第3話 傷ついたイーブイ  遠くの山から朝日が昇り始めていた。  昨日はいろいろあり、今もぐっすりと眠っている。  腕の中には相棒のヒノアラシやワニノコもいる。  少し離れた所には昨日出会ったトレーナー、ルミも眠っている。 「ん〜〜〜〜〜」 「ヒノ〜〜」  朝日が顔に当たったと思えばヒノアラシが先に起き、それにつれてみんながおき始めていた。  ヒノアラシは手で俺の体を揺らして起こそうとしている。 「起きなさ〜〜い!!」 「うわっ!!」  いきなり大声で起こされてしまった。 「おはよう♪」 「あ、おはよう・・・・」  そして今日が始まったのである。  早く起きたこともあり、朝の内に森を抜け出すことができた。  途中でハネッコやレディバをゲットしていき、今日も順調であった。 「え〜と、確かこの先に町があるんだったよな?」 「ええ、確かヨツバシティ、あそこにはポケモンセンターもあるからそこでポケモン達を回復させよう!」 「そうだな。」  そして数時間歩いていると、何とかヨツバシティの郊外にたどり着いたのだった。 「へえ、あそこがヨツバシティか。」  町はここから軽い坂を下りた所にあり、大樹はヒノアラシと共に駆け出していった。 「危ないわよ!」 「へ〜きだって!」  と、その時・・・ 「おい!」 「わっ!?なんだお前は?」 「俺はヨツバシティの真人(マサト)、俺とポケモンバトルをしろ!」 「お、トレーナーか?バトルだったいつでもOKだぜ!」  そして、突然現われたトレーナーとのポケモンバトルが始まった。  相手が最初に出してきたのはオタチだった。 「行け、オタチ!体当たりだ!」 「ニドラン、にどげりだ!」  初心者にしてはいい判断力だった。  ニドランは格闘技も使えたのですぐに勝負がついた。 「あ〜、俺のオタチ〜〜!」 「よっしゃ〜、俺の勝ちだ!」 「ラン〜♪」  ニドランもご機嫌であった。 「強いじゃないかお前!」 「まあな!」  大樹と真人が握手をしたその時だった。 「ブイ〜〜!」 「待ちやがれ!」  近くから何かの叫び声が聞こえてきた。 「何だ?」 「あ、2人とも見て!ポケモンが襲われてるわ!!しかもあれはイーブイ!」 「何だって!」  留美が指差した所には、進化ポケモンのイーブイが数人の不良に襲われていたのである。  あれはゲットしようとしているのではなく、どうみても虐待か密猟に近いものであった。 「あんた達やめなさい!いけ、カラカラ!!」 「ワニノコも行け!」  留美は手持ちのボールからこどくポケモンのカラカラを出した。  大樹もワニノコで応戦した。 「何だ・・・あ!」 「邪魔だ、やれアーボ!」 「ワニノコ、引っかいてやれ!」 「カラカラ、骨こん棒!」  思ったより呆気なく片付いた。 「覚えてろ〜〜!」 「へ〜んだ!」 「何やってんのよ、早くイーブイを何とかしなきゃ!」 「よし、町のポケモンセンターに連れていこう!」  真人の案内により、大樹と留美は町のポケモンセンターに急いで向かった。  が、彼らが去ったあと、後をこっそりと追う影があったことに、彼らは気づきはしなかった。 ポケモンセンター・・・・ 「どうですかジョーイさん?」 「もう大丈夫、一晩眠ったら元気になるわ。」 「よかったぁ。」  イーブイの治療も無事に終わり、留美も一安心していた。  だが、大樹だけは複雑な心情にいたのだった。 (何でジョーイさんはアニメ設定なんだ?) 「ひの〜?」 「どうした?」 「あ、いや何でも・・・・」 「とにかく、これでもう大丈夫ね!」  留美は笑顔で大樹に言った。 「それがそうでもないの・・・・」 「どう言う事?」 「確かに肉体的なダメージは小さいけど、精神的なダメージは大きいわ。  この様子だと野生に戻る以前に、人間を怖がってままになってしむわ。」 