差が開きすぎていた。この状況においてミキが勝利を収めるためにはバトルオフに持ち込む以外に道はないだろう。 ミキ「レントラー、かみなりのキバ!エーフィ、でんじほう!」 レントラーがかみなりのキバでシンタロウのポケモンに迫る。そしてエーフィもでんじほうでサポートする。 シンタロウ「グラエナ、あくのはどう!ゴウカザル、かえんほうしゃ!」 グラエナのあくのはどうとゴウカザルのかえんほうしゃが交差し合い、エーフィとレントラーの攻撃をたやすくはじき返してしまった。そして制限時間の5分を迎えた。 実況「タイムアップ!準決勝第1試合を制したのは、イッシュ地方からやってきたシンタロウ選手です!」 エーフィとレントラーは全力を出し切ったのか、その場に倒れ込んだ。 ミキ「エーフィ、レントラー、あなたたちは本当によく戦ってくれたわ。」 ミキはエーフィとレントラーの元に駆け寄り、2匹を抱きしめた。エーフィとレントラーもにっこりとほほえみかけていた。 〜挿入歌:『ビー・ウィズ・ユー〜いつもそばに〜』が流れる〜 こうして、ミキとユカリのグランドフェスティバルは終わり、それぞれの道に向かって再び歩き出すことになった。 ミキ「そう言えば、ユカリさんはこれからどうなされるの?」 ユカリ「あたし?・・・あたしは、これからまた次のグランドフェスティバルに向かって、新しく練習を始めようと思うの。それで、まずはコンテスト発祥の地と言われてるホウエンに 行ってみようと思ってるわ。ミキさんは?」 ミキ「あたしも一度カントーに戻ろうと思うの。しばらくはヤマブキシティにいると思うわ。そして落ち着いたら、あたしはカントーの南にあるナナシマに行ってみようと思ってるの。 カントーやジョウト、ホウエン、シンオウとはまた違った風景が広がっているから、どう言うところになるのか、あたしも一度行ってみたかったんだ。」 ユカリ「そうなんだ。ミキさんは一度カントーに行くんでしょ?あたしは直接ホウエンに行こうと思ってるから、シンオウの東、ナギサシティに行くことになるわ。」 ミキ「そうなんだ。あたしはカントー行きの船に乗るから、マサゴタウンまで出ることになるわ。・・・ユカリさん、今度またお会いできたらいいわね。」 ユカリ「うん。ミキさんもこれから色々なことを経験すると思うけど、でもトレーナーやコーディネーターとして大切なのは、自分のポケモンを信じること。そうでしょ、ミキさん?」 ミキ「うん。ユカリさん、あなたならきっとトップコーディネーターになれると思うわ。だから、自分の実力を信じてバトルすれば、きっといい成績を残せると思うわ!」 ユカリ「ありがとう!それじゃあたし、もう出発するわね!これからもお互いに高め合っていこうね!」 ミキ「あたしの方こそ、本当にありがとう!」 ユカリはホウエン地方のポケモンコンテストに参加するため、一足早くアラモスタウンを後にした。 ミキはユカリの姿が見えなくなるまで、手を振り続けていた・・・。 <初出> (1):2010年4月3日、(2):2010年5月7日、(3):2010年5月23日、(4):2010年6月2日、 (5):2010年6月13日、いずれも当サイト投稿・登録掲示板に掲載。