今から始まる怪盗の物語。       その舞台はここコガネ。       今からコガネを騒がせている、怪盗ラキという者の物語を話していこう・・・・           読み切り小説    怪盗 ラキ 「あ〜あ・・今日も宿題出ちゃったよ・・・・」 めんどくさそうに頭を掻きながらポケモン専門学校「ポケモンスクール」から出てきた少年。海渡。 年齢12歳の初心者ポケモントレーナー、牛乳瓶の底みたいな眼鏡をかけた少年だ。 海渡は将来ポケモンマスターになろうと夢見ている人々の1人だ。 将来の夢を持っている海渡は、1年前からポケモンスクールに通っている。 でも、はっきり言って海渡はあまりポケモンバトルが強くない。技術的ではなく、心に問題があったのだ。 海渡はものすごく弱虫なのだ。それに対してすごく優しいのだ。でもポケモンバトルには優しさはあまり通じない。 しかも小さい頃からいじめられっこなのだ。元から顔がいじめられそうなところもあってさらに優しすぎるというところも加わり、ドラ○○○の○○太みたいな少年なのだ。 そして今日も、いじめられることとなった・・・・ 「おい!海渡!お前最近馴れ馴れしいんだよ!しゃべりかけても無視するわ、目も合わせようともしないわで、おれたちゃつまんないんだよ!」 10歳ぐらい年上のの不良グループに攻められている海渡。でもこれもいつもの事なのだ。 「そんな・・・僕はただ・・・」 先を言おうとした途端、海渡の頬に激痛が走った。海渡は地面に叩きつけられた。 「なんだぁ〜?俺達の言う事が聞けないって言うのか!?」 「・・・・」 「何か言ったらどうなんだ!?」 今度は海渡の腹に蹴りが入った。 グフッ 海渡がうめいた。 「僕は・・・もうお前達となんかと関わりたくないんだよ!」 「あぁ〜ん?お前誰にそんな事言ってるのかわかってんのか?」 「・・・・・」 「まぁ、お前に罰を与えてやればすむ事か・・オイ!お前ら!」 周りにいた不良グループの仲間達は海渡を取り押さえた。 「何するんだ!?あ!返せ!僕の大切な物を取るなぁぁぁ!」 不良グループの団長、銀次が海渡から奪った者は・・・ モンスターボール・・・・・ 海渡の大切なポケモンの入ったモンスターボールを奪ったのだ。 「これをかえしてほしけりゃ、俺達から奪ってみるんだな・・・あばよ!」 団長がそう言った後、不良グループは跡形もなくいなくなった・・・ 「くそぉ・・くそぉ・・・」 ただただ、泣いているだけだった・・・・ 「こう言う時に怪盗ラキがいてくれれば・・・」         ラジオ棟のシルクのスカーフが怪盗ラキによって奪われた!?         詳細はラジオ棟の・・・・・・・・・・・・・・・・・ 海渡は新聞に載っていた怪盗ラキの犯行の記事を観ていた。 そしてため息をついた。 「僕のところに怪盗ラキが来てくれれば・・・・・」 そして次の日もまた海渡は不良グループにいじめられたのだ・・・ 「もっと遊ぼうぜぇ海渡。なんならこのままママに助けを求めて逃げるかぁ?ハッハハハハッッハ〜」 「くそぉ・・僕のポケモンを返して・・・・・」 海渡は不良グループが立ち去った後も泣き続けていた・・・・ そこに足跡が聞こえた。 「・・・・・悔しいか?自分のポケモンが奪われて・・・・・?」 声がした。低い声だ。なんかうなり声も聞こえる・・・・ 「くやしいに決まってるだろ!?って・・・・誰?」 海渡は驚いて後ろを向いた。 そこにはポケモンしかいなかった。イーブイの進化系、ブラッキーがそこにたっていた。 「・・・・・?誰・・・?今喋ったの・・・・?」 海渡が目を丸くして辺りを見回した。 「・・・・俺だ。わからぬか?お前の目の前にいるだろう・・・?」 目の前にいたブラッキーが口を動かして言葉を発していた。 「!?ぽ、ポケモンが・・・しゃべったぁぁぁ!?」 海渡は、ひっくり返るほど驚いた。これは夢か?