「そんな・・・」  つらい現実にぶつかった留美であった。  と、その時、 「おい、イーブイは何処にいる?」 「誰?」 「あ、ロケット団!」 「それに、あんた達はさっきの不良!あなた達もロケット団だったのね!」 「その通り、我らは強いポケモンを集めて組織を復活させる為にイーブイを追っていたのだ!」  さっきの不良は見かけ通りのロケット団であった。  数は5,6人前後と言ったところである。 「さっさとイーブイを渡しな!」 「イヤよ!」 「なら仕方がない、行けカイロス!」 「行け、アーボ!」  ロケット団員達はアーボとくわがたポケモンのカイロスを出してきた。 「きたわね、ポッポ、体当たりよ!」 「ニドラン、お前もだ!」 「レディバも行け!」  3人もポケモンを出してロケット団と戦い始めた。  だが3人が戦いに集中しているうちに残った団員がセンター内の診察室にはいっていったのだった。 「レディバ、超音波!」 「くっ、毒針攻撃!」 「風おこしよ!」  レディバとポッポの連携プレイでアーボを倒した。 「ブイ〜!!」  戦闘中、イーブイの叫び声が響いてきた。 「イーブイ!」 「しまった、残ったやつが!」 「ハ〜ハッハ、これでイーブイは俺達のものだ!」  後方からイーブイを素手で捕まえた団員がやってきた。 「イーブイを離しなさい!」 「何っ!?」  留美は団員に向かって突っ込んでいった。  団員に激突すると、イーブイは団員の手から開放された。 「今だ、ニドラン、にどげり!!」 「ニドッ!!」 「うわぁ〜〜〜!」  ロケット団はニドランに蹴り飛ばされてポケモンセンターの外に追い出された。  大樹もニドランと一緒に外に出ていった。 「おのれぇ、カイロス、挟みきってやれ!!」 「ニド!?」 「ニドラン!!」 「ガキが、ロケット団を甘く見たな!」  ニドランはカイロスの角に挟まれ、今にもやられそうであった。  大樹は無謀にもカイロスに立ち向かうが、簡単にやられてしまった。 「ニドラン!!」 「やれ、カイロス!!」 「やめろ〜〜!」  もうダメかと思ったその時だった。 「テイ〜〜〜〜〜〜〜!!」  何処からともなく叫び声が聞こえてきて、その圧倒感に負け、カイロスはニドランを離してしまった。 「な、何だ!」 「イーブイ、電光石火!!」 「なっ!?」  今度はさっきのイーブイが現われ、  そのままカイロスに突撃してカイロスはロケット団員に激突したのだった。 「チコリータ、ツルのむち!!」 「あ〜れ〜!」  ロケット団は何処かに飛んでいった  戦いが終わると、大樹はさっきの声のする方に振り向いてみた。  そこには・・・ 「お前は・・・・・」 「きれえ・・・・」  ポケモンセンターの近くのビルの上、そこにあいつはいた。  誇り高きその姿を、俺は知らないはずがなかった。 「エンテイ・・・・・・・・」 その後・・・・・ 「エンテイって、伝説のポケモン?」 「あれはどう見てもエンテイだ!」  大樹と留美は宿泊室で話し合っていた。  ヒノアラシ達は疲れて大樹達のそばで寝付いている。 「スッゲェかっこよかったぜ!あいつは俺が絶対にゲットしてやる!」 「それなら私が先に捕まえるわ!」 「俺だよ!」 「私よ!」  大樹の目標はさらに増えたのだった。 「そう言えば、そのイーブイは・・・・?」 「へへ、イーブイゲットよ♪」 次回予告 「留美がイーブイをゲット(?)した次の日、また俺達の前に事件発生?突然街中が停電になってしまった。  真人の案内で町を調べたらそこには無理矢理電気を浴びさせられて綿毛を大きくさせられたメリープがいた。  コンな事をするのはロケット団に違いねえ、待ってろ、お前達は俺達が助けてやるからな!  次回 メリープを助けろ 」