第10話 心の進化 ポケモンの進化 「私は綾奈、ただの勝利の女神よ!」  いきなり現われた綾奈というトレーナーは、圧倒的なパワーでブーバーを倒したのだった。 「くっ、戻れブーバー!」 「うそ〜、デスト様のポケモンが負けるなんて〜!」  こそこそしていたミサキとソウシはビビッていた。 「エアームド、適当にからかってあげなさい。」 「エア〜!」  そう言われると、エアームドはデストのポケモンをからかい始めた。  攻撃は簡単にかわし、困惑はさせてはいくが、攻撃は出そうとはしなかった。 「何なんだあいつは〜!?」 「くそ、女に助けられるなんて・・・・」 「あら、せっかく助けてあげたのに不服かしら?」  すると、綾奈は宙ぶらりになっている英人の真下に来ると、のんびりと話し始めた。 「全く、まだ素人だと言うのに何意味のない意地をはってるのかしら?」 「意味のないだと!?」 「本当のことじゃない。あんたはそうやって本当に自分を隠しているみたいだけど、それは単にあんたが逃げているだけにしか見えないのよ。 「どう言うコト?」 「こいつ、あんたとさして変わらない実力なのに、弱いと言われるのが嫌だからカッコつけて本心を隠してるのよ。」  何だか知っているかのような口調であった。  だが、綾奈から視線をそらしている英人の様子からすると、どうやら事実のようである。 「あんたもあんたよ、勢いに乗って一気に出すからポケモン達みんながピンチになるのよ。」 「何〜!」 「ポケモンは知ってのとおりあんたらと同じ生き物よ、それなのにただただ攻撃ばかり命令していたら負担がたまる一方よ。」 「うっ・・・・・」 「あんた達もトレーナーならちゃんと周りを見ることね。自分が一人だけで戦っているんだと自惚れないこと、実際に戦っているのはポケモンなのよ。」 「「・・・・」」  何だか納得がいかなかったが、確かにそれは本当のことであった。 「じゃあ、私はこれで帰るわ。戻りなさいエアームド!」 「お、おい!」 「じゃあめ、これはあなた達の超えなければならない試練よ、ちゃんと乗り越えなさいよ。」  そう言い残すと、綾奈は去って行ったのだった。 「もう許さんぞ!」 「や、やば!」 「待ってここは私に任せて!ウリムー、粉雪よ!」  ピンチの2人をかばい、留美は自分に注意を引かせていた。  エアームドとの戦いでピリピリしていたデストのポケモン達は、すぐにその作戦にのったのだった。 「今のうち・・・って、お前も力出せよ!」 「誰がお前なんかの・・・・」 「いい加減にしろよ!!」 「なっ!?」 「おめえ、本当に強情だな、そんなに意地張ったっていい事なんてないぜ!」 「何だと!」  今度は大樹が英人に説教をくらわした。 「お前だって仲間が欲しいんだろ?だったらつまんない意地なんて張らない自分に素直になったらどうだよ!」 「う、うるさ・・・・!?」  その時、英人は自分の手を掴む他の者に気づいた。  さっきの戦いでボロボロになった大樹と英人のポケモン達が英人を助け始めたのである。 「エレ!」 「カゲ!」 「お前ら・・・・・・」 「へ、お前もこいつらに好かれてんだな?俺もトレーナー初心者だけどよう、こいつらと一緒にいるうちに何だかいろんな事を学んでいるようなきがしたんだぜ。」 「俺は別に・・・・」 「お前がどう考えるかはお前の自由かもしれないけどよ、こいつらの気持ちも考えてやりなって!こいつらはお前の事が好きで一緒にいるんだからさあ。」 「そう・・・なのか・・・?」 「カゲ〜!」 「チョ〜ンチ〜!」 「イッシ!」  英人のポケモン達は「そうだよ!」と言っているかのようであった。  そしてその瞬間、さっきまで意志を張っていた英人の顔にいくつもの涙が流れ始めたのだった。 「ありがとな・・・・」  そう言われながら、英人は大樹やポケモン達に引き上げられていった。  一方、デストと戦っている留美は・・・ 「チコリータ、甘い香り!」 「効かん、痺れ粉!」 「か、風おこし!」  やはりこっちは苦戦を強いられていた。  エアームドとの戦いで体力を消耗しているとはいえ、やはり強いのは変わりなかった。 「切り裂け、サンドパン!」 「キャァ!!」  とどめを刺そうとしたその時! 「「させるか!!」」 「何!?」  いきなり2人の声が聞こえたかと思うと、ワニノコとチョンチーが水鉄砲でサンドパンを撃墜したのだった。  流石に二匹分はきつかったらしく、サンドパンはそのまま伸びたのだった。 