第12話 ナツメとアンノーン 伝説を語るアルフの遺跡 「何よも〜〜〜!」 「あちゃ〜〜〜」  ヒワダタウンを目指していた三人はある危機に落ちていた。  何と、キキョウシティの南を進むつもりが、西を進んでいたのだった。  しかも目の前には土砂崩れがあったのである。 「全く!」 「まあ、いいじゃないか。あっちにも南にいく道があるしさ!」 「ならさっさと行くぞ!」 「そうね、早くしないと日が沈んじゃうわ!」  二人は怒りながら南の方へ進んでいった。  大樹も笑いながら行こうとした・・が・・・            ゴソ  大樹が去ろうとすると、一本の木がうごいた。 「ん?」 「どうした?」 「いや・・・待てよ?もしかしたら・・・・・」  土砂の中に巻き込まれている一本の木が動いたのを見て、大樹は何かを思い出した。 「アリゲイツ、あれに向かって水鉄砲!」 「ゲイ!」 「何木に攻撃してるんだ?」 「さあ?」  水鉄砲があたると、その木に見えたモノは正体をあらわした。 「ウッソ〜〜〜!!」 「何!?」 「ポ、ポケモン!?」 「やっぱり、あれは木に見えるけど、岩タイプポケモンのウソッキーだ!」 「岩タイプ!?」  木に見えたのはものまねポケモンのウソッキーであった。  ウソッキーはそのまま逃げようとしたが、3人が逃がすはずがなかった。 「行け、キマワリ!」 「ベイリーフ、ツルのむちよ!」 「あ、お前ら〜!」  目の色をかえ、留美と英人は捕獲に入った。  ベイリーフがウソッキーを捕らえると、キマワリがはっぱカッターで攻撃していった。  すると、ウソッキーははっぱカッターを出してきた。 「な、何で草タイプの技が!?」 「あれは『ものまね』だ!」 「なら、体力を吸い取れ!」 「キマ〜!」  キマワリはウソッキーの体力を吸い取って行き、ウソッキーはその場に倒れた。  そして英人はそのままモンスターボールを投げた。 「捕獲成功!」 「あ〜、俺が見つけたのに〜!」 「早い者勝ちよ、それより先に進もう!」  そして大樹が文句を言う中、彼らは南の道を進んでいった。 そして・・・・・・  しばらくすると、子供達の目の前には壮大な遺跡が立ちはだかっていた。 「すご〜い、こんな所に遺跡だなんて・・・」 「ああ、俺もはじめて見た。」  留美と英人は呆然としながら遺跡を眺めていた。 「あ、これはきっとアルフの遺跡だな!」 「アルフ・・・?」 「そう、ここはアルフの遺跡だよ。」 「え?」  そこに研究者のような男と、一人の長髪の少女がやってきた。  おそらく、男はここで遺跡を調べているのだろう。 「僕はこの遺跡を調べている澤田、こっちはカントーでヤマブキジムのリーダーをやっているナツメくんだ。」 「ナツメです。」 「え〜、この子がジムリーダー!」 「うお、エスパー女登場!」 「え、エスパー!?」  3人とも、予想外の出来事に驚きを隠せないでいた。  すると、ナツメは大樹を見て何かを感じたような表情をした。 「あなた、何だか不思議な感じがする・・・・・まるで、何処か遠い場所から来たような・・・・・」 (な、そこまで読むとは!) 「遠い場所?」 「あ〜、何でナツメはここにいるんだ!?」  慌てて大樹は話題を変えた。  相手がナツメとなると、異世界から来たのがばれるのも時間の問題であるからである。 「彼女は、この遺跡に眠ると言われるシンボルポケモンの事を調べに来たんだ。何でも、何か強力なものを感じるとかで・・・」 「シンボルポケモン?聞いた事ないな・・・」 「ああ、アンノーンの事だな、全部で20種類以上いる!」 「え、何でそんなに知ってるの!?」 「い、いや〜知り合いの博士に聞いていたんだ!」(汗) 「ああ、あのオダワラ博士ね!」  何とか誤魔化しきった。  だが、ナツメだけは誤魔化せてはいないように見えた。 「あ、そう言えば自己紹介がまだだったわ!私は留美、よろしく!」 「俺は大樹!」 「英人だ・・・」 「よろしく、あ、せっかくここに来たんだあっちで面白いものを見つけたから見てみないかい?」 「え、いくいく!」  留美は興味津々である。  そして澤田に案内されて遺跡のある小部屋に行くと、そこには大きな石版のパズルのような物が散らばっていた。 「さっき発見したんだけど、これが何を意味しているのかまだ分からないんだ。」 「へ〜、何だかパズルみたい〜。」 (あ、これって・・・) 「だが、こんな石版、持ち上げるのも至難の技だな。」 「そ〜ね〜」 「あ、だったら俺がやってみようか?」 「「「え!?」」」  ナツメ以外の3人が驚いた。 「出て来い、ユンゲラー!」 「ユンゲラーだと!?」 「いつゲットしたのよ?」 「へへ、暗闇の洞穴でね!ユンゲラー、念力で石版を持ち上げるんだ!」 「ユン!」  すると、まるで風船のように石版は宙に浮き始めた。 「じゃあ、それをこっちに・・・・・」 「大丈夫なのか?」 「さあ・・?」  しばらくすると、石版のパズルは完成した。  石版には「カブト」の絵が描かれていた。 「よっしゃ〜!」 「いや〜、スゴイねぇ!」 「それほどで・・・・」            ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・  突然、小部屋の床が崩れて行き、一同は地下に落ちていったのだった。  だが、何かの力が作用したのか、みんな怪我をせずに済んだのだった。 「大丈夫かナツメ?」 「ええ、ここは遺跡の中?」  そこは遺跡の大部屋であった。  部屋のあちこちに変な文字が刻まれていた。  みんな不思議そうに見る中、大樹は戦闘態勢に入っていた。  一緒にいるユンゲラーも何かを感じている。 「ユンゲラー、壁に向かって念力!」 「ユン!」 「あ、遺跡を壊さないでくれ〜!」 「待ってください澤田さん!バリヤード、あなたも念力!」  ナツメもバリヤードを出すと、大樹と同じことをし始めた。  するとその直後、壁にある文字が動き出したのである。」 「も、文字が動いただと!?」 「あれがアンノーンなんだよ!  タイプはエスパーだけど、使う『目覚めるパワー』は属性がバラバラなんだ!」 「あ、襲ってくる!イーブイ、電光石火!」  たくさんのアンノーンが一気に襲ってきた。  その数、確かに20種類を軽く超えていた。 「あ、君達トレーナーなら出きれば全部捕まえてくれ!」 「え、わかりました!」 「わ〜、こっちのアンノーンのパワーは電気タイプだ!」 「こっちは炎タイプだ!」  悪戦苦闘であった。 「バリヤード、おうふくびんた!」 「バリ〜!」 「ユンゲラー、金縛りだ!」 「ユン!!」  流石はエスパーのエキスパートであった。  いっきに沢山のアンノーンが倒れ、大樹のユンゲラーも動きを封じていった。 「いっけ〜、モンスターボール!」 1時間後・・・・・・・ 「どうもありがとう、おかげで全種類のアンノーンを捕獲する事ができたよ〜!」 「ま、実力ですよ〜!」 「って言うより、ジムリーダーのナツメちゃんがいたおかげでしょ?」 「全くだ!」 「う・・・・・」  留美と英人にうまく突っ込まれていた。  すると・・・ 「澤田さ〜ん、向こうの小部屋で妙なものが!」 「何かあったのか!?」  何やら遺跡中が騒がしくなった。  気になって大樹も現場に行ってみると、そこは他の小部屋とは違う雰囲気の部屋であった。 「あれです!あの壁にアンノーンの文字が!」 「これは・・・・・」  そこには5文字のアンノーンが刻まれていた。  もちろん、大樹にはどう読むのか分かっていたので自慢げに話そうとした。  だが・・ 「ホウオウ・・・・・・・」 「え?」  1歩先をナツメに追い越された。 「アンノーンはアルファベットを意味しているから、それをローマ字読みをしたのよ。」 「なるほど・・・」 「幻のポケモンの一匹ホウオウ、ジョウトの伝説に伝わるポケモンだな。」 「それが何でここに・・・・・」  それは大樹にも分からなかった。  ただ、ホウオウは古より存在していた事がわかってだけなのである。 翌日・・・・・ 「じゃあ、俺達は行きます!」 「いつか・・・カントーにも来てね。」 「ハイ!」  そして三人はアルフの遺跡を去って行った。  だが、ナツメは大樹が見えなくなるまで見ていたのだった。 「異世界を超えてきた少年・・・・・・いくつもの世界に何かが起きようとしている・・・・」 次回予告 「つりの名所に来た俺達はそこで釣りの対決をすることにした。  そんな中、俺は望と言う少年に出会う。だけどそいつはロケット団の最高幹部だった。  な、何で俺と同い年の奴がロケット団にいるんだ!?  あまりに圧倒的な力の前に窮地に落ちそうになる俺、そこにカイリューに乗った謎のトレーナーが現われた。  一体奴は何者なんだ!?  次回 つりの名所 新たなライバル 」