いつのまにか泣く事を忘れていた。
子供の頃、寂しくて寂しくて仕方がなかった。
ずっと仮面を被って、一人の時は泣いた。
死んだ母親が強くなりなさいと言っていた。
いつか強くなった時に脱ぐつもりでいた。
戦いに明け暮れるようになってから
仮面は都合のいい防具になった。
脱ぐ必要もなくなった。
今日、
死んだ母親の言葉を思い出した。
ふと仮面に手をやってみたら
それは、大人になった俺の頭蓋骨に
ぴったりはりついてしまって、取れなくなっていた。
ひどく寂しくなって
久し振りに、泣いた。
[僕のだみ声が 仮面の中にガラガラ響いた]
2007/10/13