ポケモンが喋るなんて・・・・ 「そんなに驚く事無いだろう・・?世の中には喋るニャースもいるぞ?・・・・ところでお前の事はずっと観ていた。悔しいだろう?やり返すとは思わないのか?」 ブラッキーが喋った。 「・・・・無理さ。あのグループから僕のポケモンを奪い返すなんて・・・無理だよ・・」 海渡は落胆していた。だがブラッキーは慰めようともせず、あいからわずうなり声を響かせながら言った。 「ほぉ・・ならずっと泣いてるがいい。でも俺はそんな事をする男を男とは思わない。男だったらやり返しな。」 「わかった。やるよ!・・・・でも、せめて仲間が欲しいんだ・・・僕には・・・友達がいないんだ・・・・」 ブラッキーはため息をついて言った。 「ならこの怪盗ラキがお前の助けになってやろう・・・・?」 海渡はその事を聞いた途端、後退りした。 「か・・・かかか・・・怪盗ラキ!?怪盗ラキって・・・ポケモンだったのぉ!?」 「ふっ・・そうだ。驚いたか?おれの名はラキ。よろしくな。」 海渡はまだ信じ切れなかった。怪盗ラキがポケモン!?しかも喋っている・・・とても存じた者じゃない。 「な、なんでポケモンに!」 「・・・・ほぉ・・・いやなら1人で奪え返す事だな・・・じゃぁな」 ラキが帰ろうとした途端 ガシッ 海渡はラキ足を掴んだ。ラキはわかっていたかのように頬笑んだ。 数日後・・・ 「海渡・・・行くぞ。挑戦状も渡したしな。準備万端だ。」 「ねぇ・・ラキやっぱり恐いよぉ・・」 ラキはため息をついた。 「決心したはずだ。もう逃げられない。俺だけでも行ってもいいのだが、それはお前のポケモンが許さないだろうからな・・」 海渡は再び決心した。 「・・・・・・うん・・・わかった!まってろよ僕のポケモン!」            不良グループのアジト   侵入 「そぉっとだぞ・・・海渡」 「う、うん・・・・」 海渡とラキはアジトに侵入し、モンスターボールがある部屋を探し回っていた。 アジトはコガネの橋の端にある洞窟で何か陰気くさく、洞窟にあり、暗く、ライトでやっと足場が見える程度なのだ。 「あった!?見つけたぞ。海渡。ここだ、ここにお前のポケモンがいるぞ・・」 つまづきそうになりながらも付いてきた海渡は頬笑んだ。 「よぅし後少しだね。ラキ。」 ラキは頷いた。 でも何かラキの中では引っかかっていた。何故こんな簡単に侵入出来たんだ?何故こんなに警備が甘い・・・? おかしい・・・まさかなにかあるかも・・・ 「海渡・・・まだ何かあるかもしれない・・用心しろ・・・・?あ・・海渡!?海渡!?」 ラキの後ろには海渡がいなかった。ラキが気づいた先には海渡はモンスターボールのところへ一足先に行っていた。 ラキも進み出した時、ラキの頭に激痛が走った。 ラキの後ろには不良グループの団長、銀次が血の付いたバットを持ってにやにや笑っていた。 ドサッ ラキは血を流して倒れてしまった。だがまだ意識はある。意識がある中でラキは震える声でこういった。 「海渡・・逃げろ・・早く・・・・・!」 海渡はその言葉を聞いて逃げ出そうとしたが踏みとどまった。 ここで逃げてちゃ男が廃る!海渡はそう思い、逃げるのを止めた。そして団長に向かって身構えた。 「ハハハ海渡ぉ〜まさか俺達とやるつもりか?いっとくがそれはダミーのモンスターボールだぜぇ?ポケモン無しでやるつもりかぁ?」 団長が笑いながら言った。 「そうだ!僕はラキを置いて逃げれない!だから・・・」 言おうとした瞬間バットが海渡の頭に振り下ろされた。海渡の頭に激痛が走り、意識がもうろうとなった。 倒れようとしたがなんとか踏みとどまった。でもフラフラしてとても戦う事など出来ない。 「はっは〜これで終わりか?ならこれで楽にしてやるぜぇ〜?」 またバットが振り下ろされようとした時 「海渡ォォォ!!!!」 ラキが海渡の身代わりとなってバットに当たった。 