「このガキ〜!」 「お前なんかに負けるかよ!」 「やっぱりお前らは雑魚だな!」  さっきまでとは違い、何だか息が合っているかのような様子である。  留美もまた、知らないうちに2人が成長したように感じ取った。 「いけるかヒノアラシ?」 「ヒノヒノ!」 「倍返しにするぞヒトカゲ!」 「カゲ〜!」 「ふん、いくら立っても私には絶対に勝てはしない・・・・」          ピカッ!!   と、デストが強気に話しているその時だった。  突如としてヒノアラシとヒトカゲの体が輝き出したのである。 「な、あれはまさか!?」 「ヒノアラシが・・・これって・・・」 「まさか・・・」 「進化よ!!」  2匹の体は見るまもなく変わって行き、ヒノアラシはマグマラシ、ヒトカゲはリザードに進化した。 「「スゲェ〜〜〜!!」」 「オノレ〜、ゲンガー、シャドーボールを・・・・・・」 「「火炎放射!!」 「何!」    今度はこっちが優勢であった。  2つの炎は一つになり、ゲンガーを丸のみにしたのである。  今までの拾うモあり、ゲンガーもダウンしたのである。 「なら、コイル!」 「カラカラ、骨こん棒!」 「くう!」 「ニドラン、にどげり!」 「キマワリ、はっぱカッター!」 「チコリータもはっぱカッター!」  今までとは違い、もはやデストには勝機はなかった。  影ではミサキとソウシも怯えている。 「か、幹部のですと様が〜!」 「うそでしょう〜〜!」  そして、とどめの一撃に入った。 「メリープ、10万ボルト!マグマラシ、火炎放射!」 「チョンチー、スパーク!リザード、火炎放射!」 「ポッポ、風おこし!チコリータ、はっぱカッター!」 「こ、この私が〜〜〜!!」  みんなの攻撃が命中し、その攻撃でコイルは「自爆」してしまった。  そしてロケット団の3人は星になったのであった。 「「やな感じ〜〜〜〜〜!!」」 その後・・・・・・  ロケット団が消えた後、3人は塔の中で捕まっていた僧侶達を解放した。 「これはこれは、お助け頂いてありがとうございます。」 「いや〜、大した事してないっすよ〜!」 「でも、何でロケット団はこの塔にいたのかしら?」 「それは・・・おそらく伝説のポケモンでしょう。」 「「「伝説のポケモン!?」」」  3人同時に叫んだ。 「世界中に存在する古い建物や遺跡には伝説のポケモンの言い伝えがあります。あの者達は伝説のポケモンの事を調べに来たのでしょう・・・」 「で、ここには何かあるのか?」 「いえ、ただ・・・伝説のポケモンは大人よりも子供を好んでその力を試すと言うのが残っているだけで・・・」 「子供・・・・」  大樹も初耳であった。 「じゃあ、私達はこれで・・・・」 「どうもありがとうございます。あなた方なら伝説のもの達にも遭えることでしょう。」 (もう遭ってるんだけどな・・・)  そう、大樹と留美は、既にエンテイと言われる伝説のポケモンに遭っているのである。 「そう言えば、お前ジム戦はどうだったんだ?」 「へへ、勿論勝ったわよ♪」  留美は2人にバッチを見せた。  と、その時、隣にいたチコリータの体に変化が・・・  ついでにたまたま外に出していたニドランにも・・・ 「チ、チコリータ!」 「ニドラン、まさかお前も進化するのか!?」  そして、チコリータはベイリーフ、ニドランはニドリーノの進化したのだった。  今日の戦いが激しかったのか、たくさんレベルが上がったようである。 「今日はよく進化するな。」 「やった〜!」 「あ、そう言えば、英人はこれからどうするんだ?」 「・・・どうするかな〜?」 「よかったら俺達と一緒に行かないか?」 「・・・いいのか?」  英人は顔を少し赤くさせながら聞き返した。  そして大樹はにっこりとしながら答えた。 「もちろんだって!」 「じゃあ、一緒に行くかな♪」  そして、今日はもう遅いと言う事もあったので、3人はポケモンセンターに泊まることにしたのだった。  次はいよいよキキョウジムである。 次回予告 「ついに来たキキョウジム!  ここのリーダー・ハヤトはやっぱり鳥使い!最初に英人が快勝するが、  次の俺の時にはハヤトは強力なドードリオで攻めてきて俺は大苦戦である。  ワニノコ、ここはお前の根性にかけてやるぜ!、その時、ワニノコの体に変化が!?  もしかして今度はワニノコが進化するのか?ようし、この戦い、絶対に勝ってやるぜ!  次回 ワニノコ進化 対決キキョウジム 」