「ら、ラキ!?」 ラキは酷いケガをしていた。でもさすが怪盗というだけあって、気絶はしていなかった。 「海渡・・・お前なら出来る・・モンスターボールは団長が持っているぞ・・お前なら絶対に出来る事なんだ!行け!海渡!」 「ウザイんだよこの化け物が!ポケモンが人の言葉をしゃべりやがって!汚れ血まうよ!」 そういってラキを蹴っ飛ばした。そのことに海渡は切れた。 「ラキを、ラキを侮辱するなぁぁぁぁ!!!」 海渡は団長に飛びかかった。団長も仲間達も驚いたのだろう、弱虫な海渡が飛びかかってきたのだから・・・ 「み、見つけたぁ!いっけぇ!ライチュウ!!」 海渡のモンスターボールからでた、有名なピカチュウの進化系ライチュウが飛び出した。 「ポケモンバトルが、いいだろう!受けて立ってやろうじゃないか!いけ!ベトベトン!さぁお前らもだしな!」 不良グループは多数のポケモン達を一気に出してきた。ドガース、マタドガス、ベトベター、ゴクリン・・・など 「ずるぃぞお!一対一でバトルしろぉ!」 「ふっ、バトルはな、小細工でもなんでもありなんだよ!」 「そ、そんなぁ・・・・・」 海渡はまたまた落胆した。だがそれを慰めるような声が聞こえた。 「海渡・・・お前は団長とやりな。俺はザコどもをやる。いいな。」 「え!?ラキ!?でもそのケガじゃ・・」 ラキの体をみた時、海渡は驚いた。殴られた傷跡が、血が、すっかり直っていたのだ。 「ふふ、俺の自己治癒力をなめるなよ・・?」 海渡は頬笑んだ。 「くっ・・・やれぇ!そのポケモンごとやっちまえ!」 ワァァァと声が挙がった。 「ライチュウ!十万ボルト!」 海渡がライチュウに命令する。ライチュウは体中から十万ボルト・・・いやそれ以上の電気を放電した。 ぎゃあぁぁぁ ベトベトンに直撃!一瞬で勝負にけりが付いた・・・・ ラキの方を見ると既に終わっていた。ラキは頬笑みながら拍手を送っていた・・・・・海渡はそれに対しVサインを送った・・・ どうやらその不良グループはR団の一味だったらしく、警察に逮捕され連れて行かれた・・そのあとの彼らの行方はわからなかった・・・ 「ラキ、僕のポケモンが戻ったのは君のおかげだよ。ありがとう♪」 「・・・いや今回の勝利はお前が手にいれたのだ。お前のポケモンはお前の気持ちを信じて勝利を収めた・・・それを俺は手伝っただけさ。・・・・それにお前には笑顔が似合う。もっと笑いな。」 それを聞いた海渡は今まで以上の幸せそうなニッコリな笑顔で笑った。 「あの・・・ラキ・・もしよかったら僕と一緒に来ない?僕、あの事件から旅に出てもいいって言われたんだ。だから君も一緒に・・」 「・・・・悪いな。それはダメだ。俺は怪盗。人のお世話にはならない。・・でもこの前はお世話になったがな。」 ラキは頬を赤らめながら言った。 「それに・・お前はお前の道を進め。俺に助けてもらってちゃあポケモンマスターになんてなれっこ無いぞ。」 海渡は納得したようだ。 「うん。わかったよラキ・・・今度会った時にはラキにも勝てるように強くなってるからな!」 「ふふ・・俺に勝とうなんざ10年早い。」 「なら10年経った後ダァ〜〜〜!」 そういってお互いの未来について交わし合ったあと 「海渡、元気でいろよな・・・お前は・・・お前は俺の前の主人の次に信じた人間だ。俺はお前を・・・・信用している・・・・  ・・・・じゃあな海渡。俺はお前のこと大好きだ・・・さらばだ!」 ラキは風のようなスピードでその場を去っていった・・・ それから十年後、ポケモントレーナーの世界に新たなマスターが現れた。        そのトレーナーの名前は・・・海渡。ライチュウ使いの海渡だった・・・・       ポケモンマスターの夢が叶った海渡。でも、それ以来、二度と、古金の待ちに怪盗ラキは現れなかったという・・・・                             END